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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E06B
審判 査定不服  特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E06B
管理番号 1014946
審判番号 審判1994-18053  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1994-10-31 
確定日 2000-03-07 
事件の表示 昭和62年実用新案登録願第31720号「複合窓サツシの構造」拒絶査定に対する審判事件(平成7年11月1日出願公告、実公平7-47588)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 I.本願は、昭和62年3月4日に出願されたものであって、その考案の要旨は、出願公告された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりの
「任意の窓サッシを連結する半外付け窓構造であって、方立材を2分割し、一方の分割方立材を左右に対峙する窓サッシの対向する縦枠の前部に、そして他方これら縦枠の後部に嵌め込み連結する複合窓サッシにおいて、
前記方立材1のうち前部の分割方立材1aは、その室外側に室外側向き開口の溝部13を備えるとともに室内側には左右方向へ突出する突片1e、1eを備え、更に非平行一対の側壁1f、1fと、該側壁1f、1fを連結する、室外側又は室内側に設けられた連結壁1gとで中空部1hを形成し、前記縦枠2、2は、少なくとも室外側に前記溝部13と係合する室内側向きの折曲片25aと、室内側には前記方立材1の側へ突出する係止片23を備え、
更に、前記それぞれの縦枠2,2と前記分割方立材1aは、縦枠の前記折曲片25aが分割方立材の前記溝部13と係合し、前記突片1eからねじを挿通して前記係止片23と螺着し、前記対向する縦枠2,2を前記中空部1hを挟んで非平行に設けるとともに、後部の分割方立材1bで前記突片1e及び係止片23の螺着部を室内側から遮蔽したことを特徴とする複合窓サッシの構造。」
にあるものと認める。
II.これに対して、当審における実用新案登録異議申立人・ワイ ケイ ケイ アーキテクチュラル プロダクツ株式会社の提出した実願昭60-19145号(実開昭61-136073号公報)のマイクロフイルム(以下、「引用例1」という)及び特開昭61-162691号公報(以下、「引用例2」という)には、それぞれ下記の事項が記載されている。
【引用例1】
「この考案は、隣接する二以上の枠体を方立を介して連結するのに利用される枠体連結装置に関するものである。」(1頁18行?同20行)。
「第1図に示すように、前記ドア枠Aを構成する右竪枠4と、ガラス嵌め殺し枠Bを構成する左竪枠34とは、方立61を介して連結されているが、以下この構成について第6図を加えて説明する。
すなわち、ドア枠Aを構成する右竪枠4は、その室外側に補強用中空部4aを有し、前記補強用中空部4aの室外側には前記方立61に向けて延びる延長片4bが形成してあり、前記延長片4bの先端には方立61への当接面4cとタイト材62への押圧面4dとを有し、延長片4bの途中には室内側に向く突片4eが形成してあり、この突片4eの先端には方立て61への係合用傾斜面4fが設けてある。さらに、前記中空部4aの室内側にはドア本体26寄りの突壁4gと方立61よりの突壁4hとが設けてあり、一方の突壁4gには戸当たり部材65の係止部4iが設けてあると共に、その室内側先端には目地止め部材66のドア本体側係止部4jおよび目地材67のドア本体側係止部4kが設けてある。さらに、前記他方の突壁4hの室内側端にはねじ止め部4lが設けてあると共に、前記突壁4gとの連結片4mが設けてある。また、前記目地止め部材66には、竪枠4との係止部66aと、目地材係止片66b、66cが設けてある。さらに、目地材67には竪枠4、34との係止部67a、67bと、目地止め部材66との係止片67c、67dとが設けてある。」(第5頁第17行?第7頁第4行)。
「方立61は中空部61aを有し、前記中空部61aの両側に、前記竪枠4、34に設けた当接面4c、34cとの当接面61b、61cと、タイト材62、72を前記タイト材押圧面4d、34dとの間で押圧するタイト材押圧面61d、61eと、前記竪枠4、34に各々形成した係合用傾斜面4f、34fと各々係合する堅枠係合用傾斜面61f、61gと、前記中空部61aの室内側に延びる二つの延長片61h、61iと、前記延長片61h、61iの室内側端に形成され且つ前記各堅枠3、34に形成したねじ止め部4l、34lに当接するねじ止め部61j、61kとを有するものである。」(第8頁第2?14行)。
「ドア枠Aと方立て61との連結において、方立61のタイト材押圧面61dにタイト材62を配設した状態で、堅枠4および方立61の各当接面4c、61bを当接させると共に、各係合用傾斜面4f、61fを係合させ、さらにねじ止め部4l、61jを当接させて、目地止め部材66と共に重ねた状態とし、ねじ82を堅枠4のねじ止め部4lにねじ込む。」(第9頁第16行?第10頁第4行)。
そして、上記によると、引用例1には、「任意のサッシを連結するサッシ枠体連結構造であって、方立を2分割し、一方の分割方立を左右に対峙するサッシの対向する竪枠の前部に、そして他方をこれら竪枠の後部に嵌め込み連結する複合サッシにおいて、
前記方立のうち前部の分割方立61は、その室外側に室外側向き開口の当接面61b、タイト材押圧面61d、係合用傾斜面61f等からなる溝部を備えるとともに室内側には左右方向へ突出するねじ止め部61j、61kを備え、更に非平行一対の側壁と、該側壁を連結する、室外側に設けられた連結壁とで中空部61aを形成し、
前記竪枠4、34は、少なくとも室外側に前記溝部と係合する室内側向きの突片4e、係合用傾斜面4f及び当接面4c、押圧面4d等からなる延長片と、室内側には前記方立61の反対側へ突出するねじ止め部4l及び連結片4m等を備えた係止片を備え、
更に、前記それぞれの竪枠4、34と前記分割方立61は、竪枠の前記延長片が分割方立61の前記溝部と係合し、前記ねじ止め部61j、61kからねじ82、83を挿通して前記係止片と螺着し、前記対向する竪枠4、34を前記中空部61aを挟んで非平行に設けるとともに、後部の目地材67で前記突片及び係止片の螺着部を室内側から遮蔽した複合サッシの構造。」の考案が記載されている。
【引用例2】
「上下枠3、4及び左右縦枠2、2で形成した引違い窓、はめ殺し窓、回転窓など各種の窓サッシを半外付けサッシで構成するとともに、それら半外付け窓サッシの中から二組以上の窓サッシを選択して、各窓サッシを方立材1で連結してなる連窓サッシであって、
前記方立材1で連結される一組の縦枠2、2は、ともに建物躯体に釘着される室内側鉛直取付片21、21と、該室内側鉛直取付片に対し直角の位相をなして建物躯体に釘着される窓外側鉛直取付片22、22と、これら取付片の間に位置し且つ建物躯体に当接する一対の係止片23、24であって少なくとも一方の先端23aが室内側に向いて形成される係止片23とを備え、
前記方立材1は、その主体部分11を任意の箇所で二又状となして当該壁11a、11aを形成するものであって、その主体部分11の室内側端部に設けた一対の突片12、12と、該主体部分の適所に設けた一対の室外側向き開口の溝部13、13とを備え、前記一対の突片は、縦枠の前記それぞれの室内側鉛直取付片21、21と重合する位置関係を有し、又、前記一対の溝部は、それぞれの縦枠における一対の係止片の中、先端が室内側に向いて形成された係止片の該先端23a、23aにそれぞれ対応する位置関係を有し、
さらに、前記一組の縦枠と、方立材とを結合するにあたり、少なくとも一つの方立材は建物躯体から室外へ張出して立設し、又、縦枠の室外側鉛直取付片22、22を前記係止片23、24の先端部分に揃えて剥取り、前記係止片の室内側向き先端23a、23aを方立材の前記溝部13、13に係合し、縦枠の室内側鉛直取付片21、21と方立材の突片12、12とを螺着するようにしたことを特徴とする出窓用の複合窓サッシ。」(第1頁右下欄第20行?第2頁右上欄第17行)
「本発明は・・・上下枠及び左右縦枠で形成した半外付けサッシからなる引違い窓、はめ殺し窓、回転窓など各種の窓サッシをそのまま用い、それら半外付け窓サッシの中から二組以上の窓サッシを選択して、各窓サッシを方立材で連結してなる複合窓サッシであるので、この種連窓サッシを形成するにあたり、それぞれ各種のパターンに対応させるべく異なる構造の窓サッシ及び方立を多数用意することなく、既存の窓サッシと所定構造の方立材を用意するだけで、種々のパターンに適用可能な連窓サッシを得ることができるものである。」(第5頁右上欄第13行?同左下欄第6行)。
III.そこで、本願考案と引用例1のものとを比較する。
本願考案の構成からみると、後部の分割方立材は、専ら突片1e及び係止片23の螺着部を室内側から遮蔽する目的をもって設けられるものと解される。
そうすると、引用例1のものの「方立」、「竪枠」、「ねじ止め部」、「延長片」、「目地材」は、それぞれ本願考案の「方立材」、「縦枠」、「突片」、「折曲片」、「後部の分割方立材」に相当するから、両者は、
「任意のサッシ枠を連結するサッシ枠連結構造であって、方立材を2分割し、一方の分割方立材を左右に対峙する窓サッシの対向する縦枠の前部に、そして他方これら縦枠の後部に嵌め込み連結する複合サッシにおいて、
前記方立材のうち前部の分割方立材は、その室外側に室外側向き開口の溝部を備えるとともに室内側には左右方向へ突出する突片を備え、更に非平行一対の側壁と、該側壁を連結する、室外側に設けられた連結壁とで中空部を形成し、
前記縦枠は、少なくとも室外側に前記溝部と係合する室内側向きの折曲片と、室内側には突出する係止片を備え、
更に、前記それぞれの縦枠と前記分割方立材は、縦枠の前記折曲片が分割方立材の前記溝部と係合し、前記突片からねじを挿通して前記係止片と螺着し、前記対向する縦枠を前記中空部を挟んで非平行に設けるとともに、後部の分割方立材で前記突片及び係止片の螺着部を室内側から遮蔽した複合サッシの構造。」で一致し、次の点で相違する。
相違点1;複合サッシの連結構造が、本願考案では窓サッシからなるものであるのに対して、引用例1のものはその点が明確でない点。
相違点2;任意のサッシを連結する構造が、本願考案は、半外付けであるのに対し、引用例1のものは、半外付けではない点。
相違点3;縦枠の室内側に突出して設けられた係止片が、本願考案は、方立材の側へ突出するものであるのに対し、引用例1のものは、反方立材の側へ突出するものである点。
IV.次に、上記相違点について検討する。
まず、相違点1について。
引用例2には、複合サッシの構造を窓サッシからなるものとすることが記載されているので、引用例1のサッシを窓サッシとし本願考案の如く構成することは、当業者がきわめて容易に想到し得たものである。
次に、相違点2について。
任意のサッシを連結する構造を半外付けとすることは、引用例2に記載されているので、上記引用例2に記載の半外付けの窓構造を適用して引用例1の考案のサッシ枠の取付構造を半外付けに設計変更することで当業者がきわめて容易に想到できたものである。
さらに、相違点3について。
引用例2に記載の、複合窓サッシの縦枠には、室内側に突出して設けられた係止片が設けられているから、本願考案の相違点3の構成は、上記引用例1の考案の構造を半外付けに設計変更する際、該引用例2に記載の縦枠構造を採用して、縦枠の室内側に突出して設けられた係止片を方立材の側へ突出するようにすることで当業者がきわめて容易に想到できたものである。
そして、引用例1の考案は、左右の縦枠は二分割のものであっても一種類の方立材により連結されるものであり、また、対向する縦枠は中空部を挟んで非平行に設けられるものであると解せられるから、本願考案の「左右縦枠は二分割のものであっても一種類の方立材により連結されるので、連窓を設ける場合に窓サッシ選択の自由度を大幅に確保し得る利点がある。しかも、サッシが大型化した場合でも構造が二分割でなされるため、その製造が比較的低廉に押さえることができる。また、前記対向する縦枠は前記中空部を挟んで非平行にに設けられるが、当該中空部が存在するので、構造強度を高めることができる。これにより、従来のものが、押出金型が大型化し製造費用が極めて高くなることおよび、薄い板状部分を有する押出型材で大型のものは成形が困難となるといった不都合を、本考案は解決することができるものである。」という効果は、引用例1の考案のものと比較して格別であるということもできない。
V.以上、本願考案は、上記引用例1及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に該当し、実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
異議の決定 U192 .121-WZ (E06B)
請求人 立山アルミニウム工業 株式会社
登録異議申立人 ワイ ケイ ケイ アーキテクチュラル プロダクツ株式会社
代理人弁理士 西村 幹男
昭和62年実用新案登録願第31720号「複合窓サツシの構造」拒絶査定に対する審判事件(平成7年11月1日出願公告、実公平7-47588)に関して、平成8年1月29日になされた登録異議申立てについて、次のとおり決定する。
結論
本件登録異議の申立ては、理由があるものとする。
理由
本願は、平成6年審判第18053号審決の理由に記載したとおりの理由により拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
平成11年2月19日(1999.2.19)
審判長 特許庁審判官 砂川 克
特許庁審判官 桜井 義宏
特許庁審判官 青山 待子
審理終結日 1998-12-25 
結審通知日 1999-01-19 
審決日 1999-02-19 
出願番号 実願昭62-31720 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (E06B)
U 1 8・ 092- WZ (E06B)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 藤井 俊二米田 昭  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 青山 待子
櫻井 義宏
考案の名称 複合窓サッシの構造  

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