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審決分類 審判 全部申し立て   G02F
管理番号 1016806
異議申立番号 異議1999-72807  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-21 
確定日 2000-05-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第2589193号「表示装置」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2589193号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2589193号の実用新案登録請求の範囲に記載された考案は、平成4年10月9日に実用新案登録出願され、平成10年11月13日に設定登録され、その後、実用新案登録異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間である平成11年12月7日に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間である平成12年3月14日に訂正請求の補正がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
ア.訂正請求に対する補正の適否について
訂正請求の補正の内容は、訂正請求書の請求項1及び2を減縮補正するものであるから、当該訂正請求に対する補正は、訂正請求書の要旨を変更するものでなく、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、特許法第120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に適合する。
イ.訂正の内容
a.実用新案登録請求の範囲の請求項1の中の、
「電気的に接続するフレキシブル接続基板と」とあるのを、
「電気的に接続する導体とカバーコートを有するフレキシブル接続基板と」と訂正する。
b.実用新案登録請求の範囲の請求項1の中の、
「前記フレキシブル接続基板の信頼性を保つための前記フレキシブル基板の曲げ曲率を確保しフレキシブル基板に不要な応力が加わることを避けるべく切欠き部が配設され」とあるのを、
「前記フレキシブル接続基板の信頼性を保つための導体とカバーコートを有したうえに前記フレキシブル基板の曲げ曲率2mm以上を確保しフレキシブル基板に不要な応力が加わることを避けるべく基板端部から接続部に向けて奥行き2mm以上に形成して基板端部に切欠き部が配設され」と訂正する。
c.実用新案登録請求の範囲の請求項2の中の、
「前記回路基板には前記フレキシブル接続基板と前記回路基板とを接続する接続部と筐体内で前記回路基板の位置を決めるための基板位置決め部とを有し、前記接続部側に設けられた基板位置決め部を残して回路基板の接続部の基板端部に切欠き部を設けた事を特徴とする表示装置。」とあるのを、
「前記回路基板には前記フレキシブル接続基板と前記回路基板とを接続する接続部と筐体内で前記回路基板の位置を決めるための基板位置決め部とを有し、前記接続部側に設けられた基板位置決め部を残して回路基板の接続部の基板端部に基板端部から接続部に向けて奥行き2mm以上に形成して切欠き部を設け前記切欠き部の前記フレキシブル接続基板が導体とカバーコートを有したうえに曲げ曲率2mm以上とした事を特徴とする表示装置。」と訂正する。
d.請求項3を削除し、請求項4を請求項3に繰り上げる。
e.段落番号【0008】の中に記載の、
「【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本考案は、表示素子と表示素子の裏面に配置された照明装置と表示素子を駆動する回路基板と前記表示素子と前記回路基板を電気的に接続するフレキシブル接続基板とより構成され、更に少なくとも前記表示素子と前記回路基板とフレキシブル接続基板とが筐体内に収納された構成をなす表示装置に於いて、前記回路基板には前記フレキシブル接続基板の信頼性を保つための前記フレキシブル基板の曲げ曲率を確保しフレキシブル基板に不要な応力が加わることを避けるべく切欠き部が配設されてなることを特徴とするものである。」とあるのを、
「【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本考案は、表示素子と表示素子の裏面に配置された照明装置と表示素子を駆動する回路基板と前記表示素子と前記回路基板を電気的に接続する導体とカバーコートを有するフレキシブル接続基板とより構成され、さらに少なくとも前記表示素子と前記回路基板とフレキシブル接続基板とが筐体内に収納された構成をなす表示装置に於いて、前記回路基板には前記フレキシブル接続基板の信頼性を保つための導体とカバーコートを有したうえに前記フレキシブル基板の曲げ曲率2mm以上を確保しフレキシブル基板に不要な応力が加わることを避けるべく基板端部から接続部に向けて奥行き2mm以上に形成して基板端部に切欠き部が配設されていることを特徴とするものである。」と訂正する
f.段落番号【0009】の記載の、
「【0009】
さらに、上記目的を達成するための本考案の要旨は、表示素子と表示素子の裏面に配置された照明装置と表示素子を駆動する回路基板と前記表示素子と前記回路基板を電気的に接続するフレキシブル接続基板とより構成され、さらに前記表示素子と前記回路基板とにより前記照明装置を挟持して筐体内に収納された構成をなす表示装置に於いて、前記回路基板には前記フレキシブル接続基板と前記回路基板とを接続する接続部と筐体内で前記回路基板の位置を決めるための基板位置決め部とを有し、前記接続部側に設けられた基板位置決め部を残して回路基板の接続部の基板端部に切欠き部を設けた事を特徴とするものである。
また、前記回路基板の接続部に接続された前記フレキシブル接続基板が前記回路基板の切欠き内に折曲げられ基板上面に配置された表示素子と接続されていることを特徴とするものである。
また、回路基板に形成された前記切欠部の切欠き幅がフレキシブル接続基板の幅と略等しく設定した事を特徴とするものである。」とあるのを、
「【0009】
さらに、表示素子と表示素子の裏面に配置された照明装置と表示素子を駆動する回路基板と前記表示素子と前記回路基板を電気的に接続するフレキシブル接続基板とより構成され、更に前記表示素子と前記回路基板とにより前記照明装置を挟持して筐体内に収納された構成をなす表示装置に於いて、前記回路基板には前記フレキシブル接続基板と前記回路基板とを接続する接続部と筐体内で前記回路基板の位置を決めるための基板位置決め部とを有し、前記接続部側に設けられた基板位置決め部を残して回路基板の接続部の基板端部に基板端部から接続部に向けて奥行き2mm以上に形成して切欠き部を設け前記切欠き部の前記フレキシブル接続基板が導体とカバーコートを有したうえに曲げ曲率2mm以上とした事を特徴とするものである。
また、回路基板に形成された前記切欠部の切欠き幅がフレキシブル接続基板の幅と略等しく設定した事を特徴とするものである。」と訂正する。
ウ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に該当し、新規事項を追加せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
エ.独立登録要件
(訂正考案)
訂正後の本件考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 表示素子と表示素子の裏面に配置された照明装置と表示素子を駆動する回路基板と前記表示素子と前記回路基板を電気的に接続する導体とカバーコートを有するフレキシブル接続基板とより構成され、さらに少なくとも前記表示素子と前記回路基板とフレキシブル接続基板とが筐体内に収納された構成をなす表示装置に於いて、
前記回路基板には前記フレキシブル接続基板の信頼性を保つための導体とカバーコートを有したうえに前記フレキシブル基板の曲げ曲率2mm以上を確保しフレキシブル基板に不要な応力が加わることを避けるべく基板端部から接続部に向けて奥行き2mm以上に形成して基板端部に切欠き部が配設されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】 表示素子と表示素子の裏面に配置された照明装置と表示素子を駆動する回路基板と前記表示素子と前記回路基板を電気的に接続するフレキシブル接続基板とより構成され、更に前記表示素子と前記回路基板とにより前記照明装置を挟持して筐体内に収納された構成をなす表示装置に於いて、前記回路基板には前記フレキシブル接続基板と前記回路基板とを接続する接続部と筐体内で前記回路基板の位置を決めるための基板位置決め部とを有し、前記接続部側に設けられた基板位置決め部を残して回路基板の接続部の基板端部に基板端部から接続部に向けて奥行き2mm以上に形成して切欠き部を設け前記切欠き部の前記フレキシブル接続基板が導体とカバーコートを有したうえに曲げ曲率2mm以上とした事を特徴とする表示装置。
【請求項3】 回路基板に形成された前記切欠部の切欠き幅がフレキシブル接続基板の幅と略等しく設定した事を特徴とする請求項2項記載の表示装置。」
(引用刊行物)
取消理由通知に引用した刊行物1(特開平2-52313号公報)には、その2頁左下欄10行?3頁左上欄5行に、
「第1図及び第2図は、本発明による液晶表示装置の一実施例を示した図であって、第1図は斜視図、第2図は第1図II-III線で破断した拡大断面図である。
ただし、上述した従来例と同様の機能を果たす部分については同一の符号を付してある。
本発明による液晶表示装置は、第1図に示すように、液晶表示パネル1、バックライト4、プリント基板5の順に積層してあり、プリント基板5の裏面に駆動用IC2が設けられている。
フィルムキャリア3は、第2図に示すように、液晶表示パネル1とプリント基板5を教示するように折り曲げて取り付けられている。フィルムキャリア3の一方の端部は、液晶表示パネル1の電極部1aと接続されており、他方の端部は、プリント基板5と接続されている。
このフィルムキャリア3を、第3図を用いてさらに詳しく説明する。
第3図において、3aは本体、3bはスリット、3cは接続部、3dはスリット、3eおよび3fは導体パターンである。
フィルムキャリア3の本体3aは、薄形のフレキシブル基板であり、液晶表示パネル1とプリント基板5を挟持する際の折り曲げる部分に、折り曲げ用のスリット3bが設けられている。接続部3cは、プリント基板5に設けられた駆動用IC2と電気的に接続する部分である。スリット3dは、本体3aとプリント基板5を接続するために折り曲げられる部分に設けられている。」ということが、
さらに、その3頁右上欄3行?5行に、
「プリント基板におけるフィルムキャリアの占有面積が狭くなり、液晶表示装置の小形化ができるという効果がある。」ということが、それぞれ図面と共に記載されている。
同じく刊行物2(特開平2-29621)には、その1頁右下欄7行?9行に、
「本発明は平面型表示装置に関し、特に平面型パネルと回路基板との収納構造に特徴を有するものである」ということが、
更に、その2頁右上欄15行?20行に、
「本発明は上述の点に鑑み、平面型パネルと表示駆動するための回路基板とを一体的にモジュール化するにあたり、モジュール化される表示装置の組立て作業の簡素化、部品としての組込みの容易さ、平面型パネルの堅ろう性、あるいはモジュール化の小型化などをはかるものである。」ということが、
更に、その3頁左上欄5行?3頁右上欄17行に、
「本発明に係る表示装置の一実施例の分解斜視図を第1図に示す。
液晶パネル(3)はその周辺を上キャビネット(1)の表示窓枠(1a)と下キャビネット(2)の透光窓枠(2a)とで挟持され固定されている。
上キャビネット(1)の外周には弾力性のある表示窓枠(1a)や透光窓枠(2a)と同じ性質の弾性系止片(1c)が形成されている。
該弾性系止片(1c)と下キャビネット(2)の系止穴(2b)とは両キャビネットを軽く押圧することによって容易に嵌合する。
バックライトからの光を拡散する拡散板(9)と液晶パネル(3)の間に、下キャビネット(2)の角部に系止される固定基板(6)が配されている。
固定基板(6)の一方の面には、液晶パネル(3)と可撓性印刷配線基板(FPC)(4)、(5)の接続を確実にするクッション(7)が設置され、固定基板(6)の他方の面には、駆動回路IC(12)がボンディングされており、さらに、固定基板(6)の側面の切り欠き部(6a)を覆うX走査側FPC(4)及びY走査側FPC(5)は固定基板(6)の他方の面の駆動回路IC(12)に接続されている。
固定基板(6)には1個のX走査側FPC(4)と2個のY走査側FPC(5)が載置され、中継用FPC(10)により外部に接続できる。
該中継用FPC(10)は互いに嵌合するキャビネットの切り欠き部(1d)、(2c)からキャビネット外部に延展している。
液晶パネル(3)の非表示部分は上キャビネット(1)内に付着している保護シート(8)に接触して、液晶パネル(3)が振動にずれないような構造になっており、液晶パネル(3)の表示部分にはフィルター(11)が両面に形成されている。」ということが、
更に、その3頁右下欄8行?13行に、
「第3図(ロ)は第3図(イ)の円で囲む部分を拡大した図である。
第3図(ロ)において固定基板(6)の角部は上キャビネット(1)の段状壁(1b)で固定され、Y走査側FPC(5)は固定基板(6)の切り欠き部(6a)で容易に折り曲げられ収納される。」ということが、
更に、その4頁右上欄16行?同頁右下欄1行に、
「以上の構造により、組立て時の平面型パネルの破損が減少し、平面型パネルと駆動用FPCの接続の保持が確実にできる。
また、表示装置のデッドスペース及び部品点数が少なくなって、表示装置の信頼性を向上させることができる。」ということが、それぞれ図面と共に記載されている。
(対比・判断)
訂正考案1?3の「回路基板にはフレキシブル接続基板の信頼性を保つための導体とカバーコートを有したうえに前記フレキシブル基板の曲げ曲率2mm以上を確保しフレキシブル基板に不要な応力が加わることを避けるべく基板端部から接続部に向けて奥行き2mm以上に形成する」こと、及び「基板端部から接続部に向けて奥行き2mm以上に形成して切欠き部を設け前記切欠き部の前記フレキシブル接続基板が導体とカバーコートを有したうえに曲げ曲率2mm以上とする」ことは、上記刊行物1及び2の何れにも記載も示唆もされていない。
そして、訂正考案1?3は、「回路基板にはフレキシブル接続基板の信頼性を保つための導体とカバーコートを有したうえに前記フレキシブル基板の曲げ曲率2mm以上を確保しフレキシブル基板に不要な応力が加わることを避けるべく基板端部から接続部に向けて奥行き2mm以上に形成する」こと、及び「基板端部から接続部に向けて奥行き2mm以上に形成して切欠き部を設け前記切欠き部の前記フレキシブル接続基板が導体とカバーコートを有したうえに曲げ曲率2mm以上とする」ことにより、”コネクタやFPC保護部材を使用せずに済み、筐体の表面積部分で表示に関係しない部分を最小にでき、FPCの信頼性性能を確保でき、基板割れを防ぐことができる”という明細書に記載の作用効果を呈するものである。
(むすび)
したがって、訂正考案1?3は、上記刊行物1及び2に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものとすることができないから、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
オ.むすび
以上のとおり、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、特許法第120条の4第2項及び同条第3項でさらに準用する第126条第2?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.実用新案登録異議申立についての判断
ア.本件考案
上記「2.エ.(訂正考案)」の記載(訂正考案は本件考案と読み替えるものとする。)を参照。
イ.異議申立の理由の概要
異議申立人 中川徹は、証拠として甲第1及び2号証を提出し、訂正前の本件実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に係る考案は、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、又は同法同条第2項に違反して実用新案登録されたものであるから、その実用新案登録を取り消すべき旨主張している。
ウ.異議申立人が提出した甲各号証に記載の考案
上記「2.エ.(引用刊行物)」の記載を参照。
エ.本件考案と異議申立人が提出した甲各号証に記載の考案との対比・判断
「2.エ.(対比・判断)」の記載(訂正考案は本件考案と読み替えるものとする。)を参照。
したがって、本件考案1?3は、甲第1号証(刊行物1)に記載されたに等しい考案であるとすることができないし、甲各号証に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものともすることができないから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、又は同法同条第2項に違反して実用新案登録されたものとすることができない。
オ.むすび
以上のとおりであるから、異議申立の理由及び証拠によっては、本件考案1?3についての実用新案登録を取り消すことができない。
また、他に本件考案1?3についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-04-12 
出願番号 実願平4-76507 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (G02F)
最終処分 維持    
前審関与審査官 吉野 公夫  
特許庁審判長 豊岡 静男
特許庁審判官 東森 秀朋
河原 英雄
登録日 1998-11-13 
登録番号 実用新案登録第2589193号(U2589193) 
権利者 シチズン時計株式会社
東京都新宿区西新宿2丁目1番1号
考案の名称 表示装置  

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