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審決分類 審判 全部申し立て   A46B
管理番号 1016799
異議申立番号 異議1998-70970  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-02-25 
確定日 2000-03-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2545239号「歯ブラシ」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2545239号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 I.本件実用新案登録第2545239号(以下、「本件実用新案」という。)に係る手続きの経緯は以下のとおりである。
本件実用新案登録の出願日 :平成 2年 8月13日
実用新案権の設定登録 :平成 9年 5月 2日
実用新案登録公報のの発行 :平成 9年 8月25日
実用新案登録異議の申立て
(申立人ライオン株式会社) :平成10年 2月25日
取消理由通知書 :平成10年 5月21日
訂正請求書(請求人) :平成10年 8月 3日
拒絶理由通知書 :平成10年10月22日
意見書(請求人) :平成11年 1月 8日
II.訂正の適否の判断
1.訂正の内容
実用新案登録権者が求めている訂正の内容は以下のとおりである。
訂正事項(1)実用新案登録請求の範囲の請求項1を訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1のとおりに訂正し、請求項2を削除する。
「【請求項1】 首部と、ブリッスルを設けた植毛部とを、把持部に対して上記ブリッスルを設けた側に傾けた歯ブラシにおいて、上記植毛部を、更に上記ブリッスルを設けた側に、上記首部に対し傾けると共に、上記植毛部の長さを10mm?25mmの範囲に設定し、上記植毛部の上記首部に対する傾斜角度を5°?15°の範囲に設定し、また上記植毛部の上記把持部に対する傾斜角度を7°?30°の範囲に設定したことを特徴とする歯ブラシ。」
訂正事項(2)明細書3頁4行の「傾けた」を「傾けると共に、上記植毛部の長さを10mm?25mmの範囲に設定し、上記植毛部の上記首部に対する傾斜角度を5°?15°の範囲に設定し、また上記植毛部の上記把持部に対する傾斜角度を7°?30°の範囲に設定した」と訂正する。
訂正事項(3)明細書3頁19及び20行の「ある。・・・そして、上記植毛部2 を、」を「あり、上記植毛部2を」と訂正する。
訂正事項(4)明細書4頁3?10行の「ここで、・・・である。」を「上記植毛部2 の長さは、10mm?25mmの範囲内でも12mm?22mmに設定することが好ましい。植毛部2 の長さが10mmに満たないときには、植毛面積が小さくなり、刷掃効果が悪くなってしまい、25mmを超えると奥歯の舌側が磨き難くなるためである。」と訂正する。
訂正事項(5)明細書4頁11?18行の「また、・・・である。」を「また、植毛部2の首部4に対する傾斜角度θ_(1)は、5°?15°の範囲内に設定してある。この5°?15°の範囲内でも6°?10°の範囲内に設定することが好ましい。傾斜角度θ_(1) が5°に満たないときには、奥歯を磨く際に頬によって挿入が妨げられ、また15°を超えるときにはブラッシングが行い難くなるためである。」と訂正する。
訂正事項(6)明細書4頁19?5頁9行の「また、・・・である。」を「また、植毛部2の把持部1に対する傾斜角度(上記傾斜角度θ_(1) を含めたトータルの傾斜角度)θ_(2)は、7°?30°の範囲内に設定してある。この7°?30°の範囲内でも10°?20°の範囲内に設定することが好ましい。傾斜角度θ_(2)が7°に満たないときには、奥歯の歯垢の除去率が低く、特に奥歯でのブラッシングが行い難くなり、また傾斜角度θ_(2) が30°を超えるときにも、同様に奥歯の歯垢の除去率が低く、特に奥歯でのブラッシングが行い難くなるためである。」と訂正する。
訂正事項(7)明細書9頁19行の後に、「しかし、本考案の歯ブラシにおいては上記植毛部の上記首部に対する傾斜角度は、5°?15°の範囲内の何れかの角度に固定され、また上記植毛部の上記把持部に対する傾斜角度は、7°?30°の範囲内の何れかの角度に固定されている。」を加入する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項(1)は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであって、訂正前の請求項1に、訂正前の請求項2の要件を付加し、請求項2を削除するものであり、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、該訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
また、訂正事項(2)?(7)は、実用新案登録請求の範囲の記載の訂正に伴い、該実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明とを整合させるものであるから、該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

3.独立登録要件
(本件考案)
訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認められる。
(引用刊行物)
本件考案に対し、当審が取消理由通知ににおいて示した刊行物1には、「本考案の歯ブラシを使用する際には、使用者の歯列形状や歯の大きさ、ブラッシングする部位、の別に従って、適宜個所に指等で外力を加えて各種ブラッシング方法に最適な形状に変形させる。例えば、臼歯部ブラッシングする場合であれば、第2図に示した如く把持部1と 首部3のなす角度をXと設定し、首部3とブラシ部2とがなす角度をYに設定するものとし、又、前歯部や咬合部をブラッシングする場合には、第1図に示した基本形状に戻すものである。このような変形は反復して実施できるので、変形した後実際にブラッシングしてみて歯ブラシの形状が歯の形状に適合しない場合には、歯ブラシの形状を微調整するとともにブラッシングの試行を繰り返して歯ブラシを最適形状に設定することができる。」(公報6頁10行?同7頁5行)こと、「歯ブラシの形状を適宜変形させて理想的なブラッシングを終了した後は、歯ブラシを熱湯に浸けるなどして基本形状に戻してもよいし、変形させた形状を維持しておいてもよい。尚、上述の説明では、第1図に示される歯ブラシの形状を基本形状とし、第2図に示される歯ブラシの形状を変形後の形状としたが、逆に第2図で示される形状を基本形状とし、この基本形状に変形を加えて第1図で示される形状にすることも可能である。」(公報7頁14行?同8頁3行)こと、「使用者の歯列形状や歯の大きさ、口腔内の部位、の別や様々なブラッシング方法に適合した最適形状の歯ブラシを1本の歯ブラシで実現できる。即ち把持部と首部のなす角度を自在に変形させることにより様々なブラッシング方法に適応した歯ブラシの形状を提供することができるのである。」(公報8頁12?19行)ことが図面とともに記載されている。
また、刊行物2には、表1の「市販歯ブラシの形体・価格・持ちやすさ」において、歯ブラシ名「太平工業ジャクスレデイ」は、植毛部の長さが21mm、同じく「ダイエーハブラシ」は、24mm、同じく「ジャクスゲスト4 本組」は、24mm、同じく「モンブランドクター」は、24mmであることが、また、規格として、「歯口清掃指導の手引き」(厚生省)では、「植毛部長さ30mm以下.高さ8mm以上」と、「日本工業規格JIS」では、「植毛部長さ3.5cm以下.高さ8mm以上」となっていること、「歯ブラシを選ぶ基準として,口腔内の隅々まで磨けるような植毛部の小さなものがよいとされていますが,実際に調べてみると,長さが特別に長いものでも38mmで,ほとんどは27?29mmで占められて」(390頁右欄1?5行)いることが記載されている。
(対比・判断)
本件考案と刊行物1記載の考案とを対比すると、両者は、
「首部と、ブリッスルを設けた植毛部とを、把持部に対して上記ブリッスルを設けた側に傾けた歯ブラシにおいて、上記植毛部を、更に上記ブリッスルを設けた側に、上記首部に対して設けたことを特徴とする歯ブラシ。」の点で一致するが、
相違点(1) 植毛部の長さを、本件考案では「10?25mmの長さの範囲に設定し」たのに対し、刊行物1記載の考案は具体的数値が記載されていない点、
相違点(2) 植毛部の首部に対する傾斜角度及び植毛部の把持部に対する傾斜角度を、本件考案では「5°?15°の範囲」及び「7°?30°の範囲」に設定したのに対し、刊行物1記載の考案では具体的数値が記載されていない点、
で相違しているものと認められる。
次に、両者の課題についてみると、本件明細書の〔従来の技術及び考案が解決しようとする課題〕の欄に、「従来より、把持部とブリッスルを設けた植毛部とを同一直線上に形成した歯ブラシや、植毛部を把持部に対して傾斜させた歯ブラシ等が知られている。しかし、植毛部と把持部とを同一直線上に形成した歯ブラシでは、奥歯の頬側と舌側を磨く際、頬、前歯、舌等によって挿入が妨げられることがあった。このため、特にブラッシングになれていない者にとっては、奥歯を磨き残すおそれがあった。又、植毛部を把持部に対して傾けた歯ブラシでも、多少挿入しやすくなるものの、奥歯を磨く時には、頬によって妨げられるおそれがあった。」と記載されているとおり、本件考案は、かかる問題の解決を課題とするものであって、前記の相違点における構成によりこの課題を解決したものである。
一方、刊行物1に記載のものは、従来の歯ブラシの持つ欠点を改良するものであって、使用者個々の歯列形状や歯の大きさに対応し歯ブラシを交換するのではなく、歯ブラシの把持部、首部ブラシ部、ブリッスル、の一部又は全部に形状記憶素材を用いることによって(形状記憶素材はその記憶形状を発現する温度以下では、一定以上の外力を加えれば容易に変形できるので)、使用に際しては歯ブラシの各部分の形状を、使用者の歯列形状や歯の大きさ、ブラッシングする部位、の別に従って最適な形状に簡易に変形させることができるようにし、使用後は、あらかじめ設定された基本形状に強度的な物性の劣化を伴わずに簡易に戻すことができる歯ブラシを提供するこにより、この課題を解決したものである。
要するに、両者は解決すべき課題を異にするとともに、上記の相違点について、刊行物1は何ら言及していない点で相違するものである。
そこで、この相違点についてさらに検討すると、刊行物2には、市販の歯ブラシは、その植毛部の長さが20?38mmの範囲内にあり、又、規格として「歯口清掃指導の手引き」(厚生省)では、植毛部長さ3.5cm以下、「日本工業規格JIS」では、植毛部長さ30mm以下であることは記載されているが、歯ブラシの植毛部の長さを「10?25mmの長さの範囲に設定」し、植毛部の首部に対する傾斜角度及び植毛部の把持部に対する傾斜角度を、「5゜?15゜の範囲」及び「7゜?30゜の範囲」に設定する点については何ら記載も示唆するものでもなく、同刊行物には本件考案の前記の課題は何ら記載されていない。
本件考案は、従来の歯ブラシの「奥歯の頬側と舌側を磨く際、頬、前歯、舌等によって挿入が妨げられる」ことを防止することを課題として認識し、種々試行実験の結果、前記の相違点における構成をとることにより、「奥歯を磨くときでも頬等によって口腔内への挿入が妨げられるおそれがなく、磨き残しが生じない。」ようにしたものであって、本件考案の課題や知見についていずれの刊行物にも示唆するものがない以上、各刊行物に記載の構成を組み合わせるべき動機付けが見あたらないから上記相違点における構成は、各刊行物に記載のものから当業者がきわめて容易に想到し得たとすることはできない。
したがって、本件考案は、刊行物1、2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることができないから、実用新案登録出願の際、独立して実用新案登録を受けることができない考案とすることができない。

(むすび)
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成6年法律第116号附則第9条第2項で準用する特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する特許法第126条第2 ?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.特許異議の申立てについて
1.本件考案
本件考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める。
2.申し立て理由の概要
実用新案登録異議申立人は、「本件請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載された考案に基づいて、また、本件請求項2に係る考案は甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて、それぞれその考案に属する技術の分野における通常の知識を有するものが極めて容易に考案をすることができたものである。 従って、本件の請求項1,2に係る考案は、実用新案登録を受けることができないものである。」
と主張している。
3.判断
本件考案は、上記II.3で示したように、取消理由通知で示した刊行物に記載された考案から、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
また、他に本件請求項1に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
歯ブラシ
(57)【実用新案登録請求の範囲】
首部と、ブリッスルを設けた植毛部とを、把持部に対して上記ブリッスルを設けた側に傾けた歯ブラシにおいて、上記植毛部を、更に上記ブリッスルを設けた側に、上記首部に対して傾けると共に、上記植毛部の長さを10mm?25mmの範囲に設定し、上記植毛部の上記首部に対する傾斜角度を5°?15°の範囲に設定し、また上記植毛部の上記把持部に対する傾斜角度を7°?30°の範囲に設定したことを特徴とする歯ブラシ。
【考案の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本考案は歯ブラシに係り、詳しくは歯磨き時にブリッスルを設けた植毛部が奥歯まで入り易くした歯ブラシに関するものである。
〔従来の技術及び考案が解決しようとする課題〕
従来より、把持部とブリッスルを設けた植毛部とを同一直線上に形成した歯ブラシや、植毛部を把持部に対して傾斜させた歯ブラシ等が知られている。
しかし、植毛部と把持部とを同一直線上に形成した歯ブラシでは、奥歯の▲頬▼側と舌側を磨く際、▲頬▼、前歯、舌等によって挿入が妨げられることがあった。このため、特にブラッシングになれていない者にとっては、奥歯を磨き残しするおそれがあった。
また、植毛部を把持部に対して傾けた歯ブラシでも、多少挿入し易くなるものの、奥歯を磨く時には、▲頬▼によって妨げられるおそれがあった。
従って、本考案の目的は、奥歯を磨くときでも頬等によって口腔内への挿入が妨げられるおそれがなく、磨き残しが生じない歯ブラシを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本考案は、首部と、ブリッスルを設けた植毛部とを、把持部に対して上記ブリッスルを設けた側に傾けた歯ブラシにおいて、上記植毛部を、更に上記ブリッスルを設けた側に、上記首部に対して傾けると共に、上記植毛部の長さを10mm?25mmの範囲に設定し、上記植毛部の上記首部に対する傾斜角度を5°?15°の範囲に設定し、また上記植毛部の上記把持部に対する傾斜角度を7°?30°の範囲に設定したことを特徴とする歯ブラシを提供することにより、上記目的を達成したものである。
〔作用〕
本考案の歯ブラシによれば、奥歯を磨く時に、▲頬▼等に妨げられることなく植毛部を口腔内の奥に挿入することができる。
〔実施例〕
以下、図面を参照しながら本考案の実施例を説明する。
(第1実施例)
第1図は本考案の歯ブラシの第1実施例を示す側面図である。
本実施例の歯ブラシは、把持部1に、ブリッスル3を有した植毛部2を、首部4を介して一体に設けたものであり、上記植毛部2を、首部4に対し屈曲してブリッスル3を設けた側に傾けると共に、把持部1に対しても首部4を屈曲或いは湾曲することよりブリッスル3を設けた側に傾けてある。
上記植毛部2の長さは、10mm?25mmの範囲に設定してある。そしてこの10mm?25mmの範囲内でも12mm?22mmに設定することが好ましい。植毛部2の長さが10mmに満たないときには、植毛面積が小さくなり、刷掃効率が悪くなってしまい、25mmを超えると奥歯の舌側が磨き難くなるためである。
また、植毛部2の首部4に対する傾斜角度θ_(1)は、5°?15°の範囲内に設定してある。この5°?15°の範囲内でも6°?10°の範囲内に設定することが好ましい。傾斜角度θ_(1)が5°に満たないときには、奥歯を磨く際に▲頬▼によって挿入が妨げられ、また15°を超えるときには、ブラッシングが行い難くなるためである。
また、植毛部2の把持部1に対する傾斜角度(上記傾斜角度θ_(1)を含めたトータルの傾斜角度)θ_(2)は、7°?30°の範囲内に設定してある。この7°?30°の範囲内でも10°?20°の範囲内に設定することが好ましい。傾斜角度θ_(2)が7°に満たないときには、奥歯の歯垢の除去率が低く、特に奥歯でのブラッシングが行い難くなり、また傾斜角度θ_(2)が30°を超えるときにも、同様に奥歯の歯垢の除去率が低く、特に奥歯でのブラッシングが行い難くなるためである。
上記把持部1及び上記植毛部2を構成する材料としては、特に限定されず、通常歯ブラシに使用される材料であればよく、例えばAS(アクリロニトリル・スチレン樹脂)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)、PC(ポリカーボネート樹脂)、PBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂)、プロピオネート、熱可塑性エラストマー等で構成することが出来る。
なお、ブリッスル3の先端を球状に形成したものでもよい。
以上のように構成された本実施例の歯ブラシによれば、ブラッシングになれていない人でも、▲頬▼等に妨げられることなく、植毛部2を口腔内の奥に容易に挿入して奥歯の▲頬▼側及び舌側を十分にブラッシングすることができる。
従って、奥歯の磨き残しのおそれがなく、歯垢を除去することができる。
以下の表-1は、上記傾斜角度θ_(1)を、5°、10°、15°に設定し、また上記傾斜角度θ_(2)を、10°、20°、30°に設定した、上記第1実施例の歯ブラシの使いやすさのアンケート・データを示し、また表-2は同傾斜角度に於ける人工歯垢除去率の結果を示したものである。
なお、比較のために、植毛部と首部を同一直線上に位置する如くストレートに形成し、これら植毛部及び首部を把持部に対して、10°、20°、30°傾けた、従来の歯ブラシについてのアンケート・データ及び人工歯垢除去率の結果をそれそれ表-1、表-2に併記した。


上記表-1、表-2から明らかな如く、植毛部と首部を同一直線上に位置する如くストレートに形成し、これら植毛部及び首部を把持部に対して傾けた従来の歯ブラシの場合には、奥歯をブラッシングする際に、植毛部が▲頬▼等に妨げられて、ブラッシングが行い難かった。
これに対して、本実施例の如く、植毛部2を首部4に対しても傾けると、人工歯垢除去率が高まり、またブラッシングが行い易く、操作性が向上した。
(第2実施例)
第2図は本考案の歯ブラシの第2実施例を示す側面図である。なお、第1図に示す部分と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
この第2実施例に示す歯ブラシは、首部4の把持部1寄りの部分4aを、把持部1の中心軸線lに対して下方に一旦湾曲した後、中心軸線lの上方に位置する如く傾けたものである。
このようにすると、上記第1実施例と同様の効果が得られる他に、傾斜角度θ_(2)を30°近くに設定した場合であっても、把持部1から植毛部2の先端までの高さが、高くなり過ぎてしまうおそれがない。
(他の実施例)
本考案の歯ブラシは、上記第1、2実施例に示すように、植毛部2を、把持部1に一体に設けたものに限定されるものではない。
例えば、第3図に示すように、電池5、モーター6等の駆動源を把持部1に内蔵した電動歯ブラシの該把持部1に、首部4及び植毛部2を着脱自在に取り付けたものに適用することができる。なお、第3図中、7は植毛部2に振動を付与すると共に、把持部1と首部4を連結する振動子であり、また4bは首部4の端面に設けた凹部で、上記振動子7が着脱自在に係合する。
また、植毛部2及び首部4がピンを介して把持部1に折り畳み自在に連結したタイプの歯ブラシにも適用することができる。
しかし、本考案の歯ブラシにおいては、上記植毛部の上記首部に対する傾斜角度は、5°?15°の範囲内の何れかの角度に固定され、また上記植毛部の上記把持部に対する傾斜角度は、7°?30°の範囲内の何れかの角度に固定されている。
〔考案の効果〕
本考案の歯ブラシは、奥歯を磨くときでも▲頬▼等によって口腔内への挿入が妨げられるおそれがなく、磨き残しが生じない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の歯ブラシの第1実施例を示す側面図、第2図は本考案の歯ブラシの第2実施例を示す側面図、また第3図は他の実施例を示す分解状態の側面図である。
1;把持部 2;植毛部
3;ブリッスル 4;首部
θ_(1);植毛部の首部に対する傾斜角度
θ_(2);植毛部の把持部に対する傾斜角度
【図面】



訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項(1)実用新案登録請求の範囲の請求項1を訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1のとおりに訂正し、請求項2を削除する。
「【請求項1】首部と、ブリッスルを設けた植毛部とを、把持部に対して上記ブリッスルを設けた側に傾けた歯ブラシにおいて、上記植毛部を、更に上記ブリッスルを設けた側に、上記首部に対し傾けると共に、上記植毛部の長さを10mm?25mmの範囲に設定し、上記植毛部の上記首部に対する傾斜角度を5°?15°の範囲に設定し、また上記植毛部の上記把持部に対する傾斜角度を7°?30°の範囲に設定したことを特徴とする歯ブラシ。」
訂正事項(2)明細書3頁4行の「傾けた」を「傾けると共に、上記植毛部の長さを10mm?25mmの範囲に設定し、上記植毛部の上記首部に対する傾斜角度を5°?15°の範囲に設定し、また上記植毛部の上記把持部に対する傾斜角度を7°?30°の範囲に設定した」と訂正する。
訂正事項(3)明細書3頁19及び20行の「ある。・・・そして、上記植毛部2を、」を「あり、上記植毛部2を」と訂正する。
訂正事項(4)明細書4頁3?10行の「ここで、・・・である。」を「上記植毛部2の長さは、10mm?25mmの範囲内でも12mm?22mmに設定することが好ましい。植毛部2の長さが10mmに満たないときには、植毛面積が小さくなり、刷掃効果が悪くなってしまい、25mmを超えると奥歯の舌側が磨き難くなるためである。」と訂正する。
訂正事項(5)明細書4頁11?18行の「また、・・・である。」を「また、植毛部2の首部4に対する傾斜角度θ_(1)は、5°?15°の範囲内に設定してある。この5°?15°の範囲内でも6°?10°の範囲内に設定することが好ましい。傾斜角度θ_(1)が5°に満たないときには、奥歯を磨く際に頬によって挿入が妨げられ、また15°を超えるときにはブラッシングが行い難くなるためである。」と訂正する。
訂正事項(6)明細書4頁19?5頁9行の「また、・・・である。」を「また、植毛部2の把持部1に対する傾斜角度(上記傾斜角度θ_(1)を含めたトータルの傾斜角度)θ_(2)は、7°?30°の範囲内に設定してある。この7°?30°の範囲内でも10°?20°の範囲内に設定することが好ましい。傾斜角度θ_(2)が7°に満たないときには、奥歯の歯垢の除去率が低く、特に奥歯でのブラッシングが行い難くなり、また傾斜角度θ_(2)が30°を超えるときにも、同様に奥歯の歯垢の除去率が低く、特に奥歯でのブラッシングが行い難くなるためである。」と訂正する。
訂正事項(7)明細書9頁19行の後に、「しかし、本考案の歯ブラシにおいては上記植毛部の上記首部に対する傾斜角度は、5°?15°の範囲内の何れかの角度に固定され、また上記植毛部の上記把持部に対する傾斜角度は、7°?30°の範囲内の何れかの角度に固定されている。」を加入する。
異議決定日 2000-02-03 
出願番号 実願平2-85616 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (A46B)
最終処分 維持    
特許庁審判長 岡田 幸夫
特許庁審判官 大里 一幸
熊倉 強
登録日 1997-05-02 
登録番号 実用新案登録第2545239号(U2545239) 
権利者 花王株式会社
東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
考案の名称 歯ブラシ  
代理人 藤井 紘一  
代理人 羽鳥 修  
代理人 羽鳥 修  

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