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審決分類 審判 全部申し立て   A61B
管理番号 1020846
異議申立番号 異議1998-72692  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-05-28 
確定日 2000-04-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2556002号「内視鏡」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2556002号の実用新案登録を維持する。
理由 1.手続きの経緯
実用新案登録第2556002号の請求項1に係る考案の手続きの経緯は、以下のとおりである。
出願 平成4年11月20日
設定登録 平成9年8月8日
実用新案登録異議の申立て 平成10年5月28日
(旭光学工業株式会社)
取消理由通知 平成10年8月24日
意見書、訂正請求 平成10年11月12日
訂正拒絶理由通知 平成11年6月4日
意見書、手続補正書 平成11年8月30日

2.訂正の適否
2-1.訂正の内容
補正された訂正明細書における訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)願書に添付した明細書(以下「実用新案登録明細書」という)において、実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る記載
「【請求項1】湾曲動作を行う湾曲管の基端に可撓管を接続してなる挿入部と、この挿入部の手元側に設けられた操作部とを備え、全長にわたって同質の材料により形成された可撓性チューブの少なくとも前記湾曲管に位置する部位の外周に保護用のコイル体が巻装された処置具挿通用チャンネルを前記操作部から前記挿入部の全長にわたって配設した内視鏡において、前記処置具挿通用チャンネルを形成する前記可撓性チューブのうち前記可撓管から前記操作部に位置するチューブ部位の肉厚を前記湾曲管に位置するチューブ部位の肉厚よりも厚く形成したことを特徴とする内視鏡。」を
「【請求項1】湾曲動作を行う湾曲管の基端に可撓管を接続してなる挿入部と、この挿入部の手元側に設けられた操作部とを備え、前記湾曲管に位置する第1のチューブと、この第1のチューブと同質の材料で形成されるとともに前記第1のチューブの内径よりも小さく形成され前記可撓管から前記操作部に位置する第2のチューブと、前記第1のチューブを前記第2のチューブに接続する連結パイプとからなる可撓性チューブの前記第1のチューブの外周のみに保護用のコイル体が巻装されるとともにこのコイル体の基端部が前記連結パイプよりも先端側に位置する処置具挿通用チャンネルを前記操作部から前記挿入部の全長にわたって配設し、前記処置具挿通用チャンネルを形成する前記可撓性チューブの前記第2のチューブの肉厚を前記第1のチューブの肉厚より厚く形成したことを特徴とする内視鏡。」と訂正する。
(2)同明細書において、考案の詳細な説明の【0011】
「【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本考案は、湾曲動作を行なう湾曲管の基端に可撓管を接続してなる挿入部と、この挿入部の手元側に設けられた操作部とを備え、全長にわたって同質の材料により形成された可撓性チューブの少なくとも前記湾曲管に位置する部位の外周に保護用のコイル体が巻装された処置具挿通用チャンネルを前記操作部から前記挿入部の全長にわたって配設した内視鏡において、前記処置具挿通用チャンネルを形成する前記可撓性チューブのうち前記可撓管から前記操作部に位置するチューブ部位の肉厚を前記湾曲管に位置するチューブ部位の肉厚よりも厚く形成したものである。」を
「【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本考案は、湾曲動作を行う湾曲管の基端に可撓管を接続してなる挿入部と、この挿入部の手元側に設けられた操作部とを備え、前記湾曲管に位置する第1のチューブと、この第1のチューブと同質の材料で形成されるとともに前記第1のチューブの内径よりも小さく形成され前記可撓管から前記操作部に位置する第2のチューブと、前記第1のチューブを前記第2のチューブに接続する連結パイプとからなる可撓性チューブの前記第1のチューブの外周のみに保護用のコイル体が巻装されるとともにこのコイル体の基端部が前記連結パイプよりも先端側に位置する処置具挿通用チャンネルを前記操作部から前記挿入部の全長にわたって配設し、前記処置具挿通用チャンネルを形成する前記可撓性チューブの前記第2のチューブの肉厚を前記第1のチューブの肉厚より厚く形成したものである。」と訂正する。
(3)同明細書において、考案の詳細な説明の【0012】
「【作用】上記構成により、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの部位は、可撓性を高くするために肉厚が薄く形成されているので、湾曲管の湾曲動作を妨げることなくスムーズに湾曲する。また、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの外周には保護用のコイルが巻装されているため、この部位の処置具挿通用チャンネルの径方向の変形が極力防止され、腰折れすなわち挫屈が防止される。すなわち、湾曲管の繰り返し湾曲によって押し潰されて偏平したり、それによって処置具の挿通性を悪化させてしまったり、あるいは、ワイヤ受け部材等の他の内蔵物から受ける力によって破損してしまったりすることがない。」を
「【作用】上記構成により、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブは、可撓性を高くするために肉厚が薄く形成されているので、湾曲管の湾曲動作を妨げることなくスムーズに湾曲する。また、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブの外周のみには保護用のコイルが巻装されているため、この第1のチューブの処置具挿通用チャンネルの径方向の変形が極力防止され、腰折れすなわち挫屈が防止される。すなわち、湾曲管の繰り返し湾曲によって押し潰されて偏平したり、それによって処置具の挿通性を悪化させてしまったり、あるいは、ワイヤ受け部材等の他の内蔵物から受ける力によって破損してしまったりすることがない。」と訂正する。
(4)同明細書において、考案の詳細な説明の【0013】
「また、可撓管内に位置する処置具挿通用チャンネルの部位を湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの部位と同質の材料によって形成することにより、この部位の可撓性を可撓管の湾曲動作に追従できる程度にすることができる。また、可撓管内に位置する処置具挿通用チャンネルの部位は、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの部位よりも肉厚が厚く形成されているため、可撓管のねじりや曲げによる影響を十分吸収することができる。」を
「また、可撓管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第2のチューブを湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブと同質の材料によって形成することにより、この第2のチューブの可撓性を可撓管の湾曲動作に追従できる程度にすることができる。また、可撓管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第2のチューブは、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブよりも肉厚が厚く形成されているため、可撓管のねじりや曲げによる影響を十分吸収することができる。また、第2のチューブの内径を第1のチューブの内径よりも小さく形成したため、すなわち、第1のチューブの内径が第2のチューブの内径よりも大きく形成されているため、第1のチューブ内における処置具の挿通性を向上させることができる。つまり、湾曲管が湾曲しても、処置具はスムーズに湾曲管内を通過できる。」と訂正する。
2-2.訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否
上記2-1.(1)の訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当する。
上記2-1.(2),(3),(4)の訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮に伴う明瞭でない記載の釈明に該当する。
そして、これらの訂正はいずれも、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
2-3.独立登録要件の判断
(訂正明細書に記載の考案)
補正された訂正明細書において、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された考案(以下「本件考案」という)は、前記2-1.訂正の内容(1)に記載したとおりである。
(引用刊行物)
本件考案に対して、当審が通知した実用新案法第3条第2項についての訂正拒絶理由において、下記刊行物1?7が引用されている。

刊行物1:実願平1-28692号(実開平2-118502号公報)のマイクロフィルム
刊行物2:実公昭59-40002号公報
刊行物3:実公昭63-24886号公報
刊行物4:実公平1-30161号公報
刊行物5:実願昭58-193047号(実開昭60-99901号公報)のマイクロフィルム
刊行物6:実願昭61-190498号(実開昭63-96802号公報)のマイクロフィルム
刊行物7:実願平2-52185号(実開平4-11001号公報)のマイクロフィルム
刊行物1には、実用新案登録請求の範囲、及び第7頁6?8行の「32は…であり、」の記載からみて、
「湾曲部を先端に形成した挿入部に挿通され、四フッ化エチレン樹脂製の可撓性チューブの、少なくとも上記湾曲部内にある部分の肉厚を他の部分より薄く形成すると共に、上記チューブの薄肉部分全長から厚肉部分にまたがってチューブの外面に螺旋溝を形成し、上記螺旋溝内に上記薄肉部分全体から厚肉部分にかけてコイル体を密着して巻き付けた内視鏡の処置具挿通管。」、
刊行物2には、実用新案登録請求の範囲、及び第3欄26?29行の「該チューブ…にある。」の記載からみて、
「手許操作部からの操作で先端部を弯曲自在となせる内視鏡に挿通された生検具等のガイドチューブにおいて、該ガイドチューブの少なくとも肉厚が部分的に薄い弯曲域外周に鋼質線を巻回した内視鏡用ガイドチューブ。」、
刊行物3には、実用新案登録請求の範囲、及び第3欄43?第4欄3行の「すなわち、…とともに、」の記載からみて、
「湾曲管部を有する挿入部に挿通され、沸素樹脂材などで形成された可撓性のチューブの外周の上記湾曲管部に位置する部分にだけコイル体を嵌挿した内視鏡の処置具挿通管において、上記チューブの上記コイル体が嵌挿される部分の肉厚を他の部分に比べて薄くした内視鏡の処置具挿通管。」、
刊行物4には、実用新案登録請求の範囲、及び第5欄26?29行の「この軟質…されている。」の記載からみて、
「内視鏡の挿入部において、湾曲管部内の軟質チューブと可撓管部内の硬質チューブは、連結部で継ぎ管に外装され糸状部材で巻回されている内視鏡の処置具挿通用チャンネル。」、
刊行物5には、第6頁9?20行の「次に…接続され、」の記載からみて、
「内視鏡の挿入部において、手許操作部本体から可撓管における先端部の彎曲管部の始端部までの鉗子チャンネル7_(1)と彎曲管部の始端部から先端硬質部に達する鉗子チャンネル7_(2)は、同径のテフロンチューブやポアフロンチューブで形成され、この両鉗子チャンネル7_(1),7_(2) は始端部側に設けられた節輪環の接続リングに固定された接手リングを介して接続されている内視鏡の鉗子チャンネル。」、
刊行物6には、実用新案登録請求の範囲、及び第11頁4行?第12頁3行の「一方、…ている。」の記載からみて、
「内視鏡の挿入部において、軟性部内の可撓性チューブ材からなる厚肉の軟性管部20aはアングル部内の薄い可撓性チューブ材からなる湾曲管部20b内に接着等の手段で連結されている内視鏡の処置具挿通用チャンネル。」、
刊行物7には、実用新案登録請求の範囲、及び第9頁17行?第10頁9行の「そこで、…ている。」の記載からみて、
「内視鏡の挿入部において、軟性部の内部に位置する内部チューブとアングル部の位置における外部チューブは連結パイプで接続されている処置具挿通路。」が、それぞれ記載されている。
(対比・判断)
本件考案と刊行物1?7に記載された考案を比較すると、本件考案における「湾曲管に位置する第1のチューブと、この第1のチューブと同質の材料で形成されるとともに前記第1のチューブの内径よりも小さく形成され前記可撓管から前記操作部に位置する第2のチューブ」とを備え、さらに「前記第1のチューブの外周部のみに保護用のコイル体が巻装されるとともにこのコイル体の基端部が前記連結パイプよりも先端側に位置する」という構成は、刊行物1?7のいずれにも記載されていないし示唆されてもいない。
すなわち、刊行物3には、本件考案の「第1のチューブと、この第1のチューブと同質の材料で形成され、肉厚が第1のチューブのそれより厚く形成した第2のチューブ」とを備え、さらに「前記第1のチューブの外周のみに保護用のコイル体が巻装される」という構成は示されている。そして、刊行物5には、本件考案の「第1のチューブと、この第1のチューブと同質の材料で形成された第2のチューブを連結パイプで接続する」ことが示されている。これら刊行物3,5にそれぞれ記載された事項を組み合わせることができたとしても、さらに、「第2のチューブの内径を第1のチューブの内径よりも小さく形成し、かつ第1のチューブの外周のみに巻装されたコイル体の基端部が連結パイプよりも先端側に位置する」という構成まで予測することはできない。また、刊行物1,2,4,6,7をみても、本件考案を想到するだけの記載がないことは明らかである。
そして、本件考案は、刊行物1?7に記載の考案から予測できない明細書記載の効果を奏するものと認める。
してみると、本件考案は、刊行物1?7に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。よって、本件考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
2-4.むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用される、改正された特許法第120条の4第2項、及び同条第3項でさらに準用する第126条第2?4項において、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合する。

3.実用新案登録異議の申立てについての判断
申立て人旭光学工業株式会社は、実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、甲第1号証(訂正拒絶理由の刊行物1と同じ)に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、又は、同号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、同法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであって、実用新案登録は取り消されるべき旨主張している。
ところが、本件考案については、前記2-3.で述べたとおり甲第1号証に記載された考案ではなく、また、同号証に記載された考案に基づききわめて容易に考案をすることができたものでもない。
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件考案に係る実用新案登録を取り消すことができない。
そして、他に本件考案に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
内視鏡
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 湾曲動作を行う湾曲管の基端に可撓管を接続してなる挿入部と、この挿入部の手元側に設けられた操作部とを備え、前記湾曲管に位置する第1のチューブと、この第1のチューブと同質の材料で形成されるとともに前記第1のチューブの内径よりも小さく形成され前記可撓管から前記操作部に位置する第2のチューブと、前記第1のチューブを前記第2のチューブに接続する連結パイプとからなる可撓性チューブの前記第1のチューブの外周のみに保護用のコイル体が巻装されるとともにこのコイル体の基端部が前記連結パイプよりも先端側に位置する処置具挿通用チャンネルを前記操作部から前記挿入部の全長にわたって配設し、前記処置具挿通用チャンネルを形成する前記可撓性チューブの前記第2のチューブの肉厚を前記第1のチューブの肉厚より厚く形成したことを特徴とする内視鏡。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、可撓性チューブの外周に保護用のコイル体を有する処置具挿通用チャンネルを有する内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば体控内へ経内視鏡的に処置具を導入する場合は、処置具を内視鏡の処置具挿通用チャンネル内に挿入し、この処置具挿通用チャンネルを通じて体控内に導き入れている。
【0003】また、処置具挿通用チャンネルを有する前記内視鏡は操作部と挿入部とから構成されており、前記処置具挿通用チャンネルは内視鏡の操作部から挿入部の全長にわたって配設されている。
【0004】また、一般に、内視鏡は、挿入部が硬質な硬性内視鏡と挿入部が軟質な軟性内視鏡とに大別され、特に前記軟性内視鏡には、湾曲動作を行なう湾曲管の基端に長尺な可撓管を接続してなる挿入部を有するものがあり、このような内視鏡の場合、前記処置具挿通用チャンネルは、内視鏡の挿入部の特に前記湾曲管の激しい湾曲動作に伴って湾曲できるように、全長にわたって可撓性の高いポリテトラフルオロエチレン等のチューブによって形成されており、これによって処置具挿通用チャンネルの充分な可撓性が確保されている。
【0005】しかしながら、処置具挿通用チャンネルを全長にわたって単に可撓性の高いポリテトラフルオロエチレン等のチューブによって形成すると、長尺な可撓管が曲がっている場合には、処置具挿通用チャンネル内への処置具の挿通にともなって、処置具挿通用チャンネルのチューブ(以下、チャンネルチューブという。)が処置具との摩擦によりひきずられて前方に送り出され、これによって先端側でチャンネルチューブが蛇行して、チャンネルチューブヘの処置具の挿通性が悪化するとともに、挿入部内にチャンネルチューブとともに配設される光学系部材や送気送水チューブといった他の内蔵物を圧迫して損傷させるという問題があった。また、処置具から手を離すと、先端測で蛇行しているチャンネルチューブとともに処置具が手元側に戻ってしまい処置具を挿入できないことがあった。
【0006】そこで、実公平1-30161号公報では、前記チャンネルチューブのうち前記湾曲管内に位置する比較的短いチューブ部位を可撓性の高いポリテトラフルオロエチレンによって形成するとともに、前記可撓管内から前記操作部内に位置する長尺なチューブ部位を可撓性の低いポリテトラフルオロエチレンによって形成し、処置具挿通用チャンネル内への処置具の挿通にともなう前記問題点の解決を図っている。
【0007】また、実公昭59-40002号公報では、チャンネルチューブの外周に螺旋状の溝を設けることによりチャンネルチューブの肉厚を薄くしてその可撓性を高めるとともに、前記螺旋状の溝に沿って補強用コイルを巻き付けることによって湾曲管の湾曲あるいは可撓管の曲がり作用によるチャンネルチューブの径方向の変形を抑えてチャンネルチューブが腰折れすなわち挫屈するのを防止している。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、実公平1-30161号公報のものは、湾曲管を湾曲させたり、可撓管を曲げたりねじったりした際に生じる処置具挿通用チャンネルのねじれや曲げをチャンネルチューブの可撓性の低い可撓管内部位で吸収することができないため、チャンネルチューブの可撓性の高い湾曲管内部位に負担が生じ、この部位がねじれて潰れてしまう虞があった。また、この場合、チャンネルチューブの可撓性の高い湾曲管内部位は、湾曲管の繰り返し湾曲によって押し潰されて偏平し処置具の挿通性を悪化させてしまったり、ワイヤ受け部材等の他の内蔵物から受ける力に対する耐性が弱かった。また、チャンネルチューブの可撓性の低い可撓管内部位が挿入部の曲げ動作に追従できず破損してしまう虞もあった。
【0009】そこで、チャンネルチューブを全長にわたって可属性の低い材料で形成し、実公昭59-40002号公報に示すようにチャンネルチューブの外周に螺旋状の溝を設けてこの溝に補強用コイルを巻装したものがあるが、湾曲管内に位置するチャンネルチューブのコイル巻装部の可撓性を高くするために肉厚を全長にわたって薄くすると、可撓管内から操作部内に位置するチャンネルチューブの部位が可撓管のねじりや曲げによる影響を吸収することができずに潰れてしまうことがある。また、逆に、可撓管内から操作部内に位置するチャンネルチューブの部位が可撓管のねじりや曲げによる影響に対して十分耐えられるように、肉厚を全長にわたって厚くすると、今度は、湾曲管内に位置するチャンネルチューブのコイル巻装部の可撓性が低くなり、湾曲管の湾曲動作に支障をきたす虞がある。また、チャンネルチューブの全長にわたってコイルを巻装した場合には、加工性、組立性が悪くコストが高かった。
【0010】本考案は上記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、湾曲管や可撓管の湾曲動作を妨げることのない充分な可撓性を有するとともに処置具の挿通性が良好で挫屈や破損のない安価な処置具挿通用チャンネルを備えた内視鏡を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本考案は、湾曲動作を行う湾曲管の基端に可撓管を接続してなる挿入部と、この挿入部の手元側に設けられた操作部とを備え、前記湾曲管に位置する第1のチューブと、この第1のチューブと同質の材料で形成されるとともに前記第1のチューブの内径よりも小さく形成され前記可撓管から前記操作部に位置する第2のチューブと、前記第1のチューブを前記第2のチューブに接続する連結パイプとからなる可撓性チューブの前記第1のチューブの外周のみに保護用のコイル体が巻装されるとともにこのコイル体の基端部が前記連結パイプよりも先端側に位置する処置具挿通用チャンネルを前記操作部から前記挿入部の全長にわたって配設し、前記処置具挿通用チャンネルを形成する前記可撓性チューブの前記第2のチューブの肉厚を前記第1のチューブの肉厚より厚く形成したものである。
【0012】
【作用】上記構成により、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブは、可撓性を高くするために肉厚が薄く形成されているので、湾曲管の湾曲動作を妨げることなくスムーズに湾曲する。また、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブの外周のみには保護用のコイルが巻装されているため、この第1のチューブの処置具挿通用チャンネルの径方向の変形が極力防止され、腰折れすなわち挫屈が防止される。すなわち、湾曲管の繰り返し湾曲によって押し潰されて偏平したり、それによって処置具の挿通性を悪化させてしまったり、あるいは、ワイヤ受け部材等の他の内蔵物から受ける力によって破損してしまったりすることがない。
【0013】また、可撓管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第2のチューブを湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブと同質の材料によって形成することにより、この第2のチューブの可撓性を可撓管の湾曲動作に追従できる程度にすることができる。また、可撓管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第2のチューブは、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブよりも肉厚が厚く形成されているため、可撓管のねじりや曲げによる影響を十分吸収することができる。また、第2のチューブの内径を第1のチユーブの内径よりも小さく形成したため、すなわち、第1のチューブの内径が第2のチューブの内径よりも大きく形成されているため、第1のチューブ内における処置具の挿通性を向上させることができる。つまり、湾曲管が湾曲しても、処置具はスムーズに湾曲管内を通過できる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照しつつ本考案の実施例を説明する。図1、図2および図7は本考案の第1の実施例を示すものである。図7に示すように、本実施例の内視鏡1は、撮像素子を組み込んだ電子内視鏡であり、挿入部2と操作部3とから内視鏡本体が構成されている。
【0015】操作部3には湾曲操作ノブ4、吸引装置7等の各種装置が配置されている。また、この操作部4には、内視鏡1からの撮像信号を光源装置を内設したビデオプロセッサ9に伝送するユニバーサルコード6が接続されている。ビデオプロセッサ9は、内視鏡1からの撮像信号を処理する信号処理回路を有しており、処理した信号はビデオプロセッサ9に接続されたモニタ10に伝送されて画像表示される。これによって、操作者は内視鏡1が挿入される内部の様子を観察することができる。
【0016】また、挿入部2内には処置具(図示せず)を内視鏡1の先端へと案内する処置具挿通用チャンネル8が配設されている。また、操作部3には処置具挿通用チャンネル8に連通する処置具挿通口5が設けられている。
【0017】図2に示すように、挿入部2は、長尺な可撓管11と、操作ワイヤ12の操作によって湾曲し得る湾曲管13とからなり、湾曲管13先端には対物レンズ等の光学要素を組み込んだ先端構成部14が設けられている。可撓管11および湾曲管13は管状部材15の外周に樹脂製の外皮16を積層して構成されるが、湾曲管13は可撓管11よりも可撓性が高く形成されている。
【0018】湾曲管13の内部には複数の湾曲駒17…が挿入部2の長手軸方向に並べられている。湾曲駒17…は、ステンレス製の管状のものであり、その隣接する端部同志がリベット18により回動自在に連結されることによって湾曲自在となっている。また、最先端の湾曲駒17は先端構成部14の基端部に嵌着されている。また、挿入部2内には例えば上下に偏って配置された4本(1本は図示せず)の湾曲操作ワイヤ12が挿通して配設されている。この湾曲操作ワイヤ12の先端は湾曲管13内に配設された最先端の湾曲駒17に別々に接着固定されている。そして、湾曲操作ワイヤ12は、例えば湾曲駒17の内周壁に設けられたワイヤ受け部19で支持されつつ湾曲駒17と接続して湾曲管13内を挿通されるとともに、可撓管11に配設された例えば図示しないガイドパイプによって可撓管11内を案内され、その基端側は操作部3の湾曲操作ノブ4によって操作される図示しないワイヤ操作機構に接続されている。したがって、湾曲操作ノブ4を回動操作して湾曲操作ワイヤ12のいずれか1本を手元側に引けば、その向きに湾曲管13を湾曲させることができる。このとき、他の湾曲操作ワイヤ12は繰り出される。
【0019】湾曲管13の先端に設けられた先端構成部14の第1の通孔20には、ビデオプロセッサ9の光源装置に前記ユニバーサルコード6を介して接続されたライトガイド21がライトガイド口金22によって装着されており、これによって、前記光源装置からの照明光をレンズ23を介して体内に照射できるようになっている。
【0020】さらに、先端構成部14の第2の通孔24には2つの対物レンズ25が嵌め込まれており、これら対物レンズ25の手元側には撮像素子26が設けられている。したがって、前記ライトガイド21を介して体内に導かれた照明光によって照射された対象物の物体光は対物レンズ25を介して撮像素子26の受像面に結像して光電変換され、その撮像信号は電気ライン27とユニバーサルコード6を介してビデオプロセッサ9に伝送され処理される。ビデオプロセッサ9で処理して得た映像信号はTVモニター10に送られ、このTVモニター10上に内視鏡1による観察像として画像表示される。
【0021】また、内視鏡1には操作部3から挿入部2の全長にわたって処置具挿通用チャンネル8が設けられている。処置具挿通用チャンネル8は全長にわたって同質の材料により形成された可撓性チューブ36から成る。また、処置具挿通用チャンネル8を形成する前記可撓性チューブ36のうち可撓管11内から操作部3内に位置するチューブ部位36bの肉厚は、湾曲管13内に位置するチューブ部位36aの肉厚よりも厚く形成されている。
【0022】すなわち、可撓性チューブ36のうち湾曲管13内とこれを若干越えた範囲に位置するチューブ部位36a(以下、湾曲チューブ36aという。)は、湾曲管13の湾曲動作に伴って湾曲できる十分な可撓性を有するように、ポリテトラフルオロエチレンによって肉厚が薄く形成されている。湾曲チューブ36aの先端側は、先端構成部14の処置具挿通孔28に嵌着された口金29の基端部外周に例えば圧入することにより接続されている。
【0023】一方、可撓性チューブ36のうち可撓管11内から操作部3内に位置するチューブ部位36b(以下、チャンネルチューブ36bという。)すなわち湾曲チューブ36a以外の部位は、可撓管11がねじれたりループをかけられたりあるいはループを解除する際において十分小さな円弧状をとることに鑑み、十分な耐性を有する座屈しにくい肉厚に形成されているとともに可撓管11の湾曲動作に追従できる程度に可撓性を有する肉厚に形成されている。すなわち、湾曲チューブ36aと同質なポリテトラフルオロエチレンによって形成され、かつ、湾曲チューブ36aよりも肉厚が厚くなっている。
【0024】なお、湾曲チューブ36a内における処置具の挿通性を良くするために湾曲チューブ36aの内径は、チャンネルチューブ36bの内径より大きく形成されている。
【0025】湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bは、連結パイプ30によって接結されている。また、操作部3内のチャンネルチューブ36bの基端側は、操作部3内に配置されたY字型の管路31の先端管路部31aと連結パイプ32を介して接続されている。管路31は処置具挿通用管路部31bと吸引管路部31cとに分岐しており、処置具挿通用管路部31bは処置具挿通孔5に連通するとともに、吸引管路部31cは吸引装置7へと通じている。
【0026】図1は処置具挿通用チャンネル8を示したものである。湾曲チューブ36aは、両端の僅かな部位を除いた範囲L1の外周に、断面が弧状で深さが略均一な螺旋溝33を有している。この螺旋溝33が形成された範囲L1は湾曲管13の長さよりも長くなっている。また、螺旋溝33にはピアノ線やバネ用ステンレス鋼線等で形成された挫屈防止用の弾性コイル34が溝底に密着した状態で巻回されている。コイル34の端部は湾曲チューブ36aに傷を付けないように例えば面取りをしてある。さらに、コイル34の端部は、湾曲管13の湾曲動作によってコイル34がずれたりしないように、湾曲チューブ36aに対して1?3ピッチ分だけ接着固定してある。なお、螺旋溝33とコイル34との間には湾曲チューブ36aの軸線方向に隙間39が設けられている。
【0027】また、螺旋溝33が形成される湾曲チューブ36aの外周面には、範囲L1よりも若干長い範囲L2にわたって、接着性を良くするための例えばテトラエッチ処置が施されている。また、コイル34上には比較的柔くかつ弾性を有する樹脂35がコーティングされており、コイル34が湾曲チューブ36aの螺旋溝33から脱落するのを防いでいる。なお、樹脂35は範囲L2とほぼ同じ範囲にわたってコーティングされている。
【0028】湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bとを繋ぐ連結パイプ30は、湾曲管13に十分近い位置で湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bとを接続している。また、連結パイプ30の両端にはそれぞれ径方向外側に傾斜するテーパ部30a,30bが設けられている。そして、このテーパ部30a,30bの外周部に湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bとをそれぞれ圧入して接着固定することによりこれらのチューブ36a,36bの抜けを防止している。さらに、連結パイプ30に接続される湾曲チューブ36aの基端とチャンネルチューブ36bの先端との間には若干の隙間が設けられ、この隙間に接着剤が充填されるとともに湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bのパイプ連結部外周にも接着剤が塗布されることによって、湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bとを連結パイプ30に対して外側から押さえ付けて、チューブ36a,36bの連結パイプ30に対する抜けを防止する構造となっている。なお、湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bのパイプ連結部外周に糸を巻き付け、その外周に接着剤をぬって固定することによりチューブ36a,36bの連結パイプ30に対する抜けを防止しても良い。
【0029】次に、上記構成の内視鏡の作用を説明する。操作部3の湾曲操作ノブ4を回動操作すると、操作ワイヤ12が索引されて湾曲管13が牽引された操作ワイヤ12の方向に湾曲する。この時、湾曲管13内の処置具挿通用チャンネル8を構成する湾曲チューブ36aは、可撓性を高くするために肉厚が薄く形成されているので、湾曲管13の湾曲動作を妨げることなくスムーズに湾曲する。
【0030】また、湾曲チューブ36aは、その外周に設けた螺旋溝33によっても、溝加工がされていない場合に比べてその肉厚が部分的に薄くなっているため、その分可撓性が高くなっており、湾曲管13の湾曲に伴って十分湾曲できる状態にある。また、その一方で、螺旋溝33にはコイル34が溝底に密着した状態で巻回されているため、湾曲チューブ36aの径方向の変形は極力防止され、湾曲チューブ36aの腰折れ、すなわち挫屈は防止される。すなわち、湾曲管の繰り返し湾曲によって押し潰されて偏平したり、それによって処置具の挿通性を悪化させてしまったり、あるいは、ワイヤ受け部材等の他の内蔵物から受ける力によって破損してしまったりすることがない。
【0031】また、螺旋溝33とコイル34との間で湾曲チューブ36aの軸線方向に設けた隙間39は、湾曲チューブ36aの湾曲時に、湾曲チューブ36aの湾曲内側の側壁の縮みに対して逃げとして作用するため、コイル34が湾曲チューブ36aの湾曲内側の側壁の縮みを妨害してその可撓性を滅殺してしまうことを防止する。
【0032】また、可撓管11内の処置具挿通用チャンネル8を構成するチャンネルチューブ36bは、湾曲チューブ36aと同質の材料によって可撓管11の湾曲動作に追従できる程度に可撓性を有する肉厚に形成されているとともに湾曲チューブ36aよりも肉厚が厚く形成されているため、可撓管11のねじりや曲げによる影響を十分吸収することができる。したがって、可撓管11の湾曲動作に追従できずにチャンネルチューブ36b自らが破損してしまったり、処置具挿通用チャンネル8のねじれや曲げをチャンネルチューブ36bで吸収できないことによって湾曲チューブ36aをねじって潰してしまうということがない。
【0033】また、湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bはともにポリテトラフルオロエチレンで形成されているため、摩擦係数が小さく、処置具をスムーズに挿通させることができる。さらに、湾曲チューブ36aの内径はチャンネルチューブ36bの内径より大きいため、湾曲チューブ36aが湾曲しても、処置具はスムーズに湾曲チューブ36a内を通過できる。
【0034】また、材質を変えることによって処置具挿通用チャンネル8の湾曲管部位と可撓管-操作部間部位の可撓性を変化させるのではなく、処置具挿通用チャンネル8を形成するチューブの肉厚を変化させることによってチャンネル8各部の可撓性を変化させるようにしたため、チャンネルチューブの湾曲管部位を可撓性の高い材料で形成するとともにチャンネルチューブの可撓管部位を可撓性の低い材料で形成する従来のものに比べてコストが安く済む。さらに、本実施例の処置具挿通用チャンネル8は全長にわたってコイルを巻装する必要がないため加工、組立が簡単である。なお、本実施例の場合、湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bとは連結パイプ30で接続されているので、この部分で折れにくい。
【0035】以上説明したように、本実施例の内視鏡1の処置具挿通用チャンネルは、材質を変えることによって処置具挿通用チャンネル8の湾曲管部位と可撓管-操作部間部位の可撓性を変化させるのではなく、処置具挿通用チャンネル8を形成するチューブの肉厚を変化させることによってチャンネル8の各部の可撓性を変化させるようにしたため、加工が簡単でコストが安く、しかも、前述したような構成により湾曲管や可撓管の湾曲動作を妨げることのない充分な可撓性を有するとともに処置具の挿通性が良好で挫屈や破損がないという利点がある。
【0036】図3は本考案の第2の実施例を示すものである。本実施例の内視鏡は処置具挿通用チャンネル8における湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bとの接続方法が第1の実施例と異なるのみであり、その他の構成は第1の実施例と同一である。
【0037】すなわち、図3に示す処置具挿通用チャンネル8は、湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bとを直接に接続して形成されている。この場合、チャンネルチューブ36bの先端部の内面にはチャンネルチューブ36bの内面を全周にわたって削ることにより形成された段差部46が設けられている。そして、この段差部46の削り深さは湾曲チューブ36aの肉厚と同一になっており、湾曲チューブ36aの基端部を段差部46に嵌め合わせて接着固定することによりチャンネルチューブ36bの内径と湾曲チューブ36aの内径とを同じくしている。湾曲チューブ36aの基端部と段差部46とを嵌め合わせ接着する接着剤45は、チャンネルチューブ36bの先端面と湾曲チューブ36aの外周面との間にも塗布されている。なお、段差部46の内面と湾曲チューブ36aの基端部外周面には接着しやすいように例えばテトラエッチ処理が施されている。
【0038】以上の構成では、処置具挿通用チャンネル8の外径がチャンネルチューブ36bの外径と同一になるので挿入部2の細径化に貢献することができる。また、チャンネルチューブ36bは素材を切断し先端側に段差部を設けただけのものであり、また、第1の実施例のように連結パイプ30も要らないので部品点数が少なく安価で済む。また、湾曲チューブ36aとチャンネルチューブ36bとの接続部の内面には段差がないので、この部分での処置具の引掛かりが防止されスムーズな処置具の挿通が可能となる。チャンネルチューブ36bの端面と湾曲チューブ36aの外周面との間にも接着剤45を塗布して強固に固定しているので、チャンネルチューブ36bと湾曲チューブ36aとの抜けが確実に防止される。
【0039】図4は本考案の第3の実施例を示すものである。本実施例では、湾曲チューブ36aの基端部がチャンネルチューブ36bの先端部内に嵌着され、湾曲チューブ36aの基端面49が処置具が引掛からないように内方に向けて傾斜するテーパ面に形成されている。湾曲チューブ36aの基端部外周面とチャンネルチューブ36bの先端部内周面には、接着しやすいように、例えばテトラエツチ処理が施されている。また、チャンネルチューブ36bの先端面と湾曲チューブ36aの外周面との間には接着剤45が塗布されている。それ以外の構成は第1の実施例と同一である。この構成では、湾曲チューブ36aの基端面49が処置具が引掛からないように内方に向けて傾斜するテーパ面に形成したため処置具の挿通がスムーズとなる。
【0040】図5には内視鏡1の先端構成部14と湾曲チューブ36aとの接続部が示されている。先端構成部14の処置具挿通孔28に嵌着された口金29は先端構成部14の基端端面付近で全周にわたり半田付け固定(図中の黒い部分)されている。口金29と嵌合する湾曲チューブ36a先端部の口金嵌合部59と湾曲チューブ36aの先端面60にはチューブ素材の接着性を高めるテトラエッチ処理が施されている。なお、コイル34の表面にコーティングされる樹脂35は弾性接着剤であってもよく、この場合、図示のようにコイル34の素線の頂点にも弾性接着剤が薄くコーティングされ、かつ、コイル34の素線間ではコイル34の素線の頂点よりも低く(径方向で小さく)弾性接着剤がコーティングされる。
【0041】湾曲チューブ36aは、先端に位置するコイル34と口金29の後端部29aとが一致するまで、口金29に嵌合挿入される。湾曲チューブ36aと口金29との固定には接着剤が用いられる。この接着剤の塗布は、湾曲チューブ36aと口金29との嵌合部分(図中45)と、湾曲チューブ36aの先端面60と先端構成部14の基端面との間の部分(図中46)の両方になされる。なお、口金29と嵌合する湾曲チューブ36aの口金嵌合部59の外周にはテグス50が巻装されている。
【0042】このような構成では、口金29に湾曲チューブ36aを挿入していく際に、湾曲チューブ36aの先端面60で口金29の外周面に塗布された接着剤が拭き取られて、湾曲チューブ36aと口金29との間の接着力が失われたとしても、湾曲チューブ36aの先端面60と先端構成部14との間にある接着剤によって、接着力は確保される。この場合、口金29と湾曲チューブ36aとの水密性も同様にして確保される。また、図6のように接着剤を塗布してもよい。すなわち、湾曲チューブ36aの先端面60と口金29との間でも同様の効果が得られる。
【0043】以上説明した接続方法によれば、湾曲チューブ36aと口金29との水密が確実に行え、湾曲チューブ36aと口金29との接続部における水漏れの発生を無くすことが可能となる。また、湾曲チューブ36aと口金29との接着強度が増加するため、口金29に対する湾曲チューブ36aの抜け強度が向上するとともに、湾曲チューブ36aのねじれに対する接着層の剥離強度が向上する。また、万一、湾曲チューブ36aに圧縮方向の力が加わり、口金嵌合部59のチューブ部位が膨らんで接続口金29と湾曲チューブ36aとの間の接着層が剥離しても、湾曲チューブ36aの先端面60よりも先方に塗布されている接着層によって、水密性の確保と湾曲チューブ36aの抜け防止がなされる。なお、以上説明した接続方法はチャンネルの接続のみならず、送水チューブ、送気チューブ等、他のチューブの接続においても適用できる
【0044】
【考案の効果】以上説明したように、本考案の内視鏡の処置具挿通用チャンネルは、材質を変えることによって処置具挿通用チャンネルの湾曲管部位と可撓管一操作部間部位の可撓性を変化させるのではなく、処置具挿通用チャンネルを形成するチューブの肉厚を変化させることによってチャンネルの各部の可撓性を変化させるようにしたため、加工が簡単でコストが安く、しかも、湾曲管や可撓管の湾曲動作を妨げることのない充分な可撓性を有するとともに処置具の挿通性が良好で挫屈や破損がないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1の実施例を示す内視鏡の処置具挿通用チャンネルの側断面図である。
【図2】本考案の第1の実施例を示す内視鏡の挿入部の側断面図である。
【図3】本考案の第2の実施例を示す内視鏡の処置具挿通用チャンネルの側断面図である。
【図4】本考案の第3の実施例を示す内視鏡の処置具挿通用チャンネルの側断面図である。
【図5】(a)は処置具挿通用チャンネルと先端構成部との接続を示す断面図、(b)は処置具挿通用チャンネルの接続部付近の断面図である。
【図6】処置具挿通用チャンネルと先端構成部との接続の他の例を示す断面図である。
【図7】内視鏡装置の全体構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1…内視鏡、8…処置具挿通用チャンネル、34…コイル、36a…湾曲チューブ、36b…チャンネルチューブ。
訂正の要旨 実用新案登録第2556002号考案の明細書を、本件訂正請求書に添付され、手続補正書により補正された訂正明細書のとおりに、すなわち実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として下記(1)のとおり、及び明瞭でない記載の釈明を目的として下記(2),(3),(4)のとおりに訂正する。

(1)願書に添付した明細書(以下「実用新案登録明細書」という。)において、実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る記載「【請求項1】湾曲動作を行う湾曲管の基端に可撓管を接続してなる挿入部と、この挿入部の手元側に設けられた操作部とを備え、全長にわたって同質の材料により形成された可撓性チューブの少なくとも前記湾曲管に位置する部位の外周に保護用のコイル体が巻装された処置具挿通用チャンネルを前記操作部から前記挿入部の全長にわたって配設した内視鏡において、前記処置具挿通用チャンネルを形成する前記可撓性チューブのうち前記可撓管から前記操作部に位置するチューブ部位の肉厚を前記湾曲管に位置するチューブ部位の肉厚よりも厚く形成したことを特徴とする内視鏡。」を
「【請求項1】湾曲動作を行う湾曲管の基端に可撓管を接続してなる挿入部と、この挿入部の手元側に設けられた操作部とを備え、前記湾曲管に位置する第1のチューブと、この第1のチューブと同質の材料で形成されるとともに前記第1のチューブの内径よりも小さく形成され前記可撓管から前記操作部に位置する第2のチューブと、前記第1のチューブを前記第2のチューブに接続する連結パイプとからなる可撓性チューブの前記第1のチューブの外周のみに保護用のコイル体が巻装されるとともにこのコイル体の基端部が前記連結パイプよりも先端側に位置する処置具挿通用チャンネルを前記操作部から前記挿入部の全長にわたって配設し、前記処置具挿通用チャンネルを形成する前記可撓性チューブの前記第2のチューブの肉厚を前記第1のチューブの肉厚より厚く形成したことを特徴とする内視鏡。」と訂正する。
(2)同明細書において、考案の詳細な説明の【0011】
「【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本考案は、湾曲動作を行なう湾曲管の基端に可撓管を接続してなる挿入部と、この挿入部の手元側に設けられた操作部とを備え、全長にわたって同質の材料により形成された可撓性チューブの少なくとも前記湾曲管に位置する部位の外周に保護用のコイル体が巻装された処置具挿通用チャンネルを前記操作部から前記挿入部の全長にわたって配設した内視鏡において、前記処置具挿通用チャンネルを形成する前記可撓性チューブのうち前記可撓管から前記操作部に位置するチューブ部位の肉厚を前記湾曲管に位置するチューブ部位の肉厚よりも厚く形成したものである。」を
「【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本考案は、湾曲動作を行う湾曲管の基端に可撓管を接続してなる挿入部と、この挿入部の手元側に設けられた操作部とを備え、前記湾曲管に位置する第1のチューブと、この第1のチューブと同質の材料で形成されるとともに前記第1のチューブの内径よりも小さく形成され前記可撓管から前記操作部に位置する第2のチューブと、前記第1のチューブを前記第2のチューブに接続する連結パイプとからなる可撓性チューブの前記第1のチューブの外周のみに保護用のコイル体が巻装されるとともにこのコイル体の基端部が前記連結パイプよりも先端側に位置する処置具挿通用チャンネルを前記操作部から前記挿入部の全長にわたって配設し、前記処置具挿通用チャンネルを形成する前記可撓性チューブの前記第2のチューブの肉厚を前記第1のチューブの肉厚より厚く形成したものである。」と訂正する。
(3)同明細書において、考案の詳細な説明の【0012】
「【作用】上記構成により、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの部位は、可撓性を高くするために肉厚が薄く形成されているので、湾曲管の湾曲動作を妨げることなくスムーズに湾曲する。また、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの外周には保護用のコイルが巻装されているため、この部位の処置具挿通用チャンネルの径方向の変形が極力防止され、腰折れすなわち挫屈が防止される。すなわち、湾曲管の繰り返し湾曲によって押し潰されて偏平したり、それによって処置具の挿通性を悪化させてしまったり、あるいは、ワイヤ受け部材等の他の内蔵物から受ける力によって破損してしまったりすることがない。」を
「【作用】上記構成により、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブは、可撓性を高くするために肉厚が薄く形成されているので、湾曲管の湾曲動作を妨げることなくスムーズに湾曲する。また、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブの外周のみには保護用のコイルが巻装されているため、この第1のチューブの処置具挿通用チャンネルの径方向の変形が極力防止され、腰折れすなわち挫屈が防止される。すなわち、湾曲管の繰り返し湾曲によって押し潰されて偏平したり、それによって処置具の挿通性を悪化させてしまったり、あるいは、ワイヤ受け部材等の他の内蔵物から受ける力によって破損してしまったりすることがない。」と訂正する。
(4)同明細書において、考案の詳細な説明の【0013】
「また、可撓管内に位置する処置具挿通用チャンネルの部位を湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの部位と同質の材料によって形成することにより、この部位の可撓性を可撓管の湾曲動作に追従できる程度にすることができる。また、可撓管内に位置する処置具挿通用チャンネルの部位は、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの部位よりも肉厚が厚く形成されているため、可撓管のねじりや曲げによる影響を十分吸収することができる。」を
「また、可撓管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第2のチューブを湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブと同質の材料によって形成することにより、この第2のチューブの可撓性を可撓管の湾曲動作に追従できる程度にすることができる。また、可撓管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第2のチューブは、湾曲管内に位置する処置具挿通用チャンネルの第1のチューブよりも肉厚が厚く形成されているため、可撓管のねじりや曲げによる影響を十分吸収することができる。また、第2のチューブの内径を第1のチューブの内径よりも小さく形成したため、すなわち、第1のチューブの内径が第2のチューブの内径よりも大きく形成されているため、第1のチューブ内における処置具の挿通性を向上させることができる。つまり、湾曲管が湾曲しても、処置具はスムーズに湾曲管内を通過できる。」と訂正する。
異議決定日 2000-03-27 
出願番号 実願平4-80472 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (A61B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 江成 克己  
特許庁審判長 伊坪 公一
特許庁審判官 志村 博
阿部 綽勝
登録日 1997-08-08 
登録番号 実用新案登録第2556002号(U2556002) 
権利者 オリンパス光学工業株式会社
東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号
考案の名称 内視鏡  
代理人 風間 鉄也  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 村松 貞夫  
代理人 坪井 淳  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 村松 貞男  
代理人 風間 鉄也  
代理人 三井 和彦  
代理人 坪井 淳  
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