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審決分類 |
審判 全部申し立て B65D 審判 全部申し立て B65D |
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管理番号 | 1018572 |
異議申立番号 | 異議1999-74840 |
総通号数 | 13 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-01-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-12-16 |
確定日 | 2000-06-21 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第2600016号「ポリエステル樹脂製瓶の底部構造及び底型」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第2600016号の請求項1ないし4に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
I.本件考案 本件実用新案登録第2600016号(平成4年10月27日出願、平成11年7月30日設定登録。)の請求項1ないし4に係る考案(以下、それぞれ「本件考案1」、「本件考案2」、「本件考案3」および「本件考案4」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし4に記載された以下のとおりのものと認められる。 【請求項1】2軸延伸ブロー成形されたポリエステル樹脂製瓶の底部構造であって、円環状に等間隔に配列された、共通接平面を有する奇数個の膨出した脚部を備え、且つ、該奇数個の膨出した脚部に囲まれた底部領域に、ゲート部を取り囲む環状の溝を備えたことを特徴とする底部構造。 【請求項2】前記脚部が、瓶側壁を1の側面とする截頭角錐の形状を有するものである、請求項1に記載の底部構造。 【請求項3】前記環状の溝が円環状である、請求項1又は2に記載の底部構造。 【請求項4】2軸延伸ブロー成形されたポリエステル樹脂製瓶の底部を形成するための底型であって、パリソンのゲート部を保持するための円形の凹部と、該ゲート部を取り囲む環状の溝を形成するための環状の突起とを備えた、請求項1乃至3のいずれかに記載の底部構造を成形するための底型。 II.申立ての理由の概要 申立人 日精エー・エス・ビー機械株式会社は証拠として下記の甲第1ないし3号証を提出し、本件考案1ないし3は甲第1ないし3号証に記載された考案であるか、またはそれらの考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであり、本件考案4は甲第1または2号証に記載された考案であるか、またはそれらの考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるから、実用新案法第3条第1項または第2項の規定に違反して実用新案登録されたものであり、登録を取り消すべきであると主張している。 甲第1号証・・・米国特許第5064080号明細書 甲第2号証・・・オーストラリア意匠公報AU-S-94175 甲第3号証・・・米国特許第3727783号明細書 なお、申立人は参考資料1として特表平6-502375号公報も提出している。 III.甲第1ないし3号証記載の考案 申立人が提出した甲第1ないし3号証には以下の点が記載されている。 (1)甲第1号証 a.吹込成形容器10,10’、10’’は、射出ストレッチ吹込成形により、ポリエチレンテレフタレートから製造されること。(8欄19?21行、Fig.2、3) b.図1ないし図3を参照すると、自立用底構造体20は本体部分に関して互いに円周方向に間隔を隔てた、複数の下方に突出した中空脚部22を有しており、各脚部22は立てた状態に容器を支持する際に協働するように、下部の平らな足24を有し、各足24は、図1に示すような他の脚部の足と同一平面であること。(5欄12?19行、Fig.1、2、3) c.図2と3を参照すると、容器の自立用底構造体20は中心軸Aに沿って位置する一般に円形のハブ41を有し、脚部22と湾曲リブ34は、円周方向に互いに交互の関係を成して円形ハブ41から半径方向に延びており、ハブ41の環状壁46は脚部22の内側連結部分30および湾曲リブ34の内端38に連結される下端を有し、ハブ41の上壁44は、円筒形本体部分の直径Dの約0.08から0.12の範囲内の高さHh1分だけ、脚部22の平らな足24の平面より上に間隔を隔てており、容器を吹込成形するのに利用されるプリフォームの射出成形に使用される湯口こぶ48が、支持面より十分に間隔を保ち、平らな足24は支持面と面同志の係合で同一平面関係に維持されること。(5欄52行?6欄31行) (2)甲第2号証 容器の底部構造であって、円環状に等間隔に配列された、共通接平面を有する9個の膨出した脚部を備え、且つ、該奇数個の膨出した脚部に囲まれた底部領域の中央に隆起部を備えた点が記載されている。 (3)甲第3号証 図2および3を参照すると、円環状に配置され共通接平面を有する3個の膨出した脚部に囲まれた底部領域に、円環状の溝を有する瓶底部が記載されている。 また、瓶をポリエチレンテレフタレートにて形成することが記載されている。(10欄26行) IV.申立人の主張に対する当審の判断 (1)請求項1に係る考案について 本件考案1と甲第1ないし3号証に記載された考案とを対比すると、両者は「2軸延伸ブロー成形されたポリエステル樹脂製瓶の底部構造であって、円環状に等間隔に配列された、共通接平面を有する奇数個の膨出した脚部を備え、且つ、該奇数個の膨出した脚部に囲まれた底部領域を備えたことを特徴とする底部構造」で一致する。しかしながら、後者にはそのいずれにも「脚部に囲まれた底部領域に、ゲート部を取り囲む環状の溝を備えたこと」が記載されておらず、示唆もされていない。本件考案1は甲第1ないし3号証記載の考案にはない前記構成を有することにより、過酷条件下において底部の脚部近傍、例えば各脚部の間の谷底部分近傍にクレージングが生じた場合においても、該クレージングのゲート部方向の伸長は環状の溝部分によって遮断されて停止し、ゲート部に到達することがなく、ゲート部の亀裂等の破損の発生を防止できる、という特有の効果を奏するものである。 なお、申立人は甲第1号証に記載された考案における「ハブ41」が本件考案1の「ゲート部を取り囲む環状の溝」に相当するものであると主張するが、前記「ハブ41」は本件考案1の「底部領域」に相当するものであり、本件考案1はこの「底部領域」にさらに「ゲート部を取り囲む環状の溝」が存在するのであり、この主張は採用できない。 また、甲第2および3号証に記載された考案も開示しているのは本件考案1における「底部領域」までである。 以上のとおりであるから、本件考案1が甲第1ないし3号証に記載された考案であるとも、これらに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるともすることはできない。 (2)請求項2および3に係る考案について 本件考案2および3は本件考案1の構成をさらに限定するものであるから、本件考案2および3に対する判断は請求項1に係る判断と同様である。 (3)請求項4に係る考案について 本件考案4は「請求項1乃至3のいずれかに記載の底部構造を成形するための底型」に関するものであり、甲第1および3号証には底型について直接の記載はない。そこで、本件考案4と甲第1および2号証に記載された考案において成形される瓶の底部構造を対比すると、後者にはそのいずれにも「脚部に囲まれた底部領域に、ゲート部を取り囲む環状の溝を備えたこと」が記載されておらず、示唆もされていない。してみると、使用される底型も両者は異なるものといわざるをえず、本件考案4が甲第1および2号証に記載された考案であるとも、これらに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるともすることはできない。 V.むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし4に係る実用新案登録を取り消すことはできない。また、他に本件請求項1ないし4に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2000-05-29 |
出願番号 | 実願平4-80371 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
Y
(B65D)
U 1 651・ 113- Y (B65D) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 二ッ谷 裕子 |
特許庁審判長 |
佐藤 雪枝 |
特許庁審判官 |
森林 克郎 鈴木 美知子 |
登録日 | 1999-07-30 |
登録番号 | 実用新案登録第2600016号(U2600016) |
権利者 |
日本山村硝子株式会社 兵庫県西宮市浜松原町2番21号 |
考案の名称 | ポリエステル樹脂製瓶の底部構造及び底型 |
代理人 | 赤岡 迪夫 |
代理人 | 大渕 美千栄 |
代理人 | 井上 一 |
代理人 | 布施 行夫 |