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審決分類 |
審判 全部申し立て B65D |
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管理番号 | 1020859 |
異議申立番号 | 異議1999-73982 |
総通号数 | 14 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-02-23 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-10-19 |
確定日 | 2000-06-12 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2594367号「開封防止シールおよびそれを用いた容器」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2594367号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件実用新案登録第2594367号は、平成4年9月30日に出願され、平成11年2月26日に実用新案権の設定の登録があり、実用新案登録掲載公報が平成11年4月26日に発行され、その後、平成11年10月19日付けで大日本印刷株式会社より実用新案登録異議の申立てがあり、取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成12年4月18日に実用新案登録異議意見書の提出と共に訂正請求がされたものである。 2.訂正の適否 (1)訂正の内容 上記訂正は、次の事項を内容とするものである。 a.実用新案登録請求の範囲の請求項1および請求項2の記載中、「着色された主基材」とあるを、「基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材」と訂正する。 b.上記aの訂正に伴い、実用新案登録請求の範囲の記載との整合をとって、考案の詳細な説明の欄の対応する箇所を訂正する。 (2)訂正の目的の適否及び新規事項の追加、拡張・変更の存否 上記訂正aは、着色された主基材の着色状態を限定するものであるから実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、上記訂正bは訂正aに伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の欄の記載との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当する。 そして、訂正前の明細書の段落【0016】に「主基材4は、ホログラム層6を保護する役目を有すると共に、例えば染料を入れて着色することにより、シール表面から見た場合に比べて断面が濃色となり、容易に視認可能になっている。また、染料は、周知の技術である熱転写(昇華転写)等によって、転写紙より透明なフィルムに転写する。この場合、昇華転写であれば、染料はフィルムの内部に入り込む。」の記載が有り、主基材の着色状態が基材表面から厚さ方向に全体が着色される場合も含まれることを示しているものと解される。 したがって、上記訂正a、bは、いずれも、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の事項であり、かつ、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張するものでも、変更するものでもないと認められる。 (3)独立登録要件の判断 (A)訂正明細書に係る考案 訂正明細書の請求項1ないし請求項2に係る考案(以下、「訂正考案1」および「訂正考案2」という。)は、訂正明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし請求項2に記載された次のとおりのものと認める。 【請求項1】 「開閉式容器の開閉部分を塞ぐように前記開閉式容器の角部に折曲げられた状態で全面が強固に貼付けて用いられるシールであって、前記シールは、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層して成ることを特徴とする開封防止シール」 【請求項2】 「開閉式の容器において、前記容器本体の開閉部分を塞ぐように前記容器本体の角部に折曲げられた状態で全面が強固に貼付けられた開封防止シールを備え、且つ、開封防止シールは、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層して成ることを特徴とする容器」 (B)引用刊行物 当審が通知した取消理由に引用した刊行物1?5には、次の記載があるものと認める。 ・刊行物1:実願昭60-187697号(実開昭62-96672号)のマイクロフィルム 「本考案は証明書、証券、封書等の記載事項の変更、貼替え、開封防止用ホログラムラベルに関する。」(1頁16?18行) 「第1図は本考案のホログラムラベル1の基本構造をなす断面図であって上面側から支持体2、パターン状剥離層3、ホログラム形成層4、反射性金属薄膜層5、接着剤層6が順次積層されておりこのホログラムラベル1は接着剤層が被着体の表面に接触するように重ね、必要に応じて加熱を行いつつ、加圧して被着体に貼りつけるものである。」(3頁11?18行) 「剥離層は基材フィルムとの接着性が弱い材質の樹脂が用いられ」(4頁19?20行) 「第2図は、パターン状剥離層3とホログラム形成層4との間に、アンカー層7を形成したものである。アンカー層7は支持体2とホログラムラベル層4との接着を強め、ラベル剥離時に剥離層部と非剥離層部との境界断面でホログラム形成層等が更に容易に破断せしめるものであり」(22頁17?23頁3行) 「一度被着体に貼りつけられたホログラムラベルは剥がそうとすると、剥離層部と非剥離層部との境界断面でホログラム形成層、反射性金属薄膜および接着剤層が破壊し、支持体上と被着体上にホログラムが分離して残存してしまうのでラベル全体をそっくりそのまま剥がすことができない。従って、ラベルが貼ってあった箇所の記載事項や印影写真等を書替えるのには、転写したラベルの部分を除去する必要があり、偽造、変造が困難である。また、支持体上にはパターン状にしかホログラムが残存しない為、ラベルの貼替えは不可能であり、かつ封印部の開封は被着体にパターン状に残存したホログラムにより容易に認識できうる。 従って、本考案のホログラムラベルは偽造されたくない被着体へ適用は勿論のこと、包装物の封印として適用でき、さらにはホログラムラベルは美麗により装飾物としても使用できる。」(23頁15行?24頁13行) (第1、2図参照) ・刊行物2:実公平3-53241号公報 「本考案に係る偽造防止ラベルの一例を第1図に示す。 第1図のおいて、符号2は該ラベルの基材層であり、従来における と同様な脆性を有する材料で作られており、この裏面に粘着剤層3が塗布形成されていて、その粘着剤層3は剥離材層4で覆われ保護されている。そして、基材層1の表面には従来形成されていた印刷層に代えて、ホログラム転写箔層1が付着形成されている。 該ホログラム転写箔層1は、公知の手段により形成されるものであるが、その製造には一般に印刷手段におけるよりも高度の技術と設備を要するので偽造は困難である。また、同じ設備を備えたとしても、模造は困難である。 このような構成のラベルは、剥離材層4から剥がし取られて、被着体に貼り付けられるが、その被着体としては種々のものがある。例えば、第2図は海外旅券5の査証6として用いられている場合を示している。また、第3図は容器7の封印8に用いられている場合を示している。更に、第4図は重要な書類9の認定ラベル10として用いられている場合を示している。 このようにして貼り付けられたラベルは剥がし取られる際に裂けて、崩れてしまい、原型を留めなくなる。また、それと同じラベルを偽造することは困難であるから、例えば一度開封された容器7を未封であると偽ることが出来なくなる。」(1頁2欄12行?2頁3欄10行) (第1、3図参照) ・刊行物3:実願昭60-128082号(実開昭62-37058号)のマイクロフィルム 「本考案のホログラム模様を有する粘着テープは第3図に示すようにホログラム形成層3をホログラムを形成した樹脂層2と薄膜5とから形成することができる。」(14頁6?9行) 「薄膜5は反射性金属により構成することができ」(14頁13?14行) 「本考案においてはフィルム基材1に適宜の着色を施すことができる」(20頁13?14行) (第3図参照) ・刊行物4:特開昭62-32486号公報 パターン状ホログラム転写シートが開示され、転写シートを構成する剥離層やホログラム層を透光性をそこなわない程度に各種の色相に着色してもよい旨が開示されている(7頁上右欄14?17行および第1、2図参照)。 ・刊行物5:特開昭62-133476号公報 「支持体上に剥離性保護層、絵柄印刷層、ホログラムの微小凹凸形状を有する透光性層、反射性薄膜層および接着剤層が転写層として順次積層され」た絵柄付きホログラム転写シートが記載され、絵柄印刷層や透光性層を構成するアンカー層、ホログラム層の少なくとも一層が着色されているものについて開示されている(特許請求の範囲および第1図参照)。 (C)対比・判断 (C-1)訂正考案1について 刊行物1の記載を訂正考案1と対比して検討する。 刊行物1の上記摘記記載からみて、該刊行物記載のラベルは「開閉式包装物の開閉部分を塞ぐように」「全面が強固に貼付けて用いられる」ものであり、剥離層は接着性の弱い樹脂からなり、ラベルを剥がすときには剥離層部と非剥離層部との境界断面で層が破壊されるものであるから、接着剤層6の接着力は剥離性の層の接着力よりも強い接着力を有することは明らかである。また、「パターン状剥離層3」または「パターン状剥離層3」と「アンカー層7」とからなる層は、訂正考案1の「剥離性保護層」に相当する。さらに、刊行物1記載の「支持体2」、「反射性金属薄膜層5」が訂正考案1の「主基材」、「光反射層」にそれぞれ相当することも明らかであり、それら各層の積層順も訂正考案1の順序と同じである。 そうすると、両者は、訂正考案1の用語を用いると、「主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層を順次積層して成ることを特徴とする開封防止シール」である点で一致し、次の点で相違する。なお、刊行物1には、離型紙に関する記載がないが、ラベル等において、未使用時に粘着性の層側に離型紙等の層を設けて置くことは慣用されていることであって、実質的な相違点ではない。 [相違点1]: 訂正考案1が「開閉式容器の開閉部分を塞ぐように前記開閉式容器の角部に折曲げられた状態」で貼りつけるものであるのに対し、刊行物1には、角部へ用いる場合についての開示がない点 [相違点2]: 訂正考案1における主基材は、「基材の表面から厚さ方向に全体が着色された」ものであるのに対し、刊行物1には支持体の着色に関する記載がない点 そこで、上記相違点について検討するに、訂正考案1に係るシールは、主基材が着色されているために切断されると切断面の視認が容易となるものであり、基材表面から厚さ方向に全体に着色されていると断面が濃色になり視認がより容易になるものと解され、特に、角部に折り曲げられた状態で、その角部に沿って切断された場合に顕著な効果を奏するものである。 この、シールの基材を「基材の表面から厚さ方向に全体が着色された」ものとする点については、上記刊行物2?5には記載されておらず、示唆する記載もない。刊行物2?4の記載は、前記に摘記したように、基材表面に着色層を設けること、あるいは基材表面に模様を施すことについて開示するに留まり、切断時の視認効果、特に角部に貼り付けたシールが切断された場合の、訂正考案1が有する上記作用、効果までは、当業者といえども、その記載から示唆されるとは認められない。 したがって、上記相違点2に係る構成を当業者が適宜なし得る程度のこととすることはできず、相違点2に係る構成と相まって上記の効果を奏するものである相違点1に係る構成も、同様に、当業者がきわめて容易に想到し得ることとはいえない。 したがって、刊行物1ないし刊行物5をもってしては、訂正考案1が刊行物に記載された考案であるとも、その記載からきわめて容易に考案をすることができたものであるとも認めることはできない。 よって、刊行物1および刊行物5をもってしては訂正考案1を実用新案登録出願の際、独立して実用新案登録を受けることができない考案とすることはできない。 また、他に、当該考案について実用新案登録を受けることができない考案とする理由は見い出せない。 (C-2)訂正考案2について 訂正考案2は、訂正考案1に係る構成の開封防止シールが貼付けられた容器に係るものであり、前記(C-1)に述べた理由により、開封防止シールが当業者がきわめて容易に想到し得るものと認めることができないのであるから、訂正考案2についても、刊行物1ないし刊行物5をもってしては、実用新案登録を受けることができないものとすることができない。 したがって、訂正考案2についても実用新案登録出願の際、独立して実用新案登録を受けることができない考案とすることはできず、他に、当該各考案について実用新案登録を受けることができない考案とする理由も見い出せない。 (4)結論 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.実用新案登録異議の申立てについて (1)申立ての理由の概要 登録異議申立人大日本印刷株式会社は、証拠として、甲第1号証〔実願昭60-187697号(実開昭62-96672号)のマイクロフィルム、上記刊行物1に同じ〕、甲第2号証〔実公平3-53241号公報、上記刊行物2に同じ〕、甲第3号証〔実願昭60-128082号(実開昭62-37058号)のマイクロフィルム、上記刊行物3に同じ〕、甲第4号証〔特開昭62-32486号公報、上記刊行物4に同じ〕、甲第5号証〔特開昭62-133476号公報、上記刊行物5に同じ〕を提出し、各請求項に係る考案は甲第1号証?甲第5号証の存在により実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである旨主張している。 (2)判断 本件の請求項1および請求項2に係る考案は、上記訂正が認められた結果、全文訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1および請求項2に記載されたとおりのものである。(その記載内容については、前記2(3)(A)参照) そして、甲第1号証ないし甲第5号証は上記刊行物1?刊行物5と同じものであるから、前記2(3)に述べたように、甲第1号証?甲第5号証をもってしては、請求項1および請求項2に係る考案をそれらの刊行物に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認めることができず、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものとすることはできない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1および請求項2に係る実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1および請求項2に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 開封防止シールおよびそれを用いた容器 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 開閉式容器の開閉部分を塞ぐように前記開閉式容器の角部に折曲げられた状態で全面が強固に貼付けて用いられるシールであって、前記シールは、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層して成ることを特徴とする開封防止シール。 【請求項2】 開閉式の容器において、前記容器本体の開閉部分を塞ぐように前記容器本体の角部に折曲げられた状態で全面が強固に貼付けられた開封防止シールを備え、且つ、開封防止シールは、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層して成ることを特徴とする容器。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、開封防止シールおよびそれを用いた容器に係り、特に容器本体の開閉部分に、シール本体の主基材を着色してなる開封防止シールを剥離困難に貼付けることにより、シールの切断面を容易に視認して開閉式容器の開閉状態を知ることができ、容器の開封を防止してセキュリティ性を著しく高めるようにした開封防止シールおよびそれを用いた容器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来から、開封を防止することを目的とし、セキュリティ性を持った容器としては、例えば次のようなものがある。 【0003】 すなわち、開閉式の容器において、容器本体の開閉部分にシールを貼付けることにより、セキュリティ性を高めているものであり、当該シールを剥がすか切断しなければならない。 【0004】 しかしながら、この種の容器には、次のような問題点がある。 【0005】 すなわち、容器の開閉部分に貼付けられたシールにより、当該容器の開閉状態が認識されるのであるが、当該シールの接着性が低いと、当該シールを剥離した後に再び貼付けることにより、容易に容器が開封されてしまう。 【0006】 また、当該シールを切断して容器を開封した場合にも、通常のシールでは切断面を視認することは困難である。 【0007】 【考案が解決しようとする課題】 以上のように、従来の開閉式の容器においては、容易に容器が開封されたり、シールの切断面を視認することが困難であり、セキュリティ性が低いという問題があった。 【0008】 本考案は上述のような問題を解決するために成されたもので、シールの切断面を容易に視認して開閉式容器の開閉状態を知ることができ、容器の開封を防止してセキュリティ性を著しく高めることが可能な開封防止シールおよびそれを用いた容器を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するために、まず、請求項1に記載の考案では、開閉式容器の開閉部分を塞ぐように前記開閉式容器の角部に折曲げられた状態で全面が強固に貼付けて用いられるシールであって、前記シールは、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層して成る。 【0010】 また、請求項2に記載の考案では、開閉式の容器において、容器本体の開閉部分を塞ぐように前記容器本体の角部に折曲げられた状態で全面が強固に貼付けられた開封防止シールを備え、且つ、開封防止シールは、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層して成る。 【0011】 【作用】 従って、本考案の開封防止シールおよびそれを用いた容器においては、容器を開封する際に、容器の開封部分に貼付けられた開封防止シールは、強接着剤によって剥がれないため、当該開封防止シールを切断しなければならない。この場合、開封防止シールは、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層して成ることにより、当該開封防止シールは切断されると容易に切断面が視認可能となる。 【0012】 これにより、容易に開閉式容器の開閉状態を知ることができ、容器の開封を防止してセキュリティ性を著しく高めることができる。 【0013】 【実施例】 以下、本考案の一実施例について図面を参照して詳細に説明する 【0014】 図1は、本考案による開封防止シール付き容器の構成例を示す外観斜視図である。すなわち、図1に示すように、本実施例の開封防止シール付き容器1は、例えばプラスチック、紙製の開閉式容器2の開閉部分、すなわち開閉式容器2の開閉を防ぐ位置に、開封防止シール3を剥離困難に貼付けて構成している。 【0015】 図2は、本考案による開封防止シール3の構成例を示す断面図である。すなわち、図2に示すように、本実施例の開封防止シール3は、主基材4、剥離性保護層5、ホログラム層6、光反射層7、接着材層8、離型紙9を順次積層して構成している。ただし、開開式容器2に開封防止シール3を貼付ける際には、当然のことながら、離型紙9は剥がしておく。 【0016】 ここで、主基材4としては、約50?100μm程度の厚さが適当であり、例えばポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを使用できる。この主基材4は、ホログラム層6を保護する役目を有すると共に、例えば染料を入れて基材の表面から厚さ方向に全体を着色することにより、シール表面から見た場合に比べて断面が濃色となり、容易に視認可能になっている。また、染料は、周知の技術である熱転写(昇華転写)等によって、転写紙より透明なフィルムに転写する。この場合、昇華転写であれば、染料はフィルムの内部に入り込む。さらに、転写紙としては、全面同色の比較的薄い色のものが望ましい。 【0017】 また、剥離性保護層5としては、例えばアクリル系樹脂、アクリル系樹脂ビニル系樹脂の混合物等を塗料化し、バーコート、ブレードコート、エアナイフコート、グラビアコートロールコート等のソルベントコート法、あるいはスクリーン印刷法等の周知の塗料方法による塗布を行なって乾燥することにより、厚さ1?2μm程度の樹脂層を形成する。 【0018】 一方、エンボスによるレリーフ型のホログラム層6としては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を塗料化し、上記と同様のコート法によって形成する。また、その厚さとしては、0.5?2μm程度が好ましく、ホログラム画像が形成されたニッケル製のプレス版を、この樹脂層に対して加熱押圧することによって、ホログラム層6を形成する。 【0019】 また、光反射層7としては、表面の反射率が高い金属が好ましく、例えばアルミニウム、スズ等の金属を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって形成することができるが、その厚さとしては、300?1000オングストローム程度が好ましい。 【0020】 さらに、接着材層8としては、例えばアクリル系樹脂、ビニル系樹脂等を主成分とし、前述したコート法によって、その厚さとしては、0.5?2μm程度とする。この接着材層8は、剥離性保護層5の接着力よりも強い接着力を持たせている。 【0021】 次に、以上のように構成した本実施例の開封防止シール付き容器1の使用方法について、図3および図4を用いて説明する。 【0022】 まず、開閉式容器2の開閉部分を塞ぐ形で、開封防止シール3を折り曲げて、角(エッジ部分)に貼り付ける。 【0023】 一方、このようにして開封部分に開封防止シール3が貼り付けられた開閉式容器2を開けるには、開封防止シール3を剥がすか、あるいは切断するしかない。 【0024】 しかしながら、この場合、開封防止シール3の接着材層8に、強粘着の接着材が使用されていることにより、開封防止シール3を剥がすことは困難である。すなわち、無理に開封防止シール3を剥がそうとすると、接着材層8の接着材は、剥離性保護層5の接着力よりも接着力が強いので、剥離性保護層5とホログラム層6の間、もしくはホログラム層6と光反射層7の間で剥離を起こす。この際、剥離性保護層5に、ホログラム層6の一部が密着されたり、光反射層7の一部が密着されたりして剥離されるため、ホログラム層6や光反射層7が破壊される。 【0025】 従って、開封防止シール3を切断して、開閉部分を開けなければならない。図3は、開封防止シール3を切断して、開閉部分を開けた状態を示す斜視図である。すなわち、主基材4の切断面が、その中に含まれる染料により、表面から見る場合よりも濃色となり、容易に切断面が視認可能となる。この場合、開封防止シール3の切断を丁寧に行なったとしても、ホログラム層6、光反射層7は厚みが非常に薄いので破壊され易い。 【0026】 一方、開閉容器2の開閉部分を開けた後に、再度開封するために切断面を接着しても、上記からもわかるように、ホログラム層6や光反射層7が破壊されているので、容易に切断面を発見できる。 【0027】 また、図4に拡大斜視図を示したように、主基材4に50?100μm程度のフィルムを使用していることにより(ある程度の弾力があるので切り口の2つの断面が90度回転した状態となる)、切断面を元通りの状態に接着することは非常に困難である。すなわち、開封防止シール3は一旦切断されているため、切断面は断面が視認可能である。 【0028】 すなわち、セキュリティ性が極めて高い容器となっている。 【0029】 上述したように、本実施例の開封防止シール付き容器1は、開閉式容器2の開閉部分に、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材4、剥離性保護層5、ホログラム層6、光反射層7、剥離性保護層5の接着力よりも強い接着力を有する接着材層8、離型紙9を順次積層してなる開封防止シール3を強固に貼付けて構成したものである。 【0030】 従って、開閉式容器2を開閉する際に、開開式容器2を開閉部分に貼付けられた開封防止シール3は、その主基材4が表面から厚さ方向に全体が着色されているため、当該開封防止シール3は切断されると容易に切断面が視認可能となる。 【0031】 これにより、容易に開閉式容器2の開閉状態を知ることができ、万一開閉式容器2が開けられても即座に発見することができ、開閉式容器2の開封を防止してセキュリティ性を著しく高めることが可能となる。 【0032】 尚、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、次のようにしても実施できるものである。 【0033】 上記実施例では、開封防止シール3としては、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材4、剥離性保護層5、ホログラム層6、光反射層7、剥離性保護層5の接着力よりも強い接着力を有する接着材層8、離型紙9を順次積層して成る場合について説明したが、これに限られないことは言うまでもない。 【0034】 【考案の効果】 以上説明したように本考案によれば、開閉式容器本体の開閉部分に、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層してなる開封防止シールを強固に貼付ける構成としたので、シールの切断面を容易に視認して開閉式容器の開閉状態を知ることができ、容器の開封を防止してセキュリティ性を著しく高めることが可能な開封防止シールおよびそれを用いた容器が提供できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本考案による開封防止シール付き容器の一実施例を示す外観斜視図。 【図2】 同実施例における作用を説明するための図。 【図3】 同実施例における開封防止シール付き容器の使用方法を説明するための斜視図。 【図4】 同実施例における開封防止シール付き容器の開閉部分を閉めた状態を示す斜視図。 【符号の説明】 1…開封防止シール付き容器、2…開閉式容器、3…開封防止シール、4…主基材、5…剥離性保護層、6…ホログラム層、7…光反射層、8…接着材層、9…離型紙 |
訂正の要旨 |
1.訂正事項a 明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1および請求項2の記載、 「【請求項1】 開閉式容器の開閉部分を塞ぐように前記開閉式容器の角部に折曲げられた状態で全面が強固に貼付けて用いられるシールであって、前記シールは、着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層して成ることを特徴とする開封防止シール。 【請求項2】 開閉式の容器において、前記容器本体の開閉部分を塞ぐように前記容器本体の角部に折曲げられた状態で全面が強固に貼付けられた開封防止シールを備え、且つ、開封防止シールは、着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層して成ることを特徴とする容器。」 を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として 「【請求項1】 開閉式容器の開閉部分を塞ぐように前記開閉式容器の角部に折曲げられた状態で全面が強固に貼付けて用いられるシールであって、前記シールは、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層して成ることを特徴とする開封防止シール。 【請求項2】 開閉式の容器において、前記容器本体の開閉部分を塞ぐように前記容器本体の角部に折曲げられた状態で全面が強固に貼付けられた開封防止シールを備え、且つ、開封防止シールは、基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材、剥離性保護層、ホログラム層、光反射層、前記剥離性保護層の接着力よりも強い接着力を有する接着材層、離型紙を順次積層して成ることを特徴とする容器。」 と訂正する。 2.訂正事項b 明りょうでない記載の釈明を目的として、次の訂正をする。 ▲1▼明細書の段落【0009】【0010】【0011】【0029】【0033】【0034】の記載中、 「着色された主基材」とあるを、「基材の表面から厚さ方向に全体が着色された主基材」と訂正する。 ▲2▼明細書の段落【0016】の記載中、「染料を入れて着色する」とあるを、「染料を入れて基材の表面から厚さ方向に全体を着色する」と訂正する。 ▲3▼明細書の段落【0030】の記載中、「その主基材4が着色されているため」とあるを、「その主基材4が基材の表面から厚さ方向に全体が着色されているため」と訂正する。 |
異議決定日 | 2000-05-23 |
出願番号 | 実願平4-68313 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(B65D)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 原 慧、森林 克郎 |
特許庁審判長 |
佐藤 雪枝 |
特許庁審判官 |
鈴木 美知子 船越 巧子 |
登録日 | 1999-02-26 |
登録番号 | 実用新案登録第2594367号(U2594367) |
権利者 |
凸版印刷株式会社 東京都台東区台東1丁目5番1号 |
考案の名称 | 開封防止シールおよびそれを用いた容器 |
代理人 | 青木 健二 |
代理人 | 蛭川 昌信 |
代理人 | 内田 亘彦 |
代理人 | 白井 博樹 |
代理人 | 菅井 英雄 |
代理人 | 韮澤 弘 |
代理人 | 米澤 明 |
代理人 | 阿部 龍吉 |