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審決分類 審判    A01K
審判    A01K
管理番号 1014952
審判番号 審判1997-1417  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 1997-01-31 
確定日 1999-11-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第3012342号実用新案「釣用錘」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第3012342号実用新案の明細書の請求項第1項ないし第3項に記載された考案についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.本件第3012342号実用新案登録
本件第3012342号実用新案登録(以下、本件登録という。)は、実願平6ー15360号の実用新案登録出願(出願日:平成6年12月13日)(以下、本件出願という。)に係り、平成7年4月5日の設定登録されたものであり、本件登録に係る考案は、本件登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるものである。そして、この請求項1?3に記載された事項は、以下のとおりである。
【請求項1】
「外周面の全体に塗装が施された釣用錘において、塗装面は軸芯を挟んで左右に2分割する領域(24)(25)或いは上下に2分割する領域(27)(28)の夫々の領域に異なる色の塗装が施され、2つの領域の境界帯(26)(29)は両領域の色が混じりあって一方の色から他方の色に徐々に変化しており、且つ塗装面は全面に亘って光沢があり光を反射して輝くことを特徴とする釣用錘」
【請求項2】
「外周面の全体に塗装が施された真鍮製釣用錘において、略砲弾形に形成されて大径部の端面が凹んでおり、塗装面は軸芯を挟んで左右に2分割する領域(24)(25)或いは上下に2分割する領域(27)(28)の夫々の領域に異なる色の塗装が施され、2つの領域の境界帯(26)(29)は両領域の色が混じりあって一方の色から他方の色に徐々に変化しており、且つ塗装面は全面に亘って光沢があり光を反射して輝くことを特徴とする釣用錘」
【請求項3】
「釣針(4)を一体に具え錘の外周面の全体に塗装が施された釣針付き錘(6)において、塗装面の全体は2分割して夫々の領域(64)(65)に異なる色の塗装が施され、2つの領域(64)(65)の境界帯(66)は両領域の色が混じりあって一方の色から他方の色に徐々に変化しており、且つ塗装面は全面に亘って光沢があり光を反射して輝くことを特徴とする釣針付き錘」
2.請求人の主張
請求人は、「第3012342号登録実用新案を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、証拠方法として下記の甲号各証及び検甲1号証を提出し、前記請求項1、2に係る考案は、本件出願前日本国内において頒布された刊行物に記載された考案、もしくは公然と知られ公然と実施された考案であって、実用新案法第3条第1項第3号もしくは同法第3条第1項第1号又は第2号に該当し、実用新案登録を受けることができないものであり、前記請求項3に係る考案は、本件出願前日本国内において頒布された刊行物に記載された考案、もしくは公然と知られ公然と実施された考案に基づき当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであることから、本件登録は、実用新案法第37項第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである旨主張している。

甲第2号証:「TIFA 1994 CATALOGUE」の表紙及び第89頁
甲第3号証:「TIFA 1995 CATALOGUE」の表紙及び第85頁
甲第4号証:「TIFA 1996 CATALOGUE」の表紙及び第89頁
甲第5号証:実願平4ー56756号(実開平6ー7481号)のCD-ROM
甲第6号証:特開平5ー284886号公報
甲第7号証:「BASS PRO SHOPS 1994 CATALOG」表紙及び第215頁
甲第8号証:実願平5ー8058号(実開平6ー60356号)のCD-ROM
検甲第1号証:FIFA社製釣用錘「カラーシンカー」品番06 製品
なお、甲第2、3、4号証として提出されたものをみると、それぞれ表紙も添付されていることから、また甲第6、8号証として提出されたものをみると、明細書全文も添付されていることから、それぞれ上記のように認定した。
3.被請求人の答弁
被請求人に請求人の提出した審判請求書を送付し、期間を指定し、答弁書の提出を求めたが、被請求人からは、この答弁書の提出はなく、請求人の主張に対し何ら答弁がない。
4.当審の判断
(1)請求項1に係る考案(以下、本件考案1という。)について
甲第2号証の公知性について、請求人は、同甲号証はTIFA社が日本国内で発行した1994年(平成6年)版のカタログであり、少なくとも本件出願の出願日である平成6年12月13日以前には発行されたもので、甲第3、4号証からこの種のカタログは、毎年定期的に発行されているものである旨主張している。
そこで、甲第2号証をみてみると、その表紙には、「TIFA 1994 CATALOGUE」とあることから、甲第2号証は、TIFA社の1994年版のカタログであると認められる。そうであるとすると、甲第2号証は、カタログという性格上、販売店等に広く頒布された刊行物であると推認でき、また、1994年版ということから、その年に販売される商品を掲載したもので、その頒布は1994年の早い時期であり、その年の12月という遅い時期ではないと考えるのが常識的であり、本件出願前に頒布されたものと推認できる。さらには、商品紹介が、日本語で記載されていることから、日本で頒布されたものと推認できる。
そして、同号証の前記公知性についての被請求人の反論はなく、上記推認したことを覆す証拠は見あたらない。
以上のことから、甲第2号証は、本件出願前日本国内において頒布された刊行物と認めることができる。
つぎに、この甲第2号証の記載内容をみてみると、その第89頁には、「カラーシンカー」及び「カラードブラスシンカー」という釣用錘の商品の外観のカラーの写しが記載されている。これをみると、「カラードブラスシンカー」という釣用錘の中に、「外周面の全体に塗装が施された釣用錘において、上下に2分割する領域の夫々の領域に異なる色の塗装が施され、2つの領域の境界帯は両領域の色が混じりあって一方の色から他方の色に徐々に変化しており、且つ塗装面は全面に亘って光沢があり光を反射して輝くことを特徴とする釣用錘」を認めることができる。
そうすると、本件考案1は、本件出願前日本国内において頒布された刊行物に記載された考案と同一と認められ、実用新案法第3条第1項第3号に該当し実用新案登録を受けることができない。
(2)請求項2に係る考案(以下、本件考案2という。)について
甲第2号証に記載された前記「カラードブラスシンカー」という釣用錘は、略砲弾形に形成されて大径部の端部が凹んでいるものと認められるので、甲第2号証には、「外周面の全体に塗装が施された釣用錘において、略砲弾形に形成されて大径部の端面が凹んでおり、上下に2分割する領域の夫々の領域に異なる色の塗装が施され、2つの領域の境界帯は両領域の色が混じりあって一方の色から他方の色に徐々に変化しており、且つ塗装面は全面に亘って光沢があり光を反射して輝くことを特徴とする釣用錘」が記載されていると認められる。
そして、釣用錘の材質として真鍮を採用することは、本件出願前当業者において周知のことと認められ(要すれば、甲第5、6号証参照)、また本件考案2において、釣用錘の材質として真鍮を採用したことに格別の技術的意義は認められない。
そうすると、本件考案2は、甲第2号証に記載された前記釣用錘においてその材質として単に周知の真鍮を採用したにすぎないものであり、本件考案2と甲第2号証に記載された前記釣用錘とは実質的に同一のものと認められる。
そうであると、本件考案2は、本件出願前日本国内において頒布された刊行物に記載された考案と同一を認められ、実用新案法第3条第1項第3号に該当し実用新案登録を受けることができない。
(3)請求項3に係る考案(以下、本件考案3という。)について
本件考案3と甲第2号証に記載された前記釣用錘とを比較すると、本件考案3は、錘と一体に釣針を設けた点で甲第2号証に記載された前記釣用錘と相違するものと認められる。
しかし、甲第8号証には、錘と釣針とを一体化したものが記載されており、また、甲第2号証の前記釣用錘において、釣針を一体化することに格別の構造上の困難性はなく、さらには、本件考案3において錘と釣針とを一体化したことにより、甲第2号証の前記釣用錘と甲第8号証記載の錘から予測できない効果を奏するものとも認めらないことから、本件考案3は、本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第2、8号証の記載された考案に基づき当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められる。
そうすると、本件考案3は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
なお、検甲第1号証の検証については、本件考案1?3がそれぞれ上記のごとく判断されるので、その必要性がない。
5.以上の検討において示した理由により、本件考案1、2、3は、実用新案登録を受けることができないものであり、これら考案に係る本件登録は、実用新案法第37条第1項第2号に該当し無効にされるべきものである。
よって、結論のごとく審決する。
審理終結日 1997-08-28 
結審通知日 1997-09-26 
審決日 1997-09-29 
出願番号 実願平6-15360 
審決分類 U 1 111・ 121- Z (A01K)
U 1 111・ 113- Z (A01K)
最終処分 成立    
特許庁審判長 酒井 雅英
特許庁審判官 田中 久直
木原 裕
登録日 1995-04-05 
登録番号 実用登録第3012342号(U3012342) 
考案の名称 釣用錘  
代理人 清原 義博  

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