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審決分類 |
審判 補正却下の決定 F01N 審判 補正却下の決定 F01N |
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管理番号 | 1012746 |
審判番号 | 審判1998-15243 |
総通号数 | 10 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-10-27 |
種別 | 補正却下の決定 |
確定日 | 2000-02-16 |
事件の表示 | 平成4年実用新案登録願第65652号「マニホールド触媒コンバータ」拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 平成11年10月4日付けの手続補正を却下する。 |
理由 |
1.平成11年10月4日付け手続補正は、実用新案登録請求の範囲の記載を、 「【請求項1】シリンダヘッド(2)の各排気ポート(3)に対応してそれぞれ連通する複数の取付孔(5A)を設けたフランジ(5)と、このフランジ(5)の各取付孔(5A)に各一端(6A)が固着された1以上の鋼製のブランチ管(6)と、前記ブランチ管(6)の他端(6B)が固着され、触媒担体を収容する筒状容器(7)とを有してなるマニホールド触媒コンバータにおいて、前記ブランチ管(6)を、その一端開口部(8)で複数の排気ポート(3)を囲むとともにその他端側を1つの排気経路(9)で構成し、隣接する前記ブランチ管(6,6)の一端開口部(8,8)における内部を相互に連通させたことを特徴とするマニホールド触媒コンバー夕。」と補正するとともに、上記実用新案登録請求の範囲の補正に伴って明細書中の考案の詳細な説明、図面の簡単な説明、符号の説明及び図面を補正したものである。 そして、上記手続補正によれば、ブランチ管が「鋼製」である点を付加する補正事項を含むものであり(以下、補正事項Aという)、この点について検討する。 2.出願人は、平成11年10月4日付け意見書において、(1)従来における図6,図7においては、排気ポートと筒状容器とはブランチ管を介して接合されていること、及び図からブランチ管はフランジと別体に造られて、真っ直ぐな素材であるパイプを折り曲げた単純な形状になっており、凹凸部がないことを主な理由として、図6,図7のブランチ管は鋳造品ではなく、鋼製のパイプであり、本願実施例における図1,2においてもブランチ管は鋼製のパイプであることを窺い知ることができる、(2)刊行物1【実願昭56-85555号(実開昭57-198317号)のマイクロフイルム】、刊行物2【実願昭57-71586号(実開昭58-173719号)のマイクロフイルム】,刊行物3【特開昭57-210117号公報】の出願当時にはエキゾーストマニホールドは全て鋳造品である。これはエキゾーストマニホ一ルドが一体成形されたフランジを有し、隣接する排気管の間に共通壁、仕切壁を有し、しかも複雑な形状になっていることを主な理由とする、 (3)本願の出願日前に本出願人が鋼製排気管を出願したことを理由として、願書に最初に添付した図面の図6はブランチ管を鋼製のパイプで構成するという技術の実用化の流れの過程にあるもの、等の主張をしている。 3.しかしながら、願書に最初に添付した明細書の段落【0014】では、(本願実施例における図1,2の)各フランジの取付孔にそれぞれ各ブランチ管の一端が固着されていると記載されているにすぎず、願書に最初に添付した明細書及び図面には、補正事項Aについては記載されていない。 しかも、願書に最初に添付した図面の図2の縦断面図ではフランジ5と各ブランチ管6が特に別体であることを示す仕切線は記載されていない。 また、刊行物1、2にはエキゾーストマニホールド(刊行物1の排気管3、刊行物2の排気ポート2,3)がフランジを有しており、各刊行物の縦断面図でエキゾーストマニホールドとフランジが、本願実施例の図2と同じく、別体であることを示す仕切線が記載されていない。そして、刊行物1、2のエキゾーストマニホールド(刊行物1の排気管3、刊行物2の排気ポート2,3)は鋳造品とは各刊行物に記載されていない。 つまり、エキゾーストマニホールドとフランジが、仕切線がないから一体成形であり、それ故、鋳造品であるとは一概には認められない。 一方、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0020】及び図面の図3には、ブランチ管内に仕切壁10を形成することもできると記載されている。 してみれば、願書に最初に添付した明細書の「各フランジの取付孔にそれぞれ各ブランチ管の一端が固着されている」点及び図面の図1,2等に記載されている技術内容では、本願の出願日前に本出願人が鋼製排気管を出願したとしても、出願時において当業者が客観的に判断しても、補正事項Aが記載してあったことに相当するものとは認められない。 以上のことから、補正事項Aは、願書に最初に添付した明細書及び図面の記載からみて自明な事項とは認められない。 また、出願人は、平成11年10月4日付け意見書において、補正事項Aにより、隣接するブランチ管の間の仕切壁(共通壁)を不要にするという程度の重量軽減の場合.鋳造品のエキゾーストマニホールドでは、熱容量が大きいため顕著な熱損失防止の効果をもたらさないものの、本願考案における熱容量が小さい鋼製のパイプを用いたエキゾーストマニホールドでは、熱容量が小さいため顕著な熱損失防止の効果をもたらすことができると主張している。 しかしながら、願書に最初に添付した明細書及び図面の記載では、段落【0023】、【0024】において、「隣接するブランチ管の一端側の側面が共通化され、ブランチ管の全表面積を小さくすることができ、従って、ブランチ管における排気ガスの放熱面積を小さくし、排気ガスの温度低下を防止でき、コールドスタート時の排気ガスによる筒状容器内の触媒担体の昇温を速くし、浄化効率を向上させることができる」と記載されているだけで、補正事項Aによって、考案の構成に関する技術的事項は、願書に最初に添付された明細書及び図面に記載された事項の範囲内でないものとなり、この補正は明細書の要旨を変更するものと認める。 したがって、上記手続補正は、実用新案法第41条の規定によって準用する特許法159条第1項の規定でさらに準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって結論のとおり決定する。 |
決定日 | 1999-12-15 |
出願番号 | 実願平4-65652 |
審決分類 |
U
1
93・
11-
(F01N)
U 1 93・ 2- (F01N) |
前審関与審査官 | 高木 進 |
特許庁審判長 |
藤田 豊比古 |
特許庁審判官 |
清田 栄章 山口 直 |
考案の名称 | マニホールド触媒コンバータ |
代理人 | 古谷 史旺 |