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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない A23L
管理番号 1020818
審判番号 審判1998-35061  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-02-12 
確定日 2000-07-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第2148174号実用新案「簀枠の移送機構」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 I.請求人の趣旨及び答弁の趣旨
1.請求人 竹下産業株式会社(以下、請求人という。)は、「登録実用新案第2148174号の登録は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求める。
2.被請求人 豊和工業株式会社及び西部産業株式会社は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める。
II.手続の経緯
本件登録第2148174号実用新案は、昭和57年10月26日に出願された実願昭57ー162766号の一部を昭和62年7月7日に実願昭62ー104319号として新たに実用新案登録出願したものであって、平成5年4月20日に出願公告されたところ、平成5年5月10日に実用新案登録異議申立てがなされ、その異議事件において平成6年6月23日付けで明細書を補正する手続補正書が提出され、その補正を認容する異議決定がなされ、平成9年4月25日に設定の登録がなされ、平成10年2月12日に本件無効審判が請求されたものである。
III.当事者の主張等
1.請求人の主張
請求人は、本件考案の実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第2号(審判請求書に記載の「37条第1項第1号」は、「第37条第1項第2号」の誤記と認める。)の規定により無効とすべきであると主張し、その理由の概要は下記のとおりである。
本件登録実用新案は、出願公告された後に実用新案登録異議申立がなされ、これに対して出願人は旧実用新案法第13条の規定によって準用する旧特許法第64条の規定に基づき明細書の補正を行ったが、この補正は旧実用新案法第13条の規定によって準用する旧特許法第64条の規定に違反してなされたものであった。出願公告後になされた補正が旧実用新案法第13条の規定によって準用する旧特許法第64条の規定に違反していることが登録後に判明した場合には、本件登録実用新案は補正がなされなかった実用新案登録出願について登録されたものとみなされる。そこで、上記補正前の明細書に基づいて本件登録実用新案を判断すると、本件登録実用新案は、甲第6号証及び甲第7号証に記載された考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
そして、上記主張を立証する証拠方法として、次の書証を提出している。
甲第1号証 本件登録実用新案の原出願の明細書写し
甲第2号証 実願昭62ー104319号(実開昭63ー163190号公報)のマイクロフイルム
甲第3号証 本件登録実用新案の出願公告に対してなされた実用新案登録異議申立書の写し
甲第4号証 異議申立に対して出願人より提出された答弁書の写し
甲第5号証 出願公告後の平成6年6月23日付け手続補正書の写し
甲第6号証 実願昭53ー61814号(実開昭54ー163196号公報)のマイクロフイルム
甲第7号証 特開昭49ー6170号公報
2.被請求人の主張
被請求人は、請求人が主張する上記無効理由は理由がない旨答弁している。
そして、上記主張を立証する証拠方法として、次の書証を提出している。
乙第1号証 実用新案登録異議弁駁書の写し
乙第2号証 登録異議の決定謄本の写し
乙第3号証 実公平5ー14792号公報
IV.甲各号証
甲第6号証には、以下の▲1▼?▲3▼に示す事項が記載されている。
▲1▼「本考案は、特に自動連続海苔製造装置における海苔の乾燥装置に関するもので、海苔簀ホルダーの搬送循回コンベヤーを上下2段に分離せしめ、上段のコンベヤーによって搬送された海苔簀ホルダーを下段のコンベヤーに落下受渡しさせるようにして長尺の乾燥室を短尺となす代りに背高となし、装置全体の占有面積の縮小化を計ると共に従来の装置に比べて海苔簀ホルダーの受取り、受渡し操作及び機構の簡略化を計り海苔の生産性の向上を計らんとするものである。」(明細書2頁3行?12行)
▲2▼「乾燥室(2)の内部にはこれの前端開口部から内部方向に向け海苔簀ホルダー(3)を搬送するコンベヤー(4)、(5)が上下2段に而もそれぞれ平行して設けてある。そしてこの各コンベヤー(4)、(5)には上記海苔簀ホルダー(3)の一辺両側に設けられ且つコンベヤー(4)、(5)に載置される係合杆(6)に係合し海苔簀ホルダー(3)を搬送するための突起(7)、(8)が所要間隔毎に設けてある。(9)は上段のコンベヤー(4)において、これの海苔簀ホルダーが上部から下部に移行する部位(a)から下部のコンベヤー(5)に海苔簀ホルダーを移行させる部位(b)までに至る間に設けた海苔簀ガイドで、図のようにコンベヤー(4)と側面的に平行に配設され、またコンベヤー(4)の突起(7)先端が海苔簀ガイド(9)の内面に近接若しくは内接するようにしてある。(10)は上記海苔簀ガイド(9)と同様に、下段のコンベヤー(5)の海苔簀ホルダー(3)が上部から下部に移行する部位(c)とコンベヤー(5)の終端(d)までの間に配設せる海苔簀ガイドである。(11)は途中に海苔葉体の自動抄成装置(12)、自動脱水装置(13)を搬送方向に順に配設し、また乾燥処理済の海苔簀ホルダーから海苔を自動連続的に剥離する装置(14)に関連させたコンベヤーで、このコンベヤー(11)と上記上段のコンベヤー(4)とは互いに噛合させ海苔簀ホルダーが、自動的に受け渡ししうるようにしてある。図中(15)は海苔簀ホルダーを搬送する突起である。」(明細書2頁末行?明細書4頁11行)
▲3▼「海苔葉体の抄成及び脱水が行われた海苔簀ホルダーはコンベヤーの搬入側から順次乾燥室内の上段コンベヤーに受渡され、海苔簀ホルダーは上段のコンベヤーによって乾燥室内に入りここで乾燥処理が施される。そして海苔簀ホルダーはコンベヤーと海苔簀ガイドとの間に誘導されて下方に搬送され上段の海苔簀ガイド端から外れたところで海苔簀ホルダーは下方に落下し下段のコンベヤーに移行され乾燥処理が行われ、更に海苔簀ホルダーは下段の海苔簀ガイドとコンベヤーによって順次出口方向に運ばれ、乾燥終了と共にコンベヤーの搬出側に移行させ、自動剥離装置にて海苔は海苔簀から剥離回収せしめられる。」(明細書5頁13行?同6頁11行)
また、甲第7号証には、乾燥海苔の製造装置に関し「第2段の水平方向移送装置の終端から第3段の水平方向移送装置の始端への降下装置は、この乾燥室1の前方に配設され且つ乾燥室1内の移送装置2の始端と終端に接続される乾燥室外移送装置12によって兼用されている」(公報3頁右上欄8行?12行)及び「又第2段のレール5_(2)の終端では、フツク19が該レール5_(2)端に達した時点で歯杆8_(2)を前進させると、レール52上に懸吊された枠3の懸吊バー3aが降下斜面5f上を押されてフツク19の基部19a上に移されるのである。このようにして、フツク19の基部19a上に係止されて、チエーン18と共に降下せしめられた枠3は、前記レール5_(1)の始端への受け派しの場合と同様にして、次のレール5_(3)上に受け渡され、レール5_(4)の終端からは、前記レール5_(2)の終端からの受け渡しの場合と同様にして、再びフツク19上に受け入れられるのである。このようにしてフツク19に引掛けた枠3を、乾燥室内の移送装置2の始端に受け渡し、その終端から受け取ることができるようになっているこの乾燥室外移送装置12は、………」(公報4頁右上欄2行?同17行)と記載されている。
V.当審の判断
(i)先ず、出願公告後の平成6年6月23日付け手続補正書による補正は、旧実用新案法第13条の規定によって準用する旧特許法第64条の規定に違反したものであるか否かについて検討する。
この点について、請求人は、おおよそ次のとおり主張している。
上記補正により、公告時の実用新案登録請求の範囲に「、その爪付移送チェーンによって係止移送される簀枠の他端部を爪付移送チェーンから遠ざけて簀枠を反転可能な反転装置を備え」を追加しているが、願書に最初に添付した明細書には、簀枠を乾燥装置から遠ざけて反転させる旨の記載はあるが、簀枠を爪付移送チェーンから遠ざけて反転させることについては一切開示されておらず、更に「乾燥装置から遠ざける」ことは、「爪付移送チェーンから遠ざける」ことと同一ではなく、乾燥装置と爪付移送チェーンはその配設位置も異なり、同一の技術とみなすことなどありえないのであるから、新たに上記事項を追加する補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではなく、旧実用新案法第13条の規定によって準用する旧特許法第64条の規定に違反するものである。
上記主張について検討すると、願書に最初に添付した明細書には、簀枠受渡しの際に簀枠を反転させる機構に関して「B点迄移送されて来た簀枠2はこの点において再び移送チェーン1の爪3の間に前側枠棒6が係止されて引渡され、簀枠2を引取った移送チェーンは、該移送チェーン1によって構成されている移送路5によって簀枠2を上側乾燥チェーン4より下側乾燥チェーン4Aに移し換えるわけであるが、………〔中略〕………B点において簀枠2を引取った移送チェーン1は、爪3間に前側枠棒6を係止し、簀枠2は垂下状態にてまずP点にて示す位置迄移換路5を斜下方に移送されるがその途中において、後側枠棒7がガイドレール17に受止められ後側枠棒7を両乾燥チェーン4、4Aより遠ざかる方向(図面において左側)に案内され、更に簀枠2の移送が進むに従い後側枠棒7はガイドローラ18を経て反転レール15上に載置され、P点においては図面に示すように、後側枠棒7は反転レール15によって両乾燥装置4、4Aより遠ざかる方向に斜下方に案内されて傾斜し、半ば反転された状態となっている。………〔中略〕………P点迄移送された簀枠2は次にP1にて示す位置迄移送されるが、このように簀枠2が移送されると後側枠棒7は反転レール15によって更に斜下方に案内され、……〔中略〕………P1点迄簀枠2が移送された時には、前側枠棒6が移送チェーン1の進行方向に対して前側となるように反転させられる。」(明細書8頁5行?9頁16行)と記載され、更に願書に最初に添付した図面には、B,C点間の爪付移送チェーン1による簀枠2の移換路5が示されている。(第1図)
これらの記載からみて、願書に最初に添付した明細書及び図面に記載の簀枠の反転機構において、簀枠の他端部を乾燥装置から遠ざけつつ反転レールによって斜下方に案内すれば、簀枠の他端部は当然爪付移送チェーンからも遠ざかることは明らかであり、簀枠の他端部を爪付移送チェーンから遠ざけて簀枠を反転させることは、願書に最初に添付した明細書及び図面の記載から導き出すことのできる自明な事項である。
してみると、上記補正は、旧実用新案法第13条に規定によって準用する旧特許法第64条の規定に違反するものであるということはできない。
(ii)そうすると、本件登録実用新案の考案の要旨は、出願公告後の平成6年6月23日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりの次に示すものとなる。
「簀枠を無端状の爪付移送チェーンにより、抄部、脱水部及び剥部を往復搬送循環せしめつつ海苔を抄造、脱水、剥離すべく構成した抄造装置と、無端状の往復道よりなる簀枠保持棒付の乾燥チェーンを上下二段に配設して、抄造後の簀枠を乾燥室内部で往復搬送循環せしめつつ海苔の乾燥を行なうべく構成した乾燥室との間において、抄造装置から乾燥室への簀枠の受渡しと、乾燥室の上下乾燥チェーン間の受渡しと、乾燥室から抄造装置への受渡しの各簀枠受渡し動作を、抄造装置の無端状の爪付移送チェーンの往道に設けた脱水部と復道に設けた剥部との間の爪付移送チェーンを介して行なうべく構成し、その爪付移送チェーンによって係止移送される簀枠の他端部を爪付移送チェーンから遠ざけて簀枠を反転可能な反転装置を備えてなる簀枠の移送機構。」
(以下、本件考案という。)
本件考案と甲第6号証に記載された考案を対比すると、両者は、簀枠を無端状の爪付移送チェーンにより、抄部、脱水部及び剥部を往復搬送循環せしめつつ海苔を抄造、脱水、剥離すべく構成した抄造装置と、無端状の往復道よりなる簀枠保持棒付の乾燥チェーンを上下二段にて配設して、抄造後の簀枠を乾燥室内部で往復搬送循環せしめつつ海苔の乾燥を行なうべく構成した乾燥室との間において、抄造装置から乾燥室への簀枠の受渡しと、乾燥室から抄造装置への受渡しの各簀枠受渡し動作を、抄造装置の無端状の爪付移送チェーンの往道に設けた脱水部と復道に設けた剥部との間の爪付移送チェーンを介して行なうべく構成してなる簀枠の移送機構の点で共通するところは認められる。
しかしながら、甲第6号証には、本件考案の構成要件である「乾燥室の上下乾燥チェーン間の簀枠受渡し動作を、抄造装置の無端状の爪付移送チェーンの往道に設けた脱水部と復道に設けた剥部との間の爪付移送チェーンを介して行なう」(以下、構成Aという。)こと、及び「爪付移送チェーンによって係止移送される簀枠の他端部を爪付移送チェーンから遠ざけて簀枠を反転可能な反転装置を備える」(以下、構成Bという。)ことについては何も記載されていない。
上記構成A及びBについて、甲第7号証には、簀枠を無端状の爪付移送チェーンにより、抄部、脱水部及び剥部を往復搬送循環せしめつつ海苔を抄造、脱水、剥離すべく構成した抄造装置において、乾燥室に複数段に設けられている水平方向移送装置のうち特定の水平方向移送装置間での簀枠の受渡し動作を、抄部、脱水部及び剥部を往復搬送循環する無端状の爪付移送チェーンにより行うことが記載され、甲第7号証に上記構成Aは示唆されているといえる。
しかしながら、甲第7号証には、上下の水平方向移送装置間で簀枠を反転させる手段を設けることについては何も記載されていない。
してみると、甲第6号証に記載の抄造装置と乾燥室間の簀枠の移送機構に上記構成Bを付加して本件考案のような構成となすことは、甲第7号証に基づいて当業者が容易になし得ることではない。
そして、本件考案は、上記構成Bを採用することにより、上下乾燥チェーン間での簀枠の受渡しの際に、簀枠を容易に上下反転でき、抄海苔の乾燥を均一にできる等本件明細書に記載されたとおりの効果を奏するものである。
したがって、本件考案は、甲第6号証及び甲第7号証に記載された考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものということはできない。
VI.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件考案の実用新案登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-01-14 
結審通知日 1999-01-19 
審決日 1999-01-28 
出願番号 実願昭62-104319 
審決分類 U 1 112・ 121- Y (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大久保 元浩種村 慈樹鈴木 恵理子  
特許庁審判長 徳▲廣▼ 正道
特許庁審判官 田中 久直
木原 裕
登録日 1997-04-25 
登録番号 実用登録第2148174号(U2148174) 
考案の名称 簀枠の移送機構  
代理人 松尾 憲一郎  
代理人 神谷 巖  
代理人 前島 旭  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 永井 浩之  
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