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審決分類 審判 全部申し立て   A01D
管理番号 1016803
異議申立番号 異議1999-73803  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-10-05 
確定日 2000-04-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第2593109号「草刈り用車輌」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2593109号の実用新案登録を維持する。
理由 一、手続の経緯
本件登録第2593109号実用新案は、平成5年10月25日に実願平5-57514号として出願され、平成11年1月29日にその実用新案の設定登録がなされ、その後、実用新案登録異議申立人株式会社共立(以下、「申立人」という。)より実用新案登録異議の申立てがなされたものである。

二、本件考案
本件の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】屋根部と前面窓を備えたオープンタイプの運転席を有するクローラ付きの作業車の前部に作業車によって押動駆動される草刈り作業機を取り付けた草刈り用車輌において、前記運転席の開放する両側面に網張りによって形成したサイドドアを設けるとともに、前記運転席の背面を網張りとしたことを特徴とする草刈り用車輌。」

三、実用新案登録異議の申立てについて
1.実用新案登録異議申立ての理由の概要
申立人は、下記の証拠方法を提示して、次の理由により、本件実用新案登録は取り消されるべきであると主張している。
[異議理由]:本件考案は、本件出願前に頒布された刊行物である下記甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案の登録は実用新案法第3条の規定に違反してされたものである。

・甲第1号証:実願平3-16169号(実開平5-60227号)のCD-ROM
・甲第2号証:実開平5-13128号公報
・甲第3号証:実開昭48-7938号公報
・甲第4号証:実公平2ー3930号公報
2.甲第1号証ないし甲第4号証の記載内容
・甲第1号証〔実願平3-16169号(実開平5-60227号)のCD-ROM〕には、乗用型芝刈機に関して、「【請求項1】機体(3)の前部に搭乗操縦部(5)を設け、この搭乗操縦部(5)における操縦座席(10)の後方に、冷却風を前方がわから取入れるエンジン(4)を備えると共に、前記機体(3)の前方下方がわにモーア(6)を配設した乗用型芝刈機であって、前記搭乗操縦部(5)の左右両側の足元箇所に、前記機体(3)の前方下方がわから前記搭乗操縦部(5)へ向かう空気の流れを阻止する保護ドア(12)を、左右側方に対して開閉自在に設けてあることを特徴とする乗用型芝刈機。」(2頁1欄の実用新案登録請求の範囲)、及び「図3には、本考案にかかる乗用型芝刈機の別実施例を示している。この乗用型芝刈機は、前述の芝刈機の構造に、キャビン13を機体カバー3Aの上縁に載設固定した構造となっている。このキャビン13は、搭乗操縦部5及びエンジンボンネット8を覆うように透明プラスチックで形成したものであり、機体カバー3Aとともにその外周形状が側面視でも卵形形状をなすよう構成している。そして、保護ドア12の上部のウィンドウ部分にも、透明プラスチック製のウィンドウ14を設けていると共に、保護ドア12の内側壁には、工具等を入れるためのポケット15を設けている。」(6頁14?21行の段落【0010】)が記載されている。
また、図3には、機体3の前部に搭乗操縦部5を設け、この搭乗操縦部5における操縦座席10の後方に、冷却風を前方がわから取入れるエンジン4を備えると共に、前記機体3の前方下方がわにモーア6を配設した乗用型芝刈機であって、前記操縦座席10のある搭乗操縦部5及び操縦座席10の後方のエンジンボンネット8が透明プラスチック製キャビン13で覆われ、機体3の前記搭乗操縦部5の左右両側面を開放する左右両側部保護ドア12に透明プラスチックによって形成したウィンドウ14を設けた車輪走行式乗用型芝刈機の実施例の全体側面図、が示されている。
・甲第2号証〔実開平5-13128号公報〕には、草刈機に関して、「【請求項1】ゴムクロ-ラを備えた機体の前部に刈取ユニットが装着され、運転者が立った姿勢で乗り込むための運転席ユニットが該機体の後部に装着された構成の草刈機において、前記運転席ユニットは、下端に足載板が水平に取付けられていて、その上端に近い部分が前記機体に支承ピンを介して回動可能に支承される可動主柱と、この可動主柱の適所に装着されて、該可動主柱の傾斜を検出するための傾斜センサ-と、前記可動主柱を前記支承ピンを中心にして回動させるための駆動装置とから成り、前記傾斜センサ-により可動主柱の傾斜を検出して、その検出信号により前記駆動装置を起動させて前記可動主柱が常時垂直を維持するように構成したことを特徴とする草刈機。」(1頁左欄の実用新案登録請求の範囲)が記載されている。
また、第1図には、ゴムクロ-ラ2を備えた機体1の前部に刈取ユニット3が装着され、運転者Mが立った姿勢で乗り込むための運転席ユニットAが該機体1の後部に装着された構成の草刈機の側面図、が示されている。
・甲第3号証〔実開昭48-7938号公報〕には、車輌乗員用休息カバーに関して、「防水布又は布状の適当な物質で作られた車輌窓用カバー1の窓に網4を張り、その内側面にファスナー、又はホック、ボタン等5により開閉出来る窓布6を設け、ドアーと共に開閉出来るドアー部分7をファスナー、又はホック、ボタン等8により着脱出来、又カバーの四隅に固定用U型ゴム3を有する布ゴム帯2を取付け、車輌に装着出来る事を特徴とする車輌乗員用休息カバー。」(1頁の実用新案登録請求の範囲)が記載されている。
また、第1図ないし第3図には、車輌乗員用休息カバーの斜視図、休息カバー右側面を内部より見た窓布開閉説明図及び車輌乗員用休息カバーを車輌に装着した側面図、がそれぞれ示されている。
・甲第4号証〔実公平2ー3930号公報〕には、走行式防除機のキャビンに関して、「車輪によって走行自在な台車の前部に運転席と、中央に薬液タンクと、後部に噴霧部とを配設し、前記運転席を全面的にフードによって被覆され、このフードの前面部、両側面部、後面部にそれぞれ通孔が形成されるとともに、これら通孔の孔縁にはそれぞれ窓枠が嵌着され、これら窓枠に明度の低いメッシュの細かい網体を着脱自在に張設された走行式防除機において、前記フード内に一端がキャビン内に開口され、他端が前面部網体に向って開口されたダクトを接続するとともに、前記フードの側面部内側上部に定着されて前記両側面部、後面部の窓枠に張設した網体を介して外気をフード内に吸引させるブロアを設け、このブロアの加圧風が前記前面部の窓枠に張設した網体を貫通し、常に前面の視界を保持可能として成る走行式防除機のキャビン。」(1頁1欄2?17行の実用新案登録請求の範囲)、及び「第2図、第3図に示すようにフード6の前面部6a、両側面部6b,6b、後面部6cには、それぞれ窓枠9,10,10,11が着脱自在に設けられる。この窓枠9,10,11には、第5図に示すように取り付け用のボルトが溶着されており、蝶ナット13によってフード6の窓枠取付部6fに弾性材14を介して着脱自在に取り付けられる。なおこの場合蝶ナット13の代わりに通常のナットを使用してもよい、前記窓枠9,10,11にはメッシュの細かい網体15が張設されており、この綱体15はフード6内の体積、ブロア17の容量等によって適宜選択されるメッシュのものを使用するが、それとともに例えば黒色等の明度の低い着色が施されており、入射光を吸収して外の視界をよりよくするように配慮してある。そしてこの考案では第3図に示すように、前面部6aに設けられた窓枠9に張設された網体15に臨んで、一端をフロア内に開口したダクト16が、フード6の内側に設けられ、ダクト16の他端はブロア17に接続される。ブロア17はフード6の側面部6bの上部にねじ止めにより定着され、このブロア17及びダクト16によって走行中、前面部6aに設けられた網体15に付着した薬液を、網体を震動させることにより網体の経糸に沿って落下させるのを促進し、あるいは吹き飛ばして前方の視界を確保することができる。しかし加圧風が通過する前面部開口に比して、他の開□部の面積は大きく形成されており、したがつて他の開□部に張設された網体は、極くゆるやかに外気が通過するとともに、外気にわずかに含まれる霧粒を捕捉する。」(4欄17行?5欄3行)が記載されている。
また、第1図ないし第5図には、防除機本体2の前方部にある運転席8を覆うように設けられたフード6がヒンジ12とダンパ7とにより開閉自在に枢支され、該フード6の前面部6a、両側面部6b,6b、後面部6cに設けられる窓枠9,10,10,11に網体15が張設された走行式防除機のキャビンが図示されている。
3.対比
甲第1号証の記載からみて、甲第1号証には、「機体3の前部に搭乗操縦部5を設け、この搭乗操縦部5における操縦座席10の後方に、冷却風を前方がわから取入れるエンジン4を備えると共に、前記機体3の前方下方がわにモーア6を配設した乗用型芝刈機であって、前記操縦座席10のある搭乗操縦部5及び操縦座席10の後方のエンジンボンネット8が透明プラスチック製キャビン13で覆われ、機体3の前記搭乗操縦部5の左右両側面を開放する左右両側部保護ドア12に透明プラスチックによって形成したウィンドウ14を設けた車輪走行式乗用型芝刈機」が記載されていると認める。
ここで、本件考案と甲第1号証に記載の考案とを対比すると、甲第1号証に記載の考案の「操縦座席10のある搭乗操縦部5を覆う透明プラスチック製キャビン13」「機体3の左右両側面が開放された搭乗操縦部5」「機体3」「モーア6」「乗用型芝刈機」「左右両側部保護ドア12」「操縦座席10の後方」が、本件考案の「屋根部と前面窓」「オープンタイプの運転席」「作業車」「草刈り作業機」「草刈り用車輌」「サイドドア」「運転席の背面」にそれぞれ相当するから、本件考案と甲第1号証に記載の考案とは、「屋根部と前面窓を備えたオープンタイプの運転席を有する作業車の前部に作業車によって押動駆動される草刈り作業機を取り付けた草刈り用車輌において、前記運転席の開放する両側面にサイドドアを設けた草刈り用車輌」の点で一致し、次の点で構成が相違する。
[相違点1]:本件考案がクローラ付きの作業車であるのに対し、甲第1号証記載の考案は車輪走行式の作業車である点。
[相違点2]:本件考案のサイドドアが網張りによって形成したものであるのに対し、甲第1号証記載の考案のサイドドアのウィンドウは、透明プラスチックによって形成されている点。
[相違点3」:本件考案が運転席の背面を網張りとしたものであるのに対し、甲第1号証に記載の考案は、操縦座席の後方を覆うキャビンが透明プラスチック製である点。
4.判断
上記相違点について検討する。
[相違点1]について:
甲第2号証に、機体にゴムクローラを備えた草刈機が記載されていて、クローラ付きの作業機を備えた草刈り用車輌は、この出願前の周知技術であると認められる。
[相違点2]について:
甲第3号証に、運転席が開放する車輌の両側面に設けられるサイドドアに、網4によって形成したカバー1を装着することが記載されていて、車輌のサイドドアに網4によって形成したカバー1を装着することが、この出願前の公知技術であると認められる。
しかしながら、甲第3号証に記載の車輌乗員用休息カバー1は車輌の上半分を覆うように車輌に装着するものであって、本件考案のように網張りによって形成したサイドドアを車輌に設けるものではなく、また甲第3号証には、本件考案の相違点3の構成も記載されてない。
[相違点3]について:
甲第4号証に記載の車輌は走行式防除機であって、本件考案のような草刈機ではなく、また甲第4号証に記載の考案のブロア17及びダクト16が、走行中に前面部6aに設けられた網体15に付着した薬液を、網体を震動させることにより網体の経糸に沿って落下させるのを促進し、あるいは吹き飛ばして前方の視界を確保するためのものであることからみて、甲第4号証に記載の網体15は、薬液を噴霧したときに外気に含まれる霧粒をメッシュの細かい網体15に付着させて捕捉するためのものであって、甲第4号証に記載の網体15は、本件考案におけるような防虫用の網ではない。さらに、甲第4号証には、本件考案の前記相違点2の構成の記載もない。
そうしてみると、前記甲第1号証ないし甲第4号証には、本件考案の構成の一部が個々に記載されているにすぎず、しかも甲第1号証に記載の考案に上記甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証にそれぞれ記載の考案を適用して本件考案の構成とすることは示唆さえされていない。そして、本件考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により、本件考案の明細書に記載の「本考案に係る草刈り用車輌によれば、上述したように、草刈り作業の際に作業車が蜂等の害虫によって作業が妨げられることを防止することができ、草刈り作業を安全にかつ容易に行うことが可能になる。また、運転席を閉鎖空間に改善することも容易にできる等の著効を奏する。」という効果を奏するものである。
したがって、本件考案は上記甲第1号証ないし甲第4号証に記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものということができない。

四、むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び提出した証拠方法によって、本件考案の登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案の登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-04-05 
出願番号 実願平5-57514 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (A01D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 昭次  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 佐藤 昭喜
新井 重雄
登録日 1999-01-29 
登録番号 実用新案登録第2593109号(U2593109) 
権利者 株式会社ショーシン
長野県須坂市大字小河原2156番地
考案の名称 草刈り用車輌  
代理人 堀米 和春  
代理人 綿貫 隆夫  
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