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審決分類 |
審判 全部申し立て E05D 審判 全部申し立て E05D |
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管理番号 | 1018560 |
異議申立番号 | 異議1999-72413 |
総通号数 | 13 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-01-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-06-09 |
確定日 | 1999-11-22 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 実用新案登録第2586793号「調整蝶番」の請求項1ないし3に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 実用新案登録第2586793号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件実用新案登録第2586793号に係る考案は、平成5年12月14日に出願された実願平5-72379号を分割し出願したもので、平成10年10月2日にその実用新案の設定登録がなされ、その後、平成11年6月9日に株式会社中尾製作所より、実用新案登録異議の申立てがなされたものである。 2.本件請求項1に係る考案 本件実用新案登録第2586793号の請求項1?3に係る考案(以下、「本件請求項1?3に係る考案」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】一方の羽根板(1)と、軸芯(12)を介して、回動自在に連結された他方の羽根板(6)を有し、 該一対の羽根板の少なくとも一方(6)は、作動孔(23)を有する位置調整部と、該位置調整部を収容する収容手段と、該収容手段内に配置され、かつ、該作動孔(23)と共働する、偏心軸(26)を備えた調整カム(24)を有し、 該調整カム(24)の偏心軸(26)を回動させることにより、扉の前後方向に該収容手段を移動可能としたことを特徴とする調整蝶番(47)。 【請求項2】該位置調整部が調整板(20)である請求項1に記載の調整蝶番。 【請求項3】該収容手段が調整匣(27)である請求項1または2記載の調整蝶番。」 3.実用新案登録異議申立ての理由の概要 実用新案登録異議申立人は、 甲第1号証[実願昭57-162232号(実開昭59-65172号)のマイクロフィルム]、甲第2号証[高橋金物株式会社総合カタログ「住まいの金物集88「ATOM DATA LINE」(1988年4月発行)p.118-119]、甲第3号証[ハーフェレ社総合カタログ“The 46]、甲第4号証(独国特許第3305272号明細書)、甲第5号証(独国特許第2460127号明細書)及び甲第6号証(特開平4-70480号公報)を提出し、本件請求項1?3に係る考案は、甲第4号証または甲第5号証に記載された考案と同一か、または甲第1?6号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件請求項1?3に係る考案は、実用新案法第3条第1項または同条第2項の規定により登録を受けることができないものであり、実用新案登録は取り消されるべきものである旨主張している。 4.甲各号証に記載の事項 甲第1?6号証には、それぞれ以下の事項が記載されている。 甲第1号証には、 「家具本体の側板1には基板2が固着されており、この基板2に前後調節ネジ3、左右調節ネジ4及び上下調節ネジ5、6に上つて固定されているのが断面略逆凹型を呈した取付部材7である。 他方、扉8側には中央部に窪所9を設けたキャップ型の支持部材10が鍔部11の部分を残して埋没固着されており、この両者7、8は二つの連結片12、13と、取付節材7の先端に互いに位置を違えて取りつけた固定ヒンジピン14、15及び支持部材10の窪所一側に互いに位置を違えて取りつけた移動ヒンジピン16、17によつて旋回可能に連結されている。」(昭和58年2月3日付け手続補正書の明細書第2頁第19行?第3頁第11行及び第1、2図)及び 「前後調節ネジ3は取付部材7の天板7aに設けた鍵状の係止穴7bを係止しており、これを弛めることによつて取村部材を前後に若干移動でき、扉8の前後の取付位置を調節できるものである。」(同手続補正書の明細書第7頁第7?11行及び第2、4図) 甲第2号証には、 「扉の前後の位置を合わせ、前後調整及び固定ねじを締めつけ扉を側板に取付け、…スライド丁番の前後調整及び固定ねじをゆるめ、丁番本体を矢印の方向にスライドさせ…、キャビネットと扉の隙間を合わせることができ…ねじにより扉の取付け位置を前後に調整できる丁番」(第118頁図3及び第119頁中央の図) 甲第3号証には、 「ねじにより扉の取付け位置を前後に調整できる丁番」(第3.46頁のAdjustment facilitiesの図) 甲第4号証には、 「1.ヒンジを固定及び設置する装置である。ヒンジてこが水平方向へ取り付けられ、水平及び垂直方向への位置調整ができる。具体的には、家具本体と固定しているヒンジ部分(1)があって、下部(16)、上部(17)、凹部(6)及び後ろ(18)を含む湾曲金属片(2)がある。下部(16)及び上部(17)に開口部(19,20)があって、ピン(3)がその間に設置されている。 2.請求項1において、ピン(3)は回転されるために十字溝を設けた頭部(10)があり、頭部(10)は円形体(11)とつながって、その間に小径な円形首部(12)がある。円形体(11)の下に偏心部(13)、円形体(14)がある。…円形体(11)は開口(19)と(20)の間に入って,偏心部(13)は開口(19)に入る。円形体(14)が穴(9)に押し込められる。 3.請求項1及び2において、ヒンジてこ(4)に縁部(8)を有する長開口があり、縁部の後ろ(5)が曲げられ、湾曲金属片(2)の凹部(6)に入る。 4.請求項1から3において、ヒンジてこ(4)の長開口、後ろ(5)、ピン(3)の首部(12)及び湾曲金属片(2)の凹部(6)によって、ヒンジてこ(4)は簡単な移動で固定させられる。 5.請求項1から4において、ピン(3)を回転すると、偏心部(13)によって、ヒンジてこ(4)を縦方向で移動できる。すなわち、家具扉を家具本体に引き寄せたり、押し出したりすることができる。」(特許請求の範囲請求項1?5第4欄第64行?第5欄最終行及びFIG.1?3) 甲第5号証には、 「図1のように、基礎体(2)は二つの長ネジ(3)によって家具に固定される。基礎体は殻体(4)を押さえる。殻体(4)は支持てこ(5)を固定する。殻体(4)は組立プレートの一部分であり、基礎体(2)に固定され、または特殊部分として基礎体(2)に押さえられる。支持てこは(5)殻体(4)に挿入される。…… この発明の要点は、固定栓(8)の円筒支持体(9)に対する偏心であり、円筒支持体の下に軸方向の円筒(11)があり,その中に固定ばね、すなわち圧縮ぱねが設けられている。…… 支持体(9)の回転によって,固定栓(8)の位置が変わり、この固定栓(8)の位置変化によって支持てこ(5)と組立プレート(2,4)との縦方向の相対位置が変わる。……固定栓(8)は縦方向に支持てこの溝(15)と緊密接触している。図3の状態から支持体(9)を回すと,固定栓(8)は右へ支持てこを移動する。」(第3欄第39行?第4欄第25行及びFig.1?3) 甲第6号証には、 「框側に取り付けられる蝶番片は固定板を介して挟持され、かつ框にビス止めされる固定板に対し前記蝶番片をカムにて上下動可能にして取り付けて扉上下方向の調整を行えるようになす」(第1頁左下欄第5?9行) とそれぞれ記載されている。 5.対比・判断 本件請求項1に係る考案と甲第4号証に記載の考案とを対比すると、 本件請求項1に係る考案と甲第4号証に記載の考案とは、以下の点で相違している他は、格別の差異が認められない。 (相違点) (1)本件請求項1に係る考案は、一方の羽根板と、軸芯を介して、回動自在に連結された他方の羽根板を有する蝶番であるのに対して、甲第4号証に記載の考案は、そのような蝶番ではない点、 (2)本件請求項1に係る考案は、羽根板の少なくとも一方は、作動孔を有する位置調整部と、該位置調整部を収容する収容手段と、該収容手段内に配置され、かつ、該作動孔と共働する、偏心軸を備えた調整カムを有するのに対して、甲第4号証に記載の考案は、ヒンジてこ4が開口部19を有する湾曲金属片2、該湾曲金属片2を収容するヒンジ部分1と、該ヒンジ部分1に配置され、かつ、該開口部19と共働する、円形体11を備えた偏心部13を有する点。 そして、甲第5号証に記載の考案は、相違点(1)における本件請求項1に係る考案の構造の蝶番とは相違する丁番であって、甲第5号証に記載の考案の支持てこ5が本件請求項1に係る考案の一方の羽根板に相当するものとはいえず、相違点(2)における本件請求項1に係る考案の、羽根板の少なくとも一方は、作動孔を有する位置調整部と、該位置調整部を収容する収容手段とを有するものとであるということができない。 さらに、甲第1?3号証に記載された考案は、相違点(1)における本件請求項1に係る考案の構造の蝶番に相当するものでなく、また、扉の取付位置を前後方向に調節機構として、作動孔と共働する偏心軸を備えた調節カムを採用するものでなく、相違点(2)における本件請求項1に係る考案の構造を有するものではない。 そして、その他の甲第6号証に記載された考案は、相違点(1)における本件請求項1に係る考案の構造の蝶番に相当するものであるが、作動孔と共働するカム機構は、蝶番片をカムにて上下動可能にし、扉上下方向の調整を行うもので、調整機能において、本件請求項1に係る考案とは、相違し、また、相違点(2)における本件請求項1に係る考案の構造を有するものではない。 そして、本件請求項1に係る考案は、相違点(2)における事項を構成要件とし、該構成要件を相違点(1)の構造の蝶番に適用することにより、実用新案登録明細書記載の「簡単な調整機構で扉の前後の調整操作が確実に行われる。その結果、扉の取付けが容易になり、工期短縮や工事コスト低減に寄与する。又、取付後扉に時間の経過と共に弛みが発生したときもドライバだけであれば素人でも簡単に調節が可能である。」(段落【0035】の【考案の効果】参照)という格別な効果を奏するものと認められる。 したがって、本件請求項1に係る考案は、甲第4号証または甲第5号証に記載された考案であるとも、甲第1?6号証に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることもできない。 さらに、本件請求項2及び3に係る考案は、共に、請求項1に記載の調節蝶番を引用するものであるから、上記本件請求項1に係る考案に対する対比・判断のとおり、甲第4号証または甲第5号証に記載された考案であるとも、甲第1?6号証に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることもできない。 6.むすび 以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由並びに証拠によっては、本件請求項1?3に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1?3に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-11-02 |
出願番号 | 実願平7-13051 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
Y
(E05D)
U 1 651・ 113- Y (E05D) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 南澤 弘明 |
特許庁審判長 |
樋口 靖志 |
特許庁審判官 |
宮崎 恭 鈴木 憲子 |
登録日 | 1998-10-02 |
登録番号 | 実用登録第2586793号(U2586793) |
権利者 |
株式会社ニシムラ 大阪府八尾市千塚2丁目162番地 株式会社西製作所 大阪府寝屋川市点野3丁目18番3号 |
考案の名称 | 調整蝶番 |
代理人 | 藤川 忠司 |
代理人 | 竹内 卓 |
代理人 | 岡本 昭二 |
代理人 | 藤田 隆 |