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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04F |
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管理番号 | 1018498 |
審判番号 | 審判1999-3240 |
総通号数 | 13 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-01-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-02-25 |
確定日 | 2000-01-05 |
事件の表示 | 平成2年実用新案登録願第6959号「サイディングボード」拒絶査定に対する審判事件(平成8年3月21日出願公告、実公平8-9309)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願の経緯及び本願考案 本願は、平成2年1月26日の出願であり、原審において、平成8年3月21日の出願公告に対してなされた実用新案登録異議申立人新星鋼業株式会社の異議申立は、理由があるとの平成10年11月13日付け異議申立決定の理由により同日付け拒絶をすべき旨の査定がされたものであって、本願の請求項1係る考案(以下、「本願考案」という)は、平成11年3月26日付けの手続き補正書により補正された明細書および出願公告された図面によれば、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「金属板2、プラスチックフォーム3、金属板状裏面材4の順に積層され、金属板2は断面皿状の化粧面7と、該化粧面7の一端に釘打ち部5と差込み凸部6を、他端には差込み凹部8を有し、上記釘打ち部5の端部は倒J字状に屈曲されて、該倒J字状屈曲部の外周に沿って屈曲した倒J字状の上記裏面材4端部とによって2重の倒J字状となしたことを特徴とするサイディングボード。」 2原査定の理由の概要 原査定の理由に引用された登録異議決定の理由は、概要、「本願考案は、甲第1号証(実願昭57-96071号(実開昭59-854号)のマイクロフィルム(以下、「引用刊行物1」という))、および甲第3号証(実願昭60-132626号(実開昭62-40131号)のマイクロフィルム(以下、「引用刊行物2」という))に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。」 というものである。 3 引用刊行物に記載された考案 3-1 引用刊行物1に記載された考案 「金属、合成樹脂等の材料を方形、または長方形状に形成した化粧面の両側縁を下方に延長して側壁を設けると共に、該側壁の下端縁に互いに嵌挿結合する雄型連結部 状部に充填した断熱材とからなるサィディングボードにおいて、上記断熱材の背面を防水シートで一体的に被覆する」(請求の範囲) 「14は断熱材で主体1の凹部1aに充填し、(中略)その具体例としては、(中略)ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォーム、ユリアフォーム、ポリアミドフォーム、ポリエチレンフォーム等の単体」(明細書第3頁第5行?13行)、 「(c)、(d)図はパッキング部17の先端が舌片11をカバーしたボード、」(明細書第5頁13?14行)が記載されており、これらの記載を含む明細書及び図面の特に第4図(c)、同(d)によれば、引用刊行物1には、本願考案の構成に照応対置して認定すると、 「金属板、プラスチックフォーム、裏面材の順に積層され、金属板は断面皿状の化粧面と、該化粧面の一端に釘打ち部を設け、上記釘打ち部の端部は倒J字状に屈曲されて、該倒J字状屈曲部の外周に沿って屈曲した倒J字状の上記裏面材端部とによって2重の倒J字状となしたサイディングボード。」の考案が記載されている。 3-2 引用刊行物2に記載された考案 引用刊行物2には、 「この種ボードにおいては表面材と裏面材間に断熱材、特にポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォ一ムを充填したボードが相当数、上市されている。」(明細書2頁下から3行?3頁1行)、 「表面材1は第3図に示すように金属製薄板を成形し、長方形状の化粧面2とその両側端縁を内方に直角、あるいは任意角度で折り曲げた側壁3、4を設け、上記側壁3の下端縁を内方に屈曲し、次に下方に屈曲して切欠部5を設け、切欠部5の先端を内方に屈曲し、再び外方に屈曲して受け片6を設け、受け片6の先端を外側方へ突出し差込縁7を設け、差込縁7の先端に必要に応じて舌片8を設けた雄型連結部9と、側壁4の下端縁を外方に屈曲し、次に下方に屈曲し、さらに内方に屈曲して係合突条10を設け、係合突条10の下側を側壁4と同じ位置でU字状に屈曲し、または側壁4より内方に突出した後U字状に屈曲(図示せず)して形成した係合溝11と、その下縁11aを外側へ突出した延長部12とを設けた雌型連結部13とから構成したものである。」(明細書第5頁8行?第6頁3行)、 「裏面材20は、(中略)主に防火性、防水性、耐候性、美観性、強度の向上のために用いるものである。その素材は、例えばクラフト紙、アスベスト紙、(中略)金属箔(Al、Pb、Cu)ガラス繊維不織布、合成樹脂シート、およびこれらの1種以上をラミネート、蒸着等したシート状物からなるものである。」(明細書第10頁5行?13行)と記載されており、これらの記載および特に第2図、第4図、第6図によれば、引用刊行物2には、本願考案の構成に照応対置して認定すると、「金属板、プラスチックフォーム、裏面材の順に積層され、金属板は断面皿状の化粧面と、該化粧面の一端に釘打ち部と差込み凸部を、他端には差込み凹部を有するサイディングボード。」 の考案が記載されている。 4当審の判断 本願考案と引用刊行物1に記載された考案を対比すると、 両者は、「金属板、プラスチックフォーム、裏面材の順に積層され、金属板は断面皿状の化粧面と、該化粧面の一端に釘打ち部を設け、上記釘打ち部の端部は倒J字状屈曲されて、該倒J字状屈曲部の外周に沿って屈曲した倒J字状の上記裏面材端部とによって2重の倒J字状となしたサイディングボード。」の考案である点で一致する。 しかし、両者は、以下の点において相違する。 第1に、サイディングボードの化粧面の両端部が、本件考案は「一端に釘打ち部と差込み凸部を、他端には、差込み凹部を有し」たのに対し、引用刊行物1に記載された考案は、そのような構造になっていない点。 第2に、サイディングボードの裏面が、本件考案は「金属板状裏面材で構成した」のに対し、引用刊行物1に記載された考案は、「防水シートで構成した」点。 これらの相違点について検討するため、まず本願考案と引用刊行物2記載の考案とを比較すると、本願考案も引用刊行物2記載の考案も共にサイディングボードに関するものであって、引用刊行物2に記載の「金属板は断面皿状の化粧面と、該化粧面の一端に釘打ち部と差込み凸部を、他端には差込み凹部を有する」点と、第1の相違点である「一端に釘打ち部と差込み凸部を、他端には、差込み凹部を有する」点は、技術的に共通している。 そうすると引用刊行物2には、本願考案と技術分野を等しくするサイディングボードに関する技術内容として「一端に釘打ち部と差込み凸部を、他端には、差込凹部を有する」という前記相違点1に関する本願考案と軌を一にする技術内容が示されていることから、引用刊行物1記載の考案において、本願考案が採用している前記相違点1の構成を採るようにすることは、当業者が、極めて容易に想到し得ることといえる。 次に第2の相違点である「サイディングボードの裏面を金属板状裏面材で構成する」点は、当該技術分野においては、従来周知のことであるから(例えば特開昭62-63751号公報、特開昭64-48960号公報、特開昭62-263041号公報、特開昭64-33340号公報、特開昭63-45041号公報参照のこと)、この点に格別の工夫があるものとすることはできない。 そして本願考案の効果は、引用刊行物1、2記載の考案、及び上記従来周知のことから期待でき又は予測できる程度のものである。 5 むすび 以上のとおりであるから、本願考案は、その考案の属する技術の分野における通常の知識を有するものが、その出願前に国内において頒布された刊行物である引用刊行物1、引用刊行物2に記載された考案、及び上記従来周知のことから、極めて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-11-10 |
結審通知日 | 1999-11-19 |
審決日 | 1999-11-22 |
出願番号 | 実願平2-6959 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(E04F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 忠夫、井上 博之 |
特許庁審判長 |
佐田 洋一郎 |
特許庁審判官 |
鈴木 憲子 宮崎 恭 |
考案の名称 | サイディングボード |
代理人 | 浅賀 一樹 |