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審決分類 |
審判 全部申し立て G02B |
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管理番号 | 1018569 |
異議申立番号 | 異議1999-72894 |
総通号数 | 13 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-01-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-07-26 |
確定日 | 2000-06-29 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第2589380号「スキャニング方式レーザマーキング装置」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第2589380号の請求項1に係る実用新案登録を取り消す。 |
理由 |
1.本件考案 本件実用新案登録第2589380号の請求項1に係る考案(平成2年9月25日出願、平成10年11月20日設定登録、以下、「本件考案」という。)は、登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「マーキング用のレーザ光を発振出力するレーザ発振手段と、前記レーザ光のレーザ出力を制御するとともに前記マーキング用レーザ光のスキャニングを制御するための制御手段とを含む本体ユニットと、 前記マーキング用レーザ光を出射するために前記本体ユニットから空間的に分離独立して任意の場所へ移動可能な分離型のマーキング用出射ユニットと、 前記レーザ発振手段からの前記マーキング用レーザ光を前記分離型のマーキング用出射ユニットへ送るために前記レーザ発振手段と前記分離型のマーキング用出射ユニットとを光学的に接続する光ケーブルと、 前記制御手段からのスキャニング制御信号を前記分離型のマーキング用出射ユニットへ送るために前記制御手段と前記分離型のマーキング用出射ユニットとを電気的に接続する電気ケーブルと、 前記分離型のマーキング用射出ユニットに内蔵され、前記光ケーブルを介して送られて来る前記レーザ発振手段からのマーキング用レーザ光を入射してそのレーザ光を平行光のマーキング用レーザ光にするコリメータレンズと、 前記分離型のマーキング用出射ユニットに内蔵され、前記電気ケーブルを介して送られて来る前記制御手段からのスキャニング制御信号により制御され、前記コリメータレンズからのマーキング用レーザ光を入射してそのレーザ光を第1の方向に走査する第1の走査ミラー手段と、 前記分離型のマーキング用出射ユニットに内蔵され、前記電気ケーブルを介して送られて来る前記制御手段からのスキャニング制御信号により制御され、前記第1の走査ミラー手段からのマーキング用レーザ光を入射してそのレーザ光を前記第1の方向と直交する第2の方向に走査する第2の走査ミラー手段と、 前記分離型のマーキング用出射ユニットに内蔵され、前記第2の走査ミラー手段からのマーキング用レーザ光をワーク上に集光する集光レンズとを具備することを特徴とするスキャニング方式レーザマーキング装置。」 2.刊行物記載の考案 これに対して、当審における取消理由で引用した刊行物1:「ジョイテック」1989年4月号には、 「3.1 スキャンマーキング レーザ光を、被加工物上に集光し、何らかの方法で集光点を移動させてその軌跡をマーキングするものである。レーザ光を2枚のミラーを使った高速ガルバノメータ形ビームスキャナで走査し、Fθレンズを使って集光するのが一般的で、図2にその原理図を示す。」(34頁右欄11?16行)、 「YAGレーザでは、光ファイバの利用が可能で、効率的なシステムを構成することができる。数十mまでは、ほとんどロス無く離れた所へレーザエネルギーを伝送することができるため、レーザ発振ヘッドや電源は離れた所に設置できる。・・・図7のように1台のレーザ発振器から、・・・ファイバに・・・レーザ光を伝送し、複数のラインでマーキングすることもできる。部品工場のライン各所4か所にXYプロッタ形のマーキングヘッドを配置し、材料、部品の流れに従って中央のコンピュータからの指令によりレーザ光を切換え、各所に送られた文字データに従ってレーザマーキングをし、FA化している例がある。」(37頁右欄21?38頁左欄5行)、 「マイクロコンピュータを搭載したスキャニングマーカーは勿論のこと、マスクマーカも単に決まったパターンのみでなくマスクの自動切換えや、光ファイバーの利用等、生産ラインに合わせたシステム化が、おこなわれている。」(38頁右欄11?15行)と記載されている。又、図2には、X軸ガルバノミラー及びY軸ガルバノミラーで、直交する方向に走査されたレーザビームがレンズで集光され、対象物に照射されるスキャンマーキング原理図が示され、図7には、レーザ・ルームのレーザ発振器を含む本体ユニットのレーザ発振器とこれと分離独立して任意の場所へ移動可能な分離型のマーキングヘッドが光ファイバで接続されていることが図示されている。 上記によれば、刊行物1には、 「マーキング用のレーザ光を発振するレーザ発振器を含む本体ユニットと、前記マーキング用レーザ光を出射するために前記本体ユニットから空間的に分離独立して任意の場所へ移動可能な分離型のXYプロッタ形のマーキングヘッドと、前記レーザ発振器と分離型のXYプロッタ形のマーキングヘッドとを光学的に接続する光ケーブルと、コンピュータからの指令によりレーザ光を切換え各所に送られた文字データに従って部品にレーザマーキングをする装置。」(以下、「刊行物1の第1考案」という。)及び、 「X軸ガルバノミラー及びY軸ガルバノミラーと、該両ミラーで直交する方向に走査されたマーキング用レーザ光を対象物に集光するFθレンズとを具備するスキャニングマカー。」(以下、「刊行物1の第2考案」という。)が記載されている。 又、同じく引用された刊行物2:実願昭60-84857号(実開昭61-200683号)のマイクロフィルムには、 「出射ユニット30において、光コネクタ21aから放射状に出たレーザ光は、コリメータレンズ32により平行にされた後、・・・次いで集光レンズ34により被加工物Wに集光・照射される。」(6頁11?16行)と記載されている。 3.対比判断 本件考案と刊行物1の第1考案とを対比すると、 刊行物1の第1考案の「レーザ発振器」、「マーキングヘッド」、「コンピュータ」及び「部品」は、 本件考案の「レーザ発振手段」、「マーキング用出射ユニット」、「制御手段」及び「ワーク」にそれぞれ相当し、両者は、下記の点で相違し、その他の点で実質的に一致する。 相違点1;本件考案は、分離型のマーキング用出射ユニットに内蔵され、前記光ケーブルを介して送られてくる前記レーザ発振手段からのマーキング用レーザ光を入射してそのレーザ光を平行光のマーキング用レーザ光にするコリメータレンズを具備するのに対し、刊行物1の第1考案では、この構成を有しない点。 相違点2;本件考案は、分離型のマーキング用出射ユニットに、コリメータレンズからのマーキング用レーザ光を入射してそのレーザ光を第1の方向に走査する第1の走査ミラー手段と、前記第1の走査ミラー手段からのマーキング用レーザ光を入射してそのレーザ光を前記第1の方向と直交する第2の方向に走査する第2の走査ミラー手段と、前記分離型のマーキング用出射ユニットに内蔵され、前記第2の走査ミラー手段からのマーキング用レーザ光をワーク上に集光する集光レンズとを具備するスキャニング方式レーザーマーキング装置であるのに対し、刊行物1の第1考案は、XYプロッタ形レーザーマーキング装置であり、この構成を有しない点。 相違点3;本件考案は、レーザ光のレーザ出力を制御するとともにマーキング用レーザ光のスキャニングを制御するための制御手段を本体ユニットに含ませたのに対し、刊行物1の第1考案のコンピュータは本体ユニットに含まれているかどうか記載がない点。 相違点4;本件考案は、制御手段からのスキャニング制御信号を分離型のマーキング用出射ユニットへ送るために前記制御手段と前記分離型のマーキング用出射ユニットとを電気的に接続する電気ケーブルを具備するのに対し、刊行物1の第1考案では、コンピュータとマーキングヘッドの接続について記載がない点。 上記相違点につき検討する。 相違点1について、レーザ光を入射してそのレーザ光を平行光にするコリメータレンズを分離型レーザ加工機の出射ユニットに設けることは、前記刊行物2に記載されているように従来周知であるから、この点は単なる周知技術の付加にすぎない。 相違点2について、光ファイバ伝送後にガルバノメータスキャナを設けることは、この出願前周知(例えば、「東芝レビュー」42巻9号(1987年)第691頁、4.4ガルバノメータスキャナ及び特開昭63-175818号公報参照)である。又、レーザーマーキングの方式として、本件考案のようなスキャニング方式及び刊行物1の第1考案のようなXYプロッタ方式は共に周知である。したがって、刊行物1の第1考案のXYプロッタ方式のマーキングヘッドに変え、刊行物1の第2考案のスキャニング方式のものを採用し、本件考案の上記相違点2の構成を得ることは当業者がきわめて容易に想到し得たものである。 相違点3について、一般に、装置を制御する制御手段を中央制御装置とするか、装置に一体又は別体の制御装置とするかは、設計的事項にすぎない。したがって、上記相違点3の本件考案の構成は、当業者であれば、必要に応じて適宜なし得る設計的事項にすぎない。 相違点4について、一般に、X軸ガルバノミラー又はY軸ガルバノミラーが制御手段からのスキャニング信号により制御されるものである以上、これらが制御手段と電気的に接続されることは自明の事項である。してみれば、刊行物1の第1考案のXYプロッタ方式のマーキングヘッドに変え、スキャニング方式のマーキングヘッドを設ける際に、マーキングヘッドとコンピュータを電気ケーブルで接続し、本件考案の上記相違点4の構成を得ることは当業者がきわめて容易に想到し得たものである。 しかも、本件考案の効果は、上記刊行物1記載の考案及び従来周知の技術から当業者が予測しうる程度のものである。 したがって、本件考案は、上記刊行物1記載の考案及び従来周知の技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案についての実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。 4.むすび 以上のとおり、本件の請求項1に係る実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してなされたものであるので、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2000-02-04 |
出願番号 | 実願平2-100070 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
Z
(G02B)
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最終処分 | 取消 |
特許庁審判長 |
豊岡 静男 |
特許庁審判官 |
東森 秀朋 青山 待子 |
登録日 | 1998-11-20 |
登録番号 | 実用新案登録第2589380号(U2589380) |
権利者 |
ミヤチテクノス株式会社 千葉県野田市二ツ塚95番地の3 |
考案の名称 | スキャニング方式レーザマーキング装置 |
代理人 | 名越 秀夫 |
代理人 | 佐々木 聖孝 |
代理人 | 生田 哲郎 |