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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) A47J
管理番号 1020793
審判番号 審判1999-35211  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-05-06 
確定日 2000-05-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第2144476号実用新案「セラミック炭ロースター」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2144476号実用新案の明細書の請求項1および請求項2に記載された考案についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案
本件登録第2144476号実用新案は平成3年10月18日に実用新案登録出願され、平成8年11月28日に設定の登録が成されたものである。そして、本件実用新案登録の請求項1および請求項2に係る考案は、明細書及び図面の記載から見て、同請求項1および請求項2に記載された次のとおりのものと認める。
【請求項1】 壺体を内箱内に収納し、かかる壺体の中央部にセラミック炭を支承し、一方壺体の下方に収納したバーナー火口は壺体下方の開□部の周縁部より外側としたことを特徴とするセラミック炭ロースター。
【請求項2】 支持体上にセラミック炭を載上して壺体の中央部にセラミック炭を支承する様にしたことを特徴とする請求項1のセラミック炭ロースター。

2.当事者の主張
(1)請求人の主張
請求人は、審判請求書において、「第2144476号実用新案の登録は、これを無効にする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、「本件実用新案権の請求項1および請求項2の考案は、甲第1号証?甲第6号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができず、同法第37条第1項に該当し、無効とすべきものである。」旨主張している。
そして、請求人は上記主張事実を立証するために以下の証拠方法を提出している。
甲第1号証:実公昭62-31080号公報
甲第2号証:実公昭63-32667号公報
甲第3号証:実願昭57-75430号(実開昭58-177038号)の マイクロフイルム
甲第4号証:実願平1-132816号(実開平3-72835号)のマイ クロフイルム
甲第5号証:実願昭62-195548号(実開平1-104927号)の マイクロフイルム
甲第6号証:実願平1-121181号(実開平3-62530号)のマイ クロフイルム
なお、審判請求書の「証拠方法」欄には、甲第3号証乃至甲第6号証が公開公報であると記載されている。しかし、同請求書の「請求の理由」欄の記載および添付書類からみて、これら甲各号証はマイクロフイルムであると認められる。そこで、上記のように、請求人の提出した証拠方法を認定した。

(2)被請求人の主張
請求人の引用した甲第1?6号証に記載された考案は、本件考案の進歩性を否定するものではなく、本件考案は、これらの甲第1?6号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものではない旨、被請求人は主張している。そして、「第2144476号実用新案の登録無効審判請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めている。


3.甲第3?6号証の記載事項
上記甲第3?6号証には以下のとおりの記載がなされている。
(イ)甲第3号証
甲第3号証明細書第4ページ13行?第5ページ6行には、「本考案は、斯る従来焼物器の煙吸引手段の欠点を解消したものであり、以下図面に示す実施例に基いて詳説する。
器体(1)は、金属鈑を屈曲形成したもので、上部に熱口(2)を開口し、この熱口(2)に焼網(3)を設けてある。そして、焼網(3)の下部には、輻射物収納カゴ(4)を取付けその内部に輻射物(5)を収納してある。輻射物収納カゴ(4)は、網状に形成するのが熱効率上望ましく、焼網(3)と一体にあるいは別個に器体(1)に対して着脱可能に形成し輻射物(5)の取換を便利にしておくのがよい。また、輻射物(5)は、木炭等公知の自然性のものでもよいが、本考案は、多孔質の火山岩等非自然性のものを主に想定している。」と記載されている。

同号証明細書第5ページ20行?第6ページ3行には「焼網(3)上に調理材料(9)を載せ加熱すると、調理材料(9)より浸出した液汁あるいは調理材料(9)に漬けたタレ等が焼網(3)および輻射物(5)に接触して煙を発生する。」と記載されている。

同号証明細書第7ページ20行?第8ページ3行には「図示した実施例では、ガス燃焼管(7)を器体(1)の熱口(2)垂線よりも外方に位置させて、ガス燃焼管(7)への液汁・タレ等の接触を防止している。」と記載されている。

(ロ)甲第4号証
甲第4号証明細書第2ページ6?8行には、「油滴等がバーナー部に滴下するのを防止し、不要に煙りが立つのを防止するとともに炎孔が不測に詰まるのを防止することができる焼肉装置を提供することにある。」と記載されている。

同号証明細書第4ページ10?16行には、「そしてバーナー部2の上方にはバーナー部2の炎孔4の上方を覆う庇部3を設けてある。このように庇部3を設けることで、庇部3において被燃焼物Aから油滴等がバーナー部2の炎孔4に滴下するのを阻止し、これら滴下する油滴等が燃焼されて不要に煙りが立つのを回避し、しかも炎孔4が油滴等にて詰まるのを防止してある。」と記載されている。

(ハ)甲第5号証
甲第5号証明細書第5ページ9行?第6ページ6行には、「該外箱5の内部に所定間隔の吸引流路6を外箱5との間に有せしめる様にして円筒状の内箱7を取付けている。
8は金属製でラッパ状の炭ツボであり、該炭ツボ8は内箱7に設けた突片9,9a上に架設せしめ、炭ツボ8の下端は平板リング状のインナー載置部10を形成せしめると共に上端は周壁11を垂直に一体形成せしめている。
12は炭ツボ8の内側に収納せしめたセラミック、陶磁器製のラッパ状のインナーであり、該インナー12の中央湾曲部13上に5個の黒色のセラミック炭14,14a…を載上せしめるセラミック製の酸化触媒体である炭載置板15を載置せしめると共に、インナー12の上に肉類を載上せしめる網体16を載置せしめている。
17は内箱7底部に収容せしめたバーナーであり、」と記載されている。

甲第5号証明細書第8ページ3?17行には、「バーナー17に連結したガス管のコック(図示せず)を開き着火せしめれば、炭載置板15及びセラミック炭14,14a…が加熱せられる。
炭載置板15及びセラミック炭14,14a…が加熱されることにより放射する遠赤外線と、炭載置板15に穿設せしめた通気孔26,26a…、27,27a…、から上方に抜けて、セラミック炭14,14a…相互間の隙間とセラミック炭14,14a…に穿設せしめた孔24,24a…、25,25a…から抜ける直火により上方の網体16上に載置せしめた肉類を焼くのであるが、従来の対流熱及び伝導熱によるものに比し肉類の水分の急激なる蒸散が防止されるので肉類のジューシーな味わいと柔らかさが損なわれることなく、しかも焼きむらがなく木炭に近い状態に焼き上がる。」と記載されている。

甲第5号証明細書第11ページ6?12行には、「該炭ツボ8の中央部に複数個の通気孔27,27a…を穿設せしめたセラミック製の酸化触媒体である炭載置板15を載置せしめると共に、上方に網体16を載置せしめ、又上記炭載置板15上に孔22,22a…、23,23a…を穿設せしめた複数個のセラミック炭14,14a…を載上せしめたので、」と記載されている。

甲第5号証明細書第13ページ12?19行には、「又セラミック製の酸化触媒体である炭載置板15上にセラミック炭14,14a…を載上せしめるために、バーナー17からの燃料ガスを完全燃焼せしめて排ガスをクリーンにすることが出来たり、肉類から落下した肉汁を炭載置板15に付着させ下方に落下させず、且つ肉汁を焼き切ることができる等その実用的効果甚だ大なるものである。」と記載されている。

同号証第2,3図には、セラミック炭14,14aの載置位置が示されている。

(ニ)甲第6号証
甲第6号証明細書第2ページ16行?第3ページ5行には、「本考案は吸引作用される外箱の内部に焼網を配置して焼網上の焼煙、油粒子、排気熱等が混合した排気ガスを串焼器本体内部に吸引して排気ダクトで排気することにより、串焼き時に発生する排気ガスを完全に回収し、又焼網の側方に配置されたトッププレートの吸気孔により焼網上の空気を吸引することにより、店内の空調された空気を少量しか吸引することなく冷暖房負荷を増大させない様にした無煙串焼器を提供せんとするものである。」と記載されている。
同号証明細書第5ページ1行?第6ページ20行には「外箱5は上部が調理部6に開口し、下部が適宜吸引装置により吸引作用される排気部7に開口し、内部には所定間隔の吸引流路8を外箱5との間に有する様にして内箱9を取付けている。
又、外箱5の前後に位置する(左右方向)短手側壁10,10aは外箱5の上方より外方水平に延出して段部11,11aを設けて立ち上がると共に、外箱5の下方に底受け部12,12aを設けて内箱9の底を載置固定し、上記段部11,11aの基端部より上方に内箱9の側壁13,13a…が突出すると共に、短手側壁13,13aに接合した断熱板14,14aを設けて串焼器本体4の短手方向に外箱5と内箱9の間で内箱9の外側に所定幅を有する凹溝15,15aを設けている。
16は内箱9内に設けた加熱部であり、上下に開口部17,17aを有すると共に、内壁面全体に断熱材18を周設した炭ツボケース19の上端に鉤状の鍔20を形成し、該鍔20を内箱9上端に設けた突片21上に架設すると共に、鍔20上に焼網22を載置し、又炭ツボケース19の下端にセラミック炭23,23a…を載置する金網状のサナ24を着脱自在に載置し、一方下方開口部17aより下方位置にあたる上記内箱9の短手側壁13aにはバーナー25をバーナー止め台26にて固定すると共に、バーナー25の基端部を外箱5に貫通させてテーブル2に取付けたバーナーバンド27に連結する様になしている。
セラミック炭23,23a…はアルミナ、シリカ、マグネシアを母材とし、高純度の遷移元素酸化物数種(MnO_(2)、Fe_(2)O_(3)、CoO、ZrO_(2)、TiO_(2))をコーティングしたもので、人体に有害とされるクロム、鉛等の酸化物を含まないため、安心して食品用である串焼器に使用出来る。
尚、熱源はセラミック炭23,23a…について説明したが、従来行われているガスバーナーによる直火、又ガスバーナー上に輻射体を設けたもの、又炭火の雰囲気を出す自然炭、その他電熱線等の熱源でもよい。」と記載されている。

同号証明細書第9ページ5?12行には、「バーベキュー等の串物47の把手部48を凹溝15,15a上にして焼網22上に串物47の調理物49を載置し、バーナ25を着火することにてセラミック炭23,23a…が加熱され、これにより該セラミック炭23、23a…より放射される遠赤外線と、セラミック炭23,23a…相互間の隙間から抜ける直火により上方の焼網22上の調理物49を焼き上げ、」と記載されている。

同号証第3?5図には、「内箱9」、「炭ツボケース19」、「セラミック炭23,23a…」、「サナ24」、「バーナー25」が示されている。

4.対比・判断
(1)請求項1に係る考案について
《対比》
本件の請求項1に係る考案(以下「請求項1に係る考案」という。)を、甲第6号証に記載された考案(以下「甲第6号証の考案」という。)と比較すると、甲第6号証の考案の「炭ツボケース19」、「下方開口部17a」および、「無煙串焼き器」は、その機能に照らして、請求項1に係る考案の「壺体」、「壺体下方の開口部」、「セラミック炭ロースター」にそれぞれ相当する。
また、甲第6号証第3,5図で「バーナー25」につけられた7つの点は「バーナー火口」と認められる。
したがって、両考案は、次の点で一致する。
《一致点》
「壺体を内箱内に収納し、かかる壺体にセラミック炭を支承し、一方壺体の下方にバーナー火口を収納したセラミック炭ロースター。」
《相違点》
両考案は、次の1,2の点で相違する。
相違点1:請求項1に係る考案では「壺体の中央部にセラミック炭を支承する」としているのに対し、甲第6号証に記載された考案では「壺体の中央部に」支承するとは明記されていない点。

相違点2:請求項1に係る考案では「バーナー火口は壺体下方の開□部の周縁部より外側とした」としているのに対し、甲第6号証の考案では、バーナー火口がそのように外側とはされていない点。

《当審の判断》
そこで、上記相違点について検討する。
相違点1について
相違点1における、「壺体の中央部にセラミック炭を支承する」が甲第5号証に記載されていることは明らかである。(上記「(ハ)甲第5号証」の引用箇所を特に参照。)
そして、甲第5,6号証に記載された考案は共に「セラミック炭を使用するロースター」という共通の技術分野に属しているので、甲第6号証の考案に甲第5号証の技術を組み合わせることは、きわめて容易である。

相違点2について
上記の「(イ)甲第3号証」の項で引用したように、甲第3号証明細書第7ページ20行?第8ページ3行には「図示した実施例では、ガス燃焼管(7)を器体(1)の熱口(2)垂線よりも外方に位置させて、ガス燃焼管(7)への液汁・タレ等の接触を防止している。」と記載されている。ここでは、“燃焼管7を熱口2の垂線より外側に位置させ”と開示されているが、請求項1に係る考案の「バーナー火口」に対応する「ガス噴出口16」を外側に位置させるとは明記されていない。
しかし、甲第3号証に記載されたように“ガス燃焼管7への液汁・タレ等の接触を防止”するために“燃焼管7を器体1の熱口2垂線よりも外側に位置させ”れば、必然的に同号証の「ガス噴出口16」も外側に位置することになる。(なぜなら、ガス噴出口16に液汁・タレ等が接触すれば、燃焼管7にも接触してしまうことになり、ガス燃焼管7への液汁・タレ等の接触防止を計れなくなるからである。)
目詰まり防止の効果も周知の事項でしかない。(もし、必要ならば、
甲第4号証、
特開平3-75022号公報、第1ページ右下欄16行?第2ページ左 上欄7行
等を参照。)

次に、上記の、甲第3号証明細書第7ページ20行?第8ページ3行に記載された技術を、甲第6号証の考案に組み合わせることがきわめて容易であるかどうかについて検討する。
この、甲第3号証明細書第7ページ20行?第8ページ3行には「図示した実施例では、ガス燃焼管(7)を器体(1)の熱口(2)垂線よりも外方に位置させて、ガス燃焼管(7)への液汁・タレ等の接触を防止している。」と記載されている。この記載では、“液汁・タレ等がガス燃焼管7に接触するのを防止する。”という課題が開示されている。
他方、甲第6号証には必ずしも“液汁・タレ等がバーナー25に接触するのを防止する。”という課題は明示されていない。しかし、このような課題は、周知のものでしかない。(もし、必要ならば、
甲第4号証、
特開平3-75022号公報(参照箇所は上記に同じ。)、
等を参照。)
また、同様な課題が甲第6号証の考案に存在することは、甲第5号証の記載からも明らかである。すなわち、甲第5号証明細書第13ページ12?19行には「又セラミック製の酸化触媒体である炭載置板15上にセラミック炭14,14a…を載上せしめるために、バーナー17からの燃料ガスを完全燃焼せしめて排ガスをクリーンにすることが出来たり、肉類から落下した肉汁を炭載置板15に付着させ下方に落下させず、且つ肉汁を焼き切ることができる等その実用的効果甚だ大なるものである。」と記載されている。このように、甲第5号証の考案では、「セラミック製の酸化触媒である炭載置板15」を採用しているため、この炭載置板15に落下した肉汁は焼き切られ、それ以上、下に落下しない。しかし、甲第6号証の考案のように、セラミック製酸化触媒という特殊な材料を採用していない考案では、当然、肉汁は、同6号証の「サナ24」で焼き切られず、更に下に落下し、「バーナー25」に接触する。
以上のように“液汁・タレ等がバーナー25に接触するのを防止する。”という課題が甲第6号証の考案に存在することは自明であり、この課題の解決のために、甲第3号証記載の「ガス燃焼管7を器体1の熱口2垂線よりも外側に位置させ」という手段を採用することは、きわめて容易である。
この手段を採用するにあたり、甲第3号証に記載された「熱口2」、「ガス燃焼管7」は、甲第6号証に記載された「炭ツボケース19の下方開口部17a」、「バーナー25」に対応しているので、甲第6号証に記載された「バーナー25」を、同号証の「炭ツボケース19の下方開口部17a」の周縁部より外側とすることも、きわめて容易である。
しかも、上述のように、甲第6号証の「バーナー25」を外側とすれば必然的にその火口も外側となる。
また、前述した“目詰まり防止の効果”以外の、本件明細書に記載された他の効果も、甲第3,5,6号証に記載された事項よりきわめて容易に推測される程度のものと認める。
このように、上記甲第6号証記載の考案に、甲第3号証および第5号証記載の技術事項を組み合わせ、請求項1に係る考案に到達することは当業者がきわめて容易になし得ることである。
したがって、請求項1に係る考案は、上記甲第3号証、甲第5号証および甲第6号証に記載された考案よりきわめて容易になされたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
なお、被請求人は、考案の課題に関連して、答弁書第9ページ最終行?第10ページ7行において、「液汁・タレ等がガス燃焼管7には落下到達しないと、甲第3号証明細書第5ページ20行?第6ページ3行に記載されている。」旨述べている。確かに、被請求人の引用する箇所に「液汁・タレ等がガス燃焼管7には落下到達する」とは記載されていない。しかし、甲第3号証に“液汁・タレ等がガス燃焼管7に接触するのを防止する。”という課題が開示されていることは、上述のように、同号証明細書第7ページ20行?第8ページ3行の「図示した実施例では、ガス燃焼管(7)を器体(1)の熱口(2)垂線よりも外方に位置させて、ガス燃焼管(7)への液汁・タレ等の接触を防止している。」という記載から明白である。
また、被請求人は答弁書第12ページ15?20行において「甲第3号証は直火を有しない加熱方式であり、(甲第5,6号証とは加熱方式が異なるので)甲第5,6号証に甲第3号証を結合するのは困難である。また、セラミック炭の直火通路を落下する肉汁等による課題は、甲第1?6号証の全てに記載されておらず起因ないし契機(動機づけ)がないために、これら甲第1?6号証の技術の結合は容易ではない。」旨述べている。しかし、“液汁・タレ等がバーナー25に接触するのを防止する。”という課題が甲第6号証に存在することは上述のように自明であり、かつ、同様な課題が甲第3号証に記載されていることも明らかである。このように、甲第3号証記載の考案と甲第6号証記載の考案との間に課題の共通性がある以上、これらの考案が加熱方式で異なるとしても、これらの考案の組み合わせはきわめて容易であると言わざるを得ない。

(2)請求項2に係る考案について
本件の請求項2に係る考案は、請求項1に係る考案の「壺体の中央部にセラミック炭を支承し、」を「支持体上にセラミック炭を載上して壺体の中央部にセラミック炭を支承する様にした」と限定したものである。
しかし、この「支持体上にセラミック炭を載上して」は、甲第6号証明細書第6ページ1,2行に記載された「セラミック炭23、23a…を載置する金網状のサナ24」に相当する。
したがって、本件請求項2に係る考案は、請求項1の考案と同様に、上記甲第6号証記載の考案に甲第3号証および第5号証記載の考案を組み合わせることにより、当業者がきわめて容易になし得るものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。

5.むすび
このように、本件請求項1および請求項2に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-03-14 
結審通知日 2000-03-21 
審決日 2000-03-28 
出願番号 実願平3-93703 
審決分類 U 1 122・ 121- Z (A47J)
最終処分 成立    
前審関与審査官 村上 騎見高  
特許庁審判長 滝本 静雄
特許庁審判官 歌門 恵
会田 博行
登録日 1996-11-28 
登録番号 実用新案登録第2144476号(U2144476) 
考案の名称 セラミック炭ロースター  
代理人 土川 晃  
代理人 西山 聞一  

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