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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1018499 |
審判番号 | 審判1995-27948 |
総通号数 | 13 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-01-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1995-12-29 |
確定日 | 2000-06-19 |
事件の表示 | 平成2年実用新案登録願第78056号「携帯用情報処理装置」拒絶査定に対する審判事件(平成6年2月23日出願公告、実公平6-7384)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.本願発明及び出願の経緯 本願は、昭和58年4月26日に出願された実願昭58ー64562号を、平成2年7月23日に分割出願したものであって、その考案の要旨は、出願公告後の平成8年1月29日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。 「必要な情報を入力するためのキーボードを前方に配置すると共に、その後方部を当該キーボードより1段高く形成して印字紙の出し入れ口及び内蔵プリンターの紙送り用摘子を設けた機器本体と、 このキーボードと印字紙の出し入れ口との間において上記機器本体に回動自在に枢支され、上記キーボードを覆うように開閉可能になされ、内面に上記情報等を表示する表示部として液晶表示装置を配設した蓋体とを具備し、 上記キーボードは前下がりになるよう傾斜して設けると共に、 上記蓋体は閉成することによって、当該蓋体の上面が上記機器本体の後方部上面に略面一状態で連なりかつ上記機器本体の後方部から手前側に向かって前下がりに傾斜し、 開成した状態においては上記液晶表示装置が上記機器本体の後方部上面より上にほぼ位置する構造となし、 上記印字紙の出し入れ口は上記蓋体の開成位置後方で上記機器本体上方部に設けたことを特徴とする携帯用情報処理装置。」 II.引用発明 これに対して、拒絶査定で引用された実公昭47ー14961号公報(以下、引用例1という)には、次の事項が記載されている。 「操作キー11が取付けられた前下がり傾斜状のパネル部12を前方に配置すると共に、その後方部を当該パネル部12より1段高く形成した筐体4と、このパネル部12と1段高く形成した後方部との間において上記筐体4に回動自在に枢支され、上記パネル部12を覆うように開閉可能になされ、内面に表示管部10を配設した蓋体5とを具備し、上記蓋体5は閉成することによって、当該蓋体の上面が上記筐体4の後方部上面に略面一状態で連なり、開成した状態においては上記表示管部10が上記筐体4の後方部上面より上に位置する構造となした簡易携行型卓上計算機。」(第1頁第2欄第2?19行、第2図(a),(b)の各記載参照。) 同じく、拒絶査定で引用された特開昭57ー91291号公報(以下、引用例2という)には、次の事項が記載されている。 「小型ワードプロセッサー、電子タイプライタ等の電子機器(小型情報処理装置)において、キーボード10と表示器94を前方に配置した機器本体の後方部に、印字装置41(プリンター)を内蔵し、印字紙出し入れ口とプラテンノブ1(紙送り用摘子)を設けること。」(第1頁左下欄第17行?第2頁右上欄第13行、第1図の各記載参照。) III.対比及び当審の判断 そこで、本願考案と前記引用例1に記載されたものとを対比すると、引用例1に記載された「パネル部12」、「筐体4」、「簡易携行型卓上計算機」は、本願考案の「キーボード」、「機器本体」、「携帯用情報処理装置」にそれぞれ相当するので、 両者は、 「必要な情報を入力するためのキーボードを前方に配置すると共に、その後方部を当該キーボードより1段高く形成した機器本体と、このキーボードと1段高く形成した後方部との間において上記機器本体に回動自在に枢支され、上記キーボード覆うように開閉可能になされ、内面に上記情報等を表示する表示部を配設した蓋体とを具備し、上記キーボードは前下がりになるよう傾斜して設けると共に、上記蓋体は閉成することによって、当該蓋体の上面が上記機器本体の後方部上面に略面一状態で連なり、開成した状態においては上記表示部が上記機器本体の後方部上面より上にほぼ位置する構造となした携帯用情報処理装置」 である点で一致し、次の各点で相違するものと認められる。 (1)本願考案が、機器本体の後方部に印字紙の出し入れ口及び内蔵プリンターの紙送り用摘子を設けるようにしているのに対して、引用例1に記載されたものは、このようにしていない点。 (2)本願考案が、蓋体を閉成することによって、当該蓋体の上面が機器本体の後方部から手前側に向かって前下がりに傾斜するようにしているのに対して、引用例1に記載されたものは、このようにしていない点。 (3)本願考案が、印字紙の出し入れ口を蓋体の開成位置後方で機器本体上方部に設けるようにしているのに対して、引用例1に記載されたものは、このようにしていない点。 (4)本願考案が、表示部を、液晶表示装置としているのに対して、引用例1に記載されたものは、表示管部としている点。 そこで、前記各相違点について検討する。 相違点(1)について、 小型情報処理装置において、キーボードと表示部を前方に配置した機器本体の後方部に、プリンターを内蔵し、印字紙の出し入れ口と内蔵プリンターの紙送り用摘子を設けることが引用例2に記載されているので、本願考案のように、機器本体の後方部に印字紙の出し入れ口及び内蔵プリンターの紙送り用摘子を設けるようにすることは、当業者が極めて容易に想到し得ることと認められる。 相違点(2)について、 キーボードを前方に配置すると共に、その後方部を当該キーボードより1段高く形成した機器本体と、上記キーボードを覆う蓋体とを具備した携帯用情報処理装置において、上記蓋体を閉成することによって、当該蓋体の上面が上記機器本体の後方部から手前側に向かって前下がりに傾斜するようにすることは周知のことである(例えば、実願昭54ー5183号(実開昭55ー105372号)のマイクロフイルムの記載参照)ので、本願考案のように、蓋体を閉成することによって、当該蓋体の上面が機器本体の後方部から手前側に向かって前下がりに傾斜するようにすることは、当業者が極めて容易に想到し得ることと認められる。 (なお、この相違点となる構成は、本願の分割の基礎となる出願である実願昭58ー64562号に最初に添付された明細書または図面に明示されていないことにも注意) 相違点(3)について、 キーボードと表示部を前方に配置した機器本体の後方部にプリンターを内蔵した情報処理装置において、印字紙の出し入れ口を表示部の表示位置後方で上記機器本体上方部に設けることは周知のことである(例えば、特開昭53ー72525号公報、実開昭55-159434号公報、特開昭57ー10823号公報等参照)ので、本願考案のように、印字紙の出し入れ口を蓋体の開成位置(表示部の表示位置)後方で機器本体上方部に設けるようにすることは、当業者が極めて容易に想到し得ることと認められる。 相違点(4)について、 キーボード及び表示部等を設けた情報処理装置において、表示部を液晶表示装置とすることは、例示するまでもなく周知のことであるので、本願考案のように、表示部を液晶表示装置とすることは、当業者が極めて容易に想到し得ることと認められる。 IV.むすび したがって、本願考案は、前記引用例1,2に記載された考案に基づき、前記各周知事項を参酌して、当業者が極めて容易に考案をすることができたものと認められるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-05-12 |
結審通知日 | 1999-06-01 |
審決日 | 1999-06-12 |
出願番号 | 実願平2-78056 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 祖谷江 栄一、佐藤 秀一、徳永 民雄、竹井 文雄 |
特許庁審判長 |
麻野 耕一 |
特許庁審判官 |
武井 袈裟彦 川名 幹夫 |
考案の名称 | 携帯用情報処理装置 |
代理人 | 小池 隆彌 |
代理人 | 木下 雅晴 |