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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F04B
管理番号 1012716
審判番号 審判1998-13303  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-08-20 
確定日 2000-03-08 
事件の表示 平成5年実用新案登録願第7273号「ポンプ」拒絶査定に対する審判事件(平成6年8月23日出願公開、実開平6-60775)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本件考案の要旨
本件実用新案登録出願は、平成5年2月3日に出願されたものであり、その出願に係る考案は、平成8年6月24日付け及び平成10年9月21日付け手続補正により補正された明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?7に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る考案は請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】容器内部に挿入されると共に上端に容器口頚部上端面に係合するフランジ部を有するシリンダ状のポンプ本体と、容器口頚部外周にねじ込み固定されポンプ容器の口頚部上端に係合するフランジ部を締め付け固定するキャップと、前記ポンプ本体内に往復移動自在に挿入されるピストンと、該ピストンから上方に延びるステムと、前記ポンプ本体の上端部を閉塞しかつ前記ステムが往復移動自在に挿通されるガイド穴を有するガイド部材と、前記ステム上端に接続されるノズル部を備えたノズルヘッド部と、を備え、
該ノズルヘッド部のステム上端と接続されるノズル頚部と前記ガイド部材のガイド穴内周に互いに螺合するねじ部が設けられたポンプにおいて、
前記ガイド部材はポンプ本体の上端開口部内周に嵌着される栓体部と、該栓体部の上端から半径方向外方に張り出すフランジ部とを備え、該フランジ部の上面によって構成されるガイド部材の天面のガイド穴開口部周縁に防水用の環状の突堤をほぼ垂直に立設すると共に、前記ガイド部材の天面には内径側から外径側に向かって下方に傾斜する傾斜面を設けたことを特徴とするポンプ。」
2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した特開昭58-20259号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されているものと認める。
すなわち、「この発明は殺虫剤、塗装液などの液体を吸上げ、圧力をかけて流出するディスペンサー、特に手動式のディスペンサーに関する。」(第1頁下右欄第4?6行)、「第1図に示すように、ディスペンサー10は段付きのシリンダ12を備え、このシリンダ内にピストン14が摺動可能に配設されている。ピストン14は、下端部と中間部とにスカート状シール16,18をそれぞれ備え、スカート状シール16はシリンダ14の小径部に沿って、またスカート状シール18はシリンダの大径部に沿ってそれぞれ摺動する。」(第2頁上左欄第17行?同頁上右欄第4行)、「シリンダ12の上端にキャップ24が、下端に吸上げ管26がそれぞれ嵌合されている。キャップ24はその内面にメネジ部27を有し、液体、例えば殺虫剤が収納された容器29に螺合される。」(第2頁上右欄第19行?同頁下左欄第3行)、「キャップ24はシリンダ12と同心状に形成され上方へ突出した環状体28を備えている。この環状体28の上端部外周面に沿って4個等間隔に突出部30が形成され、この突出部は下面中央に三角形状の係止溝31を有している(第2図参照)。」(第2頁下左欄第8?13行)、「キャップ24に有底の孔32が形成されその底面に貫通孔33が穿設されている。この貫通孔33をピストン14が貫通し、キャップ24の上方へ延出している。」(第2頁下左欄第15?18行)、「ノズル35を備えたヘッド36がピストン14の上端部に取付けられ、このヘッドはピストンと一体的に昇降運動を行う。・・・ヘッド36に、垂直にのびた流路38と、この流路に連通するとともにノズル35の流出孔39を介して外気にも連通した水平な流路40とが形成されている。更に、ヘッド36に有底筒体42が一体成形されている。有底筒体42は側壁内周面の円周方向に沿って2個等間隔に形成された係合突起44を備え、この係合突起は突出部30の係止溝31と係合可能に形成されている。係止溝31を有する突出部30と係合突起44とは、後述するように、ピストン14をその下降位置にロックするロック手段として作用する。」(第2頁下右欄第3?19行)、「また、孔32および貫通孔33を介してシリンダ12の大径部に流入した空気は、負圧孔25を介して容器29内に流入し、容器内の負圧化が防止される。」(第4頁上右欄第7?11行)等の記載があり、
また、第1図には、
イ.シリンダ12の上部に、外向きに張り出すフランジと該フランジの内周縁から上方へ延びる延長部分とが形成されている点、
ロ.キャップ24は、容器29の口頚部に螺合されるメネジ部27を内面に有する筒部と、該筒部の上端から内向きに延びるフランジ部と、該フランジ部の内周縁から上方へ延びる外筒と該外筒に環状の天面を介して接続され前記有底孔32を囲む内筒とからなる二重円筒部と、前記有底孔32周縁に立設された前記環状体28とを備える点、
ハ.キャップ24の前記二重円筒部の間隙に、シリンダ12上部に形成された前記延長部分がはめ込まれている点、
が示されていると認められる。
したがって、引用例1には、
“容器29内部に挿入されると共に上端に容器口頚部上端面に係合するフランジを有するシリンダ12と、前記シリンダ12内に往復移動自在に挿入されるピストン14と、容器口頚部外周にねじ込み固定され容器29の口頚部上端に係合する前記フランジを締め付け固定し、前記シリンダ12の上端部を閉塞しかつ前記ピストン14の上部が往復移動自在に挿通される貫通孔33を有するキャップ24と、前記ピストン14の上部上端に接続されるノズル35を備えたヘッド36と、を備え、該ヘッド36のピストン14の上部上端と接続されるノズル頚部に形成された有底筒体42と前記キャップ24の上面に立設された環状体28に互いに係合する係合突起44及び突出部30が設けられたディスペンサー10において、前記キャップ24はシリンダ12の上端開口部内周に嵌着される有底孔32を囲む内筒と、該内筒上端から半径方向外方に形成されたほぼ水平の環状部とを備え、該環状部の上面の前記貫通孔33開口部周縁に前記環状体28をほぼ垂直に立設すると共に、前記キャップ24は前記環状部の上面から外径側に向かって段状に下がる面を設けたディスペンサー”が記載されているものと認める。
また、原査定の拒絶の理由に同時に引用した特公昭48-20486号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されているものと認める。
すなわち、「本発明の更に他の重要な目的はスカートがカバーキャップを摩擦的に装着するに役立ちかつ種々な頂壁厚の容器キャップを装着可能にするように可撓性ウエブによりカラーに取付けられたスカートを有する新規なカラー装置を有するハンドポンプを提供することである。」(第2欄第20?25行)、「図示のハンドポンプは筒10を有し、該筒10にはその一端に液体を受入れる流入口12を、他端近くには多数の排気口14が設けられている。筒10とは別個のカラー16は流入口12とは反対の筒10の開放端の中に伸長し排気口14の外側になる最内環状端18で終っている。カラー16と筒10との間の相互結合リブ及び溝20はカラー16を筒10に装着する役をする。筒状プランジャー22は流入口12に対して往復運動可能なようにカラー16を通り筒10の中に伸長している。」(第2欄第28行?第3欄第1行)、「カラー16にはまた筒10の外側でプランジャー22を取巻く連続的なウエブ64が設けられ、該ウエブ64には環状縁68で終わる円筒形のスカート66が一体になっている。スカート66は筒10を取り巻き該筒10に対して同心的に間隔をおいている。」(第4欄第27?32行)との記載があり、また、Fig.1及びFig.3には、前記ウエブ64の天面が内径側から外径側に向かって下方に傾斜する傾斜面として形成され、ウエブ64の天面の筒状プランジャー22が通る開口部周縁には、環状の突堤が立設されていることが示されているものと認めらる。
したがって、引用例2には、
“ハンドポンプにおいて、ポンプ本体を構成する筒10の上端部を閉塞しかつ前記筒状プランジャー22が往復移動自在に挿通されるガイド穴を有するカラー16を設け、前記カラー16は、筒10の上端開口部内周に嵌着される相互結合リブ又は溝20を有する栓体部と、該栓体部の上端から半径方向外方に張り出すウエブ64とを備え、該ウエブ64の上面によって構成されるカラー16の天面のガイド穴開口部周縁に環状の突堤を立設すると共に、前記カラー16の天面は内径側から外径側に向かって下方に傾斜する傾斜面となっている点”
が記載されているものと認める。
3.対比・判断
本件考案と上記引用例1に記載されたものとを対比すると、
引用例1に記載されたものの、容器29、フランジ、シリンダ12、ピストン14、ピストン14の上部、貫通孔33、ノズル35、ヘッド36、有底孔32を囲む内筒、環状体28が、それぞれ本件考案の「容器」、「フランジ部」、「シリンダ状のポンプ本体」、「ピストン」、「ステム」、「ガイド穴」、「ノズル部」、「ノズルヘッド部」、「栓体部」、「突堤」に対応し、引用例1に記載されたもののキャップ24は、キャップの機能とガイドの機能を併せもつものであるから、キャップ機能部材又はガイド機能部材と称することができ、本件考案の「キャップ」及び「ガイド部材」に対応するので、
両者は、
容器内部に挿入されると共に上端に容器口頚部上端面に係合するフランジ部を有するシリンダ状のポンプ本体と、容器口頚部外周にねじ込み固定されポンプ容器の口頚部上端に係合するフランジ部を締め付け固定するキャップ機能部材と、前記ポンプ本体内に往復移動自在に挿入されるピストンと、該ピストンから上方に延びるステムと、前記ポンプ本体の上端部を閉塞しかつ前記ステムが往復移動自在に挿通されるガイド穴を有するガイド機能部材と、前記ステム上端に接続されるノズル部を備えたノズルヘッド部と、を備え、該ノズルヘッド部のステム上端と接続されるノズル頚部と前記ガイド機能部材に互いに結合する手段が設けられたポンプにおいて、前記ガイド機能部材はポンプ本体の上端開口部内周に嵌着される栓体部と、ガイド機能部材の天面のガイド穴開口部周縁に環状の突堤をほぼ垂直に立設したポンプ、
である点において一致し、
▲1▼本件考案は、キャップ機能部材とガイド機能部材とが、キャップとガイド部材として別の部材として構成されているのに対して、引用例1に記載されたものは、キャップ機能部材とガイド機能部材とが一体のキャップとして構成されている点(以下「相違点1」という。)、
▲2▼ノズル頚部とガイド部材に設けられる互いに結合する手段が、本件考案は、ノズル頚部と前記ガイド部材のガイド穴内周の互いに螺合するねじ部であるのに対して、引用例1に記載されたものは、ノズル頚部に形成された有底筒体42の係合突起44と、ガイド機能部材であるキャップ24の天面に立設された環状体28の外周の突出部30である点(以下「相違点2」という。)、
▲3▼本件考案は、ガイド部材が、栓体部の上端から半径方向外方に張り出すフランジ部を備え、該フランジ部の上面によってガイド部材の天面を構成し、該天面には内径側から外径側に向かって下方に傾斜する傾斜面を設けたものであるのに対して、上記引用例1に記載されたものは、ガイド機能部材であるキャップ24が、栓体部(引用例1に記載されたものの内筒)の上端から半径方向外方に形成されたほぼ水平な環状部を備え、半径方向外方に張り出すフランジ部を備えていない点(以下「相違点3」という。)、
▲4▼本件考案は、ガイド穴開口部周縁に立設された環状の突堤が防水用であるのに対して、引用例1に記載されたものは、環状体28が防水用と記載されたものでない点(以下「相違点4」という。)、で相違する。
次に、上記各相違点について検討する。
(1)相違点1について
本件考案と同じ技術分野に属するポンプにおいて、ポンプ本体を容器に係合するキャップ機能部材と、ポンプ本体の上端部を閉鎖してピストンから上方に延びるステムを案内するガイド機能部材とを別の部材とすることは、本件実用新案登録出願前に周知の事項と認められる(実願昭57-118152号(実開昭59-115459号)のマイクロフィルム、実願昭62-86950号(実開昭63-197665号)のマイクロフィルム等参照)から、キャップ機能部材とガイド機能部材とを、それぞれ別の部材として、キャップ及びガイド部材とすることは、上記周知の事項に基づいて当業者がきわめて容易に想到し得ることである。
(2)相違点2について
本件考案と同じ技術分野に属するポンプにおいて、ノズル頚部とガイド部材とを互いに結合する手段を、ノズル頚部とガイド部材のガイド穴内周の互いに螺合するねじ部とすることは、本件実用新案登録出願前に周知の事項と認められる(実願昭57-118152号(実開昭59-115459号)のマイクロフィルム、実願昭62-86950号(実開昭63-197665号)のマイクロフィルム等参照)から、ノズル頚部と前記ガイド部材のガイド穴内周に互いに螺合するねじ部を設けたことは、上記周知の事項に基づいて当業者がきわめて容易に想到し得ることである。
(3)相違点3について
前記引用例2に記載されたものを検討すると、前記引用例2に記載されたものの、筒10、プランジャー22、カラー16、ウエブ64が、それぞれ本件考案の「ポンプ本体」、「ステム」、「ガイド部材」、「フランジ部」に対応するから、引用例2には、本件考案と同じ技術分野に属するポンプにおいて、ポンプ本体の上端部を閉塞しかつステムが往復移動自在に挿通されるガイド穴を有するガイド部材を設け、該ガイド部材の栓体部の上端から半径方向外方に張り出すフランジ部を備え、該フランジ部の上面によって構成されるガイド部材の天面のガイド穴開口部周縁に環状の突堤を立設すると共に、前記ガイド部材の天面には内径側から外径側に向かって下方に傾斜する傾斜面を設けた点が記載されていると認められるから、上記引用例1に記載されたものにおいて、栓体部の上端から半径方向外方に形成されたほぼ水平な環状部に代えて、上記引用例2に記載されたガイド部材のように、栓体部の上端から半径方向外方に張り出すフランジ部を備え、該フランジ部の上面によって構成されるガイド部材の天面に内径側から外径側に向かって下方に傾斜する傾斜面を設けることは、引用例2に記載されたものに基づいて、当業者がきわめて容易に想到し得ることである。
(4)相違点4について
上記引用例1に記載されたものにおいて、環状体28の存在により、キャップ24の上面に降りかかった水は有底孔32内へ浸入することを阻止されるので、この環状体28は防水の機能を果たし得るから、この相違点4は、単に表現の相違にすぎず、実質上の相違点とは認められない。
そして、本件考案による作用効果は、上記引用例1、2にそれぞれ記載されたもの及び上記周知の事項から予測し得る程度のものと認められる。
4.むすび
以上のとおりであるから、本件考案は、上記引用例1,2にそれぞれ記載されたものに基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-12-10 
結審通知日 2000-01-14 
審決日 2000-01-11 
出願番号 実願平5-7273 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (F04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中野 宏和千葉 成就村本 佳史澤井 智毅  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 山口 直
清水 信行
考案の名称 ポンプ  
代理人 世良 和信  
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