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審決分類 審判 全部申し立て   E02F
審判 全部申し立て   E02F
管理番号 1018564
異議申立番号 異議1999-71765  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-27 
確定日 2000-03-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第2583797号「旋回式作業車のロータリージョイント構造」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2583797号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2583797号に係る出願は、平成5年5月20日の出願であって、平成10年8月14日に実用新案登録の設定がなされ、その後森本淳史から実用新案登録異議の申立がなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成11年9月28日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由が通知され、それに対して平成12年1月31日付けで手続補正書が提出されたものである。

2.訂正請求の補正の適否
平成12年1月31日付けの訂正請求の補正は、訂正請求の要旨を変更するものではなく、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用される、特許法第120条の4第3項でさらに準用する同法第131条第2項の規定に適合するので、当該訂正請求の補正を認める。

3.訂正の要旨
訂正事項a:実用新案登録明細書の【 実用新案登録請求の範囲 】の欄の第8行の「形成してある」を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として「形成し、この環状油溝(13)に対向する前記シャフト(10)の外周面には、軸線方向で前記環状油溝(13)の両側に位置を異ならせてシールリング(14)装着用の環状溝を形成してある」と訂正する。
訂正事項b:上記訂正事項aに伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として、同明細書の【0004】の欄の第7行の「形成した」を、「形成し、この環状油溝に対向する前記シャフトの外周面には、軸線方向で前記環状油溝の両側に位置を異ならせてシールリング装着用の環状溝を形成した」と訂正する。

4.訂正の適否
(1)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
本考案の訂正前の課題及び作用効果は、ボディの内周面とシャフトの外周面の両方に環状溝を切削加工するには多大の手数と加工コストが掛かるので、ボディの内周面に鋳抜きのみで環状溝を形成して、その環状溝だけで環状油溝を形成することによって、従来技術に比してボディの油溝用環状溝の切削加工及びシャフトの油溝用環状溝形成を省略でき、環状油溝形成に要する手数及びコストを十分に低減できる、製作性及び製作コスト面で有利な旋回式作業車のロータリージョイントを提供できるようになったという、環状油溝の形成に関するもののみであり、上記実用新案登録請求の範囲の「形成し、この環状油溝(13)に対向する前記シャフト(10)の外周面には、軸線方向で前記環状油溝(13)の両側に位置を異ならせてシールリング(14)装着用の環状溝を形成してある」という訂正は、訂正前の実用新案登録請求の範囲に新たな構成を付加するものであり、実用新案登録請求の範囲の減縮に相当するものの、上記課題を解決するものではなく、訂正前の考案とは別個の新たな目的を追加するものであり、実用新案登録請求の範囲を実質上変更するものである。
以上のとおりであるから、当該実用新案登録請求の範囲の訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

5.異議の申し立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
申立人森本淳史は、証拠として甲第1号証{実願平1-135753号(実開平3-76058号)のマイクロフィルム}及び甲第2号証{特開昭62-185929号公報}を提出して、本件請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載された考案であるから実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反しており、本件の実用新案登録を取り消すべきであり、あるいは、本件請求項1に係る考案は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基いて、その考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから実用新案法第3条第2項の規定に違反しており、本件の実用新案登録を取り消すべきであると主張している。
(2)本件考案
本件請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により構成されるとおりのものである。
「【請求項1】 鋳造製の筒状ボディ(9)に鋼材製のシャフト(10)を相対回転自在に内嵌させ、前記ボディ(9)及び前記シャフト(10)の一方を旋回台(3)にかつ他方を走行車体(A)に連結し、前記ボディ(9)の油路(11)と前記シャフト(10)の油路(12)を接続する環状油溝(13)を前記ボディ(9)の内周面と前記シャフト(10)の外周面の間に形成した旋回式作業車において、前記ボディ(9)の内周面に鋳抜きのみで形成した環状溝だけで前記環状油溝(13)を形成してある旋回式作業車のロータリージョイント構造。」
(3)甲各号証記載の考案
甲第1号証(以下、「刊行物1」という。)には、実用新案登録請求の範囲、第1頁第16?18行、第7頁第2,3行、同第7?12行、第8頁第18,19行及び第1,2図を参照すると、「鋳造品からなるロータに鋳造品からなるシャフトを回動自在に挿嵌し、ロータを下部走行体にシャフトを上部旋回体に固定し、ロータの鋳抜き孔とシャフトの鋳抜き孔を連通する環状の油溝をロータの内周にのみ設けた旋回式作業機のスイベルジョイント」が記載されていると認められる。また、第3頁第10?15行には、ロータを上部旋回体にシャフトを下部走行体に固定する従来例が記載されている。
甲第2号証(以下、「刊行物2」という。)には、第2頁右下欄第12行から最下行、第3頁右上欄第1?8行及び第4,5図の記載を参照すると、「外側のスイベルジョイント固定筒と、内側のスイベルジョイント旋回軸により構成され、スイベルジョイント固定筒側を走行フレームに、スイベルジョイント旋回軸を旋回フレーム側に固定して、両者は互いに回動しながら、圧油は所定の油路を経て、旋回フレーム側と走行フレーム側の間を往来可能としている旋回型掘削機のスイベルジョイントにおいて、スイベルジョイント旋回軸に設けられた油路より出た圧油はスイベルジョイント固定筒に設けられた螺子孔に螺装されたパイピングにより送油されている」ことが記載されている。
(4)対比・判断
本件考案と、刊行物1に記載された考案とを比較すると、刊行物1に記載された考案の「ロータ」、「下部走行体」、「上部旋回体」、「鋳抜き孔」及び「スイベルジョイント」は、各々その機能からみて本件考案の「筒状ボデイ」、「走行車体」、「旋回台」、「油路」及び「ロータリージョイント」に相当するから、刊行物1の従来例も考慮すると、鋳造製の筒状ボディにシャフトを相対回転自在に内嵌させ、ボディ及びシャフトの一方を旋回台にかつ他方を走行車体に連結し、ボディの油路とシャフトの油路を接続する環状油溝をボディの内周面とシャフトの外周面の間に形成した旋回式作業車において、ボディの内周面に形成した環状溝だけで環状油溝を形成してある旋回式作業車のロータリージョイント構造の点で一致し、下記の点で相違している。
a.本件考案では、シャフトが鋼材製であるのに対し、刊行物1に記載された考案では、鋳造製である点。
b.本件考案では、環状油溝が鋳抜きのみで形成してあるのに対し、刊行物1に記載された考案では、そのような限定がない点。
ここで、鋼材製のシャフトは、当該技術分野において周知(例えば実開昭57-18059号)のマイクロフィルム等参照)である。
次に、刊行物2に記載された考案を検討すると、刊行物2には、本件考案の「ボディ」に相当する「スイベルジョイント固定筒」が鋳造製である点及び本件考案の「環状油溝」に相当する油溝の構成に関して明記されておらず、図面からたとえスイベルジョイント固定筒を鋳造製と認定し、異議申立人が第5図にaと加筆したものが環状油溝と認定したとしても、刊行物2に、環状油溝が鋳抜きのみで形成してある点が記載されているとはいえない。また、刊行物1において、油路はいずれも鋳抜きで形成することが記載されているのに、環状油溝を鋳抜きで形成することが記載されていない点及び当該事項により本件考案は、明細書記載の作用効果を奏するものであることを考慮すると、本件考案が、上記刊行物1に記載された考案であるとも、刊行物1及び2に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものともいえない。

6.むすび
以上のとおりであるから、異議申立ての理由及び証拠によっては、本件の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-02-22 
出願番号 実願平5-26262 
審決分類 U 1 651・ 113- YB (E02F)
U 1 651・ 121- YB (E02F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 深田 高義  
特許庁審判長 幸長 保次郎
特許庁審判官 藤枝 洋
鈴木 憲子
登録日 1998-08-14 
登録番号 実用新案登録第2583797号(U2583797) 
権利者 株式会社クボタ
大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
考案の名称 旋回式作業車のロータリージョイント構造  
代理人 北村 修一郎  
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