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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D |
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管理番号 | 1014950 |
審判番号 | 審判1999-1089 |
総通号数 | 11 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2000-11-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-01-14 |
確定日 | 2000-03-10 |
事件の表示 | 平成5年実用新案登録願第5550号「電子レンジ用包装袋」拒絶査定に対する審判事件(平成6年9月13日出願公開、実開平6-65278)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
本願は、平成5年2月19日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成11年2月9日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認められる。 【請求項1】合成樹脂層の内面にアルミニウム箔より成る金属薄膜を設けた積層体より成り、前記アルミニウム箔の周縁部をエッチングによって前記合成樹脂層の周縁部よりも後退させかつ尖鋭部がないようにしたことを特徴とする電子レンジ用包装袋。 II.引用刊行物記載の考案 原査定の拒絶の理由に引用された実願昭59-128652号(実開昭61-45365号)のマイクロフィルム(以下、「引用刊行物」という。)には以下の点が記載されている。 a)「1 ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム等の合成樹脂フィルムの片面に幅及び長さが該フィルムより短かい導電性材層を積層し、その上に前記フィルムと等大のポリエチレンのようなヒートシール性合成樹脂を積層して成ることを特徴とする電子レンジにかける食品の包装用基材。 2 導電性材層の四隅が弧状をなす実用新案登録請求の範囲第1項に記載の包装用基材。」(実用新案登録請求の範囲第1項及び第2項) b)「本考案は主として電子レンジで温めれば食用に供することの出来るインスタント食品に付いている調味料等を包装するための包装用基材に関するものである。」(1頁19行?2頁2行) c)「第1図及び第2図において、1はナイロンフィルム、ポリエステルフィルム等の合成樹脂フィルム、2は該合成樹脂フィルム1の片面に積層したアルミ層から成る導電性材層で、その幅及び長さは前記合成樹脂フィルム1より短かく、従って、導電性材層2の外周には合成樹脂フィルム1のみの部分が残される。3は合成樹脂フィルム1と等大で該フィルム1の上に前記導電性材層2を挟み込むように積層して形成したポリエチレン等のヒートシール性の合成樹脂層である。・・・本考案包装用基材は、ヒートシール性樹脂層3を内側にして二つ折りし、内部に調味料等を入れて折曲縁を除く三周縁をヒートシールして第3図に示すような袋体とするものであって、出来上った袋体はその周縁に導電性材部分が露出しないので、これを誤って電子レンジにかけても、マイクロ波により火花を発するおそれはなく」(5頁4?6頁1行、第1・2・3図参照) d)「第4図に示すものは、第1図乃至第3図に示す基材の導電性材層2における四隅を弧状2aに形成すると共に対向する1組の辺の中央部にΥ状の切欠部2bを形成して、該切欠部2bから二つ折りし、内部に調味料等を入れて折曲縁を除く三周縁をヒートシールするものであって、出来上った袋体はその周縁に導電性材部分が露出しないばかりでなく、第5図に示すように導電性材層2の片面の四隅が弧状をなすので、マイクロ波の影響を受けるおそれが前記例のものより極めて少なく、特にマイクロ波により火花を発することはおよそ皆無である。」(6頁3?14行、第4・5図参照) e)「本考案包装用基材は連続した合成樹脂フィルム1のシートに印刷その他適宜の手段により、例えばアルミを積層して導電性材層2を断続的に形成し乍ら更にその上にヒートシール性樹脂層3を積層して巻取り」(7頁8?12行) III.対比・判断 引用刊行物記載の考案における電子レンジにかける食品の包装用基材は合成樹脂フィルムの片面に幅及び長さが該フィルムより短かいアルミ層から成る導電性材層を積層したものであって(記載a、記載c)、導電性材層を内側にして二つ折りし三周縁をヒートシールして袋体とするものであり(記載c)、導電性材層の四隅が弧状をなす態様も示されている(記載a、記載d)から、本願請求項1に係る考案と引用刊行物記載の考案とは「合成樹脂層の内面にアルミニウム箔より成る金属薄膜を設けた積層体より成り、前記アルミニウム箔の周縁部を前記合成樹脂層の周縁部よりも後退させかつ尖鋭部がないようにしたことを特徴とする電子レンジ用包装袋。」である点で一致する。 そして、アルミニウム箔の周縁部を合成樹脂層の周縁部よりも後退させるのに、本願請求項1に係る考案では「エッチングによって」いるとの限定があるのに対し、引用刊行物記載の考案ではこのような製法限定がない点で相違する。 以下、相違点について検討すると、この種電子レンジ用の包装体において、除去したい部分のアルミニウムを含む金属箔の除去には、いくつかの方法があることが従来知られている。そして、その一つにエッチングによるものがあり(一例として、特開昭54-133999号公報参照。)、これを使用分野が同じ電子レンジ用包装袋である引用刊行物記載の考案におけるアルミニウム箔周縁の除去に適用することに格別の困難性があるとは認められない。また、エッチングによったことに伴う、アルミニウム箔の厚みを薄くし、周縁を滑らかにすることができる等の効果(審判請求の理由において主張)はこの手段を採用したことにより当然に予測できるものである。 IV.むすび したがって、本願請求項1に係る考案は引用刊行物記載の考案及び当該技術分野において従来周知の事項に基いて当業者がきわめて容易に想到することができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-12-08 |
結審通知日 | 2000-01-04 |
審決日 | 2000-01-11 |
出願番号 | 実願平5-5550 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(B65D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 溝渕 良一 |
特許庁審判長 |
佐藤 久容 |
特許庁審判官 |
森林 克郎 鈴木 美知子 |
考案の名称 | 電子レンジ用包装袋 |
代理人 | 東尾 正博 |
代理人 | 鎌田 文二 |
代理人 | 鳥居 和久 |