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審決分類 審判 全部申し立て   B42D
審判 全部申し立て   B42D
管理番号 1016811
異議申立番号 異議1999-71021  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-16 
確定日 2000-05-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第2580837号「カード」の請求項1ないし2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2580837号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を維持する。
理由 [1] 手続きの経緯
実用新案登録第2580837号の請求項1及び2に係る考案は、平成1年7月18日に実用新案登録出願されたものであって、平成10年7月3日に実用新案登録の設定登録がなされ、その後、実用新案登録異議申立人滝口嘉三により実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年10月12日に訂正請求がなされたものである。
[2] 訂正の適否
[2-1] 訂正の内容
本件の訂正請求は、実用新案登録第2580837号の実用新案登録明細書を請求書に添付した訂正明細書のとおり、下記a?dのように訂正することを求めるものである。
a.実用新案登録明細書の請求項1及び2の記載、
「【請求項1】 印刷の施された基材層の上層に透明性を有するオーバーシート層を設けたカードにおいて、前記オーバーシート層に、オーバーシート層表面を基準として凸部となる部分と凹部となる部分を形成し、かつ前記凹部がカード基材層に印刷された印刷画像に達しない凹文字を刻印し、該凹凸文字により、カード毎に異なる固有番号が形成されていることを特徴とするカード。
【請求項2】 前記オーバーシート層の凹凸文字部分の少なくとも一部が前記基材層の印刷されている部分と重なっている請求項1記載のカード。」
を、
「【請求項1】 印刷の施された基材層の上層に透明性を有するオーバーシート層を設けたカードにおいて、前記オーバーシート層内にのみ、オーバーシート層表面を基準として凸部となる部分と凹部となる部分を形成し、かつ前記凹部がカード基材層に印刷された印刷画像に達しない凹文字を刻印機により刻印し、該凹凸文字をにより、カード毎に異なる固有番号が形成されていることを特徴とするカード。」
【請求項2】 前記オーバーシート層内の凹凸文字部分の少なくとも一部が前記基材層の印刷されている部分と重なっている請求項1記載のカード。」
と訂正する。
b.実用新案登録明細書である平成10年4月23日提出の全文補正明細書第3頁第18行の記載、
「前記オーバーシート層に」、
を、
「前記オーバーシート層内にのみ」、
と訂正する。
c. 同頁第20行の記載、
「凹文字を刻印し」
を、
「凹文字を刻印機により刻印し」
と訂正する。
d. 同頁第25行の記載、
「オーバーシート層に凹凸文字を刻印すると、」
を、
「オーバーシート層内に凹凸文字を刻印機で刻印すると、」
と訂正する。
[2-2] 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、実用新案登録明細書における実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載事項、即ち、オーバーシート層、カード基材層、印刷画像と凹凸文字との相互の位置関係を限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、
上記訂正事項b?dは、上記訂正事項aによる実用新案登録請求の範囲の減縮に伴い生じる、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との不整合を回避するために行う、明りょうでない記載の釈明に該当する。
これら訂正事項a?dは、実用新案登録明細書である平成10年4月23日提出の全文補正明細書第5頁第11?19行の記載に基づく訂正であるから、願書に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内の訂正と認められ、実質上、実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
[2-3] 独立登録要件について
訂正明細書の請求項1及び2に係る考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された下記の事項により特定されるものである。
「【請求項1】 印刷の施された基材層の上層に透明性を有するオーバーシート層を設けたカードにおいて、前記オーバーシート層内にのみ、オーバーシート層表面を基準として凸部となる部分と凹部となる部分を形成し、かつ前記凹部がカード基材層に印刷された印刷画像に達しない凹文字を刻印機により刻印し、該凹凸文字をにより、カード毎に異なる固有番号が形成されていることを特徴とするカード。
【請求項2】 前記オーバーシート層内の凹凸文字部分の少なくとも一部が前記基材層の印刷されている部分と重なっている請求項1記載のカード。」
対比・検討
当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(特開昭55-146795号公報)には、
1.「1.少なくとも1枚が透明である2枚のカバーシートと、不透明な材料の内挿カードとからなり、?略?証明カード。」(第1頁第1欄第5行?第11行)及び、
「14.通常の印刷技術によって印刷した背景パターンを、?略? 証明カード。」(第2頁第3欄第19行?第4欄第2行の記載参照)、
2.「第1および2図に示す証明カードは多重積層証明カードといわれ、2枚のカバーシート10および12と内挿カード14とからなる。少なくとも上方のカバーシート10は透明であり、内挿カードに記録した情報を可視的に識別できる。」(第5頁第18欄第5行?第9行の記載参照)、
3.「内挿カード14には写真18と二つのデータ領域20および22とがあり、たとえばデータ領域20は発行者の名称を、データ領域22は顧客の個人データを含む。さらにこの実施態様の内挿カードは一部分にパターン24を記録し、このパターンはカードの個別的パターンであって、レーザービームによって記録する。」
(第5頁第18欄第20行?第6頁第19欄第6行の記載参照)、
4.「内挿カード14の表面を焼付け、過度に黒化させて文字数字式を記録する。このデータは、次に記載するごとく、適切に制御したレーザービームによって記録する。このレーザービームのエネルギー量子を変化させて、上方のカバーシート10を同時に溶融して、印刷した情報の線の上方にこれと重ねて、手で知覚できる浮彫りを形成する。これは第2図においてX印で示す。」
(第6頁第20欄第5行?第12行の記載参照)
の記載、
又、第1図及び第2図に示されている実施例のうち、第2図のX印からの矢印により指示されている凹部分が、内挿カードの表面には達していない構成であることが記載(図示)されている。
上記記載1?4に記載されている証明カードの断面構造、印刷部位、個人データとその記録法、データ記録と同時に行う透明なカバーシートへの浮彫り文字の形成法等を総合すると、刊行物1には、
「印刷の施された内挿カードの上層に透明性を有するカバーシート層を設けたカードにおいて、前記内挿カードの表面をレーザービームにより過度に黒化させて文字数字式を焼付けて記録すると同時に、前記カバーシート層に、カバーシート層表面を基準として凸部となる部分と凹部となる部分を形成し、かつ前記印刷の施された内挿カードに達しない凹文字をレーザービームにより記録し、該凹凸文字により、カード毎に異なる個人データが記録されているカード」、
及び、
「該カードのカバーシート層内の凹凸の表示の少なくとも一部が前記内挿カードの表示と重なっているカード」について記載されているものと認める。
訂正明細書の請求項1に係る考案
刊行物1に記載されている考案の
「カバーシート層」「内挿カード」「データ」は、それぞれ、
訂正明細書の請求項1に係る考案の
「オーバーシート層」「基材層」「固有番号」に相当するから、両者は、
印刷の施された基材層の上層に透明性を有するオーバーシート層を設けたカードにおいて、前記オーバーシート層に、オーバーシート層表面を基準として凸部となる部分と凹部となる部分を形成し、かつ前記凹部がカード基材層に印刷された印刷画像に達しない凹文字を形成し、該凹凸文字により、カード毎に異なる固有番号が形成されているカードである点で一致し、
ただ、訂正明細書の請求項1に係る考案においては、
オーバーシート層内にのみ、カード基材層に印刷された印刷画像に達しない凹文字を刻印機により刻印しているのに対して、
刊行物1に記載の考案では、
レーザービームを用いて、内挿カードの表面に過度に黒化させて文字数字式を焼付けて記録すると同時に、印刷の施されている内挿カードには達しない凹文字を、カバーシート層に形成する点で相違するものである。
上記相違点について検討する。
上記の記載4によれば、刊行物1に記載された考案は、内挿カード14の表面に文字数字式をレーザービームによって記録する際に、同時に、カバーシート10に凹文字(手で知覚できる浮彫り)を形成するものであり、これは、内挿カード14への記録と同時にカバーシート10へ凹文字を形成するものであって、訂正明細書の請求項1に係る考案のように、凹文字をカバーシート10のみに形成するものではない。
したがって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載された考案とすることはできないものである。
訂正明細書の請求項2に係る考案
訂正明細書の請求項2に係る考案は、請求項1に係る考案を引用する形式で記載されているから、訂正明細書の請求項2に係る考案は、請求項1に係る考案と同じ理由により、甲第1号証に記載された考案とすることはできないものである。
そして、訂正明細書の請求項1及び2に係る考案は、
「カード表面の画像が損なわれることなく、また、凹凸文字の形成された面の反対側の面に対して凹凸が形成されることがないので、カードのデザインに対して影響を与えることなくカード毎に固有な情報を容易且つ任意に記録することができ、個々のカードの管理を行うことができる」という訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
[2-4] むすび
したがって、上記訂正は、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用し、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項の規定及び同条第3項の規定においてさらに準用する同法第126条第2?4項の規定に適合するものであり、当該訂正を認める。
[3] 実用新案登録異議の申立について
[3-1] 実用新案登録異議申立人の主張
異議申立人滝口嘉三は、甲第1号証を提示し、
実用新案登録第2580837号の請求項1及び2に係る考案は、甲第1号証に記載された考案と同一の考案であり、実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当するものであるから、実用新案登録を受けることができないものであり、また、
甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない旨主張している。
[3-2] 本件の請求項1及び2に係る考案
本件の請求項1及び2に係る考案は、訂正された明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された下記の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】 印刷を施された基材層の上層に透明性を有するオーバーシート層を設けたカードにおいて、前記オーバーシート層内にのみ、オーバーシート層表面を基準として凸部となる部分と凹部となる部分を形成し、かつ前記凹部がカード基材層に印刷された印刷画像に達しない凹文字を刻印機により刻印し、該凹凸文字をにより、カード毎に異なる固有番号が形成されていることを特徴とするカード。
【請求項2】 前記オーバーシート層内の凹凸文字部分の少なくとも一部が前記基材層の印刷されている部分と重なっている請求項1記載のカード。」
[3-3] 実用新案登録異議申立人の主張についての検討・判断
甲第1号証は、[2-3]において検討した刊行物1であるから、前記[2-3]に記載した理由により、本件の請求項1及び2に係る考案が、異議申立人が提示した甲第1号証記載の考案であるとすることはできず、また、
上記甲第1号証記載の考案は、内挿カード14の表面に文字数字式を記録する際に同時にカバーシート10に凹文字をレーザービームによって形成するものであって、本件の請求項1及び2に係る考案のように、カバーシート10のみにこのような凹文字を形成するものではない。
そうすると、本件請求項1および2に係る考案のように、
「凹部がカード基材層に印刷された印刷画像に達しない凹文字を刻印機により刻印」
することは、上記刊行物1記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に推考し得ることとすることはできない。
[4] むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由および証拠方法によっては、本件請求項1および2に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1および2に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-04-11 
出願番号 実願平1-84220 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (B42D)
U 1 651・ 113- YA (B42D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤井 靖子  
特許庁審判長 馬場 清
特許庁審判官 白樫 泰子
外山 邦昭
登録日 1998-07-03 
登録番号 実用新案登録第2580837号(U2580837) 
権利者 大日本印刷株式会社
東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号
考案の名称 カード  
代理人 金山 聡  
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