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審決分類 審判 全部申し立て   B32B
審判 全部申し立て   B32B
審判 全部申し立て   B32B
管理番号 1012756
異議申立番号 異議1999-72709  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-13 
確定日 2000-03-01 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2588489号「導電性シート」の実用新案登録異議申立事件について、次のとおり決定する。    
結論 訂正を認める。実用新案登録第2588489号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2588489号の考案は、平成4年11月26日に出願され、平成10年10月30日に設定登録(請求項の数2)されたものであるが、実用新案登録異議の申立てに基いて実用新案登録の取消理由を通知したところ、明細書の訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否について
(1)請求された訂正の内容は、次の(a)?(k)からなるものである。
(a)実用新案登録請求の範囲請求項1における「体積抵抗が10^(8)?10^(11)Ωの値を有する有色帯電防止性熱可塑性合成樹脂シート」を「体積抵抗の値が10^(8)?10^(11)Ωを有する厚みが0.1?1mmの有色帯電防止性塩化ビニル系樹脂シート」と、「体積抵抗が10^(2)?10^(5)Ωの値を有する導電性熱可塑性合成樹脂シートを均等な中間層として積層し、」を「体積抵抗の値が10^(2)?10^(5)Ωを有する厚みが0.1?1mmの導電性塩化ビニル系樹脂シートを均等な厚さの中間層として積層し、」と、「体積抵抗が10^(5)?10^(8)Ωの値を有する導電性シート。」を「体積抵抗の値が10^(5)?10^(8)Ωを有する厚みが0.3?3mmの導電性シート。」と、それぞれ訂正する。
(b)同請求項2を削除する。
(c)考案の詳細な説明段落番号【0009】における「体積抵抗が10^(8)?10^(11)Ωの値を有する有色帯電防止性熱可塑性合成樹脂シート」を「体積抵抗の値が10^(8)?10^(11)Ωを有する厚みが0.1?1mmの有色帯電防止性塩化ビニル系樹脂シート」と、「体積抵抗が10^(2)?10^(5)Ωの値を有する導電性熱可塑性合成樹脂シートを均等な中間層として積層し、」を「体積抵抗の値が10^(2)?10^(5)Ωを有する厚みが0.1?1mmの導電性塩化ビニル系樹脂シートを均等な厚さの中間層として積層し、」と、「体積抵抗が10^(5)?10^(8)Ωの値を有する導電性シートであり、・・・特長とする。」を「体積抵抗の値が10^(5)?10^(8)Ωを有する厚みが0.3?3mmの導電性シートである。」と、それぞれ訂正する。
(d)同段落番号【0011】における「熱可塑性樹脂シート」(2カ所)を「塩化ビニル系樹脂シート」と訂正する。
(e)同段落番号【0012】における「着色帯電防止熱可塑性合成樹脂シートからなる表裏両面層は・・・等の塩化ビニル系樹脂、・・・からなるものであって、これら合成樹脂に対して体積抵抗が10^(8)?10^(11)Ωの値が得られるように」を「着色帯電防止性塩化ビニル系樹脂シートからなる表裏両面層は・・・等の塩化ビニル系樹脂からなるものであって、この塩化ビニル系樹脂に対して体積抵抗の値が10^(8)?10^(11)Ωが得られるように」と訂正する。
(f)同段落番号【0013】における「熱可塑性合成樹脂」(2カ所)を「塩化ビニル系樹脂」と訂正する。
(g)同段落番号【0014】における「導電性シート」、「帯電防止性シート」をそれぞれ「導電性塩化ビニル系樹脂シート」、「帯電防止性塩化ビニル系樹脂シート」と訂正し、「積層一体化する。」を「積層一体化して、厚みが0.3?3mmのシートとする。」と訂正する。
(h)同段落番号【0020】における「導電シート」(2カ所)を「導電性シート」と、「体積抵抗が」を「体積抵抗の値が」と、「表面抵抗が」を「表面抵抗の値が」と、それぞれ訂正する。
(i)同段落番号【0021】における「導電シート」を「導電性シート」と訂正する。
(j)同段落番号【0022】における「本考案は」を「本考案は帯電防止剤、及び、帯電防止可塑剤の両方を添加した体積抵抗の値が10^(8)?10^(11)Ωを有する厚みが0.1?1mmの有色帯電防止性塩化ビニル系樹脂シートからなる表裏両面層間に、導電性カーボンブラック、導電性金属粉、導電性炭素繊維、導電性金属繊維等の導電性材料を添加した体積抵抗の値が10^(2)?10^(5)Ωを有する厚みが0.1?1mmの導電性塩化ビニル系樹脂シートを均等な厚さの中間層として積層し、この積層体の体積抵抗の値が10^(5)?10^(8)Ωを有する厚みが0.3?3mmの導電性シートとしたから」と、「表裏面からの電気性能が同一な優れた構造体の導電性シートであり、」を「表裏面層が同じならば表裏面からの電気性能が同一な優れた構造体の導電性シートとなり、」と、それぞれ訂正する。
(k)図面の簡単な説明における「熱可塑性合成樹脂」(2カ所)を「塩化ビニル系樹脂」と訂正する。
(2)上記(a)の訂正はシートの樹脂及び厚みを限定し、「体積抵抗」、「均等な」をそれぞれ「体積抵抗の値」、「均等な厚さの」と明確にするものであり、(b)の訂正は請求項の削除であるから、これらの訂正は実用新案登録請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。(c)?(k)の訂正は、(a)、(b)の訂正に整合させたものであるから明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、これらの訂正は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)さらに訂正後の実用新案登録請求の範囲請求項1に係る考案(以下、訂正後の考案という。)は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものであるかにつき検討すると、上記取消理由に引用した特開昭58-29658号公報(以下、引用例1という。)には、熱可塑性合成樹脂および合成ゴムを主成分として含みかつ10^(10)?10^(12)Ω・cmの範囲内の体積固有抵抗率を有する着色自在の非帯電性プラスチックシートと、熱可塑性合成樹脂、合成ゴムおよび10?20重量%のカーボンブラックを含みかつ10^(3)?10^(6)Ω・cmの範囲内の体積固有抵抗率を有する導電性プラスチックシートとを有する熱圧着一体成形プラスチック構造材であって、全体として10^(6)?10^(9)Ω・cmの範囲内に制御された体積固有抵抗率を有する構造材であることを特徴とする着色自在の半導電性プラスチック構造材(特許請求の範囲)が記載され、同じく特開昭63-67141号公報(以下、引用例2という。)には、表面側に体積固有抵抗値1×10^(6)?1×10^(10)Ω・cmの防発塵性の合成樹脂層を有する一方、裏面側に抵抗値1×10^(6)?1×10^(4)Ω・cmの導電性の基材層を有するとともに、合成樹脂層および基材層を有する積層体としての体積固有抵抗値を1×10^(6)?1×10^(10)Ω・cmとしたことを特徴とする帯電防止用積層シート(特許請求の範囲)が記載され、「基材層としては、一般にシート基材として使用されている、たとえば天然の動物性または植物性、アスベスト、ガラス繊維、ロックウール、パルプ、合成繊維などの無機または有機繊維を単独もしくは適宜混合した織布、不織布、編布、紙などに前述のような導電性物質を含む導電性樹脂液を含浸処理したものや、その他、抄紙法により不織布やガラス混抄紙などの紙を製造する際に、導電性繊維、導電性粉末、導電処理された粉末や繊維などを混抄したものや、これらの導電性繊維や導電処理された繊維を織り込んだり編みこんだりした織布、編布などが使用できる。なかでも、カーボン繊維やカーボン粉末をこの不織布、紙(ガラス混抄紙、無機紙、ガラス繊維紙など)の抄紙時に混抄したものが、寸法精度および価格的な面でシート基材として特に適している。」(第3頁左下欄第7?右下欄第4行)との記載がなされていることが認められる。
しかしながら、引用例1、2には、訂正後の考案の構成要件である「所定の体積抵抗値及び厚みを有する有色帯電防止性塩化ビニル系樹脂シートからなる表裏両面層間に、所定の体積抵抗値及び厚みを有する導電性塩化ビニル系樹脂シートを積層した導電性シート」については記載も示唆もなされていないものと認められるから、訂正後の考案は引用例1、2に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることはできない。
また、訂正後の明細書における「体積抵抗が・・・Ω」なる記載は、シートの厚みが規定されたことにより、その意味するところが当業者に明瞭になったので(実用新案権者が別紙資料として提出した、日本規格協会発行「JIS用語集 総集編」1968、第119頁参照)、もはや明細書の記載不備はないものと認められる。
(4)以上のとおり、訂正後の考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案でもないから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項で準用する特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.実用新案登録異議(以下、登録異議という。)の申立てについて
本件登録実用新案は、訂正された明細書の実用新案登録請求の範囲請求項1に記載されたとおりのものと認める。
登録異議申立人は、請求項1に係る考案(以下、本件考案という。)は、甲第1、2号証(上記引用例1、2)に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、その実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであり、また、明細書の記載が、(イ)「体積抵抗が・・・Ω」の意味が不明瞭、(ロ)請求項1における「均等な中間層」は中間層の何が均等なのか不明瞭、(ハ)請求項には、考案の目的を達成するための構成に不可欠な事項が記載されていない、(ニ)実施例には、導電性シートの表裏両面層及び中間層の体積抵抗の値が記載されていないから当業者が容易に実施できない、の点で不備であるから、本件考案の実用新案登録は、実用新案法第5条第4、5項に規定する要件を満たしていない実用新案登録出願に対してされたものである、旨の主張をしている。
しかし、本件考案は、上記2.訂正の適否についての(3)に記載したとおりの理由で、甲第1、2号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることはできないし、訂正された明細書には、登録異議申立人が指摘する(イ)、(ロ)の不備はもはやないものと認められる(上記2.の(2)、(3)参照)。
また、本件考案が、請求項1に記載された事項により所期の目的、効果を達成し得ることは、実施例及び段落番号【0022】の記載から当業者に明らかであるから、(ハ)の不備はないものと認められるし、さらに、実施例には表裏両面層及び中間層の樹脂組成及び厚みが具体的に記載されているので、当該各層の体積抵抗の値が明記されていなくとも当業者が本件考案を容易に実施することができるというべきであるから、(ニ)の不備もないものと認められる。
以上のとおりであるから、登録異議申立の理由及び証拠によっては、本件考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
4.また、他に本件考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-02-07 
出願番号 実願平4-81779 
審決分類 U 1 651・ 531- YA (B32B)
U 1 651・ 121- YA (B32B)
U 1 651・ 534- YA (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 野村 康秀平井 裕彰  
特許庁審判長 小林 正巳
特許庁審判官 喜納 稔
仁木 由美子
登録日 1998-10-30 
登録番号 実用新案登録第2588489号(U2588489) 
権利者 ロンシール工業株式会社
東京都墨田区緑四丁目15番3号
考案の名称 導電性シート  
代理人 鶴田 準一  
代理人 石田 敬  
代理人 早川 政名  
代理人 石渡 英房  
代理人 細井 貞行  
代理人 西舘 和之  
代理人 長南 満輝男  
代理人 樋口 外治  
代理人 西山 雅也  
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