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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) E05D
管理番号 1020814
審判番号 審判1995-27342  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1995-12-22 
確定日 1996-12-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第2071188号実用新案「蝶番」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2071188号実用新案の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 I.本件登録第2071188号実用新案(昭和63年5月2日実用新案登録出願。平成7年7月21日設定登録。以下、「本件考案」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりの
「壁面固定部材1に着脱する着脱部材2を設けると共に該着脱部材2に回動部材3を取り付けたものに於いて、壁面固定部材1は、取付基板5と取付基板5の底面で取付基板5を横方向に摺動案内する固定基板15とより成り、更に取付基板5には両側に突出した案内基板35,35を設け、該案内基板35,35に取付ネジ横長孔4と孔7,7を備えると共に中央部の両側に平行段部10,10を設けて前後に前突出部11と後突出部8を形成し、更に前突出部11の上面には滑り止め用平行溝部22と第1ネジ孔23を設けると共に後突出部8の上面に設けた平面板12の先端に切込溝部24を設け、且つ着脱部材2は被覆面板9と側面板13,13を設けた断面コ字状態で前突出部11と後突出部8を被覆すると共に両端縁14,14が平行段部10,10に被蓋し、又更に滑り止め用平行溝部22に歯合する歯合平行溝部26を被覆面板9の内面に設けると共に被覆面板9に、第1ネジ孔23に螺合する第1ネジ孔27の長孔状の挿入孔28を設けると共に切込溝部24に係止する係止溝部29を先端に設けた調節ネジ30の調節ネジ孔31を設けて形成し、更に着脱部材2には回動部材3との連設体33を具備し、且又固定基板15は中央に補助固定ネジ孔21を設けた突出板片50と両側に突出した案内板45,45を設けると共に案内板45,45には取付基板5を設けた孔7,7に対応する位置に固定ネジ孔16,16と、取付ネジ横長孔4に対応する位置に第2ネジ17の螺合用第1取付ネジ孔18を設け、更に取付基板5には両側に突出した案内基板35,35の前方縁に固定基板15に備えた案内板45,45の前方縁に形成した前方突条片43,43が摺動する前方摺動溝44,44を設け、更に取付ネジ横長孔4を設けていない案内基板35の後方縁に、固定基板15の一方に設けた案内板45の後方縁に形成した後方突条片46が摺動する後方摺動溝47を形成したことを特徴とする蝶番。」
と認める。
II.これに対して、請求人の提出した上記実用新案登録出願の出願前頒布された刊行物である甲第3号証の1「オーストリア国特許公報第368238号」(1982年(昭和57年)9月27日発行)には、以下のような考案が記載されている。
上から見てT字形に形成され、T字を形成する3個のウェブ3′の各々に固定ねじ5のための穴19が設けられた、家具側壁6に固定可能な組み立て板3と、この組み立て板3に固定可能で、手動で高さ調節可能な支持板4とからなり、この支持板4が蝶番ケーシング2に連結された蝶番アーム1のための固定装置を備え、支持板4が締め付けねじ14によって組み立て板3に固定可能であり、蝶番アーム1を固定することができる、家具蝶番の高さ調節のための装置を備えた複数の部材からなる蝶番において、支持板4と組み立て板3が、中央に設けられた蝶番アーム1の一方の側で、互いに係合する突出部12,17によって摺動可能に相互保持され、蝶番アーム1の他方の側で、支持板4の長穴13に挿入された締め付けねじ14によって、支持板4が組み立て板3に締め付け固定され、長穴13が蝶番アーム1の長手中心軸線に対して垂直に形成され、かつ組み立て板3の突出部12が支持板4の案内溝16に挿入される蝶番。
そして、上記甲第3号証の1に記載の蝶番において、支持板4には両側に突出した板状部(審判請求人が提出した甲第3号証の1の第5図に記入された「a」)が設けられ、該板状部aに長穴13と穴20,20が備えられると共に中央部の両側に平行な段部(同第5図に記入された「b」)が設けられて前後に前突出部(同第5図に記入された「c」)と後突出部(同第5図に記入された「d」)が形成され、更に前突出部cの上面には溝部(同第5図に記入された「e」)と蝶番アーム1用の固定ねじ9のためのめねじ8が設けられると共に後突出部dの上面に設けられた平面部(同第5図に記入された「f」)の先端にはT字形の凹部10が設けられ、且つ蝶番アーム1は被覆面部(同第1図に記入された「g」)と側面部(同第1図に記入された「h」)を有する断面コ字状態であり、これにより支持板4の前突出部と後突出部及び平行な段部を覆い、又該被覆面部gにめねじ8に螺合する固定ねじ9の長孔状の挿入孔(同第1図に記入された「j」)と調節ねじ11のねじ穴(同第1図に記入された「k」)が設けられ、且又組み立て板3は中央のウェブ3′に固定ねじ5が挿入される穴19が設けられると共に両側に突出したウェブ3′,3′に支持板4に設けられた穴20,20に対応する位置に穴19,19と、長孔13に対応する位置に締めつけねじ14の螺合用ねじ穴(同第4図に記入された「m」)が設けられ、更に支持板4の長孔13を設けられていない板状部(同第5図に記入された「a」)の前方縁及び後方縁に、組み立て板3の一方のウェブ3′の前方縁及び後方縁に形成された前方,後方突出部12が摺動する前方,後方案内溝16が設けられていることは、その図面及び明細書の記載から明らかである。
また、同じく請求人の提出した上記実用新案登録出願の出願前頒布された刊行物である甲第4号証の1「オーストリア国特許公報第353647号」(1979年(昭和54年)11月26日発行)には、以下のような考案が記載されている。
枢着レバー軸を支持する蝶番アーム1が、基板に間接的にまたは直接的に固定され、かつめねじ8内に継ぎ目調節ねじ9を備え、環状突起12を有する継ぎ目調節ねじ9の基板2側の端部が、組み立て位置で、基板2の凹部に挿入され、環状突起12が基板の突出部によって背後から保持されている、特に家具ドアのための継ぎ目調節ねじ9を備えた蝶番において、継ぎ目調節ねじ9が基板2の組み立て面2′に対して垂直で枢着レバー軸に対して平行な平面I-Iに対して傾射しており、特に継ぎ目調節ねじ9の基板側の端部12″が円錐形であり、蝶番アーム1寄りの環状突起12の上面12′が円錐台の形をしている蝶番。
そして、上記甲第4号証の1に記載の蝶番において、基板2のソケット4上と、それと対向する蝶番アーム1の内面にそれぞれ歯合するねじ山5が設けられていること、また、上記継ぎ目調節ねじ9の環状突起12の根本部に、基板2の凹部に挿入、係止される係止溝部(審判請求人が提出した甲第4号証の1の第1図に記入された「9′」が設けられていることは、いずれもその図面及び明細書の記載から明らかである。
III.本件考案と甲第3号証の1に記載された考案とを対比すると、後者の「組み立て板3」、「支持板4」、「蝶番アーム1」、「蝶番ケーシング2」、「板状部a」、「長孔13」、「穴20」、「平行な段部b」、「前突出部c」、「後突出部d」、「溝部e」、「めねじ8」、「平面部f」、「凹部10」、「被覆面部g」、「側面部h」、「固定ねじ9」、「挿入孔j」、「調節ねじ11」、「ねじ穴k」、「(固定ねじ5が挿入される)穴19を設けたウェブ3」、「両側に突出したウェブ3′,3′に設けられた穴19,19」、「締めつけねじ14」、「ねじ穴m」、「前方,後方突出部12」、「前方,後方案内溝16」は、前者の「固定基板15」、「取付基板5」、「着脱部材2」、「回動部材3」、「案内基板35」、「取付ネジ横長孔4」、「孔7」、「平行段部10」、「前突出部11」、「後突出部8」、「滑り止め用平行溝部22」、「第1ネジ孔23」、「平面板12」、「切込溝部24」、「被覆面板9」、「側面板13」、「第1ネジ27」、「挿入孔28」、「調節ネジ30」、「調節ネジ孔31」、「補助固定ネジ孔21を設けた突出板片50」、「両側に突出した案内板45,45に設けられた固定ネジ孔16,16」、「第2ネジ17」、「螺合用第1取付ネジ孔18」、「前方突条片43,後方突出片46」、「前方摺動溝44、後方摺動溝47」にそれぞれ相当し、また、後者の「組み立て板3及び支持板4」が、前者の「壁面固定部材1」に該当するから、両者は、
「壁面固定部材1に着脱する着脱部材2を設けると共に該着脱部材2に回動部材3を取り付けたものに於いて、壁面固定部材1は、取付基板5と取付基板5の底面で取付基板5を横方向に摺動案内する固定基板15とより成り、更に取付基板5には両側に突出した案内基板35,35を設け、該案内基板35,35に取付ネジ横長孔4と孔7,7を備えると共に中央部の両側に平行段部10,10を設けて前後に前突出部11と後突出部8を形成し、更に前突出部11の上面には滑り止め用平行溝部22と第1ネジ孔23を設けると共に後突出部8の上面に設けた平面板12の先端に切込溝部24を設け、且つ着脱部材2は被覆面板9と側面板13,13を設けた断面コ字状態で、被覆面板9に、第1ネジ孔23に螺合する第1ネジ孔27の長孔状の挿入孔28を設けると共に調節ネジ30の調節ネジ孔31を設けて形成し、且又固定基板15は中央に補助固定ネジ孔21を設けた突出板片50と両側に突出した案内板45,45を設けると共に案内板45,45には取付基板5を設けた孔7,7に対応する位置に固定ネジ孔16,16と、取付ネジ横長孔4に対応する位置に第2ネジ17の螺合用第1取付ネジ孔18を設け、更に取付基板5の取付ネジ横長孔4設けていない案内基板35の前方縁及び後方縁に、固定基板15の一方に設けた案内板45の前方縁及び後方縁に形成した前方突条片43及び後方突条片46が摺動ずる前方摺動溝44及び後方摺動溝47を形成した蝶番。」
である点で一致し、次の点で相違している。
相違点
1.本件考案では、着脱部材2の被覆面板9と側面板13,13が取付基板5の前突出部11と後突出部8を被覆すると共に、その両端縁14,14が該取付基板5の平行段部10,10に被蓋するのに対し、甲第3号証の1のものでは、その構造が必ずしも明確ではない点。
2.本件考案では、滑り止め用平行溝部22に歯合する歯合平行溝部26を被覆面板9の内面に設けると共に、調節ネジ30の先端に切込溝部24に係止する係止溝部29を設けたのに対し、甲第3号証の1のものでは、そのような構成が記載されていない点。
3.本件考案では、着脱部材2が回動部材3との連設体33を具備しているのに対し、甲第3号証の1のものでは、そのような連設体の存在が明記されていない点。
4.本件考案では、取付基板5の両側に突出した案内基板35,35の前方縁に、固定基板15に備えた案内板45,45の前方縁に形成した前方突条片43,43が摺動する前方摺動溝44,44を設けたのに対し、甲第3号証の1のものでは、取付基板の長孔13が設けられていない案内部材の前方縁及びそれに対向する固定基板の案内板の前方縁に、前方摺動溝及び前方突条片が設けられていない点。
IV.上記相違点について以下検討する。
相違点1について、本件考案のように、着脱部材2の被覆面板9と側面板13,13が、取付基板5の前突出部11と後突出部8を被覆するようにすると共に、その両端縁14,14が取付基板5の平行段部10,10に被蓋するように構成することに格別の困難性はなく、この点については、本件考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)がきわめて容易になし得る程度の設計事項にすぎない。
相違点2について、甲第4号証の1には前記認定のとおり本件考案と同じ蝶番に関する考案が記載されており、同号証には、本件考案の歯合平行溝部26に相当するねじ山5を被覆面板9の内面に設け、また、本件考案の調節ネジ30に相当する継ぎ目調節ねじ9の先端に基板2の凹部に挿入係止される係止溝部9′を設けることが記載されているのであるから、本件考案において相違点2の構成を採用することは、甲第4号証の1記載の考案に基いて、当業者がきわめて容易になし得る程度のことである。
相違点3について、甲第3号証の1には着脱部材が回動部材との間で連設体を設けることが明記されていないが、同号証に記載の考案が着脱部材と回動部材との間で相対的な回動を行う蝶番として機能させる以上、両者の間に連接体を設ける必要があることは当業者において明らかなことである。
相違点4について、壁面固定部材1を形成した取付基板5と固定基板15とが長期の使用中に上下に分離する方向にガタを来すことがないようにすることは、本件考案の属する技術の分野においては当然想定される技術的課題であり、この技術的課題を達成するために、本件考案のように、取付基板5の両側に突出した案内基板35,35の前方縁に、固定基板15に備えた案内板45,45の前方縁に形成した前方突条片43,43が摺動する前方摺動溝44,44を設けるようにすることは、当業者がきわめて容易になし得る程度のことである。
そして、本件考案の効果は、甲第3号証の1及び甲第4号証の1に記載の考案から予測できるものであって、格別顕著なものではない。
したがって、本件考案は、甲第3号証の1及び甲第4号証の1に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
V.したがって、本件考案の登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第37条第1項第2号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1996-08-07 
結審通知日 1996-08-20 
審決日 1996-09-05 
出願番号 実願昭63-59548 
審決分類 U 1 112・ 121- Z (E05D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山口 由木山田 忠夫  
特許庁審判長 中村 友之
特許庁審判官 綿貫 章
吉野 公夫
登録日 1995-07-21 
登録番号 実用登録第2071188号(U2071188) 
考案の名称 蝶番  
代理人 岩堀 邦男  
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