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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1016812
異議申立番号 異議1998-71151  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-02-27 
確定日 2000-05-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第2557367号「食品の包装材」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2557367号の実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続きの経緯
本件実用新案登録第2557367号の請求項1に係る考案は、平成4年4月16日に出願され、平成9年8月29日にその考案について設定登録がなされ、その後、その実用新案登録に対して、申立人大塚泰尚及び三菱樹脂株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年12月16日に訂正請求がなされ、申立人に審尋がなされ、訂正拒絶理由通知がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(訂正明細書の請求項1に係る考案)
本件の訂正明細書の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「ポリオレフィン系樹脂層/ガスバリア層/ポリオレフィン系樹脂層/190℃の雰囲気下で3時間以上放置した場合に結晶化による失透を生じることがなく、かつDSCによる測定で明確な結晶化或いは結晶融解ピークを持たない非晶質熱可塑性ポリエステル樹脂層の順に積層されてなる積層体に、非晶質熱可塑性ポリエステル樹脂層が外側に位置するように収納部を形成せしめてなる食品の包装材であって、該包装材は、上記収納部に生鮮食品を収納した後にガス置換を行い、該包装材の閉口面を蓋体用のシートで密閉されて使用されるものであることを特徴とする食品の包装材。」
(独立実用新案登録要件)
訂正明細書の請求項1にかかる考案に対し、当審は、特公昭63-30226号公報(以下、「引用刊行物1」という。)及び特開平2-276639号公報(以下、「引用刊行物2」という。)を引用して、訂正明細書の請求項1に係る考案は、引用刊行物1及び2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものであるから、当該訂正は認められない、という主旨の内容からなる上記訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、実用新案登録権者からは何らの応答もないものである。
そして、上記の訂正拒絶理由は妥当なものと認められる。
したがって、上記訂正は、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用される、特許法第120条の4第3項において準用する旧特許法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
3.実用新案登録異議申立てについての判断
(本件考案)
本件実用新案登録第2557367号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、願書に添付された明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「ポリオレフィン系樹脂層/ガスバリア層/ポリオレフィン系樹脂層/非晶質熱可塑性ポリエステル樹脂層の順に積層されてなる積層体に、非晶質熱可塑性ポリエステル樹脂層が外側に位置するように収納部を形成せしめてなる食品の包装材であって、該包装材は、上記収納部に生鮮食品を収納した後にガス置換を行い、該包装材の閉口面を蓋体用のシートで密閉されて使用されるものであることを特徴とする食品の包装材。」
(引用刊行物記載の考案)
本件考案に対し、当審が通知した取消理由通知において引用した刊行物は、上記訂正拒絶理由における引用刊行物1及び2と同一のものである。
引用刊行物1には、包装体について次のように記載されている。
a.「本発明の包装体を構成する容器本体、蓋材共に、ベース層、バリア層、シール層及び保護層の4層を含むものである。・・・ベース層の材質としてはポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリスチレン系、の1つあるいは2つの材質を組合わしてなる層であり、バリア層としてはエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物(EVAけん化物)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)あるいはポリオレフィン系の1つあるいは2つの材質を組合わしてなる層であり、シール層としてはアイオノマー、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)あるいはポリエチレン系のいずれかからなる層であり、保護層は蓋材の場合延伸されたポリエステルあるいは延伸されたポリプロピレン(OPP)からなる層であり、容器本体の場合ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレンあるいはポリエステル(PET)からなる層であり、・・・容器本体、蓋共に共押出フィルムを使っていることにより従来のものに比べて線膨張あるいは収縮率の差によるカールの発生がなく非常に見栄えのする包装体でかつ低コスト化され、取り扱いやすく作業性の良い包装体となる。・・・容器本体の保護層は一般的には無印刷であり、包装体に成形性の向上、腰の付与、光沢性向上という機能を付与しより優れた包装体となる。
・・・
本発明の包装体はゼリーやジャムやみそを真空成形、圧空成形あるいは真空・圧空成形といった熱成形された容器に充填した包装体、あるいはハムを深絞り成形しガス置換されたガスパック包装体、かまぼこを真空パックした包装体とすることによ内容物の風味をそこなわないためより特徴のある包装体となる。」(第3欄第23行?第4欄第30行)
b.「実施例1
蓋材用フィルム:
シール層=アイオノマー、ベース層=ハイインパクトポリスチレン(変性PS)及びナイロン(Ny)、バリア層=エチレン酢酸ビニル共重合体けん化物(EVAけん化物)を各層として共押出により多層フィルムを作成し、更にこの共押出多層フィルムに保護層として裏印刷した延伸ポリエステル(PET)をラミネートしたもの、即ち、
延伸PET/接/変性PS/Ad/Ny/EVAけん化物/Ad/アイオノマー
容器本体用フィルム:
蓋材と同じ共押出多層フィルムを使用し、保護層として無延伸ポリプロピレン(CPP)をラミネートしたもの、即ち、
CPP/接/変性PS/Ad/Ny/EVAけん化物/Ad/アイオノマー
なお接は接着剤を示し、Adは共押出多層フィルム中の接着樹脂層を示す。
上記フィルムにより容器本体を深絞り成形し、この中にスライスハムを入れ蓋材をシールしながら、真空パックした包装体を得た。カールもなく密封性のある包装体となった。」(第5欄第3行?同欄第25行)
引用刊行物2には、包装体について次のように記載されている。
a.「本発明は、特に深絞り容器等の包装容器の成形素材として好適な耐熱透明性に優れた多層プラスチックシートに関するものである。」( 第1頁左下欄第19行?同右下欄第1行)
b.「本発明において用いる非晶質のポリエステル共重合体はポリエチレンテレフタレートのエチレングリコール成分の一部を1,4シクロヘキサンジメタノールにて置換して得られる共重合体であって、エチレングリコールと1,4シクロヘキサンジメタノールの比は、9:1ないし6:4が適当であり、7:3が最も好ましい。
・・・
透明性に優れた非晶質のポリエステル共重合体を最外層に用い、中心層として優れた機械的特性と化学的特性を有する熱可塑性ポリエステルを用い、さらに両者の間に耐熱性の優れたポリアリレートとポリエステルとの樹脂組成物を用いることによって耐熱性と透明性の良好なプラスチックシートが得られた。」(第3頁左下欄第20行?同右下欄第17行)
(対比・判断)
本件考案と引用刊行物1に記載された考案とを対比すると、引用刊行物1に記載された考案における「容器本体」は本件考案における「包装材」に対応するものである。
そして、引用刊行物1に記載された考案における実施例1についてみると、容器本体用フィルムは、
CPP/接/変性PS/Ad/Ny/EVAけん化物/Ad/アイオノマー
からなり、CPPは保護層であり、変性PS/Ad/Nyはベース層であり、EVAけん化物はバリア層であり、アイオノマーはシール層であり、引用刊行物1に記載された考案における「バリア層」は本件考案の「ガスバリア層」と実質的に同一のものであり、本件考案のシール層としての「ポリオレフィン系樹脂層」を形成する樹脂としてはアイオノマーも例示されているから、引用刊行物1に記載された考案における「シール層」は本件考案のシール層としての「ポリオレフィン系樹脂層」と実質的に同一のものであり、本件考案においては、各層間に具体的には接着剤層が介在しており、生鮮食品としてハムが例示されているから、両者は、「ポリオレフィン系樹脂層/ガスバリア層/ベース層/保護層の順に積層されてなる積層体に、保護層が外側に位置するように収納部を形成せしめてなる食品の包装材であって、該包装材は、上記収納部に生鮮食品を収納した後に、該包装材の閉口面を蓋体用のシートで密閉されて使用されるものであることからなる食品の包装材。」である点で一致し、次の点において相違するものと認められる。
(1)包装材が、本件考案においては、収納部に生鮮食品を収納した後にガス置換を行い、該包装材の閉口面を蓋体用のシートで密閉されて使用されるもの、すなわちガスパックに適用されるものであるのに対して、引用刊行物1に記載された考案においては真空パックに適用されるものである点。
(2)ベース層が、本件考案においてはポリオレフィン系樹脂層であるのに対して、引用刊行物1に記載された考案においては変性PS/Ad/Nyである点。
(3)保護層が、本件考案においては非晶質熱可塑性ポリエステル樹脂層であるのに対して、引用刊行物1に記載された考案においてはCPPである点。
そこで、これらの相違点について検討する。
〔相違点(1)について〕
引用刊行物1に記載された考案においては、容器本体は、ガス置換されたガスパック包装体、真空パック包装体等の包装体に適用されるものであるから、引用刊行物1に記載された考案について、容器本体を真空パック包装体に適用することに代えてガス置換されたガスパック包装体に適用することは、適用できる包装体として開示されている範囲内での用途変換であり、当業者がきわめて容易に想到し得る程度のことと認められる。
〔相違点(2)について〕
引用刊行物1の記載の考案においては、ベース層はポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリスチレン系、の1つあるいは2つの材質を組合わしてなる層であるから、実施例1における変性PS/Ad/Nyをポリオレフィン系のものに変えることは、ベース層として開示されている材料内での材料変換であり、当業者がきわめて容易に想到し得る程度のことと認められる。
〔相違点(3)について〕
引用刊行物1に記載の考案においては、保護層は容器本体の場合ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレンあるいはポリエステル(PET)からなる層であるから、実施例1におけるCPP(無延伸ポリプロピレン)をポリエステル(PET)に変えることは、保護層として開示されている材料内での変換であり、当業者ならば当然に試みる程度のことと認められる。
ところで、深絞り容器等の包装容器の成形素材となる透明性に優れた多層プラスチックシートとして、最外層に透明性に優れた非晶質のポリエステル共重合体を用いた多層プラスチックシートは、引用刊行物2にみられるように本件の出願前すでに公知のものである。
そして、この非晶質のポリエステル共重合体はポリエチレンテレフタレートのエチレングリコール成分の一部を1,4シクロヘキサンジメタノールにて置換して得られる共重合体であって、エチレングリコールと1,4シクロヘキサンジメタノールの比は、9:1ないし6:4が適当であり、7:3が最も好ましいとされるものであるから、組成的にみると本件考案における非晶質熱可塑性ポリエステル樹脂と実質的に同一のものである。
したがって、引用刊行物1に記載された考案について、容器の最外層である保護層をCPP(無延伸ポリプロピレン)からポリエステル(PET)に変換する際に、容器の透明性に配慮して非晶質のポリエステル共重合体を採用することは、引用刊行物2に記載された考案に倣って当業者がきわめて容易に想到し得る程度のことと認められる。
そして、本件考案が、上記相違点により引用刊行物1及び2に記載された考案から予測し得ない格別顕著な効果を奏することができたものとも認められない。
(むすび)
以上のとおりであるから、本件考案は、引用刊行物1及び2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、本件考案の実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである。
したがって、平成6年法律第116号附則第9条第7項の規定に基づく、平成7年政令第205号第3条第1項及び第2項の規定により、上記のとおり決定する。
異議決定日 2000-03-17 
出願番号 実願平4-32386 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (B65D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 伏見 隆夫  
特許庁審判長 佐藤 久容
特許庁審判官 祖山 忠彦
杉原 進
登録日 1997-08-29 
登録番号 実用新案登録第2557367号(U2557367) 
権利者 日本ザンパック株式会社
東京都千代田区九段南4丁目8番21号
考案の名称 食品の包装材  
代理人 深谷 光敏  
代理人 渡辺 勝  
代理人 若林 忠  
代理人 伊藤 克博  
代理人 池浦 敏明  
代理人 金田 暢之  
代理人 石橋 政幸  
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