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審決分類 審判 全部申し立て   B01D
管理番号 1016794
異議申立番号 異議1998-74233  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-08-25 
確定日 2000-03-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2563843号 「除湿器用熱交換器」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2563843号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1、本件手続の経緯
本件登録第2563843号実用新案(平成4年10月1日実用新案登録出願、平成9年11月14日設定登録)の実用新案登録に対し、異議申立人、山崎広太より実用新案登録異議の申立てがなされ、当審において、取消理由を通知したところ、平成11年2月8日に訂正請求がなされ、異議申立人に訂正請求について審尋したが、応答はなされていない。

2、訂正の適否について
2-1、訂正の内容
(a)実用新案登録請求の範囲の請求項1の第9行に記載された「開口を形成した」を、「開口を形成し、その開口よりも上側に前記伝熱パイプを配設した」と訂正する。
(b)明細書の【0006】欄の第9行?第10行に記載された「開口を形成した」を、「開口を形成し、その開口よりも上側に前記伝熱パイプを配設した」と訂正する。
(c)明細書の【0007】欄の第7行に記載された「分離される。」を、「分離される。分離された空気は、開口よりも上側に配設された伝熱パイプに流入する。」と訂正する。
(d)明細書の【0012】欄の末行に記載された「形成されているる。」を、「形成されている。」と訂正する。
(e)明細書の【0027】欄の第3行に記載された「伝熱パイプに流入することがない。」を、「伝熱パイプに流入することがない。しかも、伝熱パイプが開口よりも上側に配設されているため、分離された水分が巻き上げられて伝熱パイプに流入することがない。」と訂正する。
2-2、訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否
上記(a)の訂正は、実用新案登録請求の範囲の記載において、「開口よりも上側に前記伝熱パイプを配設した」構成を追加して構成をさらに限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、上記(b)(c)(e)の訂正は、考案の詳細な説明の記載を訂正後の実用新案登録請求の範囲の記載と整合させるためのものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものに、また、上記(d)の訂正は誤記の訂正を目的とするものに該当する。
そして、上記(a)ないし(e)の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
2-3、独立実用新案登録要件の判断
(訂正明細書の考案)
訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「訂正明細書の考案」という)は、訂正明細書における実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、次の事項により特定されるものである。
「【請求項1】 筒体の中央部に蒸発器を配設した除湿筒を設け、前記除湿筒の周囲に複数の伝熱パイプを配設して予冷領域とし、その予冷領域の入口を前記筒体の一端側に、出口を他端側に設け、予冷領域の出口から流出する予冷空気を前記一端側に設けた前記除湿筒の入口へ案内する方向変換通路を除湿筒の下方に配設し、前記他端側で除湿筒の出口と前記伝熱パイプの入口とを連通し、前記除湿筒内には同除湿筒内の空気流を上下に蛇行させる複数の通路形成板を設けた除湿器用熱交換器において、
最も出口側の通路形成板を除湿筒の内周面下部から上方に延びるように形成し、その通路形成板の下端には水を通すための開口を形成し、その開口よりも上側に前記伝熱パイプを配設したことを特徴とする除湿器用熱交換器。」
(引用刊行物記載の考案)
当審において通知した取消理由で引用した、実願平1-138772号(実開平3-79067号)のマイクロフイルム(以下、「引用刊行物1」という)、実願平3-22255号(実開平4-110124号)のマイクロフイルム(以下、「引用刊行物2」という)及び、熱交換器ハンドブック編集委員会編「熱交換器ハンドブック(初版)」日刊工業新聞社昭和40年12月25日発行、467?471頁(以下、「引用刊行物3」という)には、次の考案が記載されていると認められる(括弧内に、訂正明細書の考案において対応する構成を記す)。
引用刊行物1
外胴2(筒体)の中央部に主冷却器3(蒸発器)を配設した内胴1(除湿筒)を設け、前記内胴1の周囲に複数の再熱流路6(伝熱パイプ)を配設して予冷流路5(予冷領域)とし、その予冷流路5の流入管20(入口)を前記外胴2の一端側に、出口を他端側に設け、予冷流路5の出口から流出する予冷空気を前記一端側に設けた前記内胴1の開口15(入口)へ案内する空気流路4b(方向変換通路)を内胴1の下方に配設し、前記他端側で内胴1の空間11a(出口)と前記再熱流路6の入口とを連通させた除湿器用熱交換器。
引用刊行物2
蒸発器(冷却器14)を通過した空気を除湿筒(内胴13)の上部に設けた開口21から再熱流路18に流出させ、流入口26から流入する空気を伝熱管15(伝熱パイプ)内を通過させ、冷却器14で冷却した空気と流入口26から流入する空気とを熱交換するように構成するとともに、内胴13の下部に凝縮水分を排出口側に導出できる空間を設けた除湿器用熱交換器。
引用刊行物3
除湿筒内には同除湿筒内の空気流を上下に蛇行させる複数の通路形成板を設けた除湿器用熱交換器において、通路形成板を除湿筒の内周面下部から上方に延びるように形成し、その通路形成板の下端には水を通すための開口を形成した除湿器用熱交換器。
(対比・判断)
訂正明細書の考案と上記引用刊行物1ないし引用刊行物3記載の考案とを比較すると、引用刊行物1ないし引用刊行物3記載の考案には、訂正明細書の考案の「最も出口側の通路形成板を除湿筒の内周面下部から上方に延びるように形成し、その通路形成板の下端には水を通すための開口を形成し、その開口よりも上側に前記伝熱パイプを配設した」構成を備えていない。
そして、訂正明細書の考案は、前記構成により訂正明細書記載の効果を奏するものであるから、訂正明細書の考案が引用刊行物1ないし3記載の考案に基いて当業者がきわめて容易にできたものとすることはできない。
したがって、訂正明細書の考案は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
2-4、むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用される特許法第120条の4第2項、同条第3項で準用する第126条第2ないし4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3、実用新案登録異議申立について
3-1、実用新案登録異議申立理由の概要
本件の請求項1に係る考案は、下記の甲第1号証ないし甲第3号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、その実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきである。

甲第1号証:実願平1-138772号(実開平3-79067号)のマイクロフイルム
甲第2号証:実開平4-110124号公報
甲第3号証:熱交換器ハンドブック編集委員会編「熱交換器ハンドブック(初版)」日刊工業新聞社昭和40年12月25日発行、467?471頁
3-2、当審の判断
本件の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という)は、上記2-3、独立実用新案登録要件の判断における「(訂正明細書の考案)」に記載したとおりのものである。
甲第1号証ないし甲第3号証には、上記2-3、の「(引用刊行物記載の考案)」に記載したとおりの考案が記載されている。
そして、本件考案は、上記2-3、の「(対比・判断)」に記載した理由により甲第1号証ないし甲第3号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
3-3、むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立の理由及び証拠方法によって、本件考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
除湿器用熱交換器
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
筒体の中央部に蒸発器を配設した除湿筒を設け、前記除湿筒の周囲に複数の伝熱パイプを配設して予冷領域とし、その予冷領域の入口を前記筒体の一端側に、出口を他端側に設け、予冷領域の出口から流出する予冷空気を前記一端側に設けた前記除湿筒の入口へ案内する方向変換通路を除湿筒の下方に配設し、前記他端側で除湿筒の出口と前記伝熱パイプの入口とを連通し、前記除湿筒内には同除湿筒内の空気流を上下に蛇行させる複数の通路形成板を設けた除湿器用熱交換器において、
最も出口側の通路形成板を除湿筒の内周面下部から上方に延びるように形成し、その通路形成板の下端には水を通すための開口を形成し、その開口よりも上側に前記伝熱パイプを配設したことを特徴とする除湿器用熱交換器。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は除湿器用の熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の除湿器用熱交換器においては、空気が蒸発器上を前記蛇行状に通過することにより、その空気が冷却されて、空気中の水分が分離され、除湿が行われる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、従来の除湿器用熱交換器においては、空気の流速が速くなると、分離された水が巻き上げられて、その水が除湿された空気に再び混入するおそれがあった。従って、従来は熱交換器を大形化しないかぎり、大流量を得ることができなかった。
【0004】
また、従来の熱交換器においては、蛇行通路の終端にフィルタを設けて、水分分離の確実化を期すものも有るが、このようにすると、構成が複雑になるとともに、熱交換器全体が大形化することになる。
【0005】
しかも、フィルタを設けた場合には、交換や清掃などのメンテナンスが必要で、取扱いに手間がかかるものであった。
この考案の目的は、全体の大形化や構成の複雑化を招くことなく、大流量であっても確実に除湿を行うことができ、しかもメンテナンス上も有利な除湿器用熱交換器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために本願考案では、筒体の中央部に蒸発器を配設した除湿筒を設け、前記除湿筒の周囲に複数の伝熱パイプを配設して予冷領域とし、その予冷領域の入口を前記筒体の一端側に、出口を他端側に設け、予冷領域の出口から流出する予冷空気を前記一端側に設けた前記除湿筒の入口へ案内する方向変換通路を除湿筒の下方に配設し、前記他端側で除湿筒の出口と前記伝熱パイプの入口とを連通し、前記除湿筒内には同除湿筒内の空気流を上下に蛇行させる複数の通路形成板を設けた除湿器用熱交換器において、最も出口側の通路形成板を除湿筒の内周面下部から上方に延びるように形成し、その通路形成板の下端には水を通すための開口を形成し、その開口よりも上側に前記伝熱パイプを配設したことをその要旨としている。
【0007】
【作用】
上記構成により、空気は除湿筒内に配設された蒸発器と、その除湿筒の内周面位置から蒸発器の方向へ交互に延びる複数の通路形成板で形成された通路を通過する。すなわち、空気は除湿筒の入口から出口に向けて蛇行する空気流路を通過して冷却され、その空気中の水分は結露される。そして、空気は最も出口側の通路形成板上部の隙間から排出され、水分は下部の開口から排出され、それぞれが分離される。分離された空気は、開口よりも上側に配設された伝熱パイプに流入する。
【0008】
【実施例】
以下、本考案を具体化した一実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、耐圧容器1の内部は円板状の区画プレート2と円環状の区画プレート3とによって3つの室4,5,6に区画されている。両区画プレート2,3間には除湿筒としての区画筒7が架設支持されており、中央の室5は区画筒7によってさらに冷却室5aと予冷室5bとに区画されている。冷却室5aは室6と連通されている。予冷室5bの最下部は図2に示すように一対の隔壁8,9によって方向変換通路5cに区画形成されている。
【0009】
入口8a,9aは区画プレート3側の隔壁8,9に設けられて、予冷室5bは方向変換通路5cと入口8a,9aを介して連通されている。又、吸い上げ管10は区画プレート2側の区画筒7の最下部に貫通止着されて、冷却室5aは方向変換通路5cと吸い上げ管10を介して連通されている。吸い上げ管10の先端は傾斜形成されている。
【0010】
冷凍パイプ11は冷却室5a内に耐圧容器1の端壁1aを貫通して挿入配設されている。多数枚の熱交換フィン12がその冷凍パイプ11に並設支持されている。冷媒は冷凍パイプ11内に供給されており、蒸発器が冷凍パイプ11及び熱交換フィン12により構成されている。
【0011】
複数枚の上部及び下部通路形成板13A,13Bは多数枚の熱交換フィン12の間に所定間隔を置いて挿し込まれており、外れ防止バー14によって結合支持されている。上部通路形成板13Aは上側から挿しこまれており、下部通路形成板13Bは下側から挿しこまれている。上部通路形成板13Aと下部通路形成板13Bとは交互に配設され空気流路23が形成されている。
【0012】
図5に示すように、前記フィン12に押し込むための凹部22が通路形成板13A,13Bに形成されている。又、通路形成板13A,13Bの径は、区画筒7の内径よりわずかに小さく、この実施例では通路形成板13A,13Bと区画筒7との間に0.5mmの間隙が形成されている。又、三角状に切り欠かれた開口である開口部24が下部通路形成板13Bの下方に設けられ、凝縮した水分が流れる水分の通路25が形成されている。
【0013】
図1にもどり、予冷室5b内において、複数本の伝熱パイプ15が区画プレート2,3間に架設支持されており、室4,6が伝熱パイプ15によって連通されている。図7に示すように、円弧状の通路形成板17,18A,18Bが伝熱パイプ15に接合支持されている。伝熱パイプ15と通路形成板17,18A,18Bとの接合は溶接あるいは伝熱パイプ15の拡管による。
【0014】
図2に示すように、通路形成板17の両円弧端は隔壁8,9から離間している。図3に示すように、通路形成板18A,18Bは離間状態で左右対称に配置されており、通路形成板18A,18Bの一方の円弧端が隔壁8,9に接合している。
【0015】
図1に示すように、空気入口19及び空気出口20が耐圧容器1の最上部に設けられており、ドレイン排出口21は耐圧容器1の最下部に設けられている。ドレイン排出口21は室6に連通しており、空気出口20は室4に連通している。空気入口19は予冷室5bに連通しており、空気入口19と空気出口20とは隣合っている。
【0016】
高温湿り空気は空気入口19から予冷室5bに入り、通路形成板17,18A,18Bの方向変換作用によって図7に矢印で示すように予冷室5bを蛇行して流れる。予冷室5bを通過した高温湿り空気は入口8a,9aから方向変換通路5cに入り、吸い上げ管10に向かう。即ち、方向変換通路5c内の空気流は予冷室5b内の空気流に対して逆方向に流れる。
【0017】
方向変換通路5c内の高温湿り空気は吸い上げ管10を経由して冷却室5aに入り、通路形成板13A,13Bの方向変換作用によって図1及び図8に矢印で示すように蛇行しながら熱交換フィン12間を流れる。即ち、冷却室5a内の空気流は予冷室5b内の空気流と同方向に流れる。
【0018】
冷却室5a内の空気は蒸発器の冷却作用によって熱を奪われ、低温になる。この熱交換作用によって空気中の水分が取り除かれ、冷却室5aを通過した空気は低温乾燥空気となる。取り除かれた水分は区画筒7の底部に溜まり、下部通路形成板13Bの開口部24により形成された通路25を通り、区画筒7の端部の下部通路形成板13Bの開口部24から室6に流出される。そして、ドレイン排出口21から排出される。
【0019】
低温乾燥空気は室6を経由して伝熱パイプ15に入り、室4側へ向かう。従って、予冷室5a内の高温湿り空気は低温乾燥空気によって予冷され、この予冷された空気が方向変換通路5cを経由して冷却室5aへ入る。低温乾燥空気は室4に出た後に空気出口20から出て行く。
【0020】
即ち、予冷室5bの入口19及び伝熱パイプ15の出口が耐圧容器1の一端側に配設されている。予冷室5aの出口側と方向変換通路5cの入口8a,9aとは耐圧容器1の他端側に配設され、さらに、予冷室5bの出口(入口19となる)は冷却室5aの入口(吸い上げ管10となる)と方向変換通路5cで接続されている。冷却室5aの出口は伝熱パイプ15の入口と室6で連通されている。この構成により、予冷室5b内の空気流は伝熱パイプ15内の空気流と向流される。
【0021】
伝熱パイプ15内の低温乾燥空気流は予冷室5b内の高温湿り空気流に対して逆方向(向流)となっており、同方向に流れる場合に比して温度差を大きくとることができる。即ち、向流における熱交換率は並流に比して高く、向流による高温湿り空気の予冷程度は並流による予冷程度よりも大きい。従って、向流予冷の場合の蒸発器の負担は並流予冷の場合に比して少なくなり、しかも伝熱パイプ15を通過た低温乾燥空気が温度上昇し、乾燥程度が更に高くなる。
【0022】
本実施例では冷却室5aにおける通路形成板13A,13Bが配列間隔を変更可能となっているが、これは通路形成板13A,13Bの配列間隔が冷却室5aにおける熱交換率を左右することを考慮しているためである。通路形成板13A,13Bの配列間隔が狭まると冷却室5aにおける空気の流速が速くなり、熱交換率が高くなる。即ち、通路形成板13A,13Bの配列間隔を狭めることによって低温乾燥空気の温度が低減する。従って、空気流量が増えた場合にも低温乾燥空気の乾燥程度を同一にしたい場合には通路形成板13A,13Bの配列間隔を狭めればよく、本実施例ではこの変更が可能である。
【0023】
予冷室5bにおいて高温湿り空気から分離された水は方向変換通路5c内に溜まってゆき、方向変換通路5c内の水位が上昇する。この水位上昇によって方向変換通路5c内の通過断面積が減ってゆき、空気流速が上昇してゆく。方向変換通路5c内の水はこの空気流速上昇によって吸い上げ管10から冷却室5aへ吸い上げられる。冷却室5aへ吸い上げられた水は区画筒7の内底面に沿って室6及びドレイン排出口21側へ排出される。
【0024】
吸い上げ管10の先端は傾斜しているが、この傾斜程度はドレイン排出の良悪を左右する。即ち、傾斜角θが小さ過ぎると吸い上げ頻度が少なくなり、吸い上げ水が大きな水滴となって冷却室5aに入る。冷却室5aに入り込んだ水滴が飛散すると飛散水が空気流に乗って伝熱パイプ15へ入り込んでゆき、乾燥程度がばらつく。逆に傾斜程度が大き過ぎると方向変換通路5c内に溜まるドレイン量が多くなり、錆が発生し易くなる。
【0025】
以上のように、この実施例の除湿器用熱交換器においては、区画筒7端部に配設された下部通路形成板13Bにより、空気の流路23と水分の通路25とが分離され、冷却室5aから排出される水分の飛散が防止されている。従って、空気の流速が増しても伝熱パイプ15に送られる空気中に水分が混入されず、所定の露点を実現することができる。又、水分の通路25は下部通路形成板13Bの下部に三角状の開口部24が切り欠いて形成されているため、安価に空気と凝縮水分とを分離することができる。
【0026】
なお、この考案は前記実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、伝熱パイプ15としては熱交換率の高い特殊なパイプを使用してもよい。
さらに、伝熱パイプ15の入口にフィルターを設ける等、この考案の趣旨から逸脱しない範囲で、任意に変更して具体化することも可能である。
【0027】
【考案の効果】
本考案によれば、通路形成板により凝縮水分と空気との流出路が分離されたため、水分の飛散が少なく伝熱パイプに流入することがない。しかも、伝熱パイプが開口よりも上側に配設されているため、分離された水分が巻き上げられて伝熱パイプに流入することがない。従って、水分による露点への影響がなく流量を従来の1.5倍に増やすことができるという効果を奏する。さらに、一枚の通路形成板に開口を形成し、通路形成板の上部を空気の流出路とし、開口を水分の通路としたため、安価に空気と水分とを分離できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案を具体化した一実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1のA-A線断面図である。
【図3】図1のB-B線断面図である。
【図4】図1のC-C線断面図である。
【図5】図1のD-D線断面図である。
【図6】図1のE-E線断面図である。
【図7】予冷室内の通路形成板を示す斜視図である。
【図8】冷却室内の通路形成板を示す斜視図である。
【符号の説明】
7…除湿筒である区画筒、11…蒸発器を構成する冷凍パイプ、12…蒸発器を構成する熱交換フィン、13A,13B…通路形成板、23…空気流路、24…開口である開口部。
訂正の要旨 登録第2563843号実用新案の明細書を本件訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに、すなわち、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として下記(a)のとおりに訂正し、明りょうでない記載の釈明を目的として下記(b)(c)(e)のとおりに訂正し、さらに、誤記の訂正を目的として下記(d)のとおりに訂正する。
(a)実用新案登録請求の範囲の請求項1の第9行(本件実用新案登録公報第1欄第13行)に記載された「開口を形成した」を、「開口を形成し、その開口よりも上側に前記伝熱パイプを配設した」と訂正する。
(b)明細書の【0006】欄の第9行?第10行(同公報第3欄第24行)に記載された「開口を形成した」を、「開口を形成し、その開口よりも上側に前記伝熱パイプを配設した」と訂正する。
(c)明細書の【0007】欄の第7行(同公報第3欄第33行)に記載された「分離される。」を、「分離される。分離された空気は、開口よりも上側に配設された伝熱パイプに流入する。」と訂正する。
(d)明細書の【0012】欄の末行(同公報第4欄第23?24行)に記載された「形成されているる。」を、「形成されている。」と訂正する。
(e)明細書の【0027】欄の第3行(同公報第6欄第39行)に記載された「伝熱パイプに流入することがない。」を、「伝熱パイプに流入することがない。しかも、伝熱パイプが開口よりも上側に配設されているため、分離された水分が巻き上げられて伝熱パイプに流入することがない。」と訂正する。
異議決定日 2000-02-15 
出願番号 実願平4-68739 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (B01D)
最終処分 維持    
前審関与審査官 中野 孝一  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 新井 重雄
鈴木 寛治
登録日 1997-11-14 
登録番号 実用新案登録第2563843号(U2563843) 
権利者 シーケーディ株式会社
愛知県小牧市応時2丁目250番地
考案の名称 除湿器用熱交換器  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 博宣  

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