• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て   E06B
管理番号 1012739
異議申立番号 異議1997-73220  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-07-07 
確定日 2000-01-26 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2521782号「左右両開きスクリーン開閉装置」の請求項1ないし3に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2521782号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を取り消す。
理由 I.手続の経緯
本件実用新案登録第2521782号の考案についての出願は、平成4年10月19日に出願され、平成8年10月4日にその考案について実用新案の設定登録がなされ、その後、須田高子より実用新案登録異議の申立てがなされ、平成10年10月29日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年1月14日に訂正請求がなされ、さらに平成11年4月12日付けで訂正拒絶理由通知及び取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年7月12日に意見書の提出がなされたものである。
II.訂正の適否についての判断
(1)訂正明細書に記載の本件考案
平成11年1月14日の訂正請求による訂正明細書に記載の本件考案は、その実用新案登録請求の範囲に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】スクリーン枠の左右側辺を構成する収納ケース内に、多数のプリーツを施して折曲することによりアコーディオン式に伸縮自在となしたスクリーンの基端をそれぞれ固定すると共に、該スクリーンの先端に開閉操作用の可動框を取り付け、これらの可動框をスクリーン枠に沿って左右摺動自在とした左右両開きスクリーン開閉装置において、それぞれの可動框に、それらの可動框の姿勢を拘束する平行移動機構を付設すると共に、両可動框に、収納ケース上の転向子に巻き掛けた張紐でそれらを連結して左右のスクリーンの開閉を連動させる連動機構を付設し、一方の収納ケースにその連動機構を操作する操作子を設けた、ことを特徴とする左右両開きスクリーン開閉装置。
【請求項2】スクリーンの先端に取り付けた可動框に複数の張紐の一端を固定し、それらの張紐を、収納ケースに設けた転向子に巻き掛けた後、上下枠のいずれかの枠内を通して可動框の移動方向の反対側に導いたうえで、その他端を上記可動框の他の部位に固定し、これによって可動框の姿勢を拘束する平行移動機構を構成させたことを特徴とする請求項1に記載の左右両開きスクリーン開閉装置。」
(2)引用刊行物記載の考案
当審の平成11年4月12日付け訂正拒絶理由通知で通知した、実願昭57-15449号(実開昭58-118194号公報)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)、特開平1-62586号公報(以下、「刊行物2」という。)、米国特許第4733711号明細書(以下、「刊行物3」という。)及び米国特許第4202395号明細書(以下、「刊行物4」という。)には、それぞれ次のとおりの事項が記載されている。
▲1▼刊行物1
「本考案は、・・・上下あるいは左右の中開き型のブラインドにおいて、1つの移動枠を平行移動させることによってブラインドを開閉させ且つ任意の位置に固定できるようにしたブラインドを提供しようとするものである。」(第4頁第9?16行)
「以下、本考案を横型ブラインドに適用した実施例について、図面を参照して説明するが、本考案は縦型ブラインドにも同様に適用できるものである。図面において、1および2は間隔を隔てて平行に配置された第1および第2の固定枠、3および4はこれらの固定枠の間にこれと平行に配置されて平行移動する第1および第2の移動枠を示し、AおよびBは、第1の固定枠と第1の移動枠、および、第2の固定枠と移動枠の間にそれぞれ配置された第1および第2のブラインド本体を示す。図示の例は、横型ブラインドに適用した実施例を示すものであるので、以下、第1および第2の固定枠を、それぞれ上下の水平固定枠、第1および第2の移動枠をそれぞれ上下の水平移動枠と称する。なお、ブラインド本体A,Bとしては、蛇腹型に折り畳んだ布を使用して、これを伸縮させることによって開閉する型式のブラインドを使用できるが、・・・また、前記のように、縦型ブラインドに応用することもできる。本考案ブラインドにおいては、第1の上部水平移動枠3にスプリング5を介して端部を止着6した第1の支持コード7を該移動枠3内で水平方向に適宜の距離のばしたうえ垂直方向に上昇させ、ブラインド本体Aを通って、第1の上部固定枠1に通し、該固定枠内で水平方向にのばし該固定枠1の外に導出し、これを上記と逆方向に垂直方向にのばしたうえ第2の下部移動枠4に止着8し、他方、スプリング9を介して、第2の下部移動枠4の端部に止着8した第2の支持コード10を該移動枠4内で水平方向に適宜の距離のばしたうえ、垂直方向に下降させ、ブラインド本体Bを通って第2の下部固定枠2に通し、該固定枠2内で水平方向にのばし、該固定枠2の外に導出し、これを上記と逆方向に垂直方向にのばしたうえ、第1の上記移動枠3の端部に止着6することによって移動枠支持機構を構成し、このような移動枠支持機構をブラインド本体A,Bの左右に間隔を隔てた位置に少くとも2つ設け、移動枠3および4のどちらか一方を操作することによって、他方を相対的に移動させ、かつ所望の位置に該移動枠を固定できるように構成される。」(明細書第6頁第5行?第8頁第13行)
▲2▼刊行物2
「従来、・・・サッシの竪框内に昇降コードを張設し、その昇降コードに連結した操作つまみを竪框外へ露出し、その操作つまみを操作してスラットを昇降するようにしたものが実用されている。・・・ところが、上記のようなスラット昇降装置では操作つまみの操作ストロークをスラットの昇降ストロークに見合った大きさとする必要がある」(第1頁右下欄第5?14行)
「この発明は・・・サッシの竪框内に無端状の昇降コードを張設し、その昇降コードを操作してスラットを昇降するブラインドにおいて、前記竪框2に操作孔20を設け、その操作孔20に操作ボックス21を上下に移動操作可能に支持し、その操作ボックス21に昇降コード12を挿通し、操作ボックス21内には同操作ボックスに対する昇降コード12の移動を阻止する係合手段24a、24b、27a、27bと、その昇降コード12のいずれか一方への移動に対し前記係合手段の作動を選択して解除する選択解除手段30,32a、32bとを備えた構成としている。・・・上記手段により、操作孔20内で操作ボックス21を上下に往復動させれば選択解除手段30,32a、32bによる選択に基いてスラット6が上昇あるいは下降される。」(第2頁左上欄第1?18行)
「一方の竪框2内の上下両端部にはプーリ11が回転可能に支持され、そのプーリ11間には無端状の昇降コード12が掛装されている。その昇降コード12には前記ヘッドボックス4の一端が接続され、同昇降コード12をプーリ11間で移動させることによりヘッドボックス4を昇降可能となっている。」(第2頁左下欄第6?12行)
▲3▼刊行物3
「第8図は2つの折り畳みブラインドがお互いに対して自由に移動する第1実施例の斜視図である。第9図は第1図に対応した折り畳みブラインドの前から見た図であって、中間ビームがコードシステムによって連動することを示す図である。」(第2欄第34?39行)
「第8図、第9図において、対応部品は同じ参照番号で表してある。この発明のブラインドは、窓やオープニングの構造体に対して公知の方法で固定される上ビーム41と下ビーム42とから成る。固定は例えばネジのような任意の方法でなされる。
移動中間ビームは、この発明では第1の中間ビーム43と第2の中間ビーム44とに分かれていて、プリーツ材45がビーム41と43間に、また同様にビーム42と44の間に配設されている。
移動ビーム43,44は固定ビーム41,42に対してコード(紐)ガイドシステム46,47により案内され、コード46,47は想像上の鏡面に関して対象的に通される。両コードの両端は、コードを張設された状態にするために張設スプリング48に固定されている。コード46と47は下端で結合され、その為に1つのコードでも実際は十分であるか又は2つのコードが結ばれるか又は下ビーム42に固定される。
この発明の特徴としては、2つのビーム43と44は、例えばマグネットファスナー51で結合することができる。その為に、2つのビーム43と44が結合すると窓全体が2つのプリーツ体45で覆われる。
お互いのビームを離すことにより、開口の上下部分の全部又は一部が覆われる。プリーツ体45は、長さにより1つのプリーツ体で窓全体を覆うようにすることも可能である。そうすることによって、ビーム43と44の上下の移動により窓開口は1つの柄や色のプリーツ体で覆われる。
もしプリーツ体45が互いに違った柄や色であれば、特におもしろく、昼ブラインドと夜ブラインドとして用いることも可能である。
第9図の実施例は第1図の実施例とは別のものであり、第8図の通常のコードシステム46,47に加えて別のコードシステム49,50が取り付けられている。そして、そのコードはプリーツ体とビームの中で適当な開口を通される。コード49,50はA部でビーム43に、B部でビーム44に固定され、固定ビーム41と42を通してビーム44が上昇するとビーム43が自動的に下降するように回される。明らかにビーム43が上下方向に操作されると、ビーム44はそれに伴い下上方向に移動する。
上記において、ブラインドは垂直に配置された窓開口に適用される。」(第4欄第53行?第5欄第30行)
▲4▼刊行物4
「何点かの図面で示されるように、このシェード構造10は一対の上下シェードバー20,22と折り畳まれ垂直に拡げられるシェード体24とシェードバーに用いられる平行四辺形コード(紐)システム26とをそれぞれ含む。」(第2欄第36?40行)
「好ましくは1本の単一長さのコードである平行四辺形のコードシステム26は、ガイド部材12の最下端部もしくはそれに近接して取り付けられたピン又は留め具66に強固に固定された基端部、そこから溝12内を通って上方に延び、シェードバー22の左端で溝付きローラ40の4分の1円上を廻っている第1のコード部分68、シェードバー22に沿って長さ方向に延びシェードバーの右端38で溝付きローラ39の4分の1円の下側を廻っている第2のコード部分70から成る。コードシステムは、溝14の範囲内で上方に延び、上方シェードバー20の右端38の溝付きローラ40の4分の1円の上方部を廻る第3のコード部分72、そこからシェードバー20に沿って長さ方向に延び、上方シェードバー20の左端において溝付きローラ39の下側の4分の1円を廻る第4のコード部分が続いている。そこから、コードシステムは、溝部材12の上端部又はフレーム16に固定されたピン又はピボット78へ延びる第5のコード部分76、さらにそこから溝ガイド部材の中間のフレーム16に固定されコードが結着されているピン又は固定具82に延びる第6コード部分80として続いている。この点で又はピボット78もしくは83にコードを結ぶことで、コードシステムはシェードバー20,22が巻き上げられるにつれての動きに対して実質的に動かない。このようなコードの結着は、コードシステムをシェードバーのローラに対してピンと張った状態に維持するのにも役立つ。
その後、コードシステム26は、第7のコード部分84としてピボット83から下方に溝14内を進み、上方シェードバー20の右端38でローラ39の下側4分の1円の下側を廻り、第8のコード部分86してシェードバーに沿って長さ方向に第4のコード部分74と交差して延び、上方シェードバーの左端38で溝付きローラ40の4分の1円の上側を廻っている。そこから、第9のコード部分88は溝12内を下方に延び下方シェードバー22の左端38でローラ39の下側4分の1円の下側を廻り、第10のコード部分90は下方シェードバーに沿って第2のコード部分70と交差して延び、下方シェードバー22の右端38で溝付きローラ40の上側4分の1円を廻る。最後に、第11のコード部分92は溝14内を下方に、コード末端部96が結び固定される溝下端部の固定ピン94又は他の適切な固定具に向かって延びる。」(第3欄第55行?第4欄第34行)
(3)対比・判断
以下、上記訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「訂正第1考案」という。)、及び請求項2に係る考案(以下、「訂正第2考案」という。)と上記引用刊行物に記載の考案とを比較・検討する。
1)まず、訂正第1考案について。
訂正第1考案と刊行物1記載の考案とを比較する。
刊行物1には、ブラインド枠(スクリーン枠)を形成するとの明確な記載はないが、左右両開きの構造とした場合には、当然にブラインド枠を形成するものである。さらに、刊行物1には、上記したように、「左右の中開き型のブラインドにおいて、1つの移動枠を平行移動させることによってブラインドを開閉させ、」および「移動枠支持機構をブラインド本体A,Bの左右に間隔を隔てた位置に少くとも2つ設け、移動枠3および4のどちらか一方を操作することによって、他方を相対的に移動させ、」との記載がみられることから、移動枠3および4を連動して相対的に平行移動させ得ることが把握できる。
してみると、両者は、
「スクリーン枠の左右側辺に、多数のプリーツ(刊行物1の蛇腹に相当。以下、括弧内の記載は刊行物1のものを指す。)を施して折曲することによりアコーディオン式に伸縮自在となしたスクリーン(ブラインド)の基端をそれぞれ固定すると共に、該スクリーン(ブラインド)の先端に開閉操作用の可動框(移動枠)を取り付け、これらの可動框(移動枠)をスクリーン枠に沿って左右摺動自在とした左右両開きスクリーン(ブラインド)開閉装置において、それぞれの可動框(移動枠)に、それらの可動框(移動枠)の姿勢を拘束する平行移動機構を付設すると共に、両可動框(移動枠)に、左右側辺上の転向子に巻き掛けた張紐でそれらを連結して左右のスクリーンの開閉を連動させる連動機構を付設したことを特徴とする左右両開きスクリーン(ブラインド)開閉装置。」で一致するが、次の点で相違する。
相違点1:スクリーン枠の左右側辺が、訂正第1考案では、収納ケースからなるのに対して、刊行物1のものでは、その点について記載がない点。
相違点2:訂正第1考案では、一方の収納ケースにその連動機構を操作する操作子を設けたのに対して、刊行物1のものでは、連動機構を操作する操作子について記載がない点。
上記相違点について検討する。
まず、相違点1について。
ブラインド装置において、折り畳んだブラインドを収納する収納ケースを、ブラインドの折り畳み部位に設けることは周知であり(例えば、特公昭51-40745号公報、特開平4-120393号公報等参照)、左右両開き型の構造とした場合には、当然に左右両端にスクリーン等の収容部を設けるものである。
次に、相違点2について。
左右両開きを連動して行うためには、当然に左右のスクリーン等の連動機構が必要となる。その際、可動框を直接操作しない場合には、可動框を移動させるのに連動機構それ自体を操作するようにするか、連動機構に関連付けた部材を操作するようにするかは、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項である。
左右両開き型のスクリーン等において、一方の竪框近傍で、これら2つのスクリーン等を連動させて開閉することは従来より周知の事項(例えば、実公昭14-770号公報、実公昭43-17374号公報等参照)である。
そして、刊行物2には、ブラインド装置において、竪框に設けられてヘッドボックスに接続され、該ヘッドボックスの昇降運動と連動する昇降コード12を操作する操作ボックス21を設け、ヘッドボックス(可動框)を移動させる点が記載されている。
ところで、本件実用新案登録掲載公報の段落【0017】には、「収納ケース13bには、その内部を可動框18a、18bの開閉操作に伴って上下方向に走行する張紐36に操作子47を設けている。この操作子47は、張紐36に連結され、収納ケース13bに設けたスリット48によりガイドされて摺動するものである。・・・この操作子ばかりでなく、張紐を移動させるための各種手段を採用することができる。さらに、図3の例では、平行移動機構を構成する張紐を利用する場合について示しているが、これらの張紐を利用することなく、可動框18aまたは18bに直接的に操作紐を連結し、それを転向子等を介して外部に導出することもできる。」と記載されている。
してみると、左右両開き型のスクリーン開閉装置において、本件訂正第1考案の如く、スクリーン枠の左右側辺を構成する一方の収納ケースに2つのスクリーンを左右に連動させて開閉させるべく連動機構に操作子を設けることは、取付け容易性、操作性、美観等を勘案すれば、刊行物2及び周知の事項に基づいて、当業者がきわめて容易に想到し得たものである。
したがって、本件訂正第1考案は、刊行物1,2に記載された考案及び周知事項に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
次に、訂正第2考案について。
訂正第2考案は訂正第1考案において、平行移動機構の構成を特定しようとするものであるが、刊行物3には、「窓やオープニングの構造体の上下端に端部を固定し他端部を移動ビームとして二分割されたプリーツ材45を両開きの構造とし、それぞれをコードガイドシステムにより連動して平行移動するようにした点」、及び「コードシステム26の第1コード部分から第6コード部分は、第1コード部分の基端部がガイド部材12の下端部に固定され、コードはシェードバー22内を通り、その他端をフレーム16の上部に固定する点、および第7コード部分から第11コード部分は、第7コード部分の基端部がフレーム16の上部に固定され、ガイド部材12の下端部に固定され、コードはシェードバー22内を通り、その他端をフレーム16の上部に固定する点」が記載されている。
刊行物4には、「平行移動させるシェード構造に用いられるコードシステムを、フレームに固定されたピボットを介してシェード構造を支持するフレームおよびガイド部材内を通して案内する点」が、記載されている。
してみると、本件訂正第2考案は、刊行物1,2,3、4に記載された考案及び周知事項に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
(4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正前同法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
III.実用新案登録異議申立てについての判断
(1)本件考案
実用新案登録公報の明細書に記載の本件考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】スクリーン枠の左右側辺を構成する収納ケース内に、多数のプリーツを施して折曲することによりアコーディオン式に伸縮自在となしたスクリーンの基端をそれぞれ固定すると共に、該スクリーンの先端に開閉操作用の可動框を取り付け、これらの可動框をスクリーン枠に沿って左右摺動自在とした左右両開きスクリーン開閉装置において、それぞれの可動框に、それらの可動框の姿勢を拘束する平行移動機構を付設すると共に、両可動框に、収納ケース上の転向子に巻き掛けた張紐でそれらを連結して左右のスクリーンの開閉を連動させる連動機構を付設した、ことを特徴とする左右両開きスクリーン開閉装置。
【請求項2】スクリーンの先端に取り付けた可動框に複数の張紐の一端を固定し、それらの張紐を、収納ケースに設けた転向子に巻き掛けた後、上下枠のいずれかの枠内を通して可動框の移動方向の反対側に導いたうえで、その他端を上記可動框の他の部位に固定し、これによって可動框の姿勢を拘束する平行移動機構を構成させたことを特徴とする請求項1に記載の左右両開きスクリーン開閉装置。
【請求項3】収納ケースの上下部にそれぞれ張紐の一端を固定し、それらの張紐をスクリーンの先端に取り付けた可動框上の転向子に巻き掛けて、その可動框内を上下反対側に導いたうえで、その他端を他方の収納ケースに固定し、これによって可動框の姿勢を拘束する平行移動機構を構成させたことを特徴とする請求項1に記載の左右両開きスクリーン開閉装置。」
(2)引用刊行物記載の考案
平成11年4月12日付けで通知した取消理由通知で引用した、実願昭57-15449号(実開昭58-118194号公報)のマイクロフィルム(上記II.訂正の適否において示した、刊行物1)、米国特許第4733711号明細書(同、刊行物3)及び米国特許第4202395号明細書(同、刊行物4)の記載事項は、それぞれ、上記II.訂正の適否において示した、刊行物1、刊行物3、刊行物4の記載事項と同様である。
(3)対比・判断
以下、上記本件の実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に係る考案と上記刊行物に記載の考案とを比較・検討する。
1)請求項1に係る考案について。
請求項1に係る考案と刊行物1記載の考案とを比較する。
刊行物1には、ブラインド枠(スクリーン枠)を形成するとの明確な記載はないが、左右両開きの構造とした場合には、当然にブラインド枠を形成するものである。さらに、刊行物1には、上記したように、「左右の中開き型のブラインドにおいて、1つの移動枠を平行移動させることによってブラインドを開閉させ、」および「移動枠支持機構をブラインド本体A,Bの左右に間隔を隔てた位置に少くとも2つ設け、移動枠3および4のどちらか一方を操作することによって、他方を相対的に移動させ、」との記載がみられることから、移動枠3および4を連動して相対的に平行移動させ得ることが把握できる。
してみると、両者は、
「スクリーン枠の左右側辺に、多数のプリーツ(刊行物1の蛇腹に相当。以下、括弧内の記載は刊行物1のものを指す。)を施して折曲することによりアコーディオン式に伸縮自在となしたスクリーン(ブラインド)の基端をそれぞれ固定すると共に、該スクリーン(ブラインド)の先端に開閉操作用の可動框(移動枠)を取り付け、これらの可動框(移動枠)をスクリーン枠に沿って左右摺動自在とした左右両開きスクリーン(ブラインド)開閉装置において、それぞれの可動框(移動枠)に、それらの可動框(移動枠)の姿勢を拘束する平行移動機構を付設すると共に、両可動框(移動枠)に、左右側辺上の転向子に巻き掛けた張紐でそれらを連結して左右のスクリーンの開閉を連動させる連動機構を付設したことを特徴とする左右両開きスクリーン(ブラインド)開閉装置。」で一致するが、次の点で相違する。
相違点:スクリーン枠の左右側辺が、請求項1に係る考案では、収納ケースからなるのに対して、刊行物1のものでは、その点について記載がない点。
上記相違点について検討する。
ブラインド装置において、折り畳んだブラインドを収納する収納ケースを、ブラインドの折り畳み部位に設けることは周知であり(例えば、特公昭51-40745号公報、特開平4-120393号公報等参照)、左右両開き型の構造とした場合には、当然に左右両端にスクリーン等の収容部を設けるものである。
したがって、請求項1に係る考案は、刊行物1に記載された考案及び周知の事項に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
2)請求項2に係る考案について。
請求項2に係る考案は請求項1に係る考案において、平行移動機構の構成を特定しようとするものであるが、刊行物3には、「窓やオープニングの構浩体の上下端に端部を固定し他端部を移動ビームとして二分割されたプリーツ材45を両開きの構造とし、それぞれをコードガイドシステムにより連動して平行移動するようにした点」、及び「コードシステム26の第1コード部分から第6コード部分は、第1コード部分の基端部がガイド部材12の下端部に固定され、コードはシェードバー22内を通り、その他端をフレーム16の上部に固定する点、および第7コード部分から第11コード部分は、第7コード部分の基端部がフレーム16の上部に固定され、ガイド部材12の下端部に固定され、コードはシェードバー22内を通り、その他端をフレーム16の上部に固定する点」が記載されている。
刊行物4には、「平行移動させるシェード構造に用いられるコードシステムを、フレームに固定されたピボットを介してシェード構造を支持するフレームおよびガイド部材内を通して案内する点」が、記載されている。
してみると、請求項2に係る考案は、刊行物1、3、4に記載された考案及び周知の事項に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
3)請求項3に係る考案について。
請求項3に係る考案は請求項1に係る考案において、平行移動機構の構成を特定しようとするものであるが、刊行物4には、上記請求項2の検討に際して指摘した点に加えて、「シェードバー20とシェードバー22を平行移動させるためのコードシステム26は、その第1コード部分から第6コード部分までは、コードの基端部がガイド部材12の下端部に固定され、シェードバー22内をその両端部に設けられたローラを介して通り、その他端部はフレーム16の上部に固定される点、および第7コード部分から第11コード部分までは、コードの基端部がフレーム16の上部に固定され、シェードバー20内をその両端部に設けられたローラを介して通り、ガイド部材14の下端部に固定される点」が記載されている。
してみると、請求項3に係る考案は、刊行物1、4に記載された考案及び周知の事項に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
(3)むすび
以上の通り、請求項1に係る考案は、刊行物1記載の考案及び周知技術に基づき、又、請求項2に係る考案は、刊行物1、3及び4記載の考案並びに周知技術に基づき、又、請求項3に係る考案は、刊行物1、4記載の考案並びに周知技術に基づき、それぞれ当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、いずれの考案も、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである。したがって、請求項1?3に係る考案についての実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案出願に対してなされたものである。
よって、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-11-18 
出願番号 実願平4-78891 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (E06B)
最終処分 取消    
前審関与審査官 山田 忠夫  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 番場 得造
伊波 猛
登録日 1996-10-04 
登録番号 実用登録第2521782号(U2521782) 
権利者 セイキ販売株式会社
東京都練馬区豊玉南3丁目21番16号
考案の名称 左右両開きスクリーン開閉装置  
代理人 内山 正雄  
代理人 林 宏  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ