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審決分類 審判 全部申し立て   A61B
管理番号 1012745
異議申立番号 異議1999-72708  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-12 
確定日 2000-03-03 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2588484号「無影灯」の請求項1ないし2に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2588484号の請求項1に係る実用新案登録を取り消す。 同請求項2に係る実用新案登録を維持する。
理由 (1)請求項1及び2に係る考案
実用新案登録第2588484号(平成4年6月10日出願、平成10年10月30日設定登録。)の請求項1及び2に係る考案は、それぞれ、実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】 ランプの後方に反射ミラーを有し、該反射ミラーにて前記ランプからの光を反射してランプの前方に投射するようにするとともに、前記ランプの前方に遮光板又は反射板を有し、該遮光板又は反射板にて前記ランプから該ランプの前方に放出された光を遮光又は反射するようにした無影灯において、前記ランプの頭部を遮光部材にてカバーしたことを特徴とする無影灯。
【請求項2】 ランプの後方に反射ミラーを有し、該反射ミラーにて前記ランプからの光を反射してランプの前方に投射するようにするとともに、前記ランプの前方に遮光板又は反射板を有し、該遮光板又は反射板にて前記ランプから該ランプの前方に放出された光を遮光又は反射するようにした無影灯において、前記遮光板又は反射板の上端部を折り返して前記ランプの頭部を覆うようにしたことを特徴とする無影灯。」
(2)申立理由の概要
申立人株式会社モリタ製作所は、証拠として甲第1号証(実公昭39-19480号公報)及び甲第2号証(実願昭48-120191号(実開昭50-64473号)のマイクロフィルム)を提出し、請求項1、2に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、実用新案登録を取り消すべき旨主張している。
(3)請求項1に係る考案について
これに対し、当審が通知した取消理由において引用した刊行物である実公昭39-19480号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、「ランプのフイラメントと球面鏡との間にあってかつ、前記フイラメントから直接前記球面鏡に向う光の進路から外れた位置に遮光物を配置してなる歯科用無影灯。」(実用新案登録請求の範囲)、「このような無影灯においては、患者の口腔以外に光は何ら照射しないようになっているのであるが、実際には、フイラメントから出た光の一部がランプ2の管壁で反射し、これが鏡1に向かうことがあり、これがため、点線Bで示すように、焦点がずれた光が患者に向かうことがあって、場合によっては患者の眼に入射するため患者を眩惑する欠点があった。」(第1頁左欄下から第3行?同頁右欄第5行)、「図の構成はランプ2の管壁表面に遮光塗料5を塗布してなり、これによると、点線Bで示すように進む光はこの塗料5によって遮えぎられ鏡1に投射されない。」(第1頁右欄第11行?第14行)、「なおランプ2管壁の上部で反射した光も、鏡1で反射されたのち患者の位置する側に向かうが、このような反射光は口腔の下方で焦点を結び、患者の眼には入らないので、この光を遮えぎるための遮光物は特別必要以外は設けることを要しない。(第1頁右欄第15行?第19行)、「本考案によれば、患者の口腔を照射する以外の光で、患者を眩惑するような光を遮えぎることができ、したがって治療時、患者に不快な感じを与えることがなくなるといった効果を奏する。」(第1頁右欄第20行?第24行)と、それぞれ記載され、また、第1図には、ランプ2の管壁表面に遮光物を配置した歯科用無影灯が示されている。
請求項1に係る考案と引用刊行物記載の考案を対比すると、引用刊行物記載の考案における「球面鏡」が請求項1に係る考案における「反射ミラー」に相当し、以下同様に、「歯科用無影灯」が「無影灯」に、「遮光物を配置」が「遮光部材にてカバー」にそれぞれ相当している。
従って、両者は、
「ランプの後方に反射ミラーを有し、該反射ミラーにて前記ランプからの光を反射してランプの前方に投射するようにするとともに、前記ランプの前方に遮光板を有し、該遮光板にて前記ランプから該ランプの前方に放出された光を遮光又は反射するようにした無影灯において、前記ランプの一部を遮光部材にてカバーしたことを特徴とする無影灯。」において一致し、
遮光部材にてカバーしたランプの一部が、請求項1に係る考案は、ランプの頭部であるのに対し、引用刊行物記載の考案は、ランプの管壁表面である点で相違する。
しかしながら、引用刊行物に記載のものにおいて、遮光部材(遮光物)を配置する箇所は、フイラメントから直接球面鏡に向う光の進路から外れた位置という条件内で任意に選定しうるものであり、かつ、フイラメントはランプの管壁の上方端までは達していない(第一図参照)ことからランプの管壁の上方、特にランプの頭部が上記条件内に位置することは明らかであり、しかも、遮光部材(遮光物)をランプの管壁の上方で反射した光を遮るために設けうることが示唆されているのであるから、ランプの管壁の上方、即ち、ランプの頭部を遮光するようにすることは当業者が技術的困難性を伴うことなく適宜なし得る程度のことにすぎない。
したがって、本件請求項1に係る考案は引用刊行物に記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、本件請求項1に係る考案の登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである。
(4)請求項2に係る考案について
申立人の提出した甲第2号証(実願昭48-120191号(実開昭50-64473号)のマイクロフィルム)には、
「光源電球と、この光源電球の後方に設けた凹面反射鏡とからなる歯科用の投光器において、上記電球の外側に、上記反射鏡と対向し且つ上記電球の光源中心と対向する位置に横辺が水平な光透過部を有する遮光体を、少なくとも上記光透過部を上記光源電球と離間させて設置したことを特徴とする歯科用投光器。」(実用新案登録請求の範囲)、「この考案は・・・光源部において光束を規制し、口腔部横長形状の照射形状を形成することができ、患部を非常に見やすい状態として治療することができるので、歯科用の投光器として極めて実用価値が高い。」(明細書第6頁第6?11行)とそれぞれ記載されている。
請求項2に係る考案と上記引用刊行物及び甲第2号証に記載の考案とを比較すると、上記引用刊行物及び甲第2号証には、請求項2に記載された「遮光板又は反射板の上端部を折り返してランプの頭部を覆うようにした」構成が開示されていないことから、請求項2に係る考案は、当該引用刊行物及び甲第2号証に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。
(5)むすび
以上のとおり、請求項1に係る考案は、引用刊行物に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項1に係る考案の登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、請求項1に係る考案の登録は、平成6年法律第116号附則第9条第2項によって準用する特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、請求項2に係る考案の登録については、他に取消理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-12-20 
出願番号 実願平4-46758 
審決分類 U 1 651・ 121- ZC (A61B)
最終処分 一部取消    
前審関与審査官 小川 慶子  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 藤本 信男
長崎 洋一
登録日 1998-10-30 
登録番号 実用登録第2588484号(U2588484) 
権利者 株式会社長田中央研究所
東京都品川区西五反田五丁目20番16号
考案の名称 無影灯  
代理人 中井 宏行  
代理人 高野 明近  

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