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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65C |
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管理番号 | 1014935 |
審判番号 | 審判1998-12538 |
総通号数 | 11 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2000-11-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-08-06 |
確定日 | 2000-03-10 |
事件の表示 | 平成5年実用新案登録願第18431号「ラベル貼付装置の搬送機構」拒絶査定に対する審判事件(平成6年10月11日出願公開、実開平6-72815)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.本願考案 本願は、平成5年3月22日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成10年8月6日付け手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみてその実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された下記のとおりのものと認められる。 「第1のコンベアと、該第1のコンベアに間隔をおいて設けられる第2のコンベアと、前記第1,第2のコンベア間に設けた搬送用の中間ローラと、前記第1,第2のコンベアの下方に帯状連続体が巻かれたラベル供給手段を備え、該ラベル供給手段から帯状連続体を繰り出してその帯状連続体からラベル片を分離し、前記第1のコンベアから前記中間ローラを経て第2のコンベアに搬送される被貼付物に前記分離したラベル片を貼付するラベル貼付装置であって、 前記中間ローラを、駆動源からの回転力を伝達する伝達手段を介して前記被貼付物の搬送方向と同方向に回転させるように設けたことを特徴とするラベル貼付装置の搬送機構。」 (以下、「請求項1の考案」という) II.引用例 平成10年1月7日付けで通知した拒絶の理由において、本出願前に国内において頒布された刊行物として、実願平2ー105457号(実開平4ー62606)のマイクロフィルムを引用した。 上記引用例には、以下の点が記載されている。 ▲1▼「このラベル貼着装置10は、その上にプラスチックトレイ等の被貼着体Aを載置して搬送する無端環状の第1の搬送コンベヤ12と、前記第1の搬送コンベヤ12に適宜な間隔をおいて隣接され、前記第1の搬送コンベヤ12から送られてきた被貼着体Aを載置して搬送する無端環状の第2の搬送コンベヤ14とを含む。第1の搬送コンベヤ12は、無端環状に張り掛けされたベルト16がドライビングベルト車18によって回転させられ、第2の搬送コンベヤ14も無端環状で所定間隔をおいて平行に張り掛けされたベルト20がドライビングベルト車22によって回転させられる。 第2のコンベヤ14は、前記第1の搬送コンベヤ12から送られてくる被貼着体Aが落下しない程度に、第1の搬送コンベヤ12との間に間隔をおき、かつ、前記第1の搬送コンベヤ12とほぼ同じ高さに形成され、ほぼ一直線上に設けられた前記第1の搬送コンベヤ12より送られてくる被貼着体Aを載置して搬送するように形成されてなる。 前記第1の搬送コンベヤ12と前記第2の搬送コンベヤ14との間で、その下部にラベルを供給するラベル供給装置24が設けられている。」 (第4頁第9行?第5頁第11行) ▲2▼「このラベル供給装置24は、剥離シート102によって支持されたラベル100の連続体が、巻き重ねられ、回転可能に固定された供給リール(図示せず)に装填され、ガイドローラ(図示せず)を経てこのラベル100に印字するサーマルヘッド26とプラテンローラ28との間に供給され、このサーマルヘッド26にて感熱発色されたラベル100が、剥離シート102の移行にともない、剥離ガイド30の前縁に供給され、剥離シート102のみテンションローラ32を得て巻き取りリール(図示せず)へと供給され送られるように構成されている。 すなわち、ラベル供給装置24は、ラベル100が、それを支持する剥離シート102が供給リールから繰り出されて移行する間において、第1図に示すように、鋭角状の剥離ガイド30の前縁部を通過する際に、その経路が突然変化せしめられ、剥離シート102が可撓性に富むため剥離ガイド30の前縁部で折曲され、反対方向へと移行し、一方、ラベル100が比較的剛直なる物質よりなるため、剥離シート102より引き剥がされてそのまま直進し、第1の搬送コンベヤ12と第2の搬送コンベヤ14との間において、上方に向けて突き出されるように形成されている。」 (第6頁第1行?第7頁第4行) ▲3▼「このラベル供給装置24より供給されたラベル100の先端より上方で、第1の搬送コンベヤ12および第2の搬送コンベヤ14の間において、両搬送コンベヤ12および14よりの上面より低い位置において形成された補助ローラ34を含むラベル案内部材36が形成されている。」 (第7頁第5?10行) ▲4▼「補助ローラ34は、ラベル供給装置24において、剥離シート102を移送し、剥離ガイド30よりラベルのみを上方に向けて突き出させしめるように作動させるラベル供給装置24の駆動源(図示せず)の作動と同期させて、剥離シート102の送り速度よりも若干速い速度にて、第1図において反(「半」は誤字)時計方向、すなわちラベル100の送り方向に回転するように形成されている。」 (第7頁第15行?第8頁第2行) ▲5▼「前記補助ローラ34より若干上方で、第2の搬送コンベヤ14の上面とほぼ同じ高さにおいて、第1の搬送コンベヤ12と第2の搬送コンベヤ14の間において、ラベル貼着ローラ50が回転自在に形成されている。」 (第9頁末行?第10頁第4行) ▲6▼「このラベル貼着装置10においては、第1の搬送コンベヤ12と第2の搬送コンベヤ14との間には補助ローラ34およびラベル貼着ローラ50が設けられるので、第1の搬送コンベヤ12と第2の搬送コンベヤ14との間に若干距離があり、それらの搬送コンベヤの間の距離よりも短い被貼着体Aが供給される場合を考慮し、そのような場合でも被貼着体Aが下方に傾かないように、受け渡しローラ54が形成されている。 受け渡しローラ54は、第1の搬送コンベヤ12の巾方向に回転自在に形成され、第1の搬送コンベヤ12と第2の搬送コンベヤ14の間において、ラベル貼着ローラ50と第1の搬送コンベヤ12とその上面がほぼ同じ高さに位置するように形成されている。」 (第11頁第2?16行) (以下、「引用例の考案」という) III.対比・判断 引用例の考案を、本願の請求項1の考案と対比すると、 引用例の考案の「搬送コンベヤ」が請求項1の考案の「コンベア」に相当し、 引用例の考案の「受け渡しローラ」が請求項1の考案の「中間ローラ」に、 引用例の考案の「ラベル」が請求項1の考案の「ラベル片」または「ラベル」に、 引用例の考案の「貼着」が請求項1の考案の「貼付」に、 引用例の考案の「剥離シート102によって支持されたラベル100の連続体」が請求項1の考案の「帯状連続体」に、各々、相当するから、 両者は、 「第1のコンベアと、該第1のコンベアに間隔をおいて設けられる第2のコンベアと、前記第1,第2のコンベア間に設けた搬送用の中間ローラと、前記第1,第2のコンベアの下方に帯状連続体が巻かれたラベル供給手段を備え、該ラベル供給手段から帯状連続体を繰り出してその帯状連続体からラベル片を分離し、前記第1のコンベアから前記中間ローラを経て第2のコンベアに搬送される被貼付物に前記分離したラベル片を貼付するラベル貼付装置の搬送機構」 が一致するが、 引用例の考案では、 駆動源からの回転力は伝達されず、中間ローラが「回転自在」である のに対し、 請求項1の考案では、 中間ローラを「駆動源からの回転力を伝達する伝達手段を介して前記被貼付物の搬送方向と同方向に回転させるように設けた」構成(以下、「相違する構成」という)である点で相違する。 <相違する構成についての検討> 請求項1の考案は、上記相違する構成により、 「中間ローラは、駆動源からの回転力を伝達する伝達手段を介して被貼付物の搬送方向と同方向に回転しているので、中間ローラに回転力が働き、被貼付物が小さい場合であっても、また軽い場合であっても、中間ローラ上に乗った被貼付物は第2のコンベア側へと円滑に搬送され、中間ローラ上に留まることはないものである。」(【0009】)、 「駆動源からの回転力を伝達する伝達手段を介し中間ローラを被貼付物の搬送方向と同方向に回転させるようにしたので、伝達手段を介して中間ローラ自体が回転することになり、被貼付物が中間ローラ上に乗ったときに、第2のコンベア側に向けて搬送する搬送力が維持された状態で送られるため、形状が小さい被貼付物であっても、また自重が軽い被貼付物であっても、留まることなく円滑に搬送されることになるものである」(【0016】) という作用・効果を奏するものである。 従来、この中間ローラ自体は、 「前記中間ローラ40が存在することにより、被貼付物50の長さが第1のコンベア44と第2のコンベア48との間の距離Lより小さい場合でも落下せずに搬送できることになる」(【0005】)というものであったが、 「それ自身がモータにより回転駆動されないため、被貼付物50が中間ローラ40に乗り上がることはできるものの、慣性力が働くだけで乗り上がった被貼付物50を第2のコンベア48側に搬送する力が弱いものであった。特に被貼付物50の長さが前記第1のコンベア44及び第2のコンベア48間の距離Lよりも小さい場合や被貼付物50の重量が軽い場合、中間ローラ40を回転させる程の慣性力がないため中間ローラ40に乗り上がるものの、そこで止まってしまい円滑な搬送ができないことがあった」(【0006】) という技術的課題を解決するため、すなわち、中間ローラに、より搬送力を持たせるために、請求項1の考案では 「駆動源からの回転力を伝達する伝達手段を介して前記被貼付物の搬送方向と同方向に回転させるように」 構成したものである。 ところで、回転自在のローラに、より搬送力を付与するために回転力を付与する構成にすること、回転力を付与するために「駆動源からの回転力を伝達する伝達手段を介して回転させるように」構成すること、その際、「搬送方向と同方向に回転させるように」する構成は、各々、本出願前の当該技術分野における周知技術である。 ちなみに、引用例の考案においても、剥離シート102を移送する「補助ローラ34」は、「ラベル供給装置24の駆動源(図示せず)の作動と同期させて、…ラベル100の送り方向に回転するように形成されている」構成である(▲4▼参照)。 このように、上記の周知技術を組み合わせて上記相違する構成のようにすることは、格段の効果を認めることはできず、当業者がきわめて容易になし得る変更である。 そうしてみると、引用例の考案および上記周知技術に基づいて本願の請求項1の考案を構成したことは、当業者がきわめて容易に想到することができたものである。 IV.むすび したがって、本願の請求項1に係る考案は、周知技術を考慮すると、引用した刊行物記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により登録を受けることができないから、本願は拒絶すべきものと認められる。 よって、結論の通り審決する。 |
審理終結日 | 1999-11-30 |
結審通知日 | 1999-12-14 |
審決日 | 1999-12-17 |
出願番号 | 実願平5-18431 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(B65C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 森林 克郎、原 慧 |
特許庁審判長 |
佐藤 久容 |
特許庁審判官 |
船越 巧子 西村 綾子 |
考案の名称 | ラベル貼付装置の搬送機構 |