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審決分類 審判 全部申し立て   A61L
管理番号 1020858
異議申立番号 異議1999-72802  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-19 
確定日 2000-06-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2588900号「芳香剤容器」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2588900号の請求項1ないし11に係る実用新案登録を維持する。
理由 [I]手続の経緯
実用新案登録第2588900号の考案についての出願は、平成5年11月5日に実用新案登録出願され、平成10年11月6日にその考案について実用新案権の設定登録がなされ、その後、その実用新案登録について、エステー化学株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年5月18日に訂正請求がなされたものである。
[II]訂正の適否についての判断
ア.訂正の内容
実用新案権者は、以下の訂正a?dを請求する。
訂正a
実用新案登録請求の範囲を
「【請求項1】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項2】 前記保持手段を底蓋に設けたことを特徴とする請求項1記載の芳香剤容器。
【請求項3】 前記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、上面に吸水材を載置可能に形成された突出部から構成したことを特徴とする請求項2記載の芳香剤容器。
【請求項4】 前記保持手段を無機質多孔体に設けたことを特徴とする請求項1記載の芳香剤容器。
【請求項5】 前記保持手段を、無機質多孔体の中空部の内面に形成され、内部に吸水材を嵌着可能な保持筒から構成したことを特徴とする請求項4記載の芳香剤容器。
【請求項6】 前記保持手段を、無機質多孔体の中空部の内面に突出され、吸水材に形成された軸孔が嵌合可能な軸部から構成したことを特徴とする請求項4記載の芳香剤容器。
【請求項7】 前記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出する突出部と、この突出部との間で前記吸水材を挟持するように中空部の内面に無機質多孔体と一体形成された無機質多孔性の挟持部とから構成したことを特徴とする請求項1記載の芳香剤容器。
【請求項8】 前記無機質多孔体の底面部と底蓋とを嵌合する嵌合手段を設け、前記保持手段を、嵌合手段を構成する底蓋側の嵌合部と無機質多孔体側の嵌合部とから構成し、内外径が底蓋側の嵌合部及び無機質多孔体側の嵌合部と同径のリング状吸水材を両嵌合部で挟持すると共に、底蓋側の嵌合部を吸水材を介して無機質多孔体側の嵌合部に嵌着したことを特徴とする請求項1記載の芳香剤容器。
【請求項9】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項10】 前記貯溜部を底蓋の内面に設けたことを特徴とする請求項9記載の芳香剤容器。
【請求項11】 前記貯溜部を無機質多孔体の中空部に設けたことを特徴とする請求項9記載の芳香剤容器。
【請求項12】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触するように貯溜部に配置し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項13】 前記吸水材としてろ紙を使用したことを特徴とする請求項1ないし請求項8及び請求項12のいずれか一記載の芳香剤容器。
【請求項14】 前記無機質多孔体を、半円球状に形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか一記載の芳香剤容器。」から、
「【請求項1】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、上面に吸水材を載置可能に形成された突出部と、この突出部との間で吸水材を挟持するように中空部の内面の前記突出部と対向する位置に前記無機質多孔体と一体形成された無機質多孔性の挟持部とから構成したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項2】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体に設けたことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項3】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体の中空部の内面に形成され、内部に吸水材を嵌着可能な保持筒と、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、無機質多孔体の内面との間で吸水材を挟み込む突出部とから構成したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項4】前記保持手段を、無機質多孔体の中空部の内面に突出され、吸水材に形成された軸孔が嵌合可能な軸部と、この軸部に嵌合する抜止め具で構成したことを特徴とする請求項2記載の芳香剤容器。
【請求項5】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記無機質多孔体の底面部と底蓋とを嵌合する嵌合手段を設け、前記保持手段を、嵌合手段を構成する底蓋側の嵌合部と無機質多孔体側の嵌合部とから構成し、内外径が底蓋側の嵌合部及び無機質多孔体側の嵌合部と同径のリング状吸水材を両嵌合部で挟持すると共に、底蓋側の嵌合部を吸水材を介して無機質多孔体側の嵌合部に嵌着したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項6】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する筒部が形成されていることを特徴とする芳香剤容器。
【請求項7】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する軸部が形成されていることを特徴とする芳香剤容器。
【請求項8】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部を無機質多孔体の中空部に設けたことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項9】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触するように貯溜部に配置し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記吸水材が無機質多孔体の頂部内面と接触することを特徴とする芳香剤容器。
【請求項10】 前記吸水材としてろ紙を使用したことを特徴とする請求項1ないし請求項5及び請求項9のいずれか一に記載の芳香剤容器。
【請求項11】 前記無機質多孔体を、半円球状に形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一に記載の芳香剤容器。」と訂正する。
訂正b
明細書の
「【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、この考案に係る芳香剤容器は、請求項1のように、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備えており、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用したことを特徴としている。
【0007】この保持手段は、底蓋に設けてもよいし(請求項2)、無機質多孔体に設けてもよい(請求項4)。さらに、請求項7のように、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出した突出部と、中空部の内面の無機質多孔性の挟持部とにより、吸水材を挟持する構成としてもよい。
【0008】また、保持手段を底蓋側に設ける場合(請求項2)、底蓋の中央部から突出した突出部の上面に、単に吸水材を載置する構成としてもよい(請求項3)。一方、保持手段を無機質多孔体側に設ける場合(請求項4)、中空部に吸水材を嵌着可能な保持筒を形成するか(請求項5)、中空部の内面に突出する軸部により吸水材を保持するように構成してもよい(請求項6)。
【0009】また、請求項7と同様に吸水材を挟持する構成としては、無機質多孔体の底面部と底蓋とを嵌合する嵌合手段により、リング状吸水材を挟持する構成としてもよい(請求項8)。すなわち、この嵌合手段を構成する底蓋側の嵌合部と無機質多孔体側の嵌合部とでリング状吸水材を挟持する構成も採用可能である。
【0010】また、上記の吸水材の代わりに、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設け、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成してもよい(請求項9)。この場合、貯溜部を底蓋の内面に設けるか(請求項10)、無機質多孔体の中空部に設ける構成であってもよい(請求項11)。
【0011】さらに、吸水材と貯溜部とを併用する場合も考えられ、この場合、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触するように貯溜部に配置すればよい(請求項12)。なお、吸水材としてろ紙を使用し(請求項13)、無機質多孔体を半円球状に形成する構成(請求項14)も採用可能である。」を
「【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、この考案の請求項1に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、上面に吸水材を載置可能に形成された突出部と、この突出部との間で吸水材を挟持するように中空部の内面の前記突出部と対向する位置に前記無機質多孔体と一体形成された無機質多孔性の挟持部とから構成したことを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体に設けたことを特徴としている。
【0008】
請求項3に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体の中空部の内面に形成され、内部に吸水材を嵌着可能な保持筒と、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、無機質多孔体の内面との間で吸水材を挟み込む突出部とから構成したことを特徴としている。
請求項4に係る考案は、請求項2に係る芳香剤容器において、保持手段を、無機質多孔体の中空部の内面に突出され、吸水材に形成された軸孔が嵌合可能な軸部と、この軸部に嵌含する抜止め具で構成したことを特徴としている。
【0009】
請求項5に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記無機質多孔体の底面部と底蓋とを嵌合する嵌合手段を設け、前記保持手段を、嵌合手段を構成する底蓋側の嵌合部と無機質多孔体側の嵌合部とから構成し、内外径が底蓋側の嵌合部及び無機質多孔体側の嵌合部と同径のリング状吸水材を両嵌合部で挟持すると共に、底蓋側の嵌合部を吸水材を介して無機質多孔体側の嵌合部に嵌着したことを特徴としている。
請求項6に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する筒部が形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項7に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する軸部が形成されていることを特徴としている。
請求項8に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部を無機質多孔体の中空部に設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項9に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触するように貯溜部に配置し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記吸水材が無機質多孔体の頂部内面と接触することを特徴としている。
請求項10に係る考案は、 請求項1?5及び9のいずれかに記載の芳香剤容器において、吸水材としてろ紙を使用したことを特徴としている。また、請求項11に係る考案は、 請求項1?10のいずれかに記載の芳香剤容器において、無機質多孔体を、半円球状に形成したことを特徴としている。」と訂正する。
訂正c
明細書の
「【0012】
【作用】上記請求項1記載の芳香剤容器においては、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触させることにより、芳香剤が吸水材から無機質多孔体に浸透し、無機質多孔体から徐々に芳香剤が環境中に放出される。このとき、液状芳香剤は、無機質多孔体に直接浸透しないで、吸水材を介して浸透するようになり、その消耗が少なくなり、従来に比べて液状芳香剤の補充も頻繁に行う必要がなくなる。また、底蓋は無機質多孔体の底面を覆っているので、芳香剤の補充時に万一、芳香剤が吸水材からこぼれても底蓋で床面等に拡散するのを防止することができる。
【0013】この吸水材は、ろ紙などを使用するため(請求項13)、これを保持するために、底蓋(請求項2)又は無機質多孔体(請求項4)に保持手段を設け、吸水材の離脱を防止する。この保持手段として、底蓋と無機質多孔体とで吸水材を挟み込む構成(請求項7,8)や、単に底蓋の突出部に載置する構成(請求項3)や、更に、無機質多孔体の保持筒あるいは軸部で保持する構成(請求項5,6)のいずれであってもよい。
【0014】また、吸水材の代わりに、またはこれと併用して、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設けた構成(請求項9,12)では、無機質多孔体の一部のみを貯溜部の液状芳香剤または吸水材に接触させているので、液状芳香剤の吸い上げは無機質多孔体の一部からのみ行われ、その拡散が徐々に行われることになり、従来に比べて、液状芳香剤を頻繁に補充する必要がなくなる。しかも、貯溜部は、必要に応じて底蓋又は無機質多孔体のいずれかに設ければよいので(請求項10,11)、設計時の応用性が高くなる。
【0015】更に、請求項14のように、無機質多孔体を半円球状に形成すれば見栄えもよく、また、無機質多孔体側に保持した吸水材に液状芳香剤を補充する場合でも、底面の開口面積が大きくなり、補充も容易に行うことができる。また、吸水材として汎用性のあるろ紙を使用すれば、入手しやすくその取替えも容易に行うことができる。」を
「【0012】
【作用】
上記の芳香剤容器においては、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触させることにより、芳香剤が吸水材から無機質多孔体に浸透し、無機質多孔体から徐々に芳香剤が環境中に放出される。このとき、液状芳香剤は、無機質多孔体に直接浸透しないで、吸水材を介して浸透するようになり、その消耗が少なくなり、従来に比べて液状芳香剤の補充も頻繁に行う必要がなくなる。また、底蓋は無機質多孔体の底面を覆っているので、芳香剤の補充時に万一、芳香剤が吸水材からこぼれても底蓋で床面等に拡散するのを防止することができる。
【0013】
この吸水材は、ろ紙などを使用するため、これを保持するために、底蓋又は無機質多孔体に保持手段を設け、吸水材の離脱を防止する。この保持手段として、底蓋と無機質多孔体とで吸水材を挟み込む構成や、無機質多孔体の保持筒あるいは軸部で保持する構成のいずれであってもよい。
【0014】
また、吸水材の代わりに、またはこれと併用して、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設けた構成では、無機質多孔体の一部のみを貯溜部の液状芳香剤または吸水材に接触させているので、液状芳香剤の吸い上げは無機質多孔体の一部からのみ行われ、その拡散が徐々に行われることになり、従来に比べて、液状芳香剤を頻繁に補充する必要がなくなる。しかも、貯溜部は、必要に応じて底蓋又は無機質多孔体のいずれかに設ければよいので、設計時の応用性が高くなる。
【0015】
更に、無機質多孔体を半円球状に形成すれば見栄えもよく、また、無機質多孔体側に保持した吸水材に液状芳香剤を補充する場合でも、底面の開口面積が大きくなり、補充も容易に行うことができる。また、吸水材として汎用性のあるろ紙を使用すれば、入手しやすくその取替えも容易に行うことができる。」と訂正する。
訂正d
明細書の
「【0047】
【考案の効果】以上詳述したところから明らかな通り、請求項1記載の考案に係る芳香剤容器によると、液状芳香剤を無機質多孔体に直接浸透させないで、吸水材を介して浸透するようにさせているので、従来に比べて液状芳香剤の補充も頻繁に行う必要がなくなる。また、保持手段により吸水材を保持しているので、吸水材と無機質多孔体との接触状態をいつまでも良好に保つことができ、さらに、底蓋により、液状芳香剤が床面等にこぼれるのを防止することができる。
【0048】このとき、吸水材の保持手段を、請求項2,4のように底蓋側又は無機質多孔体側に設ける構成や、請求項7のように無機質多孔体と底蓋とで挟み込む構成を採用でき、具体的には、請求項3のように底蓋側の突出部に単に載置する構成や、請求項5,6のように無機質多孔体側の保持筒又は軸部で保持する構成や、更に請求項8のように無機質多孔体及び底蓋の嵌合部で挟み込む構成など、様々な構成を採用でき、容器設計時の応用性が高くなる。
【0049】また、請求項9,12によると、吸水材の代わりに、またはこれと併用して、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設け、無機質多孔体の一部のみを貯溜部の液状芳香剤または吸水材に接触させているので、液状芳香剤の吸い上げは無機質多孔体の一部からのみ行われ、その拡散が徐々に行われ、従来に比べて、液状芳香剤を頻繁に補充する必要がなくなる。このとき、上記と同様に、請求項10,11のように、貯溜部を必要に応じて底蓋又は無機質多孔体のいずれかに設ければよいので、設計時の応用性が高くなる。
【0050】更に、上記いずれの芳香剤容器においても、請求項13のように、吸水材としてろ紙を使用すれば、ろ紙の汎用性からその入手も比較的容易に行え、吸水材の取替えも容易に行える。また、請求項14のように、無機質多孔体を半球状に形成すれば見栄えもよく、また、無機質多孔体側に保持した吸水材に液状芳香剤を補充する場合でも、底面の開口面積が大きくなり、補充も容易に行うことができる。」を
「【0047】
【考案の効果】
以上詳述したところから明らかな通り、この考案に係る芳香剤容器によると、液状芳香剤を無機質多孔体に直接浸透させないで、吸水材を介して浸透するようにさせているので、従来に比べて液状芳香剤の補充も頻繁に行う必要がなくなる。また、保持手段により吸水材を保持しているので、吸水材と無機質多孔体との接触状態をいつまでも良好に保つことができ、さらに、底蓋により、液状芳香剤が床面等にこぼれるのを防止することができる。
【0048】
このとき、吸水材の保持手段を、底蓋側又は無機質多孔体側に設ける構成や、無機質多孔体と底蓋とで挟み込む構成を採用でき、具体的には、無機質多孔体側の保持筒又は軸部で保持する構成や、更に無機質多孔体及び底蓋の嵌合部で挟み込む構成など、様々な構成を採用でき、容器設計時の応用性が高くなる。
【0049】
また、吸水材の代わりに、またはこれと併用して、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設け、無機質多孔体の一部のみを貯溜部の液状芳香剤または吸水材に接触させているので、液状芳香剤の吸い上げは無機質多孔体の一部からのみ行われ、その拡散が徐々に行われ、従来に比べて、液状芳香剤を頻繁に補充する必要がなくなる。このとき、上記と同様に、貯溜部を必要に応じて底蓋又は無機質多孔体のいずれかに設ければよいので、設計時の応用性が高くなる。
【0050】更に、上記いずれの芳香剤容器においても、吸水材としてろ紙を使用すれば、ろ紙の汎用性からその入手も比較的容易に行え、吸水材の取替えも容易に行える。また、無機質多孔体を半球状に形成すれば見栄えもよく、また、無機質多孔体側に保持した吸水材に液状芳香剤を補充する場合でも、底面の開口面積が大きくなり、補充も容易に行うことができる。」と訂正する。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正aのうち、訂正後の請求項1に関するものは、訂正前の請求項1における「保持手段」を、訂正前の請求項3に記載の「底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、上面に吸水材を載置可能に形成された突出部」と同7に記載の「この突出部との間で前記吸水材を挟持するように中空部の内面に無機質多孔体と一体形成された無機質多孔性の挟持部とから構成した」ものに限定し、さらに、上記「中空部の内面」について、図面の図1の記載(図1記載の芳香剤容器においては、無機質多孔体の挟持部が、無機質多孔体の中空部の内面の中でも、底蓋に形成された突出部と対向する位置に形成されている。)に基づいて、「中空部の内面の前記突出部と対向する位置」に限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正aのうち、訂正後の請求項2に関するものは、請求項1が訂正されたことに伴い、これを引用する訂正前の請求項4を、実質的に訂正することなく単に、独立形式として、項番を繰り上げたものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正aのうち、訂正後の請求項3に関するものは、請求項1が訂正されたことに伴い、これを引用する訂正前の請求項5を、独立形式として、項番を繰り上げ、さらに、その「保持手段」を、図7の記載及び明細書の段落番号【0030】の「図7は吸水材6が無機質多孔体4の保持筒20に保持されるとともに、底蓋5の断面ハット状の突出部11の上面と無機質多孔体4の中空部3の内面とで挟み込まれた例を示すものである。」なる記載に基づいて、訂正前の請求項5に記載された保持筒と、「底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、無機質多孔体の内面との間で吸水材を挟み込む突出部」とから構成したものに限定するものであるから、明りようでない記載の釈明及び実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正aのうち、訂正後の請求項4に関するものは、訂正前の請求項4が請求項2に訂正されたことに伴い、訂正前の請求項4を引用する訂正前の請求項6を、請求項2を引用する形式として、項番を繰り上げ、さらに、その「保持手段」を、図4の記載及び明細書の段落番号【0027】の「図4は吸水材6の保持手段7を、無機質多孔体2の頂部から中空部側に突出した軸部16と、これに嵌合する軸孔17を有し無機質多孔体2の内面に接触する円盤状又は十字型の吸水材4の抜止め具18とから構成された例を示すものである。」なる記載に基づいて、訂正前の請求項6に記載された軸部と、「この軸部に嵌合する抜止め具」で構成したものに限定するものであるから、明りようでない記載の釈明及び実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正aのうち、訂正後の請求項5に関するものは、請求項1が訂正されたことに伴い、これを引用する訂正前の請求項8を、実質的に訂正することなく単に、独立形式として、項番を繰り上げたものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正aのうち、訂正後の請求項6に関するものは、請求項1?8が訂正されたことに伴い、請求項9の項番を繰り上げ、加えて、明細書の段落番号【0034】の「底蓋側に貯溜部21が設けられた」なる記載及び「無機質多孔体2の頂部内面に貯溜部21側へ突出して液状芳香剤Aと接触する筒部29が形成されている。」なる記載並びに図面の図10の記載に基づいて、訂正前の請求項9における「貯留部」及び「無機質多孔体」を「前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する筒部が形成されている」ものに限定するものであるから、明りようでない記載の釈明及び実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正aのうち、訂正後の請求項7に関するものは、請求項1?8が訂正されたことに伴い、請求項9の項番を繰り上げ、加えて、明細書の段落番号【0038】の「底蓋5側に貯溜部21を設け」なる記載及び「軸部34は、貯留部21の液状芳香剤Aに接触する」なる記載並びに図面の図12、13の記載に基づいて、訂正前の請求項9における「貯留部」及び「無機質多孔体」を「前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する軸部が形成されている」ものに限定するものであるから、明りようでない記載の釈明及び実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正aのうち、訂正後の請求項8に関するものは、請求項9が訂正されたことに伴い、これを引用する訂正前の請求項11を、実質的に訂正することなく単に、独立形式として、項番を繰り上げたものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正aのうち、訂正後の請求項9に関するものは、請求項1?8が訂正されたことに伴い、請求項12の項番を繰り上げ、加えて、明細書の段落番号【0045】の「貯溜部21に載置された小容器35の上端開口36に棒状の吸水材6が嵌合され、その上端が無機質多孔体4の中空部3の内面に当接され」なる記載及び図面の図19の記載等に基づいて、訂正前の請求項12における「吸水材」を「前記吸水材が無機質多孔体の頂部内面と接触する」ものに限定するものであるから、明りようでない記載の釈明及び実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正aのうち、訂正後の請求項10に関するものは、請求項1?8及び12が訂正されたことに伴い、これらを引用する訂正前の請求項13の項番を繰り上げ、引用する請求項の項番を、訂正前の請求項1?8及び12から、上記のようにこれらを減縮等して訂正した訂正後の請求項1?5及び9としたものであるから、明りようでない記載の釈明及び実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正aのうち、訂正後の請求項11に関するものは、請求項1?13が訂正されたことに伴い、これらを引用する訂正前の請求項14の項番を繰り上げ、引用する請求項の項番を、訂正前の請求項1?13から、上記のようにこれらを減縮等して訂正した訂正後の請求項1?10としたものであるから、明りようでない記載の釈明及び実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
そして、上記訂正aは、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正b?dは、いずれも、実用新案登録請求の範囲の記載内容に考案の詳細な説明の記載を整合させるものといえるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
ウ.独立実用新案登録要件
上記訂正により訂正された請求項1?11に係る考案は、後記する内容から明らかなように、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年法附則第9条第2項において準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法改正前の特許法第126条第1項ただし書?第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
[III]実用新案登録異議の申立てについて
ア.本件考案
本件考案は、訂正した明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された、以下のとおりのものである。
【請求項1】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、上面に吸水材を載置可能に形成された突出部と、この突出部との間で吸水材を挟持するように中空部の内面の前記突出部と対向する位置に前記無機質多孔体と一体形成された無機質多孔性の挟持部とから構成したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項2】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体に設けたことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項3】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体の中空部の内面に形成され、内部に吸水材を嵌着可能な保持筒と、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、無機質多孔体の内面との間で吸水材を挟み込む突出部とから構成したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項4】前記保持手段を、無機質多孔体の中空部の内面に突出され、吸水材に形成された軸孔が嵌合可能な軸部と、この軸部に嵌含する抜止め具で構成したことを特徴とする請求項2記載の芳香剤容器。
【請求項5】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記無機質多孔体の底面部と底蓋とを嵌合する嵌合手段を設け、前記保持手段を、嵌合手段を構成する底蓋側の筋合部と無機質多孔体側の嵌合部とから構成し、内外径が城蓋側の嵌合部及び無機質多孔体側の接合部と同径のリング状吸水材を両嵌合部で挟持すると共に、底蓋側の嵌合部を吸水材を介して無機質多孔体側の嵌合部に嵌着したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項6】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する筒部が形成されていることを特徴とする芳香剤容器。
【請求項7】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する軸部が形成されていることを特徴とする芳香剤容器。
【請求項8】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部を無機質多孔体の中空部に設けたことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項9】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触するように貯溜部に配置し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記吸水材が無機質多孔体の頂部内面と接触することを特徴とする芳香剤容器。
【請求項10】 前記吸水材としてろ紙を使用したことを特徴とする請求項1ないし請求項5及び請求項9のいずれか一に記載の芳香剤容器。
【請求項11】 前記無機質多孔体を、半円球状に形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一に記載の芳香剤容器。
イ.申立ての理由の概要
これに対し、実用新案登録異議申立人エステー化学株式会社は、証拠として
甲第1号証:特願平5-23264号の願書に最初に添付した明細書又は図面(特開平6-209988号公報参照)
を提示し、本件請求項1、2,3,7,9,10,12,13に係る考案は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、甲第1号証の出願に係る発明の発明者は本件考案の考案者と同一の者ではなく、本件実用新案登録出願の時に本件出願人と甲第1号証の出願の出願人とが同一の者であるものでもないので、実用新案法第3条の2の規定により、実用新案登録を受けることができないものである旨主張している。
ウ.判断
そこで、この実用新案登録異議申立人の主張について、以下検討する。
まず、請求項1に係る考案に対する主張について検討する。
甲第1号証の図面の図7,8(B)、9,10には、その明細書の【0030】の「素焼き」についての記載及び【0028】の「多孔質」についての記載を参酌すると、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器が記載されているといえる。
ここで、本件請求項1に係る考案(以下、本件第1考案という。)と甲第1号証記載の上記芳香剤容器とを対比すると、本件第1考案は、甲第1号証記載のものにおいて、さらに、上記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、上面に吸水材を載置可能に形成された突出部と、この突出部との間で吸水材を挟持するように中空部の内面の前記突出部と対向する位置に前記無機質多孔体と一体形成された無機質多孔性の挟持部とから構成したことを特徴とするものである。
一方、甲第1号証記載のものは、その図面の上記各図から明らかなように、無機質多孔体が吸水材を挟持する部分は、無機質多孔体の周壁の下端のいわば下面というべき部分であり、しかも、底蓋に形成された突出部からは最も遠い位置において吸水材を挟持するものである。
してみれば、甲第1号証記載の上記芳香剤容器は、無機質多孔体の中空部の内面の、しかも、底蓋に形成された突出部と対向する位置に無機質多孔性の挟持部を設けた本件第1考案と、吸水材の保持手段において、明らかに異なるものである。
したがって、本件第1考案は、甲第1号証に記載された発明と同一ではない。
また、本件請求項2,3及び7は、上記訂正により、内容的に相当する請求項が存在しないこととなった。
してみれば、本件請求項2,3及び7は、上記訂正により削除されたものといえるので、これらの請求項に係る考案に対する主張には、採用の余地がない。
次に、請求項9及び10に係る考案に対する主張について検討する。
請求項9及び10は、その内容からみて、上記訂正により、請求項6及び7となったものといえるので、請求項6及び7に係る考案と甲第1号証記載のものとを対比する。
甲第1号証の図面の図7,8(B)、9,10には、その明細書の【0030】の「素焼き」についての記載、【0028】の「多孔質」についての記載、及び、【0037】の吸収体を用いないときに関する記載を参酌すると、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用したことを特徴とする芳香剤容器が記載されているといえる。
ここで、本件請求項6に係る考案(以下、本件第2考案という。)と甲第1号証記載の上記芳香剤容器とを対比すると、本件第2考案は、甲第1号証記載のものにおいて、さらに、上記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する筒部が形成されていることを特徴とするものである。
一方、甲第1号証記載のものは、その図面の上記各図から明らかなように、無機質多孔体が液状芳香剤に接触する部分は、無機質多孔体の周壁の下端である。
してみれば、甲第1号証記載の上記芳香剤容器は、無機質多孔体が液状芳香剤に接触するところの構造において、本件第2考案とは明らかに異なるものである。
したがって、本件第2考案は、甲第1号証に記載された発明と同一ではない。
また、本件請求項7に係る考案は、本件第2考案における筒部が軸部に変わっただけのものであって、本件第2考案と同様の特徴を有する考案といえるから、本件第2考案についての判断と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明と同一ではない。
次に、請求項12に係る考案に対する主張について検討する。
請求項12は、その内容からみて、上記訂正により、請求項9となったものといえるので、請求項9に係る考案と甲第1号証記載のものとを対比する。
甲第1号証には、上述のように、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器、又は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用したことを特徴とする芳香剤容器が記載されているといえる。
しかしながら、甲第1号証には、吸水材と貯留部の両方をともに備える芳香剤容器は記載されていない。
一方、本件請求項9に係る考案(以下、本件第3考案という。)は、吸水材と貯留部の両方をともに備える芳香剤容器であり、さらに、上記吸水材が無機質多孔体の頂部内面と接触することを特徴とするものである。
してみれば、甲第1号証記載の上記2つの芳香剤容器は、いずれも、貯留部に配置された吸水材が無機質多孔体の頂部内面と接触するという構造を欠く点で、本件第3考案とは明らかに異なるものである。
したがって、本件第3考案は、甲第1号証に記載された発明と同一ではない。
最後に、請求項13に係る考案に対する主張について検討する。
請求項13は、その内容からみて、上記訂正により、請求項10となったものといえるので、請求項10に係る考案について検討する。
請求項10に係る考案は、請求項1?5又は9に係る考案における吸水材をろ紙に限定するものである。
ここで、請求項10が引用する請求項のうち、請求項2?5は、その内容からみて、上記訂正前の請求項4?6、8に相当するか又はさらに減縮したものに相当するが、訂正前の請求項4?6、8は、異議申立ての対象となっておらず、これらの請求項に係る各考案が甲第1号証に記載された発明と同一であるといえるような記載は甲第1号証中に見いだせない。また、請求項1及び9に係る各考案が甲第1号証に記載された発明と同一でないことは先に述べたとおりである。
したがって、請求項1?5又は9に係る考案をさらに限定した請求項10に係る考案も、同様に甲第1号証に記載された発明と同一ではない。
よって、本件異議申立てに係る本件請求項1,6,7,9,10に係る各考案は、甲第1号証に記載された発明と同一であるとはいえないので、実用新案法第3条の2の規定により実用新案登録を受けることができないものとはいえない。
[IV]むすび
以上のとおり、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1,6,7,9,10に係る実用新案登録を取り消すことができない。
また、請求項1,6,7,9,10に係る実用新案登録について、他に取消理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
芳香剤容器
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、上面に吸水材を載置可能に形成された突出部と、この突出部との間で吸水材を挟持するように前記中空部の内面の前記突出部と対向する位置に前記無機多孔体と一体形成された無機質多孔性の挟持部とから構成したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項2】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体に設けたことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項3】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体の中空部の内面に形成され、内部に吸水材を嵌着可能な保持筒と、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、無機質多孔体の内面との間で吸水材を挟み込む突出部とから構成したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項4】 前記保持手段を、無機質多孔体の中空部の内面に突出され、吸水材に形成された軸孔が嵌合可能な軸部と、この軸部に嵌合する抜止め具とで構成したことを特徴とする請求項2記載の芳香剤容器。
【請求項5】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と 液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記無機質多孔体の底面部と底蓋とを嵌合する嵌合手段を設け、前記保持手段を、嵌合手段を構成する底蓋側の嵌合部と無機質多孔体側の嵌合部とから構成し、内外径が底蓋側の嵌合部及び無機質多孔体側の嵌合部と同径のリング状吸水材を両嵌合部で挟持すると共に、底蓋側の嵌合部を吸水材を介して無機質多孔体側の嵌合部に嵌着したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項6】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する箇部が形成されていることを特徴とする芳香剤容器。
【請求項7】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え 無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香口容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する軸部が形成されていることを特徴とする芳香剤容器。
【請求項8】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部を無機質多孔体の中空部に設けたことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項9】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触するように貯溜部に配置し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記吸水材が無機質多孔体の頂部内面と接触することを特徴とする芳香剤容器。
【請求項10】 前記吸水材としてろ紙を使用したことを特徴とする請求項1ないし5及び請求項9のいずれか一に記載の芳香剤容器。
【請求項11】 前記無機質多孔体を、半円球状に形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一に記載の芳香剤容器。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、素焼き等の無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような芳香剤容器としては、実開昭59-85232号公報に記載されるように、無機質多孔体からなる容器本体の上端部に液状芳香剤を補充するための開口を有し、この開口から容器本体内に揮発性の液状芳香剤を補充し、開口を栓で封鎖して、本体の一部分にうわ薬を塗ることなく素焼きのままにし、この部分を揮発性液状芳香剤の浸透部とし、この部分から液状芳香剤を徐々に浸み出させ、大気に触れさせて揮発させ、その環境に芳香を放つようにしたものが知られている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、上記公報記載の容器は、徳利状の容器本体内に液状芳香剤を入れるので、液状芳香剤と容器本体との接触面積が大きく、特に本体の下部を浸透部としているので、液状芳香剤の浸み出す量が多くなる。また、容器本体の上端部を補充用開口とし、この部分をコルク等で栓をしているので、液状芳香剤の揮発量も多くなり、液状芳香剤の補充を頻繁に行わなければならないという難点があった。
【0004】
また、液状芳香剤の補充は、小径の開口から行うため、液状芳香剤の補充が容易ではなく、補充時にこぼれたりすると、余剰量の芳香剤が揮発されることになり、かえって刺激臭となる場合があった。
【0005】
そこで、この考案の目的とするところは、芳香剤の補充を頻繁に行う必要のない芳香剤容器を提供するところにある。また、別の目的とするところは、芳香剤の補充を容易に行うことができる芳香剤容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、この考案の請求項1に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、上面に吸水材を載置可能に形成された突出部と、この突出部との間で吸水材を挟持するように前記中空部の内面の前記中出部と対向する位置に前記無機質多孔体と一体形成された無機質多孔性の挟持部とから構成したことを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備えこの吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体に設けたことを特徴としている。
【0008】
請求項3に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備えこの吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体の中空部の内面に形成され、内部に吸水材を嵌着可能な保持筒と、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、無機質多孔体の内面との間で吸水材を挟み込む突出部とから構成したことを特徴としている。
請求項4に係る考案は、請求項2に係る芳香剤容器において、保持手段を、無機質多孔体の中空部の内面に突出され、吸水材に形成された軸孔が嵌合可能な軸部と、この軸部に嵌合する抜止め具とで構成したことを特徴としている。
【0009】
請求項5に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備えこの吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記無機質多孔体の底面部と底蓋とを嵌合する嵌合手段を設け、前記保持手段を、嵌合手段を構成する底蓋側の嵌合部と無機質多孔体側の嵌合部とから構成し、内外径が底蓋側の嵌合部及び無機質多孔体側の嵌合部と同径のリング状吸水材を両嵌合部で挟持すると共に、底蓋側の嵌合部を吸水材を介して無機質多孔体側の嵌合部に嵌着したことを特徴としている。
請求項6に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する筒部が形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項7に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する軸部が形成されていることを特徴としている。
請求項8に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部を無機質多孔体の中空部に設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項9に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触するように貯溜部に配置し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記吸水材が無機質多孔体の頂部内面と接触することを特徴としている。
請求項10に係る考案は、請求項1?5及び請求項9のいずれかに記載の芳香剤容器において、吸水材としてろ紙を使用したことを特徴としている。また、請求項11に係る考案は、請求項1?10のいずれかに記載の芳香剤容器において、無機質多孔体を、半円球状に形成したことを特徴としている。
【0012】
【作用】
上記の芳香剤容器においては、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触させることにより、芳香剤が吸水材から無機質多孔体に浸透し、無機質多孔体から徐々に芳香剤が環境中に放出される。このとき、液状芳香剤は、無機質多孔体に直接浸透しないで、吸水材を介して浸透するようになり、その消耗が少なくなり、従来に比べて液状芳香剤の補充も頻繁に行う必要がなくなる。また、底蓋は無機質多孔体の底面を覆っているので、芳香剤の補充時に万一、芳香剤が吸水材からこぼれても底蓋で床面等に拡散するのを防止することができる。
【0013】
この吸水材は、ろ紙などを使用するため、これを保持するために、底蓋又は無機質多孔体に保持手段を設け、吸水材の離脱を防止する。この保持手段として、底蓋と無機質多孔体とで吸水材を挟み込む構成や、無機質多孔体の保持筒あるいは軸部で保持する構成のいずれであってもよい。
【0014】
また、吸水材の代わりに、またはこれと併用して、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設けた構成では、無機質多孔体の一部のみを貯溜部の液状芳香剤または吸水材に接触させているので、液状芳香剤の吸い上げは無機質多孔体の一部からのみ行われ、その拡散が徐々に行われることになり、従来に比べて、液状芳香剤を頻繁に補充する必要がなくなる。しかも、貯溜部は、必要に応じて底蓋又は無機質多孔体のいずれかに設ければよいので、設計時の応用性が高くなる。
【0015】
更に、無機質多孔体を半円球状に形成すれば見栄えもよく、また、無機質多孔体側に保持した吸水材に液状芳香剤を補充する場合でも、底面の開口面積が大きくなり、補充も容易に行うことができる。また、吸水材として汎用性のあるろ紙を使用すれば、入手しやすくその取替えも容易に行うことができる。
【0016】
【実施例】
以下、この考案に係る芳香剤容器の実施例を添附図面に基いて説明する。図1は、この考案に係る芳香剤容器の実施例を示す断面図であり、図示の如く、芳香剤容器1は、底面2が開放しこれに連通する中空部3を有する無機質多孔体4と、この無機質多孔体4の底面2を覆う底蓋5と、液状芳香剤を含浸する吸水材6と、この吸水材6の保持手段7とを備えている。
【0017】
無機質多孔体4は、セラミックや陶磁器等からなる素焼物であり、その外表面に必要に応じてうわ薬を塗布し、その塗布部分において芳香剤の揮発を防止し、手で触れてもべとっかないようにし、さらに、一部の素焼き部分で、芳香剤の拡散を行うように構成されている。この無機質多孔体4は、半球状に形成されているが、要するに底面2が開放した形状であればよく、人形形状、自然物形状などであってもよい。
【0018】
底蓋5は、吸水材6を含浸する液状芳香剤が容器設置面(床面等)に垂れるのを防止するために、外周部に外壁5aを有する皿状に形成されたものであり、液状芳香剤が浸透しないよう、塩化ビニルやポリプロピレン等の合成樹脂製の成型品から構成されている。
【0019】
この底蓋5に無機質多孔体4の底面部を嵌合するための嵌合手段8は、底蓋5の外周部に立設された最合部9としての可擁性の外壁5aと、無機質多孔体4の下端部に形成された嵌合部10とから構成されている。そして、底蓋5と無機質
多孔体4とは、底蓋5側の嵌合部9の一部に突出された突片(図示せず)と無機質多孔体4側の嵌合部10との堅嵌めにより一体化される。
【0020】
吸水材6は、ろ紙またはポリエステル繊維等の吸水性素材を結束又は編組したもの等から円盤状に形成されており、この吸水材6に液状芳香剤を含浸させて無機質多孔体4に接触するように配置されている。
【0021】
そして、吸水材6の保持手段7は、底蓋3の中央部が上方へ突出されて断面ハット状に形成された突出部11と、無機質多孔体4の頂部中央内面から中空部側へ突出し無機質多孔体4と一体形成された無機質多孔性の挟持部13とから構成されており、無機質多孔体4の底蓋5への嵌合時に、挟持部13と突出部11との間隙は吸水材6の厚みよりもやや小さく設定され、突出部11と挟持部13とで吸水材6を挟み込み可能とされている。
【0022】
上記構成においては、底蓋5の突出部11の上面12に吸水材6を載せた後液状芳香剤を注ぐか、あるいは予め液状芳香剤を含浸させた吸水材6を突出部11の上面12に載せた後、半球状の無機質多孔体4を被せ、両嵌合部9,10を互に嵌合して、無機質多孔体4の挟持部13と底蓋5の突出部11とで吸水材6を挟持する。そうすると、吸水材6に含浸していた液状芳香剤が、無機質多孔体2に浸透作用により、徐々に吸い上げられ外面で大気に触れ、揮発して芳香を放つようになる。
【0023】
この場合、液状芳香剤は、無機質多孔体4に直接浸透しないで、吸水材6を介して浸透することになり、また、芳香剤は無機質多孔体4の一部である挟持部13からのみ、無機質多孔体4に浸透するので、芳香剤の消耗も徐々に行われ、従来に比べて液状芳香剤の補充も頻繁に行う必要がなくなる。また、底蓋5は、皿状をしているため、芳香剤の補充時に、その一部がこぼれても底蓋5で受けることができる。
【0024】
なお、無機質多孔体4を半球状に形成しており、底蓋5と無機質多孔体4とのの嵌合部9,10は、突片等により堅嵌めしているだけであるので、簡単に取外すことができ、そのため、容器内への液状芳香剤の補充も無機質多孔体4を取外して簡単に行うことができる。また、吸水材6として汎用性のあるろ紙を使用すれば、入手しやすくその取替えも容易に行うことができる。また、図1のように、無機質多孔体4と底蓋5とで吸水材6を挟持する構成以外に、単に突出部11の上面12に、吸水材6を載せる構成であってもよい。
【0025】
図2及び図3は夫々図1と同様に吸水材6を無機質多孔体と底蓋とにより挟持するタイプの例を示し、このうち、図2は吸水材6の保持手段7としての突出部9の形状を図1の断面ハット状に代えて筒状とした例を示すものである。また、図3は、吸水材6の保持手段7が、底蓋5の円錐状の突出部11と、無機質多孔体2の中空部3の内壁挟持部13とから構成された例を示し、この場合、十字型の吸水材6を無機質多孔体4の中空部3の内壁に密着させ、吸水材6(ろ紙)の中心部に液状芳香剤を注ぎ、底蓋5を被せて、使用することになる。また、底蓋5の可携性嵌合部9は無機質多孔体4の嵌合部よりも小径に形成されている。
【0026】
上記図2及び図3のいずれの実施例の場合においても、吸水材6を使用しており、また、吸水材6は、無機質多孔体4の一部のみと接触しているので、芳香剤は徐々に無機質多孔体4に吸い上げられ、極めて長期にわたり芳香を放つことになる。なお、図2,3のいずれの例においても、吸水材6としてろ紙を使用している点、及び無機質多孔体4を、半円球状に形成した点は図1に示す実施例と同様であり、以下の例においても同様である。
【0027】
図4ないし図6は、夫々吸水材6が無機質多孔体4側に保持された例を示すものであり、図4は吸水材6の保持手段7を、無機質多孔体2の頂部から中空部側に突出した軸部16と、これに嵌合する軸孔17を有し無機質多孔体2の内面に接触する円盤状又は十字型の吸水材4の抜止め具18とから構成された例を示すものである。
【0028】
図5は無機質多孔体4の半球状の中空部3の内面の下部に設けた内面突起19に円盤状の吸水材6の外周部が載置保持された例を示す。また、図6は無機質多孔体4の頂部内面に形成された吸水材保持筒20に、吸水材6が保持された例を示す。
【0029】
図4ないし図6のいずれの実施例においても、吸水材6は無機質多孔体4の一部とのみ接触しているので、芳香剤は徐々に無機質多孔体4に浸透し、芳香剤は極めて長期にわたり芳香を放つことになる。
【0030】
図7は吸水材6が無機質多孔体4の保持筒20に保持されるとともに、底蓋5の断面ハット状の突出部11の上面と無機質多孔体4の中空部3の内面とで挟み込まれた例を示すものである。この場合、吸水材6は突出部11と無機質多孔体4との間に挟み込まれるとともに、保持筒20により、横方向のずれを防止できるので、容器1が転倒した場合でも、挟持部からずれることがなくなる。
【0031】
図8ないし図13は液状芳香剤を貯溜する貯溜部21が設けられた例を示す。これらの図のうち、図8は無機質多孔体4側に貯溜部21が設けられた例を、図9から図13は底蓋5側に貯溜部21が設けられた例を夫々示すものである。
【0032】
図8の例では、無機質多孔体4は、下面中央部に芳香剤の補充用開口23を有する有底24の半球状に形成されるとともに、底部24と中央部の開口壁25とにより、内部に貯溜部21が形成され、底蓋5には、その中央部に補充用開口23を閉塞する栓部27が一体的に形成されている。そして、無機質多孔体4と底蓋5との嵌合手段8は、無機質多孔体4側の開口23と、これに嵌合する底蓋5側の栓部27とから構成されている。
【0033】
この図8の例では、貯溜部21において、液状芳香剤Aと接触する無機質多孔体4は、底部24とその外周壁の一部のみであるので、芳香剤の浸透はこの部分からのみ行われ、その芳香剤の消耗も少なく、頻繁な芳香剤の補充を行わなくても済む。なお、液状芳香剤は、無機質多孔体4を逆さにして、開口23から補充し、底蓋5により栓をした後、元の状態にすることにより、補充が完了する。この場合、補充液を入れ過ぎても底蓋5の栓部27で開口23を閉じているので、開口23から液状芳香剤Aが漏れ出すことがない。また、底部24を中央部が上方へ傾斜したテーパー状にすれば、液状芳香剤Aの補充時に、芳香剤がこぼれないようにすることができる。
【0034】
図9は底蓋側に貯溜部21が設けられた例を示す正面図、図10は同じくその一部を切欠いた正面図である。この例では、底蓋5の中央部に断面ハット状の突出部11が形成され、その上面12に円筒状の液状芳香剤貯溜部21が形成されている。また、無機質多孔体2の頂部内面に貯溜部21側へ突出して液状芳香剤Aと接触する筒部29が形成されている。更に、この例の無機質多孔体4の外表面には、図9の如く、浮き彫り模様Bが形成されている。この浮き彫り模様Bは、この実施例以外に他の実施例においては図示していないが、同様に形成できることは勿論である。
【0035】
この例においては、底蓋5の突出部11上の貯溜部21に液状芳香剤を注ぎ、次に無機質多孔体4を被せて芳香剤容器1を完成する。そうすると、無機質多孔体4の筒部29のみが液状芳香剤Aに接触しており、芳香剤は徐々に無機質多孔体4に浸透していくことになる。
【0036】
図11は底蓋5に貯溜部21が設けられた例を示しており、この例では、図1と同様に、無機質多孔体4の底面部と底蓋5とを嵌合する嵌合手段8が設けられており、底蓋5は、その中央部が外周部よりもやや中空部側へ突出するように湾曲されており、この湾曲部31により底蓋5の外周部側に液状芳香剤Aが貯溜する貯溜部21が形成されるように構成されている。
【0037】
従って、液状芳香剤の貯溜量は僅かであるが、液状芳香剤は、無機質多孔体4の外周縁部から徐々に浸透していくことになり、僅かな貯溜量で十分芳香作用が可能となる。
【0038】
図12及び図13は夫々底蓋5側に貯溜部21を設けた例を示すが、いずれの場合も、貯溜部21は、底蓋5が偏平な容器状に形成され、その内部に貯溜部21が形成され、中央上部に芳香剤の補充と無機質多孔体4の軸部34の侵入を許容する開口33が形成されている。この場合、軸部34は、貯溜部21の液状芳香剤Aに接触するように長く形成されている。
【0039】
ここで、図12と図13の相違点は、図12では底蓋5の外径が無機質多孔体4とほぼ同径に形成され、底蓋5の上側に無機質多孔体4が載置された形になっているのに対し、図13は底蓋5の外径が無機質多孔体4の内径よりも小に形成され、底蓋5が無機質多孔体4により完全に隠れている例を示す。いずれの場合においても、無機質多孔体4と底蓋5との嵌合手段8は、無機質多孔体4の軸部34と底蓋5の補充用開口33とから構成され、軸部34を底蓋側の開口33に堅嵌めすることが望ましい。
【0040】
図14ないし図19は貯溜部21に吸水材6を設けた例を示し、このうち図14は、図11に示すような底蓋5の外周部に貯溜部21が設けられるとともに、底蓋5と無機質多孔体4との嵌合手段8を構成する底蓋側の嵌合部9と無機質多孔体側の嵌合部10とから吸水材6の保持手段7が構成され、内外径が底蓋側の嵌合部9及び無機質多孔体側の嵌合部10と同径のリング状吸水材6が両嵌合部9,10で挟持されると共に、底蓋側の嵌合部9が吸水材6を介して無機質多孔体側の嵌合部10に嵌着されているものである。図14に示す構成では、貯溜部21の液状芳香剤Aがなくなっても吸水材6に芳香剤が含浸しているので、その間、芳香剤を補充する必要がない。
【0041】
図15は、底蓋5の中央部に断面ハット状の突出部11が形成され、その上面に筒状の貯溜部21が形成され、一方、無機質多孔体4の頂部に吸水材6を保持するための保持筒20が形成され、保持筒20に保持された吸水材6が貯溜部21の液状芳香剤Aに浸漬されている例を示している。
【0042】
また、図16は底蓋5の中央部に断面ハット状の突出部11が形成され、その上面に筒状の貯溜部21が形成され、一方、無機質多孔体4の頂部に軸部16が形成され、この軸部16に円盤状の吸水材6の軸孔17が嵌合されると共に、吸水材6が貯溜部21の液状芳香剤Aに浸漬された例を示す。
【0043】
また、図17は底蓋5の中央部に断面ハット状の突出部11が形成され、その上面に筒状の貯溜部21が形成され、一方無機質多孔体4の頂部に中空部3側へ突出する挟持部13が形成され、この挟持部13と突出部11の上面との間で吸水材6を挟持するように構成された例を示している。
【0044】
図18は底蓋5の中央部に筒状の突出部11が形成され、その上面に貯溜部21が形成され、この貯溜部21に載置された棒状または筒状の吸水材6が無機質多孔体4の中空部3の内面に当接された例を示す。
【0045】
図19は底蓋5の中央部に液状芳香剤のガラス製小容器35を保持する筒状の貯溜部21が形成され、この貯溜部21に載置された小容器35の上端開口36に棒状の吸水材6が嵌合され、その上端が無機質多孔体4の中空部3の内面に当接された例を示す。
【0046】
上記図15ないし図19のいずれの例においても、貯溜部21の液状芳香剤Aがなくなっても吸水材6に芳香剤が含浸しているので、その間、芳香剤を補充する必要がなく、吸水材6は無機質多孔体4の一部にのみ接触しているので、芳香剤の拡散も徐々に行われる。
【0047】
【考案の効果】
以上詳述したところがら明らかな通り、この考案に係る芳香剤容器によると、液状芳香剤を無機質多孔体に直接浸透させないで、吸水材を介して浸透するようにさせているので、従来に比べて液状芳香剤の補充も頻繁に行う必要がなくなる。また、保持手段により吸水材を保持しているので、吸水材と無機質多孔体との接触状態をいつまでも良好に保つことができ、さらに、底蓋により、液状芳香剤が床面等にこぼれるのを防止することができる。
【0048】
このとき、吸水材の保持手段を、底蓋側又は無機質多孔体側に設ける構成や、無機質多孔体と底蓋とで挟み込む構成を採用でき、具体的には、無機質多孔体側の保持筒又は軸部で保持する構成や、更に無機質多孔体及び底蓋の嵌合部で挟み込む構成など、様々な構成を採用でき、容器設計時の応用性が高くなる。
【0049】
また、吸水材の代わりに、またはこれと併用して、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設け、無機質多孔体の一部のみを貯溜部の液状芳香剤または吸水材に接触させているので、液状芳香剤の吸い上げは無機質多孔体の一部からのみ行われ、その拡散が徐々に行われ、従来に比べて、液状芳香剤を頻繁に補充する必要がなくなる。このとき、上記と同様に、貯溜部を必要に応じて底蓋又は無機質多孔体のいずれかに設ければよいので、設計時の応用性が高くなる。
【0050】
更に、上記いずれの芳香剤容器においても、吸水材としてろ紙を使用すれば、ろ紙の汎用性からその入手も比較的容易に行え、吸水材の取替えも容易に行える。また、無機質多孔体を半球状に形成すれば見栄えもよく、また、無機質多孔体側に保持した吸水材に液状芳香剤を補充する場合でも、底面の開口面積が大きくなり、補充も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この考案の一実施例である芳香剤容器において底蓋と無機質多孔体で吸水材を挟持するタイプの断面図
【図2】
同じく挟持タイプの他の例を示す断面図
【図3】
同じく挟持タイプの更に他の例を示す断面図
【図4】
吸水材を無機質多孔体の軸部に保持する例を示す断面図
【図5】
吸水材を無機質多孔体の中空部に保持する例を示す断面図
【図6】
吸水材を無機質多孔体の保持筒に保持する例を示す断面図
【図7】
吸水材を無機質多孔体の保持筒に保持し、かつ無機質多孔体と底蓋とで挟持するタイプの例を示す断面図
【図8】
液状芳香剤の貯溜部を無機質多孔体側に設けた例を示す断面図
【図9】
液状芳香剤の貯溜部を底蓋側に設けた例を示す正面図
【図10】
同じくその一部切欠正面図
【図11】
液状芳香剤の貯溜部を底蓋側に設けた別の例を示す断面図
【図12】
液状芳香剤の貯溜部を容器状の底蓋に設けた例を示す断面図
【図13】
液状芳香剤の貯溜部を容器状の底蓋に設けた別の例を示す断面図
【図14】
液状芳香剤の貯溜部を底蓋側に設け、かつリング状の吸水材を底蓋と無機質多孔体との嵌合部に設けた例を示す断面図
【図15】
液状芳香剤の貯溜部を底蓋側に設け、かつ吸水材を無機質多孔体の保持筒で保持した例を示す断面図
【図16】
液状芳香剤の貯溜部を底蓋側に設け、かつ吸水材を無機質多孔体の軸部に保持した例を示す断面図
【図17】
液状芳香剤の貯溜部を底蓋側に設け、かつ吸水材を底蓋と無機質多孔体とで挟持した例を示す断面図
【図18】
液状芳香剤の貯溜部を底蓋側に設け、かつ筒状または棒状の吸水材を底蓋と無機質多孔体とで挟持した別の例を示す断面図
【図19】
液状芳香剤の貯溜部を容器状の底蓋に設け、かつ棒状の吸水材を無機質多孔体に接触させた例を示す断面図
【符号の説明】
1 芳香剤容器
2 底面
3 中空部
4 無機質多孔体
5 底蓋
6 吸水材
7 保持手段
8 嵌合手段
9,10 嵌合部
11 突出部
13 挟持部
16 軸部
20 保持筒
21 貯溜部
訂正の要旨 実用新案登録請求の範囲の
「【請求項1】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項2】 前記保持手段を底蓋に設けたことを特徴とする請求項1記載の芳香剤容器。
【請求項3】 前記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、上面に吸水材を載置可能に形成された突出部から構成したことを特徴とする請求項2記載の芳香剤容器。
【請求項4】 前記保持手段を無機質多孔体に設けたことを特徴とする請求項1記載の芳香剤容器。
【請求項5】 前記保持手段を、無機質多孔体の中空部の内面に形成され、内部に吸水材を嵌着可能な保持筒から構成したことを特徴とする請求項4記載の芳香剤容器。
【請求項6】 前記保持手段を、無機質多孔体の中空部の内面に突出され、吸水材に形成された軸孔が嵌合可能な軸部から構成したことを特徴とする請求項4記載の芳香剤容器。 【請求項7】前記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出する突出部と、この突出部との間で前記吸水材を挟持するように中空部の内面に無機質多孔体と一体形成された無機質多孔性の挟持部とから構成したことを特徴とする請求項1記載の芳香剤容器。
【請求項8】 前記無機質多孔体の底面部と底蓋とを嵌合する嵌合手段を設け、前記保持手段を、嵌合手段を構成する底蓋側の嵌合部と無機質多孔体側の嵌合部とから構成し、内外径が底蓋側の嵌合部及び無機質多孔体側の嵌合部と同径のリング状吸水材を両嵌合部で挟持すると共に、底蓋側の嵌合部を吸水材を介して無機質多孔体側の嵌合部に嵌着たことを特徴とする請求項1記載の芳香剤容器。
【請求項9】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項10】 前記貯溜部を底蓋の内面に設けたことを特徴とする請求項9記載の芳香剤容器。
【請求項11】 前記貯溜部を無機質多孔体の中空部に設けたことを特徴とする請求項9記載の芳香剤容器。
【請求項12】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触するように貯溜部に配置し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項13】 前記吸水材としてろ紙を使用したことを特徴とする請求項1ないし請求項8及び請求項12のいずれか一記載の芳香剤容器。
【請求項14】 前記無機質多孔体を、半円球状に形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか一記載の芳香剤容器。」を、
実用新案登録請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【請求項1】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、上面に吸水材を載置可能に形成された突出部と、この突出部との間で吸水材を挟持するように前記中空部の内面の前記突出部と対向する位置に前記無機質多孔体と一体形成された無機質多孔性の挟持部とから構成したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項2】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体に設けたことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項3】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体の中空部の内面に形成され、内部に吸水材を嵌着可能な保持筒と、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、無機質多孔体の内面との間で吸水材を挟み込む突出部とから構成したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項4】 前記保持手段を、無機質多孔体の中空部の内面に突出され、吸水材に形成された軸孔が嵌合可能な軸部と、この軸部に嵌合する抜止め具とで構成したことを特徴とする請求項2記載の芳香剤容器。
【請求項5】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記無機質多孔体の底面部と底蓋とを嵌合する嵌合手段を設け、前記保持手段を、嵌合手段を構成する底蓋側の嵌合部と無機質多孔体側の嵌合部とから構成し、内外径が底蓋側の嵌合部及び無機質多孔体側の嵌合部と同径のリング状吸水材を両嵌合部で挟持すると共に、底蓋側の嵌合部を吸水材を介して無機質多孔体側の嵌合部に嵌着したことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項6】底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する筒部が形成されていることを特徴とする芳香剤容器。
【請求項7】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する軸部が形成されていることを特徴とする芳香剤容器。
【請求項8】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部を無機質多孔体の中空部に設けたことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項9】 底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触するように貯溜部に配置し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記吸水材が無機質多孔体の頂部内面と接触することを特徴とする芳香剤容器。
【請求項10】 前記吸水材としてろ紙を使用したことを特徴とする請求項1ないし5及び請求項9のいずれか一に記載の芳香剤容器。
【請求項11】 前記無機質多孔体を、半円球状に形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一に記載の芳香剤容器。」と訂正する。
明細書の
「【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、この考案に係る芳香剤容器は、請求項1のように、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備えており、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用したことを特徴としている。
【0007】この保持手段は、底蓋に設けてもよいし(請求項2)、無機質多孔体に設けてもよい(請求項4)。さらに、請求項7のように、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出した突出部と、中空部の内面の無機質多孔性の挟持部とにより、吸水材を挟持する構成としてもよい。
【0008】また、保持手段を底蓋側に設ける場合(請求項2)、底蓋の中央部から突出した突出部の上面に、単に吸水材を載置する構成としてもよい(請求項3)。一方、保持手段を無機質多孔体側に設ける場合(請求項4)、中空部に吸水材を嵌着可能な保持筒を形成するか(請求項5)、中空部の内面に突出する軸部により吸水材を保持するように構成してもよい(請求項6)。
【0009】また、請求項7と同様に吸水材を挟持する構成としては、無機質多孔体の底面部と底蓋とを嵌合する嵌合手段により、リング状吸水材を挟持する構成としてもよい(請求項8)。すなわち、この嵌合手段を構成する底蓋側の嵌合部と無機質多孔体側の嵌合部とでリング状吸水材を挟持する構成も採用可能である。
【0010】また、上記の吸水材の代わりに、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設け、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成してもよい(請求項9)。この場合、貯溜部を底蓋の内面に設けるか(請求項10)、無機質多孔体の中空部に設ける構成であってもよい(請求項11)。
【0011】さらに、吸水材と貯溜部とを併用する場合も考えられ、この場合、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触するように貯溜部に配置すればよい(請求項12)。なお、吸水材としてろ紙を使用し(請求項13)、無機質多孔体を半円球状に形成する構成(請求項14)も採用可能である。」を明りようでない記載の釈明を目的として
「【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、この考案の請求項1に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、上面に吸水材を載置可能に形成された突出部と、この突出部との間で吸水材を挟持するように前記中空部の内面の前記突出部と対向する位置に前記無機質多孔体と一体形成された無機質多孔性の挟持部とから構成したことを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体に設けたことを特徴としている。
【0008】
請求項3に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記保持手段を無機質多孔体の中空部の内面に形成され、内部に吸水材を嵌着可能な保持筒と、底蓋の中央部から無機質多孔体の中空部側に突出され、無機質多孔体の内面との間で吸水材を挟み込む突出部とから構成したことを特徴としている。
請求項4に係る考案は、請求項2に係る芳香剤容器において、保持手段を、無機質多孔体の中空部の内面に突出され、吸水材に形成された軸孔が嵌合可能な軸部と、この軸部に嵌合する抜止め具とで構成したことを特徴としている。
【0009】
請求項5に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を含浸する吸水材とを備え、この吸水材を無機質多孔体に接触状態で保持する保持手段を設け、無機質多孔体を芳香拡散体として使用する芳香剤容器において、前記無機質多孔体の底面部と底蓋とを嵌合する嵌合手段を設け、前記保持手段を、嵌合手段を構成する底蓋側の嵌合部と無機質多孔体側の嵌合部とから構成し、内外径が底蓋側の嵌合部及び無機質多孔体側の嵌合部と同径のリング状吸水材を両嵌合部で挟持すると共に、底蓋側の嵌合部を吸水材を介して無機質多孔体側の嵌合部に嵌着したことを特徴としている。
請求項6に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する筒部が形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項7に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部が底蓋側に設けられ、無機質多孔体の頂部内面に貯溜部側へ突出して液状芳香剤と接触する軸部が形成されていることを特徴としている。
請求項8に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、無機質多孔体の一部を貯溜部の液状芳香剤に接触するように構成し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記貯溜部を無機質多孔体の中空部に設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項9に係る芳香剤容器は、底面が開放しこれに連通する中空部を有する無機質多孔体と、この無機質多孔体の底面を覆う底蓋と、液状芳香剤を貯溜する貯溜部とを備え、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触するように貯溜部に配置し、無機質多孔体を芳香拡散体として使用した芳香剤容器において、前記吸水材が無機質多孔体の頂部内面と接触することを特徴としている。
請求項10に係る考案は、 請求項1?5及び請求項9のいずれかに記載の芳香剤容器において、吸水材としてろ紙を使用したことを特徴としている。また、請求項11に係る考案は、 請求項1?10のいずれかに記載の芳香剤容器において、無機質多孔体を、半円球状に形成したことを特徴としている。」と訂正する。
明細書の
「【0012】
【作用】上記請求項1記載の芳香剤容器においては、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触させることにより、芳香剤が吸水材から無機質多孔体に浸透し、無機質多孔体から徐々に芳香剤が環境中に放出される。このとき、液状芳香剤は、無機質多孔体に直接浸透しないで、吸水材を介して浸透するようになり、その消耗が少なくなり、従来に比べて液状芳香剤の補充も頻繁に行う必要がなくなる。また、底蓋は無機質多孔体の底面を覆っているので、芳香剤の補充時に万一、芳香剤が吸水材からこぼれても底蓋で床面等に拡散するのを防止することができる。
【0013】この吸水材は、ろ紙などを使用するため(請求項13)、これを保持するために、底蓋(請求項2)又は無機質多孔体(請求項4)に保持手段を設け、吸水材の離脱を防止する。この保持手段として、底蓋と無機質多孔体とで吸水材を挟み込む構成(請求項7,8)や、単に底蓋の突出部に載置する構成(請求項3)や、更に、無機質多孔体の保持筒あるいは軸部で保持する構成(請求項5,6)のいずれであってもよい。
【0014】また、吸水材の代わりに、またはこれと併用して、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設けた構成(請求項9,12)では、無機質多孔体の一部のみを貯溜部の液状芳香剤または吸水材に接触させているので、液状芳香剤の吸い上げは無機質多孔体の一部からのみ行われ、その拡散が徐々に行われることになり、従来に比べて、液状芳香剤を頻繁に補充する必要がなくなる。しかも、貯溜部は、必要に応じて底蓋又は無機質多孔体のいずれかに設ければよいので(請求項10,11)、設計時の応用性が高くなる。
【0015】更に、請求項14のように、無機質多孔体を半円球状に形成すれば見栄えもよく、また、無機質多孔体側に保持した吸水材に液状芳香剤を補充する場合でも、底面の開口面積が大きくなり、補充も容易に行うことができる。また、吸水材として汎用性のあるろ紙を使用すれば、入手しやすくその取替えも容易に行うことができる。」を明りようでない記載の釈明を目的として
「【0012】
【作用】
上記の芳香剤容器においては、液状芳香剤を含浸する吸水材を無機質多孔体に接触させることにより、芳香剤が吸水材から無機質多孔体に浸透し、無機質多孔体から徐々に芳香剤が環境中に放出される。このとき、液状芳香剤は、無機質多孔体に直接浸透しないで、吸水材を介して浸透するようになり、その消耗が少なくなり、従来に比べて液状芳香剤の補充も頻繁に行う必要がなくなる。また、底蓋は無機質多孔体の底面を覆っているので、芳香剤の補充時に万一、芳香剤が吸水材からこぼれても底蓋で床面等に拡散するのを防止することができる。
【0013】
この吸水材は、ろ紙などを使用するため、これを保持するために、底蓋又は無機質多孔体に保持手段を設け、吸水材の離脱を防止する。この保持手段として、底蓋と無機質多孔体とで吸水材を挟み込む構成や、無機質多孔体の保持筒あるいは軸部で保持する構成のいずれであってもよい。
【0014】
また、吸水材の代わりに、またはこれと併用して、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設けた構成では、無機質多孔体の一部のみを貯溜部の液状芳香剤または吸水材に接触させているので、液状芳香剤の吸い上げは無機質多孔体の一部からのみ行われ、その拡散が徐々に行われることになり、従来に比べて、液状芳香剤を頻繁に補充する必要がなくなる。しかも、貯溜部は、必要に応じて底蓋又は無機質多孔体のいずれかに設ければよいので、設計時の応用性が高くなる。
【0015】
更に、無機質多孔体を半円球状に形成すれば見栄えもよく、また、無機質多孔体側に保持した吸水材に液状芳香剤を補充する場合でも、底面の開口面積が大きくなり、補充も容易に行うことができる。また、吸水材として汎用性のあるろ紙を使用すれば、入手しやすくその取替えも容易に行うことができる。」
と訂正する。
明細書の
「【0047】
【考案の効果】以上詳述したところがら明らかな通り、請求項1記載の考案に係る芳香剤容器によると、液状芳香剤を無機質多孔体に直接浸透させないで、吸水材を介して浸透するようにさせているので、従来に比べて液状芳香剤の補充も頻繁に行う必要がなくなる。また、保持手段により吸水材を保持しているので、吸水材と無機質多孔体との接触状態をいつまでも良好に保つことができ、さらに、底蓋により、液状芳香剤が床面等にこぼれるのを防止することができる。
【0048】このとき、吸水材の保持手段を、請求項2,4のように底蓋側又は無機質多孔体側に設ける構成や、請求項7のように無機質多孔体と底蓋とで挟み込む構成を採用でき、具体的には、請求項3のように底蓋側の突出部に単に載置する構成や、請求項5,6のように無機質多孔体側の保持筒又は軸部で保持する構成や、更に請求項8のように無機質多孔体及び底蓋の嵌合部で挟み込む構成など、様々な構成を採用でき、容器設計時の応用性が高くなる。
【0049】また、請求項9,12によると、吸水材の代わりに、またはこれと併用して、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設け、無機質多孔体の一部のみを貯溜部の液状芳香剤または吸水材に接触させているので、液状芳香剤の吸い上げは無機質多孔体の一部からのみ行われ、その拡散が徐々に行われ、従来に比べて、液状芳香剤を頻繁に補充する必要がなくなる。このとき、上記と同様に、請求項10,11のように、貯溜部を必要に応じて底蓋又は無機質多孔体のいずれかに設ければよいので、設計時の応用性が高くなる。
【0050】更に、上記いずれの芳香剤容器においても、請求項13のように、吸水材としてろ紙を使用すれば、ろ紙の汎用性からその入手も比較的容易に行え、吸水材の取替えも容易に行える。また、請求項14のように、無機質多孔体を半球状に形成すれば見栄えもよく、また、無機質多孔体側に保持した吸水材に液状芳香剤を補充する場合でも、底面の開口面積が大きくなり、補充も容易に行うことができる。」を
明りようでない記載の釈明を目的として
「【0047】
【考案の効果】
以上詳述したところがら明らかな通り、この考案に係る芳香剤容器によると、液状芳香剤を無機質多孔体に直接浸透させないで、吸水材を介して浸透するようにさせているので、従来に比べて液状芳香剤の補充も頻繁に行う必要がなくなる。また、保持手段により吸水材を保持しているので、吸水材と無機質多孔体との接触状態をいつまでも良好に保つことができ、さらに、底蓋により、液状芳香剤が床面等にこぼれるのを防止することができる。
【0048】
このとき、吸水材の保持手段を、底蓋側又は無機質多孔体側に設ける構成や、無機質多孔体と底蓋とで挟み込む構成を採用でき、具体的には、無機質多孔体側の保持筒又は軸部で保持する構成や、更に無機質多孔体及び底蓋の嵌合部で挟み込む構成など、様々な構成を採用でき、容器設計時の応用性が高くなる。
【0049】
また、吸水材の代わりに、またはこれと併用して、液状芳香剤を貯溜する貯溜部を設け、無機質多孔体の一部のみを貯溜部の液状芳香剤または吸水材に接触させているので、液状芳香剤の吸い上げは無機質多孔体の一部からのみ行われ、その拡散が徐々に行われ、従来に比べて、液状芳香剤を頻繁に補充する必要がなくなる。このとき、上記と同様に、貯溜部を必要に応じて底蓋又は無機質多孔体のいずれかに設ければよいので、設計時の応用性が高くなる。
【0050】更に、上記いずれの芳香剤容器においても、吸水材としてろ紙を使用すれば、ろ紙の汎用性からその入手も比較的容易に行え、吸水材の取替えも容易に行える。また、無機質多孔体を半球状に形成すれば見栄えもよく、また、無機質多孔体側に保持した吸水材に液状芳香剤を補充する場合でも、底面の開口面積が大きくなり、補充も容易に行うことができる。」と訂正する。
異議決定日 2000-05-22 
出願番号 実願平5-59539 
審決分類 U 1 651・ 161- YA (A61L)
最終処分 維持    
前審関与審査官 鈴木 寛治  
特許庁審判長 加藤 孔一
特許庁審判官 宮本 和子
内藤 伸一
登録日 1998-11-06 
登録番号 実用新案登録第2588900号(U2588900) 
権利者 小林製薬株式会社
大阪府大阪市中央区道修町4丁目3番6号
考案の名称 芳香剤容器  
代理人 後藤 誠司  
代理人 稗苗 秀三  
代理人 稗苗 秀三  
代理人 後藤 誠司  
代理人 三好 千明  
代理人 大島 泰甫  
代理人 大島 泰甫  

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