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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認めない。無効とする(申立て全部成立) A01K
管理番号 1016762
審判番号 審判1998-35101  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-12-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-03-13 
確定日 2000-05-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第2144328号実用新案「両軸受リール」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2144328号実用新案の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1、手続の経緯
本件登録第2144328号実用新案に係る出願は、平成2年6月21日に実用新案登録出願され、出願公告(実公平8-10283号)後、平成8年11月28日にその実用新案権の設定の登録がなされたものである。
この実用新案登録に対して請求人より平成10年3月13日に本件無効審判の請求がなされ、平成10年9月11日付け訂正請求書により明細書の訂正が請求され、請求人より弁駁書が提出され、さらに被請求人より平成11年7月2日付け訂正請求書により明細書の訂正が請求された。
この訂正に対し、請求人より弁駁書が提出され、当審において訂正拒絶理由を通知したところ、意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2、訂正請求について
2-1、訂正明細書の考案
訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「訂正明細書の考案」という)は、上記手続補正書で補正された訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「左右のサイドケースの間にスプール、ハンドル軸、回転伝動軸がそれぞれ平行に回転支持された両軸受リールであって、
釣り糸巻取り用のハンドル(7)を取り付けたハンドル軸(9)と、そのハンドル軸(9)より動力伝達を受けてドラグ機構(B)を介してスプールに回転を伝動する回転伝動軸とを、リール本体の異なる部位に平行に支承して連動連結するとともに、前記ドラグ機構(B)とハンドル軸(9)との間に介在された回転伝動軸とリール本体との間に、前記ハンドル軸(9)の釣り糸繰出し方向への回動を阻止するローラ型一方向クラッチ(E)を前記回動伝動軸上に備え、前記ローラ型一方向クラッチ(E)の固定レースを前記リール本体の軸受部に固定している両軸受リール。」

2-2、引用例記載の考案
訂正拒絶理由で引用した実願昭62-132079号(実開昭64-38964号)のマイクロフイルム(以下、「引用例」という)には、
「第1図は本考案にかかる逆転止め機構を備えたスピニングリールの一部切欠きの側面図である。
図において、1は釣竿への取付脚2を備えたリールボディであり、このリールボディ1の前面壁3には、これを直角に貫通する中空のフライヤ軸4がラジアル軸受5により回転可能に軸着されていると共に、前面壁3に嵌着したコロタイプの一方向ベアリング6により支持され、これにより、フライヤ軸4を糸巻取り方向には回転し、糸繰出し方向には回転できないようになっている。」(4頁10行?19行)
「第2図は、本考案の逆転止め一方向ベアリングをスピニングリールのハンドル軸側に設けた場合の第2の実施例を示す要部の断面図である。・・・リールボディ1にラジアル軸受20,20により回転可能に横架した中空駆動軸14aの一端部を、一方のラジアル軸受20に近接してリールボディ1に固定した一方向ベアリング21に嵌合し、これにより、ドライブギア14の中空駆動軸14aに一方向、即ち中空駆動軸14aが糸巻取り方向(第2図の矢印C方向)の回転を許し、その逆方向の回転をロックするようになっている。・・・
第3図は、本考案の逆転止め用一方向ベアリングをレバードラグ方式の両軸受リールに適用した場合の第3の実施例を示す。
図において、リールボディ30の左右両側枠30a,30b間に軸線方向に移動可能に横架したスプール軸31には、スプール32が回転可能に支持されている。右側枠30a内に位置するスプール軸31には、ピニオン33が回転可能に、かつスプール軸31の軸線方向に相対移動可能に嵌合され、このピニオン33は、さらに軸受33aによって右側枠30aに支持されている。また、ピニオン33の一端は、ドラグ装置34を構成する押圧板34aに結合されている。・・・
また、40は右側枠30aに上記スブール軸31と平行に設けた駆動軸で、この駆動軸40は逆転止め用の一方向ベアリング41により右側枠30aに一方向にのみ回転できるよう支持されている。このようにした駆動軸40の右側枠30a内突出端には、上記ピニオン33と噛合するドライブギア42が固着され、さらに右側枠30aの外突出端には糸巻取り操作用のハンドル43が取り付けられている。」(8頁14行?11頁16行)
「第4図は、逆転止め用の一方向ベアリングで回転体の軸受を兼ね得るようにした、本考案の第4の実施例を示す要部の断面図である。」(13頁2?4行)
と記載されている。
そして、一方向ベアリングは、固定レースによって軸受部に固定されているから、上記記載及び図面によると、引用例には、左右の側枠30a,30bの間にスプール32、駆動軸40、スプール軸31、ピニオン33がそれぞれ平行に回転支持された両軸受リールであって、釣り糸巻取り用のハンドル43を取り付けた駆動軸40と、その駆動軸40より動力伝達を受けてドラグ装置34を介してスプール32に回転を伝動するピニオン33とを、リールボディ30の異なる部位に平行に支承して連動連結するとともに、前記ドラグ装置34と駆動軸40との間にピニオン33を介在させ、前記駆動軸40の釣り糸繰出し方向への回動を阻止する一方向ベアリング41を駆動軸40に備え、前記一方向ベアリング41の固定レースを前記リールボディ30の軸受部に固定している両軸受リール(以下、「引用例の考案」という)が、記載されていると認められる。

2-3、対比・判断
訂正明細書の考案と引用例の考案とを比較すると、引用例の考案の「左右の側枠30a,30b」、「駆動軸40」、「ドラグ装置34」、「リールボディ30」、「ピニオン33」及び「一方向ベアリング41」が、訂正明細書の考案の「左右のサイドケース」、「ハンドル軸(9)」、「ドラグ機構(B)」、「リール本体」、「回転伝動軸」及び「ローラ型一方向クラッチ(E)」にそれぞれ相当しているので、両者は、
左右のサイドケースの間にスプール、ハンドル軸、回転伝動軸がそれぞれ平行に回転支持された両軸受けリールであって、釣り糸巻取り用のハンドルを取り付けたハンドル軸と、そのハンドル軸より動力伝達を受けてドラグ機構を介してスプールに回転を伝動する回転伝動軸とを、リール本体の異なる部位に平行に支承して運動連結するとともに、ハンドルの回転を前記ドラグ装置に伝える駆動部材に、前記ハンドル軸の釣り糸繰出し方向への回動を阻止するローラ型一方向クラッチを備え、前記ローラ型一方向クラッチの固定レースを前記リール本体の軸受部に固定している両軸受リールで一致し、
ローラ型一方向クラッチを、訂正明細書の考案では、ドラグ機構(B)とハンドル軸(9)との間に介在された回転伝動軸とリール本体との間に備えているのに対し、引用例の考案では、ハンドル軸である駆動軸40とリール本体との間に備えている点
で構成が相違している。
上記相違点について検討するに、引用例には、スピニングリールにおいて、一方向ベアリング6を、フライヤ軸4上に備えた第1実施例のものと、ドライブギア14の中空駆動軸14aに備えた第2実施例のものが記載されており、また、両軸受リールにおいて、ハンドル軸以外の部分に一方向クラッチを設けることは周知技術(例えば、実願昭60-201634号(実開昭62-107671号)のマイクロフイルム参照)である。
これらから、釣り用リールにおいて、一方向クラッチの機能を有する一方向ベアリングは、ハンドルによって駆動される回転部分に設ければその作用を奏することができ、また、ドラグ機構を有する両軸受リールにおいては、ハンドルからドラグ機構への動力経路中に一方向ベアリングを設ければよいことが理解できる。
そうすると、引用例の第3図に、第3実施例として記載されている両軸受リールにおいて、ピニオン33を、一方向ベアリングで軸支するようにして訂正明細書の考案のように構成することは、当業者がきわめて容易にできる程度の設計事項にすぎない。
そして、訂正明細書の考案が奏する効果は、引用例の考案及び周知技術から予測できる程度のことであって格別のものではない。
したがって、訂正明細書の考案は、引用例の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない。

2-4、むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成5年法律第26号附則第4条によって読み替えられた実用新案法40条第5項の規定で準用する実用新案法39条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

3、無効審判について
3-1、請求の理由
本件の請求項1に係る考案は、甲第1号証(実願昭62-132079号(実開昭64-38964号)のマイクロフイルム)に記載された考案に基いて、当業者が容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、その実用新案登録は、実用新案法37条第1項第1号の規定に該当し無効とされるべきである。

3-2、当審の判断
本件の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という)は、登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、
「釣り糸巻取り用のハンドル(7)を取り付けたハンドル軸(9)と、そのハンドル軸(9)より動力伝達を受けて出力する回転伝動部材(D)とを、リール本体の異なる部位に支承して連動連結するとともに、前記回転伝動部材(D)とリール本体との間に、前記ハンドル軸(9)の釣り糸繰出し方向への回動を阻止する一方向クラッチ(E)を備え、前記一方向クラッチ(E)の固定レースを前記リール本体に固定している両軸受リール。」
にある。
甲第1号証(上記2-2、の「引用例」と同じ)には、上記「2-2、引用例記載の考案」に記載したとおりの考案が記載されている。
本件考案と上記甲第1号証に記載の考案とを比較すると、甲第1号証に記載の考案の「駆動軸40」、「リールボディ30」、「ピニオン33」及び「一方向ベアリング41」が、本件考案の「ハンドル軸(9)」、「リール本体」、「回転伝動部材(D)」及び「一方向クラッチ(E)」にそれぞれ相当しているので、両者は、
釣り糸巻取り用のハンドルを取り付けたハンドル軸と、そのハンドル軸より動力伝達を受けて出力する回転伝動部材とを、リール本体の異なる部位に支承して連動連結するとともに、前記ハンドル軸の釣り糸繰出し方向への回動を阻止する一方向クラッチを備え、前記一方向クラッチ(E)の固定レースを前記リール本体に固定している両軸受リールで一致し、
一方向クラッチを、本件考案では、ハンドル軸(9)より動力伝達を受けて出力する回転伝動部材(D)とリール本体との間に備えているのに対し、甲第1号証に記載の考案では、ハンドル軸である駆動軸40とリール本体との間に備えている点
で構成が相違している。
しかしながら、上記相違点は、上記「2-3、対比・判断」に記載した理由により当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
したがって、本件考案は、甲第1号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

3-3、むすび
以上のとおりであるから、本件考案の実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第1号に該当するから、無効とされるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-02-09 
結審通知日 2000-02-22 
審決日 2000-03-15 
出願番号 実願平2-65631 
審決分類 U 1 112・ 121- ZB (A01K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 星野 浩一  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 白樫 泰子
新井 重雄
登録日 1996-11-28 
登録番号 実用新案登録第2144328号(U2144328) 
考案の名称 両軸受リール  
代理人 布施田 勝正  
代理人 水野 浩司  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 中村 誠  
代理人 坪井 淳  
代理人 小林 茂雄  
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