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審決分類 審判 全部申し立て   B32B
審判 全部申し立て   B32B
管理番号 1018561
異議申立番号 異議1999-71022  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-16 
確定日 1999-12-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2580980号「内容物透視性と保存性とを有する外包袋」の請求項1ないし5に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2580980号の請求項1ないし5に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2580980号の考案は、平成5年5月24日に出願され、平成10年7月3日に設定登録(請求項の数5)されたものであるが、実用新案登録異議の申立てに基いて実用新案登録の取消理由を通知したところ、明細書の訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否について
(1)請求された訂正の内容は、次の(a)?(d)からなるものである。
(a)実用新案登録請求の範囲請求項1における「ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂内層を備えた第一の積層シート」を「ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂内層(多孔性のものを除く)から成り、酸素吸収剤配合樹脂中間層がガスバリヤー層よりも内側に位置する第一の積層シート」と訂正する。
(b)同請求項1における「外包袋」を「加熱殺菌可能な外包袋」と訂正する。
(c)考案の詳細な説明段落番号【0005】における「ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂内層を備えた第一の積層シート」を「ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂内層(多孔性のものを除く)から成り、酸素吸収剤配合樹脂中間層がガスバリヤー層よりも内側に位置する第一の積層シート」と訂正する。
(d)考案の詳細な説明段落番号【0005】における「外包袋」を「加熱殺菌可能な外包袋」と訂正する。
(2)上記(a)の訂正は第一の積層シートの層構成を限定するものであり、(b)の訂正は外包袋を加熱殺菌可能なものに限定するものであるから、これらは実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、(c)、(d)の訂正は、前記(a)、(b)の訂正に整合させたものであるから明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、これらの訂正は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)さらに、訂正後の実用新案登録請求の範囲請求項1?5に係る考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものであるかにつき検討すると、上記取消理由に引用した特開平2-72851号公報(以下、引用例1という。)には、脱酸素剤組成物がフィルム中に分散されてなる熱可塑性樹脂フィルムを延伸してなる脱酸素剤組成物含有微多孔フィルム(A)の片面または両面に、水難溶性フィラーがフィルム中に分散されてなる熱可塑性樹脂フィルムを延伸してなる水難溶性フィラー含有微多孔フィルム(B)を積層した脱酸素剤組成物含有微多孔積層フィルム(特許請求の範囲請求項2)が記載され、第7、9図とともに「第7図は、2層からなる脱酸素剤含有組成物含有微多孔積層フィルムの脱酸素剤組成物含有微多孔フィルム10側ににガスバリヤー性フィルム40を積層したものであり、脱酸素能を有する包装材料とすることができる。」(第4頁右上欄第17行?左下欄第1行)、「第9図は、第7図または第8図で例示した脱酸素能を有する包装材料GまたはHを食品60の保存に適用した例である。この例では脱酸素能を有する包装材料とガスバリヤー性フィルム40とから形成した袋に食品を収容したものである。」(第4頁右下欄第1?5行)との記載がなされ、同じく「食品工業基礎講座11 品質保持と管理」、昭和63年10月17日株式会社光琳発行、第152?161頁(以下、引用例2という。)には、脱酸素剤について記載され、表4-4とともに「一般に脱酸素剤を使用する時は、・・・バリヤー性を有する包装材料であることが望ましく表4-4に示すような材料構成のものが望ましいとされている。これら各種の包装材料の中から、その選定に当っては、食品のシェルライフに見あったバリヤー性、ヒートシール性、耐ピンホール性、コスト等を勘案し、実際のテストを経て総合的に検討する必要がある。」(第157頁第4?9行)との記載がなされ、同じく「食品工業別冊 1980年版 食品の包装と材料」昭和54年9月20日株式会社光琳発行、第178?186頁(以下、引用例3という。)には、レトルト食品の包材と殺菌について記載され、同じく特開昭62-221352号公報(以下、引用例4という。)には、耐熱性を有する柔軟なプラスチック材料で形成された少なくとも一つ以上の排出口を有する容器であって酸素によって変質しやすい成分を含む薬液を充填したものと脱酸素剤をともに、少なくとも前記脱酸素剤の周囲に空間が存在するように高い酸素ガス非透過性を有する包装材料に封入し、前記薬液中において薬液を変質させない酸素濃度にしたことを特徴とする酸素による薬液の変質を防止する薬液入りプラスチック容器(特許請求の範囲第1項)が記載され、同じく特開昭63-281964号公報(以下、引用例5という。)には、親水性充填材を含有する酸素吸収性樹脂組成物に関する発明(特許請求の範囲参照)が記載され、「本願の樹脂組成物は酸素吸収性が賦与されているため、これをフィルムに形成し水分付与工程を通じて処理した場合に、包装材として利用すると、食品の長期保存、野菜類の鮮度保持、医療の防虫、或いは電子部品・精密機器の防錆等に顕著な硬化を示す。或いは、密閉容器中に当該フィルム片を投入して、酸素吸収の目的を果すことができる。」(第1頁右欄第4?10行)、「当該フィルムを用いて積層体を加工する場合、外層として空気中の酸素不透過の合成樹脂層又は金属箔層を貼布する。・・・。内層としては気体透過性の良好な通気性フィルムを貼布する。通常、紙・合成紙・不織布・微多孔フィルム等が好んで用いられる。この内層は、被包装体に、当該酸素吸収性樹脂組成物が直接触れるのを防ぐ目的で貼布される。」(第3頁右上欄第19行?左下欄第9行)との記載がなされていることが認められる。
しかしながら、引用例1?5には、訂正後の実用新案登録請求の範囲請求項1に係る考案の構成要件である「ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂内層(多孔性のものを除く)から成り、酸素吸収剤配合樹脂中間層がガスバリヤー層よりも内側に位置する第一の積層シート」を用いて製袋して成る「加熱殺菌可能な外包袋」の記載又はこれを示唆する記載はなされていないものと認められる。
すなわち、引用例1、5には、酸素吸収剤配合樹脂層を備えた積層シートを使用して包装袋とすることの記載はなされているものの、加熱滅菌可能な外包袋とすることの記載ないし示唆はなされていないし、当該積層シートは層の構成において前記請求項1に係る考案の第一の積層シートとは相違することが認められる。また、引用例2?4の記載は、酸素吸収剤配合樹脂層を含む積層シートに関するものではない。
したがって、訂正後の実用新案登録請求の範囲請求項1に係る考案は、引用例1?5に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることはできない。
また、訂正後の実用新案登録請求の範囲請求項2?5に係る考案は、請求項1に係る考案を構成する事項を限定してなるものであるから、請求項1に係る考案についての判断で示したと同様の理由により、引用例1?5に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることはできない。
(4)以上のとおり、訂正後の実用新案登録請求の範囲請求項1?5に係る考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案でもないから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項で準用する特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.実用新案登録異議(以下、登録異議という。)の申立てについて
本件登録実用新案は、訂正された明細書の実用新案登録請求の範囲請求項1?5に記載されたとおりのものと認める。
登録異議申立人は、請求項1?5に係る考案(以下、本件考案という。)は、甲第1?5号証(上記引用例1?5)に記載された考案であり、また、同甲号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、その実用新案登録は実用新案法第3条第1、2項の規定に違反してされたものであると主張し、さらに、かかる登録異議の申立て理由を補足説明するとして上申書により参考資料1(「機能性包装材料の新展開」、1990年2月10日株式会社東レリサーチセンター発行、第189193頁)、参考資料2(「工業材料」、1987年5月号、第99?103頁)、参考資料3(「エージレスガイドブック」、昭和63年8月24日特許庁資料館受入、第1?7頁)、参考資料4(特公昭62-1824号公報)及び参考資料5(特開昭55-44344号公報)の提出をしている。
しかし、参考資料1?5にも、ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂層からなる積層シートを用いて加熱殺菌可能な外包袋とすることの記載ないし示唆はなされていないものと認められるから、本件考案は、上記2.訂正の適否についての(3)に記載したとおりの理由により、甲第1?5号証に記載された考案であるとも、同甲号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるともすることはできない。
4.また、他に本件考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名祢】
内容物透視性と保存性とを有する外包袋
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂内層(多孔性のものを除く)から成り、酸素吸収剤配合樹脂中間層がガスバリヤー層よりも内側に位置する第一の積層シートと、耐ピンホール性樹脂層、ガスバリヤー層及びヒートシール性樹脂内層を備えた透明な第二の積層シートとを、ヒートシール性樹脂層同士が対面するように重ね合せ、ヒートシールにより製袋して成ることを特徴とする内容物透視性と保存性とを有する加熱殺菌可能な外包袋。
【請求項2】 上記第一の積層シートの中間層が吸水牲の熱可塑性樹脂から成る請求項1記載の外包袋。
【請求項3】 上記第一の積層シートの中間層に吸水剤が配合されている請求項1記載の外包袋。
【請求項4】 上記第一の積層シートのヒートシール性樹脂内層が白色に着色されている請求項1記載の外包袋。
【請求項5】 上記第一の積層シートのヒートシール性樹脂内層に吸水剤が配合されている請求項1記載の外包袋。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は外包袋に関し、より詳細には、内容物の透視性と保存性とを兼ね備えた、輪液容器等の外包袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体薬品を内容物とする輸液容器は管等を直接容器に接続して使用されるものであるため、病院等において使用されるまでの間に容器が汚染されるのを防止する必要がある。このため合成樹脂のフィルムから成る外包袋に充填された状態で取り扱われているが、このような外包袋は、内容物が外包袋の外から見ることができるように透明性に優れていることが必要であると共に、輸液容器の変質を防止するために保存性に優れたものであることが要求される。
一般に輪液容器は、取扱い易く、また衛生性に優れるものとしてポリエチレン等の合成樹脂から成っているが、これらは比較的ガスバリヤー性に劣る合成樹脂であるため内容液が酸素により変質されるおそれがある。このため、ポリエチレン製の輪液容器を収納する外包袋には、ガスバリヤー性に優れた合成樹脂が使用されているが、この外包袋では外部からの酸素の透過は遮断することができるとしても、内容液への酸素の影響を排除するためには、外包袋内部の残存酸素をも有効に低減させることが必要となってくる。
このため従来は、外包袋内に脱酸素剤を輪液容器と一緒に入れて、残存酸素の捕捉を行い、外包袋内の酸素等の量を低減させることにより、輸液容器の内容液の変質を防止していた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、このような外包袋に小袋に充填された脱酸素剤をそのまま入れると、脱酸素剤を誤って服用してしまうおそれがある。一方、脱酸素剤を外包袋から容易に取出せないように外包袋i内に固着させるのは製造工程が非常に煩雑になって、生産性に劣るという問題も有していた。
更に輪液容器は、その内容物の性質上加熱殺菌やレトルト殺菌に付されるが、従来の外包袋では輪液容器と共に殺菌した場合には、殺菌によって生じた水分が外包袋内に付着し、この水滴が脱酸素剤の小袋にしみ込んで脱酸素剤成分が滲み出すおそれや、またその水滴が内容物の漏洩と誤認されるおそれがあったため、外包袋充填前に輪液容器の殺菌を行い、その後に外包袋内への充填を行っていたので、充墳工程において輪液容器が汚染されるおそれがあった。
【0004】
また輪液容器を外包袋に入れてからレトルト殺菌処理を行う方法として、金属箔ラミネートフィルムの袋を用い、更にN_(2)置換して密封包装する方法が考えられるが、この方法では袋内部の透視ができず、液の漏洩や変質を事前に知ることができないという不都合があった。
従って本考案の目的は、輪液容器の外包袋において、内容物の透視性に優れると共に、外部からの酸素の透過を遮断し、また外包袋内に残存する酸素を有効に捕捉して、内容物の変質を有効に防止できる保存性に優れた外包袋を提供するにある。
本考案の他の目的は、輪液容器を外包袋に充填した後に加熱殺菌やレトルト殺菌を行うことが可能な外包袋を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するだめの手段】
本考案によれば、ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂内層(多孔性のものを除く)から成り、酸素吸収剤配合樹脂中間層がガスバリヤー層よりも内側に位置する第一の積層シートと、耐ピンホール性樹脂層、ガスバリヤー層及びヒートシール性樹脂内層を備えた透明な第二の積層シートとを、ヒートシール性樹脂層同士が対面するように重ね合せ、ヒートシールにより製袋して成ることを特徴とする内容物透視性と保存性とを有する加熱殺菌可能な外包袋が提供される。
【0006】
【作用】
本考案の外包袋においては、酸素吸収剤が配合され外包袋内の酸素を捕捉する第一の積層シートと、透明性を有し、内容物を目視できる第二の積層シートを組合せた点が重要な特徴である。すなわち、第一の積層シートの中間層に配合された酸素吸収剤は、外包袋内の残存酸素を有効に捕捉し、酸素による輪液容器の内容液の変質を有劾に防止するため、内容物の保存性に優れたものとなる。しかも脱酸素剤を外包袋を構成する積層体の一つの層に配合して設けているために、脱酸素剤を外包袋内に入れるための特別な工程が不要であり包装作業が容易であると共に、脱酸素剤が誤って服用されるおそれもないのである。
また、第二の積層シートが透明性を有しているので、外包袋を開封しなくても内容物の状態を把握することができ、しかも第二の積層シートは耐ピンホール性にも優れたものであるので、外包袋の密封性は十分に保持されているのである。
更に、外包袋を構成する第一の積層シート及び第二の積層シートのいすれにもガスバリヤー層が設けられているため、外部からの酸素の透過が有効に防止されており、外包袋内の酸素量が増加することがほとんどないため外包袋内はほぼ無酸素状態を維持できるのである。
【0007】
本考案において第一の積層シートの中間層に配合する酸素吸収剤は、一般に還元性有し、それ自体を酸素により酸化させることにより、酸素を捕捉するものであるが、この酸化反応、すなわち酸素の捕捉には水分の存在が必須不可欠である。一方、前述したように輪液容器においては、加熱殺菌やレトルト殺菌が必須不可欠であり、これらの殺菌は水分と熱とが同時に作用する条件下で行われるものであることから、本考案においては、これらの殺菌における水分を脱酸素剤の酸素の捕捉に利用することにより、殺菌後に外包袋内に水分が付着するのが防止されて、輪液容器を外包袋に充填した後の殺菌を可能にし、また酸素吸収剤の活性化による酸素吸収能を高めることができ外包袋内の残存酸素の低減が可能になるのである。
【0008】
本考案の外包袋の構成を、外包袋の断面図を示す図1に基づいて説明する。
本考案の外包袋1は、第一の積層シート2と第二の積層シート3を、重ね合わせて成り、その端縁同士がヒートシールされることによって一体化され、輪液容器を収容する収容部4はヒートシール部5によって囲まれた状態で密封される。
第一の積層シート2は、収容部4側から、ヒートシール層6、酸素吸収剤配合樹脂中間層7、ガスバリヤー層8、及び必要により設けられる保護層9から成り、第二の積層シート3は、収容部4側から、ヒートシール層10、ガスバリヤー層11、耐ピンホール性樹脂層12から成っている。
【0009】
【考案の好適態様】
(第一の積層シート)
第一の積層シートの中間層に配合される酸素吸収剤としては、従来この種の用途に使用されている酸素吸収剤はすべて使用できるが、一般には還元牲でしかも実質上水に不溶なものが好ましく、その適当な例としては、還元性を有する金属粉、例えば還元性鉄、還元性亜鉛、還元性錫粉;金属低位酸化物、例えば、酸化第一鉄、四三酸化鉄;還元性金属化合物、例えば、炭化鉄、ケィ素鉄、鉄カルボニル、水酸化第一鉄などの一種又は二種以上を組合せたものを主成分としたものが挙げられる。これらは必要に応じてアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三リン酸塩、第二リン酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、更に活性炭、活性アルミナ、活性白土のような助剤とも組合せて使用することができる。或いは多価フェノールを骨格内に有する高分子化合物、例えば多価フェノール含有フェノール・アルデヒド樹脂等が挙げられる。
これらの酸素吸収剤は一般に平均粒径が50μm以下、特に30μm以下の粒径を有することが好ましい。酸素吸収剤は、下記の樹脂100重量部当り1乃至100重量部、特に10乃至50重量部の割合で配合することが好ましい。
【0010】
酸素吸収剤を配合する樹脂としては、フィルム形成することができる従来公知の種々の樹脂を用いることができるが、なかでも酸素吸収剤配合の中問層が有効に水分を吸収できるように、それ自体吸水性を有する樹脂、例えばエチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%であるエチレン-酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物であるエチレンビニルアルコール共重合体を好適に使用できる。このエチレンビニルアルコール共重合体ケン化物は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般にフェノール:水の重量比が85:15の混合溶媒中30℃で測定して0.01dl/g以上、特に0.05dl/g以上の粘度を有することが望ましい。
【0011】
また、それ自休吸水性のない樹脂、例えば低-,中-,高-密度のポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、ポリブテン-1、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン-1共重合体、エテレン酢酸ピニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)或いはこれらのブレンド物等のオレフィン系樹脂等に、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール-アクリル酸共重合体、ポリエチレンオキサイド変牲物、アクリル酸ソーダ重合体、アクリル酸(塩)グラフト化澱粉、澱粉のアクリロニトリルグラフト化加水分解物、アクリル酸(塩)グラフト化セルロース等の澱粉乃至セルロース系のグラフト誘導体等の高吸水性の樹脂を吸水剤として配合することもできる。
またこれらの樹脂以外にも硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、燐酸二ナトリウム、二燐酸ナトリウム等の無機塩類、変性カゼイン、変性デンプン等の有機化合物、シリカゲル、アルミナゲル、ケイソウ土、各種ゼオライト等の吸着性無機化合物を配合することもできる。
【0012】
第一の積層体のガスバリヤー層としては、アルミ、ブリキ、鋼、錫等の金属の箔又は蒸着フィルムを用いることができる。これらの箔乃至蒸着フィルムは金属色を有しているため、酸素吸収剤によって着色された中間層を隠蔽する目的からも好ましいもめである。
またこれらの金属箔乃至金属蒸着フィルム以外にも、SiOx蒸着ポリエチレンテレフタレート(以下PETという)フィルムを好適に用いることができる。このSiOx蒸着PETフィルムは黒色のSiOを固体のままエレクトロンビームにより加熱蒸発させて、酸素雰囲気下においてPETフィルムに蒸着させることによって製造される。SiOx蒸着フィルムのXの値は、PETフィルム上に注入される酸素雰囲気をコントロールすることにより1.5から1.8の範囲の組成が得られる。X=1では黒色、X=2では無色であり、X=1.5では黄褐色、X=1.8では黄色と、Xが小さいほど着色の程度は大きいが、ガスバリヤー性はXの値が小さいほど優れているため、本考案にはXの小さいものを用いることが好ましい。このSiOx蒸着フィルムを用いた場合にはマイクロウェーブ加熱に付することも可能となる。
【0013】
このガスバリヤー層には、最外層として、保護層を設けることが好ましい。保護層として用いられるものとしては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類を用いることができる。また必要に応じて着色また印刷されていることも可能である。
【0014】
ヒートシール性樹脂としては、従来公知のヒートシール性樹脂をすべて用いることができる。例えばこれに限定されないが、低-,中-,高-密度のポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、ポリブテン-1、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン-1共重合体等のオレフィン系樹脂等を用いることができる。
またヒートシール層は、酸素吸収配合中間層が酸素吸収剤によって着色されているためこれを隠蔽し、また内容物の色等を容易に把握できるように、チタンホワイト等の従来公知の白色顔料を配合して着色することが好ましい。顔料はヒートシール樹脂に対し1乃至15重量%、特に2乃至10重量%の量で配合することが好ましい。
更にヒートシール層には、中間層に配合し得る吸水性樹脂又は吸水剤を配合することもできる。これによりレトルト殺菌等により外包袋内に生じる水滴をより迅速に消失させることが可能となる。
【0015】
(第二の積層シート)
第二の積層シートのガスバリヤー層は、従来公知のガスバリヤー性樹脂をすべて用いることができる。例えば、これに限定されないが、第一の積層シートの中間層用樹脂として例示した、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%であるエチレン-酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物であるエチレンビニルアルコール共重合体や、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、SiOx蒸着PETフィルム等を好適に用いることができる。
【0016】
また耐ピンホール性樹脂層としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6-6,6共重合体、メタキシリレンアジパミド、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等のポリアミド類や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、アイソタクティックポリプロピレン、ポリスチレン樹脂等が好適に使用できる。
ヒートシール層は、前述した第一の積層シートのヒートシール性樹脂と同様の樹脂を用いることが第一の積層シートと第二の積層シートとの間のヒートシール性の見地から好ましい。
【0017】
(層構成)
第一の積層シート及び第二の積層シートともに、各層間に十分な接着性が得られない場合があるが、この場合には、接着剤樹脂層を介在させることが好ましい。このような接着剤樹脂としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル基を主鎖、又は側鎖に、1乃至700ミリイクリバレント/100g樹脂、特に10乃至500ミリイクイバレント/100g樹脂の濃度で含有する熱可塑性樹脂が挙げられる。接着剤樹脂の適当な例は、エチレン-アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合休、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等の1種又は2種以上の組合せを挙げることができる。これらの樹脂は、同時押出或いはサンドイッチラミネーション等による積層に有用である。
また個々に作成されたフィルムを溶液タイプの接着剤を用いた所謂ドライラミネーションによって接着する場合は、二液型のウレタン系接着剤等を用いて、単体フィルムを個々に貼り合わせてもよいし、一部をインフレーション等によって積層した後、接着剤を用いて他と貼り合わせてもよい。
【0018】
第一の積層シートにおいては、ガスバリヤー層(以下RG層と示す)、酸素吸収剤配合中間層(以下MO層と示す)、ヒートシール層(以下HS層と示す)の厚みは、RG層は5乃至30μm、MO層は20乃至70μm、HS層は5乃至100μmの範囲の厚さであることが好ましい。
また第二の積層シートにおいては、耐ピンホール層(以下RP層と示す)、ガスバリヤー層(以下RG層と示す)、ヒートシール層(以下HS層と示す)の厚みは、RP層は5乃至30μm、RP層は5乃至30μm、HS層は5乃至100μmの範囲の厚さであることが好ましい。
【0019】
本考案においては、第一の積層シート及び第二の積層シート共に、基本となる上記三層を有している限り種々の変更を行うことができる。例えば以下のような層構成を採用できる。尚、AD層は接着剤層を示す。
第一の積層シート
(外側)RG層/AD層/MO層/AD層/HS層(内側)
(外側)保護層/RG層/AD層/MO層/AD層/HS層(内側)
(外側)保護層/AD層/RG層/AD層/MO層/HS層(内側)
第二の積層シート
(外側)RP層/AD層/RG層/AD層/HS層(内側)
【0020】
本考案の外包袋は、前述した層構成を有する点を除けば、それ自体公知の方法で製造が可能である。
各樹脂層に対応する押出機で溶融混練した後、ドライラミネーション、サンドイッチラミネーション、押出コート等の積層方式を採用できる。形成された第一及び第二の積層シートを、各ヒートシール層を内側にして重ね合わせ周囲をヒートシールバー等の従来公知のヒートシール手段によってヒートシールすることにより成形される。外包袋内に輪液容器が収容されて、外包袋のすべての周囲がヒートシールにより密封された後、加熱殺菌やレトルト殺菌に付される。
尚、図2に本考案の外包袋1に輸液容器13が収容された状態の一例を示す。
【0021】
【実施例】
実施例1
ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)とアルミ箔(7μm)により成るラミネート材でPETフィルムが最外層と成る外層、平均粒径25μmの鉄系酸素吸収性組成物が30重量%配合された厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を中間層、厚さ50μmのチタン白含有LLDPEを内層とする第一の積層シートと、ポリアミドフィルム/エチレンビニルアルコール/LLDPE=1:1:2であり、厚さ60μmの透明ラミネートフィルムを第二の積層シートとし、ヒートシール性樹脂であるLLDPE同士が対面するように重ね合わせ、三辺をヒートシールして、280x150mmの袋を作製した。
【0022】
この袋内に、水200mlを入れたポリブロピレン製扁平ボトルを充填し、開放辺をヒートシールして密封した。尚、袋内空気量は180mlであった。これを115℃、20分間のレトルト処理に付した後、22℃、60%RHの雰囲気下で保存して、一定期間後の袋中の酸素濃度を測定レた。結果を表1に示す。
比較品として、第一の積層シートの中間層に鉄系酸素吸収性組成物を配合しない以外は同一の袋を用いて同様の実験を行った。結果を表1に示す。
表1より袋内の酸素濃度は日をおって低減していくことがわかる。また袋内は透視することが可能であり、ボトル等に漏れがあれば容易に発見できる状態であった。また袋の透視性はレトルト前後で変化がなかった。
【0023】
実施例2
第一の積層シートとして、低密度ポリエチレンとポリビニルアルコールのブレンドである吸水性樹脂組成物に、平均粒径25μmの鉄系酸素吸収性組成物を30重量%になるように混合したものを第一の積層体の中間層に用いた以外は、実施例1と同様のものを作成した。また第二の積層シートとして、ポリプロピレン:SiOx蒸着PETフィルム:低密度ポリエチレン=2:1:2の厚み比で厚さ75μmのものを作成した。この第一の積層シート及び第二の積層シートから実施例1と同様にして袋を作成し、ポトルを充填してその性能を調べた。結果を表1に示す。
表1より袋内の酸素濃度は急激に低下していくことがわかる。またレトルト直後は袋内に若干の水滴が付着していたが、翌日にはすべて消失していた。
【0024】
【表1】

【0025】
実施例3
第一の積層シートが、外側より12μmPETフィルム/7μmアルミニウム箔/50μm酸素吸収性樹脂層/40μmのチタン白入りポリプロピレン層であり、第二の積層シートが、外側より15μmPET/20μmエチレンビニルアルコール共重合体/70μmポリプロピレンである以外は、実施例1と同様にして外包袋を作成し(第一の積層シート中の酸素吸収性樹脂層は、実施例2のものと同様)、ボトルを充填した後密封して評価テストを行った。また対照品として第一の積層シートの酸素吸収性樹脂層を設けない以外は、上記と同様の外包袋を作成し、これに酸素吸収剤の小袋をボトルと共に入れて密封したものについて同様に評価テストを行った。
対照品は酸素吸収速度は早いものの、レトルト時に内部に溜る水分によって酸素吸収剤の小袋が湿り、酸素吸収剤として用いている鉄の錆が滲み出て、商品価値を損なっていた。これに対し本発明品は、レトルト直後は袋内に若干の水滴が付着していたが、翌日にはすべて消失していた。
【0026】
【考案の効果】
本考案によれば、酸素吸収剤を積層シートの中間層に配合することにより、酸素吸収剤の誤認服用を予防でき、しかも酸素吸収剤が外包袋内の残存酸素を有効に捕捉するため、内容物の変質を有効に防止できた。
また酸素吸収剤が加熱殺菌やレトルト殺菌の際に生じる水分によって活性化されて外包袋内酸素を有効に低減し得ると共に、輪液容器を外包袋に充填した後に殺菌しても外包袋に水滴等が付着することも防止できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の外包袋の一例の断面を示す図である。
【図2】
本考案の外包袋に輪液容器が収容された状態の一例を示す図である。
【符合の説明】
1 外包袋
2 第一の積層シート
3 第二の積層シート
4 収容部
5,10 ヒートシール部
6 ヒートシール層
7 酸素吸収剤配合樹脂中間層
8,11 ガスバリヤー層
9 保護層
12 耐ピンホール性樹脂層
13 輸液容器
訂正の要旨 (a)実用新案登録請求の範囲請求項1における「ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂内層を備えた第一の積層シート」を「ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂内層(多孔性のものを除く)から成り、酸素吸収剤配合樹脂中間層がガスバリヤー層よりも内側に位置する第一の積層シート」と訂正する。
(b)同請求項1における「外包袋」を「加熱殺菌可能な外包袋」と訂正する。
(c)考案の詳細な説明段落番号【0005】における「ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂内層を備えた第一の積層シート」を「ガスバリヤー層、酸素吸収剤配合樹脂中間層及びヒートシール性樹脂内層(多孔性のものを除く)から成り、酸素吸収剤配合樹脂中間層がガスバリヤー層よりも内側に位置する第一の積層シート」と訂正する。
(d)考案の詳細な説明段落番号【0005】における「外包袋」を「加熱殺菌可能な外包袋」と訂正する。
異議決定日 1999-11-11 
出願番号 実願平5-27076 
審決分類 U 1 651・ 113- YA (B32B)
U 1 651・ 121- YA (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平井 裕彰野村 康秀  
特許庁審判長 小林 正巳
特許庁審判官 石橋 和夫
仁木 由美子
登録日 1998-07-03 
登録番号 実用登録第2580980号(U2580980) 
権利者 東洋製罐株式会社
東京都千代田区内幸町1丁目3番1号
考案の名称 内容物透視性と保存性とを有する外包袋  
代理人 大谷 保  
代理人 鈴木 郁男  
代理人 鈴木 郁男  
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