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審決分類 審判 全部申し立て   B60J
管理番号 1016793
異議申立番号 異議1998-74706  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-09-21 
確定日 2000-03-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2568723号「自動車用ドアガラスラン」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2568723号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1手続きの経緯
本件登録2568723号実用新案の請求項1に係る考案は、平成4年8月28日に実用新案登録出願され、平成10年1月16日にその実用新案登録の設定登録がなされ、その後、宮首一生より異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年2月19日に訂正請求がなされたものである。
2訂正の適否について
(1) 訂正の内容
実用新案権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
(実用新案登録請求の範囲)
a 請求項1の「ドアガラス(19)が前記ドアガラスラン(1、21)に嵌入された状態のときに、前記車外側シールリップ(7、27)が前記空隙部(10)に収納可能」を「ドアガラス(19)が前記ドアガラスラン(1、21)に嵌入されてドアガラスの外面が前記ガラスラン底部側の車外側側壁部の内面に接触した状態のときに、前記車外側シールリップ(7、27)がその裏面を前記段状部位よりも開□部(18)側の車外側側壁部(3、23)の内面に非接触の状態で前記空隙部(10)に収納可能」と訂正する。
(考案の詳細な説明)
b 明細書の段落番号【0008】中の記載について上記aと同じ趣旨の訂正をする。
(2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(実用新案登録請求の範囲)
上記訂正事項aについては、実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された「ドアガラスがドアガラスランに嵌入された状態」におけるドアガラスとガラスランの位置関係および「車外側シールリップが空隙部に収納」された状態をより具体的な構成に限定しようとするものである。
したがって、上記訂正事項aは、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(考案の詳細な説明)
上記訂正事項bについては、明細書の段落番号【0008】中の記載と実用新案登録請求の範囲との整合をはかるためのもので不明瞭な記載の釈明を目的とするものである。
また上記訂正事項a及びbは願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内での訂正であり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(3) 独立実用新案登録要件の判新
ア 訂正明細書の請求項1に係る考案〈以下、 「本件考案」という。〉
本件考案は、訂正明細書の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの次のものである。
「底部(12、32)および係止凸部(15,16、35,36)を有する一対の側壁(13,14、33,34)により断面コ字状に形成されたドアフレーム(11、31)の溝(17、37)に嵌合され、該ドアフレームの溝の中心から車外側にオフセットした位置にドアガラス(19)が嵌入されるフラッシュサーフェス型のドアガラスランにおいて、該ドアガラスラン(1、21)は、ガラスラン底部(2、22)と、該ガラスラン底部に連接した車外側及び車内側の側壁部(3,4、23,24)と、該ガラスラン底部と側壁部の連接部から前記ドアフレームの係止凸部方向にそれぞれ延出する係止リップ(5,6、25,26)と、前記両側壁部の先端からそれぞれ前記ガラスラン底部に向かって湾曲して延設された車内側シールリップ(8、28)と、車外側シールリップ(7、27)とを備え、前記ドアガラスランの車外側側壁部(3、23)が、前記ドアフレームの車外側係止凸部(15、35)と対応した位置で段状に形成されるとともに、該段状部位よりも開口部(18)側で、前記車内側側壁部(4、24)との間隔が広くされ、かつ該車外側側壁部(3、23)の内面とガラスラン底部側の車外側側壁部の内面の延長線との間に空隙部(10)が形成され、ドアガラス(19)が前記ドアガラスラン(1、21)に嵌入されてドアガラスの外面が前記ガラスラン底部側の車外側側壁部の内面に接触した状態のときに、前記車外側シールリップ(7、27)がその裏面を前記段状部位よりも開□部(18)側の車外側側壁部(3、23)の内面に非接触の状態で前記空隙部(10)に収納可能な構成としたことを特徴とする自動車用ドアガラスラン。」
イ 引用刊行物
本件考案に対して、当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(特開平1?115725号公報)の明細書及び図面(2図及び6図)には、『底部および係止凸部を有する一対の側壁により断面コ字状に形成されたドアフレーム2の溝に嵌合され、該ドアフレーム2の溝の中心から車外側にオフセットした位置にドアガラス3が嵌入されるフラッシュサーフェス型のドアガラスラン4において、該ドアガラスラン4は、ガラスラン底部と、該ガラスラン底部に連接した車外側及び車内側の側壁41,42と、該ガラスラン底部と側壁41,42の連接部から前記ドアフレーム2の係止凸部方向にそれぞれ延出する係止リップと、前記側壁の先端からそれぞれ前記ガラスラン底部に向かって湾曲して延設された車内側シールリップ44と、車外側シールリップ43とを備え、該係止凸部よりも開口部側で、前記車内側側壁42との間隔が広くされ、かつ該車外側側壁41の内面とガラスラン底部側の車外側側壁41の内面の延長線との間に空隙部が形成され、ドアガラス3が前記ドアガラスラン4に嵌入された状態のときに、前記車外側シールリップ43がその裏面を開□部側の車外側側壁41の前記空隙部に収納可能な構成としたことを特徴とする自動車用ドアガラスラン』が開示されている。
また、刊行物2[実願平2?122283号(実開平4?78018号)のマイクロフイルム]の明細書及び第4ないし6図には、従来例として『底部および係止部を有する一対の側壁により断面コ字状に形成されたチャンネル8がアウタパネル2とインナパネル3の間に配置され、該チャンネル8の溝の中心から車外側にオフセットした位置にウインドウパネル5(本件考案の「ドアガラス19」に相当している。)[以下、()内には、本件考案で相当している事項の用語を示す。]が嵌入されるフラッシュサーフェス型のドアガラスラン7において、該ドアガラスラン7は、ガラスラン底部と、該ガラスラン底部に連接した車外側部7b(車外側の側壁部3、23)及び車内側部7a(車内側の側壁部4、23)と、該ガラスラン底部と側壁の連接部から前記チャンネル8(ドアフレーム11、31)の係止部方向にそれぞれ延出する係止リップと、前記側壁の先端からそれぞれ前記ガラスラン底部に向かって湾曲して延設されたインナリップ7c(車内側シールリップ8、28)と、アウタリップ7d(車外側シールリップ7、27)とを備え、該車外側部7b(車外側側壁部3、23)の内面とガラスラン底部側の車外側部7b(車外側側壁部3、23)の内面の延長線との間に空隙部が形成され、ウインドウパネル5(ドアガラス19)が前記ドアガラスラン7に嵌入されてウインドウパネル表面5b(ドアガラスの外面)が前記ガラスラン底部側の車外側部7b(車外側側壁部3、23)の内面に接触した状態のときに、前記アウタリップ7d(車外側シールリップ7、27)がその裏面を開□部側の車外側側壁の前記空隙部に一部収納可能な構成としたことを特徴とする自動車用ドアガラスラン』が開示されれている。

ウ 対比・判断
本件考案と上記刊行物1及び2に記載の考案とを対比すると、上記刊行物1及び2には、本件考案を特定する事項である「ドアガラスランの車外側側壁部が、ドアフレームの車外側係止凸部と対応した位置で段状に形成される」点及び「ドアガラスの外面が前記ガラスラン底部側の車外側側壁部の内面に接触した状態のときに、前記車外側シールリップ(7、27)がその裏面を前記段状部位よりも開□部(18)側の車外側側壁部(3、23)の内面に非接触の状態で前記空隙部(10)に収納可能」である点が何れにも記載されていない。
そして本件考案は、上記事項の構成を採用したことにより、ドアフレームの車外側の外表面とドアガラスの外表面との間の段差を極めて小さくすることができるという効果を奏する。
したがって、本件考案が、上記刊行物1及び2に記載のものからきわめて容易に考案をすることができたものとはいえない。
また、本件考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案とする他の理由も発見しない。
(4) むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則9条2項の規定により準用される特許法120条の42項及び同条3項で準用する126条の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3実用新案登録異議の申立てについて
上記のとおり、訂正が認められる結果、本件登録に係る考案は、訂正明細書の請求項1に記載された事項により構成されるとおりのものである。
申立人は、甲第1号証(前記刊行物1)及び甲第2号証(前記刊行物2)を提出し、
本件実用新案登録に係る考案は、甲第1号証に開示されている考案と同一もしくは同号証からきわめて容易に考案できたものであるから、実用新案法3条1項3号の考案に該当し、また同3条2項の規定に違反しているので実用新案登録を受けることができないものである旨主張している。
しかしながら、甲第1号証については、上記2(3)ウで示した理由と同じ理由で、本件考案が、甲第1号証に記載の考案と同一もしくは同号証からきわめて容易に考案できたものであるとすることはできない。
なお、甲第2号証についても、前記のとおり、本件考案は、甲第2号証に記載の考案と同一もしくは同号証からきわめて容易に考案することができたものであるとすることはできない。
ウ むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立の理由及び証拠によっては、本件考案に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
自動車用ドアガラスラン
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】底部(12、32)および係止凸部(15,16、35,36)を有する一対の側壁(13,14、33,34)により断面コ字状に形成されたドアフレーム(11、31)の溝(17、37)に嵌合され、該ドアフレームの溝の中心から車外側にオフセットした位置にドアガラス(19)が嵌入されるフラッシュサーフェス型のドアガラスランにおいて、該ドアガラスラン(1、21)は、ガラスラン底部(2、22)と、該ガラスラン底部に連接した車外側及び車内側の側壁部(3,4、23,24)と、該ガラスラン底部と側壁部の連接部から前記ドアフレームの係止凸部方向にそれぞれ延出する係止リップ(5,6、25,26)と、前記両側壁部の先端からそれぞれ前記ガラスラン底部に向かって湾曲して延設された車内側シールリップ(8、28)と、車外側シールリップ(7、27)とを備え、前記ドアガラスランの車外側側壁部(3、23)が、前記ドアフレームの車外側係止凸部(15、35)と対応した位置で段状に形成されるとともに、該段状部位よりも開口部(18)側で、前記車内側側壁部(4、24)との間隔が広くされ、かつ該車外側側壁部(3、23)の内面とガラスラン底部側の車外側側壁部の内面の延長線との間に空隙部(10)が形成され、ドアガラス(19)が前記ドアガラスラン(1、21)に嵌入されてドアガラスの外面が前記ガラスラン底部側の車外側側壁部の内面に接触した状態のときに、前記車外側シールリップ(7、27)がその裏面を前記段状部位よりも開口部(18)側の車外側側壁部(3、23)の内面に非接触の状態で前記空隙部(10))に収納可能な構成としたことを特徴とする自動車用ドアガラスラン。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は自動車のドアフレームに取り付けられ、ドアガラスの端縁をシールするドアガラスランに関し、特に、ドアフレームの外表面とドアガラスの外表面との段差を小さくしたフラッシュサーフェス型の自動車用ドアガラスランに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のドアフレームは、例えば図1に示すような形状をしており、ドアガラスラン(以下、ガラスランと略す)1がドアフレーム11に嵌着され、このガラスラン1に対してドアガラス19が上下に開閉可能に嵌装されている。このドアフレームに装着される従来のフラッシュサーフェス型のガラスランの一例を図4に示した。
【0003】
この図4に示したガラスラン41は、ゴム、または塩化ビニル等の合成樹脂にて押出成形により形成されている。なお、図4は図1に示す自動車ドアのA-A線の断面図である。ガラスラン41は、ガラスラン底部42と、この底部42に連接している車外側側壁部43、及び車内側側壁部44と、両側壁部43、44の先端からそれぞれ端部がガラスラン底部42に向かって延設され、ドアガラス19側に向けて突出するように湾曲した車外側シールリップ47及び車内側シールリップ48とを備えている。そして、ガラスラン41は、ガラスラン底部42と、両側壁部43、44とによって、下方側が開口した断面コ字状に形成されている。また、ガラスラン41の抜け防止として、同じく下方側が開口した断面コ字状に形成されたドアフレーム51の側壁53、54の端部に形成された車外側係止凸部55及び車内側係止凸部56で、ドアフレーム51の開口部方向への移動を阻止する車外側係止リップ45及び車内側係止リップ46が、車外側及び車内側両側壁部43、44からドアフレーム51の係止凸部55、56に向かってそれぞれ突設されている。
【0004】
また、フラッシュサーフェス型のガラスランの特徴としてドアガラスは極力ドアフレームの車外側に配置する必要があり、ガラスラン41にはドアガラス19が車外側にオフセットした位置に挿入される。従って、ガラスラン41の車外側シールリップ47は小さいが、車内側シールリップ48は大きく、かつ長く形成されている。なお、図においてガラスラン及びドアフレームの上部をそれぞれ底部と称したが、開口部に対して溝の底部と言うことで通称このように称されている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
この従来のガラスラン41では、ガラスラン41の車外側側壁部43の係止リップ45が係止されるドアフレーム51に厚みがあることと、ガラスラン41の車外側シールリップ47がガラスラン41の車外側側壁部43より内部、即ちドアガラス19側へ突設されているため、ドアガラス19とドアフレーム51の外面との段差が、ドアガラス19の挿入位置をオフセットしない場合よりは小さくなるが、それでもまだ、十分とは言えなかった。
【0006】
また、この段差を小さくするためにドアフレームの車外側側壁を薄くし、かつ車外側シールリップをドアフレームの車外側先端より突設させるタイプも提案されているが、このものは、ガラスランのドアフレームから車外へ露出する部分が多くなり、見栄えを悪くしたり、シールリップの根元の肉厚を厚肉にできないことからシール力が低下したり、また、ガラス摺動部にあっては、ドアガラスを開けた際、このシールリップが車外へ反転し、捲くれ出る等の難点があった。
【0007】
本考案は上記に鑑みて、面一化をより一層達成し、見栄え、空力特性等を向上させたフラッシュサーフェス型の自動車用ドアガラスランを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案は底部および係止凸部を有する一対の側壁により断面コ字状に形成されたドアフレームの溝に嵌合され、該ドアフレームの溝の中心から車外側にオフセットした位置にドアガラスが嵌入されるフラッシュサーフェス型のドアガラスランにおいて、該ガラスランは、ガラスラン底部と、該ガラスラン底部に連接した車外側及び車内側の側壁部と、該ガラスラン底部と側壁部の連接部から前記ドアフレームの係止凸部方向にそれぞれ延出する係止リップと、前記両側壁部の先端からそれぞれ前記ガラスラン底部に向かって湾曲して延設された車内側シールリップと、車外側シールリップとを備え、前記ガラスランの車外側側壁部が、前記ドアフレームの車外側係止凸部と対応した位置で段状に形成されるとともに、該段状部位よりも開口部側で、前記車内側側壁部との間隔が広くされ、かつ該車外側側壁部の内面とガラスラン底部側の車外側側壁部の内面の延長線との間に空隙部が形成され、ドアガラスが前記ガラスランに嵌入されてドアガラスの外面が前記ガラスラン底部側の車外側側壁部の内面に接触した状態のときに、前記車外側シールリップがその裏面を前記段状部位よりも開口部側の車外側側壁部の内面に非接触の状態で前記空隙部に収納可能な構成としたことを特徴とする。
【0009】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を、図例に基づいて説明する。
図2は実施例のガラスランの図1のA-A線断面図である。このガラスラン1は断面コ字状に形成されたドアフレーム11内に嵌装されている。ドアフレーム11は底部12、車外側側壁13及び車内側側壁14からなり、板金を曲折して形成し、平板状に形成された車外側側壁13には、係止凸部15が中央部近傍、図例では少し開口部18側の位置でガラスラン1の車外側側壁部3の肉厚の1乃至1.5倍程度の大きさで溝17の内側に向かって突設されている。市内側側壁14は底部12及び開口部18側の両端部を含めて逆己字状に形成され、開口部側が溝17の内側に突出して係止部16を形成している。
【0010】
ガラスラン1は前記ドアフレーム11に嵌着可能に、ガラスラン底部2と、この底部2の両端から略垂直に車外側側壁部3と車内側側壁部4とが連接されている。なお、車外側と車内側の区別はガラスラン1がドアフレーム11に装着された状態での位置関係で定めてある。そして、車外側側壁部3と車内側側壁部4の先端にそれぞれ車外側シールリツプ7及び車内側シールリップ8がドアガラス19側に、かつその先端がガラスラン底部2に向かって設けられている。このシールリップ7、8はドアガラス19が車外側にオフセットされた位置に配設されるため、車外側シールリップ7は短く、車内側シールリップ8は長く、かつ大きく形成されている。また、両シールリップ7、8はドアフレーム11の側壁13、14の端部側において、これら端部を覆うようにしてガラスラン1の車外側側壁部3及び車内側側壁部4よりそれぞれ若干外方に突出されている。ただし、この場合、面一化の機能上ドアフレーム11の車外側側壁13の先端から、この車外側シールリップ7の若干の突出部を車外側に突出させないようにする。
【0011】
また、ガラスラン1の底部2と車外側側壁部3との連接部からは、ドアフレーム11の車外側側壁13の車外側係止凸部15に向かって車外側係止リップ5が突設されている。また、底部2と車内側側壁部4との連接部からは同様に車内側係止リップ6がドアフレーム11の車内側側壁14に形成された車内側係止凸部16に向かって突設されている。
【0012】
この考案のガラスランの要部は車外側側壁部と車外側シールリップとの配置構造にある。即ち、この実施例では、ガラスラン1の車外側側壁部3はドアフレーム11の車外側係止凸部15と対応した位置で段状に形成されるとともに、この段状部位よりも開口部18側で、車内側側壁部4との間隔が広くされ、かつこの車外側側壁部3の内面とガラスラン底部2側の車外側側壁部3の内面の延長線との間に空隙部10が形成され、この車外側側壁部3の段状部位から開口部18側の端部にかけての外側の形状はドアフレーム11の車外側側壁13の形状に沿わせ、かつ好ましくは若干薄肉とした薄肉部9として成形されている。そして、ドアガラス19がこのガラスラン1の断面コ字状の溝内の中心から車外側にオフセットされた位置に嵌入されたときに、この空隙部10に車外側シールリップ7が収納可能に構成されている。
【0013】
図3はこの考案の第二の実施例を示す。ガラスラン21は、ガラスラン底部22と、車外側側壁部23と、車内側側壁部24とで断面略コ宇状に形成され、さらに、車外側シールリップ27、及び車内側シールリップ28とを備えて、第一実施例と略同様に形成されている。このガラスラン21では、両側壁部23、24の端部においてそれぞれのシールリップ27、28の反対側にモールリップ29、30が延設されている。このモールリップ29、30はドアフレーム31の車外側側壁33及び車内側側壁34の端部を覆って両側壁33、34に嵌着されている。特にドアフレーム31の車外側側壁33にあっては、モールリップ29がこの車外側側壁33に接着されている。
【0014】
この第二実施例ではドアフレーム31のガラスラン21が装着される部分、一般にチャンネルと言われる部分の構造が簡略化されている。即ち断面コ字状で溝37の内側に切り起こしを突出させ、かつ長手方向に沿って形成した車外側係止凸部35、及び車内側係止凸部36を有する部材をドアフレーム31の内部に配設し、同時にこの部材の側壁とドアフレームの外板部材とでドアフレーム31の車外側側壁33及び車内側側壁34を構成している。ドアフレーム31のガラスラン装着部より上部(図3において)の両側壁33、34は少し両サイドに膨らみ、その後ドアエッジを形成するように窄(すぼ)まっている。即ち、ガラスラン21の車外側のモールリップ29及び車内側のモールリップ30がドアフレーム31の車外側側壁33及び車内側側壁34にそれぞれ被さった状態でモールリップ29、30の外表面とドアフレーム31の表面とが略面一状態になるように構成されている(特に車外側において)。
【0015】
なお、この第二実施例においてはドアフレーム31の車外側及び車内側係止凸部35、36は車外側及び車内側両側壁33、34の下部(ドアフレーム底部32側)に突設したので、ガラスラン21の車外側及び車内側係止リップ25、26はガラスラン21の両側壁部23、24と底部22との連接部から三角形状の小突起として突出されている。そして、この実施例においても、ガラスラン21の車外側側壁部23はドアフレーム31の車外側係止凸部35と対応した位置で段状に形成されるとともに、この段状部位よりも開口部18側で、車内側側壁部24との間隔が広くされ、かつこの車外側側壁部23の内面とガラスラン底部22側の車外側側壁部23の内面の延長線との間に空隙部10が形成され、ドアガラス19がこのガラスラン21の断面コ字状の溝内の中心から車外側にオフセットされた位置に嵌入されたときに、この空隙部10に車外側シールリップ27が収納可能に構成されている。
【0016】
【考案の作用・効果】
以上の説明で明らかなようにこの考案に係るフラッシュサーフェス型のガラスランにおいては、ドアフレームの車外側の外表面とドアガラスの外表面との間の段差を極めて小さくしたので面一化をより達成し、見栄えがよくなると共に、高速走行時の空力特性も向上し、かつ段差部における風の巻き込みによる異音の発生も少なくなる等の優れた効果がある。また、ガラスランの車外側シールリップは特には長く形成されておらず、車外側側壁部の空隙部に収納されるため、ドアガラスの摺動によって捲くれ反転することはない。
【0017】
また、第二実施例ではドアフレームのチャンネルを小型化することができるので、軽量化と低コスト化にも寄与するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案が適用される自動車のドアの正面図である。
【図2】
本考案の第一実施例のガラスランがドアフレームに装着された状態を示す図1のA-A線部位での断面図である。
【図3】
本考案の第二実施例のガラスランがドアフレームに装着された状態を示す図1のA-A線部位での断面図である。
【図4】
従来のガラスランの図1と同じ箇所における装着状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1、21 … ガラスラン
2、22 … ガラスラン底部
3、23 … 車外側側壁部
4、24 … 車内側側壁部
5、25 … 車外側係止リップ
6、26 … 車内側係止リップ
7、27 … 車外側シールリップ
8、28 … 車内側シールリップ
9 … 薄肉部
10 … 空隙部
11、31… ドアフレーム
12、32… ドアフレーム底部
13、33… 車外側側壁
14、34… 車内側側壁
15、35… 車外側係止凸部
16、36… 車内側係止凸部
17、37… 溝
18 … 開口部
19 … ドアガラス
訂正の要旨 特許第2568723号の明細書を以下のとおりに訂正する。
(実用新案登録請求の範囲)
a 請求項1の「ドアガラス(19)が前記ドアガラスラン(1、21)に嵌入された状態のときに、前記車外側シールリップ(7、27)が前記空隙部(10)に収納可能」を特許請求の範囲の減縮を目的として「ドアガラス(19)が前記ドアガラスラン(1、21)に嵌入されてドアガラスの外面が前記ガラスラン底部側の車外側側壁部の内面に接触した状態のときに、前記車外側シールリップ(7、27)がその裏面を前記段状部位よりも開口部(18)側の車外側側壁部(3、23)の内面に非接触の状態で前記空隙部(10)に収納可能」と訂正する。
(考案の詳細な説明)
b 明細書の段落番号【0008】を実用新案登録請求の範囲との整合をはかるため不明瞭な記載の釈明を目的として上記aと同じ訂正をする。
異議決定日 2000-03-08 
出願番号 実願平4-66304 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (B60J)
最終処分 維持    
前審関与審査官 常盤 務  
特許庁審判長 神崎 潔
特許庁審判官 井口 嘉和
鈴木 法明
登録日 1998-01-16 
登録番号 実用新案登録第2568723号(U2568723) 
権利者 豊田合成株式会社
愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地
考案の名称 自動車用ドアガラスラン  
代理人 糟谷 敬彦  
代理人 糟谷 敬彦  

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