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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て成立) F24F
管理番号 1012770
判定請求番号 判定請求1999-60001  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2000-10-27 
種別 判定 
判定請求日 1999-01-27 
確定日 2000-01-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第1932434号実用新案「検査口付きダンパー開閉器」判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「検査口付きダンパー開閉器」は、登録第1932434号実用新案の技術的範囲に属する。
理由 1.請求の趣旨
本件判定の趣旨は、イ号物件が請求人所有の登録実用新案登録第1932434号(甲第2号証参照。)の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)の技術的範囲に属するとの判定を求めるものである。
2.本件考案
本件考案は、本件登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、その構成を符号を付して分説して記載すると次のとおりである。
「(1)火災等による温度又は煙を感知して開度調節可能な可動羽根6を自動的に閉止方向へ回動するダンパー自動閉止機構Eを備えたダンパー開閉器Aにおいて、
(2)該ダンパー開閉器Aの器体1に覗き開口2を有する検査口Bを一体に連接し、
(3)該検査口Bの覗き開口2に蓋体3を着脱自在に設けてなる
(4)検査口付きダンパー開閉器。」
3.イ号物件
請求人が提出したイ号図面(図1図乃至図7)及びその説明書並びに被請求人が提出したイ号図面(図2、図4、図8、図9及び図10)及び参考図(参考図1乃至参考図3)には、イ号図面及びその説明書に示す丸型防火ダンパー「F(V)D-Z(形式:S-8FV)」(以下、「イ号物件」という。)に関し、次の事項に相当するものが記載されている。
(1)全体構成について
空調用ダクトに連結されて空気の流路を形成する円筒状のケーシング7を備え、その内部には、円板状の可動羽根6が、ケーシング7の直径上で軸受支持された羽根軸12に固着されて回動可能に設けられていること。すなわち、可動羽根6がケーシング7と直角に位置する第3図の状態の時、流路は閉じられ[全閉状態]、また、平行な状態の時、流路は完全に開かれる[全開状態]こと。
可動羽根6が固着された羽根軸12を回動することによって流路を開閉する装置がダンバー開閉器Aであり、ケーシング7の外面に設けられていること。
ダンバー開閉器Aは器体1b(この1bについて、請求人は、「上側器体」と称している。)を含み、器体1bの下側に箱状の枠体1a(この1aについて、請求人は「下側器体」と称し、被請求人は「架台」と称している。)が配置され、箱状の枠体1aはボルト・ナットでケーシング7に固定され、器体1bはネジによって箱状の枠体1aに取付けられていること。
ダンバー開閉器Aはダンバー自動閉止機構Eを備えると共に、箱状の枠体1aには検査口Bが設けられていること。
(2)ダンバー自動閉止機構について
ダンバー開閉器Aは、ダクトの一部を形成するケーシング7内を流れる空気流の温度を熱感知用ヒューズFにより感知し、火災等の発生時には、可動羽根6を自動的に閉止方向へ回動するダンバー自動閉止機構Eを備えていること。
自動閉止機構Eは、開度調節板13及び操作レバー15を含む構造によって通常使用時の可動羽根6の開度を調節し、ケーシング内を流通する空気の風量を調節できるようになっていること。
(3)検査口について
箱状の枠体1aの平坦な上面には、片側から略5分の3の領域範囲に亘って、羽根軸12と熱感知用ヒューズFをそれぞれ通す開口が設けられ、その上に器体1bが取付けられているとともに、残る5分の2の領域範囲に亘って覗き開口2が形成されて、検査口Bが構成されていること。
覗き開口2には、その全体を覆い塞ぐように、平板状の蓋体3が、止めネジ17によって取付けられていること。
(なお、請求人が、イ号物件が被請求人の実施に係るものであるとして提出した甲第3号証に示された丸型防火ダンパー「F(V)D-Z」と甲第4号証に示された丸型防火ダンパー「S-8FV」が、イ号図面及びその説明書に示された丸型防火ダンパー「F(V)D-Z(形式:S-8FV)」であることについては、被請求人も認めるところである。)
4.対比・判断
イ号物件が本件考案の各構成要件を充足するか否かについて検討する。
(1)構成要件(1)について
イ号物件は、上記3.(1)及び(2)の記載からみて、火災等による温度又は煙を感知して開度調節可能な可動羽根6を自動的に閉止方向へ回動するダンパー自動閉止機構Eを備えたダンパー開閉器Aの構成を備えているから、イ号物件は、本件考案の構成要件(1)を充足する。
(2)構成要件(2)について
本件考案の構成要件(2)は、本件登録明細書に記載された「従来技術では、ダンパー開閉器とA’と検査口B’を別々に製作し、これらをケーシング7’の同一面の異なる位置に取付け設置するものであるため、その製作コストが著しく高くなるばかりでなく、その取付け設置にも多くの手数を要するという欠点がある。そこで、この考案はダンパー開閉器と検査口の一体化を図って上記従来の欠点の解消を目的とする」(甲第1号証第2欄1?8行参照)という課題のもとに、「ダンパー開閉器Aの器体1に覗き開口2を有する検査口2を一体に連接し」たものである。
一方、イ号物件では、上記3.(1)及び(3)の記載からみて、覗き開口2を有する検査口Bは、ボルト・ナットによってダクトに取り付けられる箱状の枠体1aの平坦な上面の略5分の2の領域に形成され、ダンパ開閉器Aの器体1bは、箱状の枠体1aをダクトに取付けた後、ネジ等によって箱状の枠体1aの平坦な上面の残りの略5分の3の領域に一体に取り付けられている。
ところで、本件考案の構成要件(2)における「一体に連接し」とは、上記本件考案の課題並びに本件登録明細書の実施例の項に記載された「Bは上記ダンパ開閉器Aの器体1の一側に一体形成せしめた検査口であって」(甲第1号証第4欄18?19行参照)の記載及び本件登録明細書の効果の項に記載された「検査口Bをダンパー開閉器Aと一体に設けたという簡単な構造で、検査口Bとダンパー開閉器Aを格別に設けている従来に比べ2つの物品を1つにまとめたことによりその製作が容易かつ能率的に行えるため製品コストを著しく低廉とすることができ、また、その取付け設置も容易であり、さらに、検査口Bがダンパー開閉器と一体に隣接するから熱感知用ヒューズF及び可動羽根6の作動状態等が近くて検査確認できる利便がある」(甲第1号証第4欄39行?第5欄4行参照)との記載からみて、ダンパー開閉器Aと検査口Bが1つにまとめられて一体にされて、検査口Bがダンパー開閉器Aの器体1bと連接した状態にあることを意味するものと解される。
そして、上記したようにイ号物件のダンパー開閉器Aの器体1bと検査口Bを形成した枠体1bは、ネジによって1つにまとめられて一体にされており、検査口Bを形成した枠体1aとダンパー開閉器Aの器体1bとは連接されたものとなっているから、イ号物件の覗き開口2を有する検査口Bは、ダンパー開閉器Aの器体1aに一体に連接されたものといえるから、イ号物件は、本件考案の構成要件(2)を充足している。
(3)構成要件(3)について
上記3.(3)の記載からみて、イ号物件の検査口Bの覗き開口2には、蓋体3が着脱自在に設けられているから、イ号物件は、本件考案の構成要件(3)を充足する。
(4)構成要件(4)について
イ号物件は、上記(2)で検討したように、ダンパー開閉器Aの器体1に検査口Bを一体に連接したものであるから、検査口付きダンパー開閉器ということができ、本件考案の構成要件(4)を充足する。
(5)以上によれば、イ号物件の構成は、本件考案の構成要件のすべてを充足する。
(なお、被請求人は、甲第6号証に添付した本件出願前に頒布された刊行物1乃至刊行物3には、断面円形のケーシングに、検査口を一部に有する架台が固定され、その架台の残りの部分に、ダンパ開閉器が取り付けられた構成が記載されているから、本件考案は、この構成を除外して解釈すべき旨主張するが、上記のようにイ号物件の構成は、本件考案の構成要件のすべてを充足する以上、上記被請求人の主張は、本件判定請求事件とは別問題であるといわざるを得ない。)
5.むすび
したがって、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属するものである。
よって、結論のとおり判定する。
判定日 1999-12-15 
出願番号 実願昭61-39337 
審決分類 U 1 2・ 1- YA (F24F)
最終処分 成立    
前審関与審査官 池田 佳弘  
特許庁審判長 大槻 清寿
特許庁審判官 櫻井 康平
寺尾 俊
登録日 1992-10-14 
登録番号 実用登録第1932434号(U1932434) 
考案の名称 検査口付きダンパー開閉器  
代理人 志賀 正武  
代理人 渡邊 隆  
代理人 青山 正和  
代理人 高橋 詔男  

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