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審決分類 |
審判 全部申し立て A01C |
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管理番号 | 1018556 |
異議申立番号 | 異議1998-72409 |
総通号数 | 13 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-01-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-05-12 |
確定日 | 1999-07-04 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 実用新案登録第2554194号「水田作業車輌」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 実用新案登録第2554194号の実用新案登録を維持する。 |
理由 |
I.本件考案 実用新案登録第2554194号の請求項1に係る考案は、平成3年7月29日付けで出願され、平成9年7月25日にその実用新案登録の設定登録がなされ、その後、井関農機株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年4月12日に訂正請求がなされたものである。 II.訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 実用新案登録権者が求めている訂正請求書における訂正の内容は、本件登録明細書及び図面を以下のとおりに訂正しようとするものである。 訂正事項a 実用新案登録請求の範囲の請求項1を 「【請求項1】 エンジン出力軸の回転を、動力伝達装置を介してトランスミッションに伝達してなる水田作業車両において、 前記動力伝達装置及びトランスミッションを、内側ケースと該内側ケースを液密に覆うケース蓋体とに分割して形成されたミッションケースに収納し、 前記内側ケースを前記エンジンの外側に固定すると共に、 前記ケース蓋体に、底部とその周囲に形成された環状のフランジ部により軸承部を形成し、 前記エンジン出力軸を、前記内側ケースから前記ミッションケース内部に突出させ、かつ該出力軸の先端部分を、前記軸承部にて回動可能に支持してなる、 ことを特徴とする水田作業車両。」と訂正する。 訂正事項b 平成9年4月7日付提出の手続補正書第4頁第8行(公報第3欄第14行?第15行),の「固定すると共に、」と「前記エンジン出」との間に「前記ケース蓋体(3b)に、底部(72a)とその周囲に形成された環状のフランジ部(72b)により軸承部(72)を形成し、」を挿入する。 訂正事項c 平成9年4月7日付提出の手続補正書第5頁第7行(公報第3欄第27行?第28行)の「そして、」と「前記出力軸」との間に「前記軸承部(72)を形成するフランジ部(72b)が、前記エンジン出力軸(23)に設けられ動力伝達装置(G)の一部であるギヤ(25)の端面に摺動可能に当接して、格別な部材を必要とすることなく、これらエンジン出力軸(23)とギヤ(25)とが安定的に支持され、かつ該ギヤ(25)の抜け出しも防止される。こうして、」を挿入する。 訂正事項d 平成9年4月7日付提出の手続補正書第6頁第9行(公報第3欄第42行)の「向上できる。」の後に「また前記ケース蓋体(3b)に形成された前記軸承部(72)は.底部(72a)と、その周囲に形成された環状のフランジ部(72b)により形成されているので、該フランジ部(72b)が、エンジン(2)の出力軸(23)に設けられ動力伝達装置(G)の一部であるギヤ(25)の端面に摺動可能に当接して、格別の部材を用いることなく該ギヤ(25)の抜け出しを防止することができる。」を追加する。 訂正事項e 明細書第5頁第10行(公報第5欄第36行)の「図9」を「図6」と訂正する。 訂正事項f 平成9年4月7日付提出の手続補正書第8頁第2行(公報第6欄第19行)の「そして、」と「エンジン2の」との間に「前記ケース蓋3bには、底部72aとその周囲に形成された環状のフランジ部72bにより軸承孔72が形成されている。以上により、」を挿入する。 訂正事項g 平成9年4月7日付提出の手続補正書第8頁第4行^(?)第5行(公報第6欄第23行)の「取付けられ、かつギヤ25の」を次のように訂正する。 「取付けられている。また、前記フランジ部72bが、前記PTO軸23に設けられる動力伝達装置Gの一部であるギヤ25の端面に増動可能に当接して、これらPTO軸23とギャ25とが安定的に支持されると共に該ギヤ25の抜け出しも防止されるようになっている。更に、ギヤ25の」 訂正事項h 添付図面の図1に、符号「72a」と「72b」を追加する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項aにおける[前記ケース蓋体に、底部とその周囲に形成された環状のフランジ部により軸糸部を形成し、」を加入する訂正事項は、図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲のの減縮に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 上記訂正事項b?d及びf?hについては、上記訂正事項aに整合性を持たせるべく訂正したものであり明瞭でない記載の釈明に相当する。 上記訂正事項eについては、単なる誤記の訂正に相当するものである。 3.独立実用新案登録要件の判断 (1)引用刊行物 当審で通知した取消理由で引用した実用新案登録第2554194号に係る出願の出願の日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された上記特願平2-335813号(特開平4-200308号公報参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)には、「11はエンジンであって、走行ミッションケース1の前部にボルトにて固着連結されている。」(その公報第3頁左上欄第8行から第9行参照)との記載があり、また、「エンジン11の出力軸が走行部ミッションケース1内の入力ギヤ91に嵌合して動力入力される。」(同第7頁左上欄第6行から第8行参照)との記載があり、 さらに、第9図には、エンジン11の出力軸に入力ギヤ91が嵌合され、この入力ギヤ91の筒状をなす外周部分が走行ミッションケース1のケース蓋体に設けられた環状のフランジ部にベヤリングを介して軸承されている構成が示されているものである。 そして、これらの記載及び特に図面の記載からみて、先願明細書には、「エンジン出力軸の回転を、動力伝達装置を介してトランスミッションに伝達してなる水田作業車両において、動力伝達装置及びトランスミッションを内側ケースと該内側ケースを液密に覆うケース蓋体とに分割して形成されたミッションケースに収納し、エンジン出力軸を、前記内側ケースから前記ミッションケース内部に突出させ、かつ出力軸が、出力軸に嵌合された入力ギヤ91の筒状をなす外周部分と共に上記ケース蓋体に設けられた環状のフランジ部にベヤリングを介して回動可能に支持されている水田作業車両。」について記載されているものと認められる。 (2)対比・判断 そこで、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された考案(以下、「本件訂正明細書の考案」という。)と上記先願明細書に記載されている考案とを比較すると、 先願明細書には、本件訂正明細書の考案における大部分の構成が記載されているけれども、軸承部について、本件訂正明細書の考案が「前記ケース蓋体に、底部とその周囲に形成された環状のフランジ部により軸承部を形成し」た構成を有しているのに対して、先願明細書に記載のものは「前記ケース蓋体に、環状のフランジ部により軸承部を形成し」た構成である点、及び、軸承部における支持について、本件訂正明細書の考案が「出力軸の先端部分を、前記軸承部にて回動可能に支持してなる」構成を有しているのに対して、先願明細書に記載のものは「出力軸が、出力軸に嵌合された入力ギヤ91の筒状をなす外周部分と共に前記軸承部にベヤリングを介して回動可能に支持されている」構成を有している点で相違している。 そして、これらの相違点は、上記訂正明細書或いは先願明細書の記載内容からみて自明の事項であるとも認められない。 したがって、本件訂正明細書の考案は、先願明細書に記載された考案と同一であるとは認められないから、実用新案登録出願の際に独立して実用新案登録を受けることができるものである。 4.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成6年法律第116号附則第9条第2項によって準用する特許法第120条の4第2項及び第3項でさらに準用する特許法第126条第2?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.実用新案登録異議の申立てについての判断 1.申立ての理由の概要 異議申立人井関農機株式会社は、証拠方法として甲第1号証(特願平2-335813号(特開平4-200308号公報参照))を提示し、本件考案は、甲第1号証に記載された考案であるから、本件実用新案登録は、実用新案法第3条の2の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきである旨主張している。 2.当審における判断 実用新案登録第2554194号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されたとおりのものであり、また、甲第1号証には、上記3.(2)において認定したような考案が記載されている。 そして、3.(3)において判断したように、本件考案は、先願明細書に記載された考案と同一であるとは認められない。 3.むすび 以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠方法によっては本件考案に係る実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件考案に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見できない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 水田作業車輌 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 エンジン出力軸の回転を、動力伝達装置を介してトランスミッションに伝達してなる水田作業車両において、 前記動力伝達装置及びトランスミッションを、内側ケースと該内側ケースを液密に覆うケース蓋体とに分割して形成されたミッションケースに収納し、 前記内側ケースを前記エンジンの外側に固定すると共に、 前記ケース蓋体に、底部とその周囲に形成された環状のフランジ部により軸承部を形成し、 前記エンジン出力軸を、前記内側ケースから前記ミッションケース内部に突出させ、かつ該出力軸の先端部分を、前記軸承部にて回動可能に支持してなる、 ことを特徴とする水田作業車両。 【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】 本考案は、歩行型田植機等の水田作業車輌に係り、詳しくは水田作業車輌におけるエンジン出力軸の支持構造に関する。 【従来の技術】 従来、歩行型田植機において、エンジンの出力軸からトランスミッションの変速主軸へエンジンの回転力を伝達するときには、エンジンの出力軸の基端部はクランクケースに軸支されているが、出力軸の先端部は支持されていない状態であり、この出力軸に設けたプーリと変速主軸に設けたプーリとの間にベルトを巻掛けるという構造が適用されていた。 【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、エンジンの出力軸が片持支持されており、出力軸の強度が不足する虞れがあると共に、出力軸の軸支部の耐久性が不足する虞れがあるという欠点があった。 そこで、本考案は、エンジンの出力軸の先端部をも軸支することにより、上述の課題を解消した水田作業車輌を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 本考案は、上述事情に鑑みてなされたものであって、エンジン(2)出力軸(23)の回転を、動力伝達装置(G)を介してトランスミッション(T)に伝達してなる水田作業車輌(1)において、前記動力伝達装置及びトランスミッション(T)を、内側ケース(3a)と該内側ケース(3a)を液密に覆うケース蓋体(3b)とに分割して形成されたミッションケース(3)に収納し、前記内側ケース(3a)を前記エンジン(2)の外側に固定すると共に、前記ケース蓋体(3b)に、底部(72a)とその周囲に形成され環状のフランジ部(72b)により軸承部(72)を形成し、前記エンジン出力軸(23)を、前記内側ケース(3a)から前記ミッションケース(3)内部に突出させ、かつ該出力軸(23)の先端部分を、前記軸承部(72)にて回動可能に支持してなることを特徴とする。 【作用】 以上の構成に基づき、エンジン(2)の外側にミッションケース(3)の内側ケース(3a)が固定され、この内側ケース(3a)はケース蓋体(3b)にて覆われていて、前記エンジン(2)の出力軸(23)の基端部は、エンジン(2)のクランクケースに軸支され、出力軸(23)の先端部は前記ケース蓋体(3b)の軸承部(72)に回動可能に軸支されて回転する。そして、前記軸承部(72)を形成するフランジ部(72b)が、前記エンジン出力軸(23)に設けられ動力伝達装置(G)一部であるギヤ(25)の端面に摺動可能に当接して、格別な部材を必要とすることなく、これらエンジン出力軸(23)とギヤ(25)とが安定的に支持され、かつ該ギヤ(25)の抜け出しも防止される。こうして、前記出力軸(23)に取付けられたギヤ(25)に掛る反力は、エンジン(2)のクランクケースと、ケース蓋体(3b)の軸承部(72)とにより安定的に支持される。 【考案の効果】 以上説明したように、本考案によれば、エンジン(2)にミッションケース(3)が一体的に固定されているので、ベルト等の巻き掛け媒体を用いることなくエンジン(2)からトランスミッション(T)に確実に動力を伝達できると共に、エンジン(2)の出力軸(23)の基端部がクランクケースに軸支され、先端部がケース蓋体(3b)の軸承部(72)により両持ち状態で支持されているので、前記出力軸(23)が安定的に支持されると共に、出力軸(23)の軸承部(72)の耐久性を向上できる。 また、前記ケース蓋体(3b)に形成された前記軸承部(72)は、底部(72a)と、その周囲に形成された環状のフランジ部(72b)により形成されているので、該フランジ部(72b)が、エンジン(2)の出力軸(23)に設けられ動力伝達装置(G)の一部であるギヤ(25)の端面に摺動可能に当設して、格別の部材を用いることなく該ギヤ(25)の抜け出しを防止することができる。 なお、前記カッコ内の符号は図面と対照するものであって、何等本考案の構成を限定するものではない。 【実施例】 以下、図面に沿って本考案による実施例について説明する。 歩行型田植機1は、図6に示すように、エンジン2、ミッションケース3及びフレーム5等よりなる機体6を有しており、該機体6の後方にはハンドル7が延設されていると共に、苗のせ台9が左右方向に摺動自在に支持されており、かつ該苗のせ台9の下端部分にプランタ10が配設されている。更に、フレーム5の下方には後方の揺動支点11aを中心に揺動自在にフロート11が懸架されており、該フロート11は田面の土圧を感知して機体高さを検知する機体高さ検知機構を構成している。また、ミッションケース3の左右から出力軸12が突設しており、更に該出力軸を中心に揺動自在にチェーンケース13が支持されており、かつこれらチェーンケースの先端には水田車輪15が支持されている。 そして、機体6の前方におけるエンジン2に固定されたブラケット16とミッションケース3に固定されたバンパ部材17との間には、機体高さ調節用の油圧シリンダ19が配設されている。該油圧シリンダ19は、シリンダ可動型からなり、そのロッド19aが前記ブラケット16及びバンパ部材17とに固定され、かつ該ロッド19aに案内されてシリンダ19bが上下に往復動する。更に、該シリンダ19bにはピンを中心に天秤アーム20が左右揺動自在に連結されており、該天秤アームの両端はそれぞれロッド21を介して揺動チェーンケース13の基端部に固定されているアーム13aに連結している。そして、ミッションケース3から後方に向けて1本の変速操作レバー22が延びている。 一方、図3乃至図5に示すように、エンジン2の下方にトランスミッションTが配設されている。3はその全体のミッションケースである。エンジン2のPTO軸23からの動力がギヤ25、軸26に支持されたギヤ27a、該ギヤと一体のギヤ27b、変速主軸24に固定したギヤ29を介して、ミッションケース3内の変速主軸24に伝達されている。なお、PTO軸23、ギヤ25、ギヤ27b,27a、軸26、ギヤ29及び変速主軸24によりエンジン2からトランスミッションTへの動力伝達装置Gを構成している。そして、該変速主軸24に隣接してプランタ駆動軸30が回転自在に支持されており、また変速主軸24の他方に隣接してカウンタ軸31が回転自在に支持されている。更に、ミッションケース3の前端部にはアクスルケース32,32が固定されており、該アクスルケース32,32には前記チェーンケース13,13の筒部13b,13bが揺動自在に挿入・嵌合されている。そして、前記アクスルケース32,32には左右の出力軸12,12が軸支されていて、該出力軸12の先端に固設されたスプロケット33からチェンを介してチェーンケース13に車軸によって支持される車輸15に動力伝達されている。また、ミッションケース3には、前記カウンタ軸31と並んでプランタ中間軸35が回転自在に支持されている。 そして、前記プランタ駆動軸30には転位ギヤからなる林間変速ギヤA,Bが固定されており、該株間変速ギヤA,Bと選択噛合可能に変速ギヤ体36が変速主軸24に摺動のみ自在に支持され、かつこのギヤ体36には幅狭ギヤC及び幅広ギヤDが形成されている。また、カウンタ軸31には、小ギヤ37と大ギヤ39が固設されており、出力軸12,12にはサイドクラッチ40,40が設けられていて、これらサイドクラッチ40,40は、出力軸12,12に軸支されたファイナルギヤ41が左右の出力軸12,12のいずれか一方に、または両方ともに噛合し得るように構成されている。そして、プランタ中間軸35には逆転ギヤ体42が摺動及び回転自在に取付けられていると共に、プランタクラッチ43が摺動可能に取付けられており、またプランタ中間軸35に被嵌されている中空軸45のケース3の外側端にスプロケット46が固定されており、前記プランタクラッチ43は、該中空軸45と前記プランタ中間軸35とを接離し得る。なお、逆転ギヤ体42は大ギヤ42b及び小ギヤ42cからなり、大ギヤ42bが変速ギヤ体36の幅狭ギヤCに常時噛合していると共に、該大ギヤ42bがファイナルギヤ41に噛合する位置と、小ギヤ42cが大ギヤ39に噛合する位置に切換えられる。そして、前記スプロケット46とプランタ駆動軸30端に設けられたスプロケット47とがチェーン49を介して連結されており、またプランタ中間軸35の左端にはプランタ10等の植付け装置へ動力を伝達するスプロケット50が取付けられている。 また、図4に示すように、ミッションケース3の後方上部には、スクリューシャフト51が左右幅方向に延びて回転自在に支持されており、該スクリューシャフト51にはスライドブロック52が摺動のみ自在に螺合されている。更に、スクリューシャフト51はプランタ中間軸35からスプロケット53、チェン55及びスプロケット56を介して動力伝達されており、スクリューシャフト51の回転に基づき前記スライドブロック52が一定ストローク内で往復移動する。そして、図5に示すように、該スライドブロック52は下方の回転軸57の前端部に固定されている第1の揺動アーム59に連結している。回転軸57は、図6に示すように、フレーム5の側方に沿って機体前後に延びていると共に回転自在に支持されており、かつこの回転軸57の後端には第2の揺動アーム60が固定され、このアーム60の先端に苗のせ台9が連結されている。従って、スクリューシャフト51の回転に基づくスライドブロック52の往復動により、第1の揺動アーム59、回転軸57及び第2の揺動アーム60を介して苗のせ台9を左右往復動するよう構成されている。 次に、走行変速装置及び株間変速装置の操作装置について、図2に沿って説明する。ミッションケース3から後方に向けて延びている1本の変速操作レバー22は、その基部では軸状になってケース3に回転自在に支持されている。そして、図6に示すように、該変速操作レバー22は、先端部22bが上方に屈曲しており、該先端部22bが、図2に示すように、ガイド部材61の円弧状のガイド溝61aに沿って揺動操作され、従って基部が正逆の回動操作になる。そして、変速操作レバー22は、ガイド板61のガイド溝61aに沿って、前進2速F2(路面走行速度)、前進1速F1(作業速度)、中立N及び後進Rの各位置に操作され、かつ前進1速F1において更に株間の小、大、中の各位置に操作される。 次に、図3のエンジン2からの入力部を拡大した図1を参照して、PTO軸23、ギヤ27a,27b、油圧ポンプ71について詳細に説明すると、ミッションケース3は、ほぼ中央部で分割されており、図1に示す3aは内側ケースとしての左側ミッションケースである。そして、この左側ミッションケース3aがエンジン2の外側に固定され、更に該左側ミッションケース3aを覆うようにケース蓋3bが油密に取付けられていると共に、このケース蓋3bに油圧ポンプ71が油密に取付けられている。 そして、前記ケース蓋3bには、底部72aとその周囲に形成された環状のフランジ部72bにより軸承孔72が形成されている。以上により、エンジン2のPTO軸23は、その基端部がエンジン2のケースクランクに軸支され、先端部がケース蓋3bの軸承孔72に回動自在に軸支されており、このPTO軸23にキー等により軸方向のみ移動可能にギヤ25が取付けられている また、前記フランジ部72bが、前記PTO軸23に設けられる動力伝達装置Gの一部であるギヤ25の端面に摺動可能に当接して、これらPTO軸23とギヤ25とが安定的に、支持されると共に、該ギヤ25の抜け出しも防止されるようになっている。更に、ギヤ25のケース3a側のボス部端25aがケース3aの孔73に挿入されている。 また、油圧ポンプ71の軸26の先端部81にギヤ27aが回り止めされて嵌合わされていると共に、このギヤ27aのボス部端75がケース3aの軸承孔76に軸支されている。 次に、エンジン2からミッションケース3への動力伝達作用について説明すると、エンジン2が回転すると、軸23が回転し、キー等で回り止めされたギヤ25を介して、ギヤ27bが回転し、ギヤ27bと一体のギヤ27aが回転し、ギヤ29を介して変速主軸24に回転することによりエンジン2の回転がミッションケース3内に伝達される。そして、ギヤ27aが回転するときに、ギヤ27aが固定された軸26の先端部81に回転が伝わり、軸26の回転に伴って油圧ポンプ71が作動する。 エンジン2とケース3aとの取付けを外して、エンジン2をPTO軸23と共にギヤ25から図1において右方に移動するとエンジン2はケース3aから取外すすることができる。この際、ギヤ25はボス部端25aによりケース3aに係合して、ほぼ組立状態を保持しているので、エンジン2をケース3aに取付けるとき、PTO軸23はギヤ25に容易に挿入し、エンジン2のケース3aに対する着脱が容易であり、エンジン2の保守を容易にする。また、PTO軸23がケース蓋3bとエンジン2のクランクケースとにより両端共に支持されているので、PTO軸23の強度の向上を図ることができる。 また、ポンプ軸26がポンプケースにより基端部が、ギヤ27aのボス部端75を介して先端部が支持さられているので、ポンプ軸26の強度を向上できると共に、ポンプ軸26の軸承部の耐久性を向上できる。 次に、変速操作について図2及び図3を参照して説明すると、 ▲1▼前進1速(路面走行速度段)F2においては、レバー22をガイド板61のF2位置にセットする。変速ギヤ体36のギヤCと逆転ギヤ体42の大ギヤ42bとが噛み合い、逆転ギヤ体42の大ギヤ42bとファイナルギヤ41とが噛み合う。サイドクラッチ40が出力軸12に接続すると、PTO軸23から変速主軸24に伝達された回転力は、ギヤC、逆転ギヤ体42の大ギヤ42b、ファイナルギヤ41、サイドクラッチ40を介して、出力軸12に伝達される。なお、カウンタ軸31はファイナルギヤ41、小ギヤ37により回転するが、大ギヤ39とギヤDとが噛み合っていないため、空転するだけで支障はない。また、プランタ駆動軸30は、ギヤB及びDの噛合により回転し、更にスプロケット47、チェーン49及びスプロケット46を介して中空軸45が回転するが、プランタクラッチ43が切れているので、プランタ中間軸35が回転することはなく、プランタ10等の植付け装置が作動することはない。 ▲2▼前進1速(植付走行速度段)F1 変速操作レバー22がガイド板61のF1領域にある場合には、変速ギヤ体36のギヤDが広幅に形成されているために、常にギヤ39にギヤDが噛み合わされており、PTO軸23から変速主軸24に伝達された回転力は、ギヤD、大ギヤ39、カウンタ軸31、小ギヤ37、フィナルギヤ41、サイドクラッチ40を介して出力軸12に植付走行速度が伝達される。 そして、操作レバー22を株間の小位置にセットした場合、変速ギヤ体36のギヤD及びギヤBを介して変速主軸24の回転力がプランタ駆動軸30に伝達され、更に該小回転速度がスプロケット47、チェン49、スプロケット46、中空軸45及びプランタクラッチ43を介してプランタ中間軸35に伝達される。 また、操作レバー22を株間の大位置にセットした場合、ギヤC及びギヤAを介して回転力がプランタ駆動軸30に伝達され、更に該大回転速度がプランタ中間軸35に伝達される。 また、操作レバー22を株間の中位置にセットした場合、ギヤC及びギヤBを介して回転力がプランタ駆動軸30に伝達され、更に該中回転速度がプランタ中間軸35に伝達される。 即ち、植付走行速度は一つの速度段で形成されるが、プランタ駆動軸30、スプロケット47、チェーン49、スプロケット46、中空軸45、プランタクラッチ43、プランタ中間軸35を介して、スプロケット50からプランタ10が小、大、中回転速度で回転され、株間隔が大小中に調整される。 ▲3▼ニュートラル速度段N 変速操作レバー22を位置Nにセットすると、変速ギヤ体36のギヤDとギヤ39との噛合が断たれて出力軸12への回転力が伝わらない。 ▲4▼後進速度段R 変速操作レバー22を位置Rにセットすると、変速ギヤ体36のギヤC及びDからギヤ39への回転力伝達が断たれ、変速主軸24の回転がギヤC、逆転ギヤ体42の大ギヤ42b及び小ギヤ42c、大ギヤ39、カウンタ軸31、小ギヤ37、ファイナルギヤ41及びサイドクラッチ40を介して出力軸12に低速の逆回転が伝達される。 なお、以上、歩行型田植機について説明したが、本考案は、これに限ることなく、乗用型田植機、湛水直播機等の他の水田作業機に同様に適用できることは勿論である。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本考案に係るトランスミッション一部を拡大した拡大断面図。 【図2】 その変速操作レバーのガイド部材を示す正面図。 【図3】 本考案を適用したトランスミッション全体を示す断面展開図。 【図4】 そのスクリューシャフト部分を示す断面正面図。 【図5】 そのトランスミッションを示す側面図。 【図6】 歩行型田植機の全体側面図。 【符号の説明】 1 水田作業車輌(歩行型田植機) 2 エンジン 3 トランスミッションケース 3a ケースの一部 3b ケース蓋体(ケース蓋) 23 出力軸(PTO軸) 72 円筒部(軸承孔) 72a 底部 72b フランジ部 G 動力伝達装置 T トランスミッション 【図面】 |
訂正の要旨 |
(3)訂正の要旨 ▲1▼訂正事項a 実用新案登録請求の範囲の請求項1に、「ケース蓋体に、底部とその周囲に形成された環状のフランジ部により軸承部を形成した」点を減縮訂正する。 ▲2▼訂正事項b 平成9年4月7日付提出の手続補正書第4頁第8行(公報第3欄第14行?第15行)の「固定すると共に、」と「前記エンジン出」との間に次文を挿入する。 「前記ケース蓋体(3b)に、底部(72a)とその周囲に形成された環状のフランジ部(72b)により軸承部(72)を形成し、」 ▲3▼訂正事項c 平成9年4月7日付提出の手続補正書第5頁第7行(公報第3欄第27行?第28行)の「そして、」と「前記出力軸(」との間に次文を挿入する。 「前記軸承部(72)を形成するフランジ部(72b)が、前記エンジン出力軸(23)に設けられ動力伝達装置(G)の一部であるギヤ(25)の端面に摺動可能に当接して、格別な部材を必要とすることなく、これらエンジン出力軸(23)とギヤ(25)とが安定的に支持され、かつ該ギヤ(25)の抜け出しも防止される。こうして、」 ▲4▼訂正事項d 平成9年4月7日付提出の手続補正書第6頁第9行(公報第3欄第42行)の「向上できる。」の後に次文を追加する。 「また、前記ケース蓋体(3b)に形成された前記軸承部(72)は、底部(72a)と、その周囲に形成された環状のフランジ部(72b)により形成されているので、該フランジ部(72b)が、エンジン(2)の出力軸(23)に設けられ動力伝達装置(G)の一部であるギヤ(25)の端面に摺動可能に当接して、格別の部材を用いることなく該ギヤ(25)の抜け出しを防止することができる。」 ▲5▼訂正事項e 明細書第5頁第10行(公報第5欄第36行)の「図9」を「図6」と訂正する。 ▲6▼訂正事項f 平成9年4月7日付提出の手続補正書第8頁第2行(公報第6欄第19行)の「そして、」と「エンジン2の」との間に次文を挿入する。 「前記ケース蓋3bには、底部72aとその周囲に形成された環状のフランジ部72bにより軸承孔72が形成されている。以上により、」 ▲7▼訂正事項g 平成9年4月7日付提出の手続補正書第8頁第4行?第5行(公報第6欄第23行)の「取付けられ、かつギヤ25の」を次のように訂正する。 「取付けられている。また、前記フランジ部72bが、前記PTO軸23に設けられる動力伝達装置Gの一部であるギヤ25の端面に摺動可能に当接して、これらPTO軸23とギヤ25とが安定的に支持されると共に、該ギヤ25の抜け出しも防止されるようになっている。更に、ギヤ25の」 ▲8▼訂正事項h 添付図面の図1に、符号「72a」と「72b」を追加する。 |
異議決定日 | 1999-06-21 |
出願番号 | 実願平3-66930 |
審決分類 |
U
1
651・
161-
YA
(A01C)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 郡山 順 |
特許庁審判長 |
浜 勇 |
特許庁審判官 |
西川 一 西野 健二 |
登録日 | 1997-07-25 |
登録番号 | 実用登録第2554194号(U2554194) |
権利者 |
三菱農機株式会社 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 |
考案の名称 | 水田作業車輌 |
代理人 | 近島 一夫 |
代理人 | 近島 一夫 |