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審決分類 審判 全部申し立て   A01D
審判 全部申し立て   A01D
管理番号 1020890
異議申立番号 異議1998-73389  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-07-14 
確定日 2000-08-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第2559011号「収穫機の回収装置」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2559011号の実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2559011号(平成4年3月25日出願、平成9年9月12日設定登録)の請求項1に係る実用新案に対し、異議申立人、ヤンマー農機株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされた。
当審において、取消理由を通知したところ、平成11年1月5日に訂正請求がなされ、これに対しさらに訂正拒絶理由を通知したところ、意見書が提出された。

2.訂正の適否について
2-1.訂正明細書の考案
訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「訂正明細書の考案」という。)は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。
「農作物を収穫する収穫部(0)と、この収穫部(0)で収穫された農作物を回収するコンテナ(13)とを走行機体に備え、
前記収穫部(0)に、前記コンテナ(13)の前工程でコンテナ(13)に対して農作物を搬送供給する搬送コンベヤ(7)を備えるとともに、この搬送コンベヤ(7)を、農作物搬送方向に交差する方向に軸芯方向を沿わせた横臥姿勢で多数のローラ(31)を並設することにより構成し、
前記コンテナ(13)を、その上部に設けられ、かつ、前記搬送コンベヤ(7)のローラ(31)の横臥方向に沿う支点(X)周りで揺動可能に構成するとともに、
空の前記コンテナ(13)を、その側壁(13a)が農作物の滑落移送面となる状態に前記支点(X)周りで傾斜した初期姿勢に付勢する弾性部材(37)を設け、かつ、このコンテナ(13)への農作物回収の進行に伴う回収農作物重量の増大に伴って前記コンテナ(13)が前記支点(X)周りで揺動して自動的に起立回収姿勢に変化するように前記弾性部材(37)の弾性力を設定してある収穫機の回収装置。」
2-2.引用刊行物
当審において通知した訂正拒絶理由で引用した引用刊行物1(実願昭60-140597号(実開昭62-49917号)のマイクロフイルム)の3頁6行?4頁7行には、「堀取りコンベア4によって地面からすくい上げられた玉葱は上昇コンベア5によって搬送され茎葉分離コンベア6へ移され、・・・ローラーコンベヤ7は玉葱を搬送すると共にローラー7Aの回転により玉葱を回転させることにより人間が玉葱の傷、裂皮、変形等を発見し選別することを容易にする・・・一方、ローラーコンベア7を移動させられた玉葱は油圧シリンダ10によって上下動、油圧シリンダ11によって転傾動された架台9により、その一側面をローラーコンベヤ7に対し緩やかな傾斜をなすと共に密着せしめられた収納コンテナ8へ静かに転がって収納されることによって玉葱に傷がつくことを防止する。」と記載されている。
上記記載及び図面によると、引用刊行物1には、玉葱を収穫する収穫部と、この収穫部で収穫された玉葱を回収する収納コンテナ8とを走行機体に備え、前記収穫部に、前記収納コンテナ8の前工程で収納コンテナ8に対して玉葱を搬送供給するローラーコンベア7を備えるとともに、このローラーコンベア7を、玉葱搬送方向に交差する方向に軸芯方向を沿わせた横臥姿勢で多数のローラー7Aを並設することにより構成し、前記収納コンテナ8を載せる架台9を、その上部に設けられ、かつ、前記ローラーコンベア7のローラー7Aの横臥方向に沿う支点周りで揺動可能に構成するとともに、前記収納コンテナ8を、その側壁が玉葱の滑落移送面となる初期姿勢と起立回収姿勢とに油圧シリンダ11によって変化するように構成してある玉葱収穫機の回収装置が記載されていると認められる。
また、同じく訂正拒絶理由で引用した引用刊行物2(実公昭58-31465号公報)には、根菜類等の授受収納装置に関し、その第3欄2?17行に、「L状の横断面形状を有し、その垂直部の左右両側上端部に、軸受1a,1′aを、また、該垂直部の背面のほぼ中央に軸受1bを有する大型収納箱a搭載用荷受台1を、その軸受la,1′aに両端を軸支された軸3の両端部を、根菜類等の最終搬送コンベヤbの根菜類等放出端部のほぼ直下における根菜類等掘取機の機体Aの適所に固着され、透孔を有する一対の突片2a,2′aと、該突片2a,2′aの下部にストツパ2b,2′bを有する一対のブラケット2,2′の突片2a,2′aの透孔に回動自在に挿入し、該軸3を介して荷受台1を該ブラケット2,2′で支承するとともに、上記軸受lbと機体Aの間に、荷受台1を適当角度傾斜させ、また、元の位置に復帰させる手段を設けてなることを特徴とする根菜類等の授受収納装置に係るものである。」と記載され、第6欄20?32行に、「かくして大型収納箱aを含む荷受け台1は2点鎖線で示す傾斜した状態となり、大型収納箱aもXで示す傾斜状態となる。そこで最終搬送コンベヤbの運転を開始すれば、根菜類Bは順次大型収納箱a内に収納されるが、この場合根菜類Bは大型収納箱aの傾斜状態にある側板面上を転がりながら順次箱底部に収納される。そして次第にその量が増して負荷が増すにつれ、圧縮ばね14は圧縮されて徐々に短縮され、上記の場合とは逆に矢印Y方向に荷受け台1が回動し、該荷受け台1すなわち大型収納箱aの傾斜角θが徐々に小さく変動していく。」と記載されている。
そして、通常、根菜類掘取機では、根菜類Bを収穫する収穫部と、この収穫部で収穫された根菜類を回収する荷受け台が走行機体に設けられているので、上記記載及び図面によると、引用刊行物2には、根菜類を収穫する収穫部と、大型収納箱a搭載用荷受台1とを走行機体に備えている根菜類掘取機において、最終搬送コンベアbの後部に設けた荷受け台1を、その上部に設けられ、かつ、最終搬送コンベアbの搬送方向と直交する方向に沿う軸3周りで揺動可能に構成するとともに、前記荷受け台1に載置した空の大型収納箱aを、その側壁が根菜類の滑落移送面となる状態に前記軸3周りで傾斜した初期姿勢に付勢する圧縮ばね14を設け、かつ、この大型収納箱aへの根菜類B回収の進行に伴う回収根菜類重量の増大に伴って前記大型収納箱aが前記軸3周りで揺動して自動的に起立回収姿勢に変化するように前記圧縮ばね14の弾性力を設定してある根菜類掘取機の回収装置が記載されているといえる。
2-3.対比・判断
訂正明細書の考案と引用刊行物1記載の考案とを対比すると、引用刊行物1記載の考案の「玉葱」「収納コンテナ8」「ローラーコンベア7」「ローラー7A」「軸3」が、訂正明細書の考案の「農作物」「コンテナ(13)」「搬送コンベヤ(7)」「ローラ(31)」「支点(X)」にそれぞれ相当しているので、両者は、農作物を収穫する収穫部(0)と、この収穫部(0)で収穫された農作物を回収するコンテナ(13)とを走行機体に備え、前記収穫部(0)に、前記コンテナ(13)の前工程でコンテナ(13)に対して農作物を搬送供給する搬送コンベヤ(7)を備えるとともに、この搬送コンベヤ(7)を、農作物搬送方向に交差する方向に軸芯方向を沿わせた横臥姿勢で多数のローラ(31)を並設することにより構成し、前記コンテナ(13)を、上部に設けられ、かつ、前記搬送コンベヤ(7)のローラ(31)の横臥方向に沿う支点(X)周りで揺動可能に構成するとともに、空の前記コンテナ(13)を、その側壁(13a)が農作物の滑落移送面となる状態に前記支点(X)周りで傾斜した初期姿勢から、このコンテナ(13)への農作物回収の進行に伴って前記コンテナ(13)が前記支点(X)周りで揺動して起立回収姿勢に変化するよう構成してある収穫機の回収装置で一致し、
訂正明細書の考案では、空のコンテナ(13)を、その側壁(13a)が農作物の滑落移送面となる状態に前記支点(X)周りで傾斜した初期姿勢に付勢する弾性部材(37)を設け、かつ、このコンテナ(13)への農作物回収の進行に伴う回収農作物重量の増大に伴って前記コンテナ(13)が前記支点(X)周りで揺動して自動的に起立回収姿勢に変化するように前記弾性部材(37)の弾性力を設定してあるのに対し、引用刊行物1記載の考案では、空のコンテナを、その側壁が農作物の滑落移送面となる状態に支点周りで傾斜した初期姿勢から、前記コンテナが前記支点周りで揺動して起立回収姿勢に変化するよう構成してあるが、本件考案のような構成ではない点で両者は相違する。
上記相違点を検討するに、引用刊行物2には、大型収納箱a(訂正明細書の考案の「コンテナ(13)」に相当している)を載せた荷受け台1を、大型収納箱aの側壁が農作物の滑落移送面となる状態に軸3(訂正明細書の考案の「支点(X)」に相当している)周りで傾斜した初期姿勢に付勢する圧縮ばね14(訂正明細書の考案の「弾性部材(37)」に相当している)を設け、かつ、この大型収納箱aへの農作物回収の進行に伴う回収農作物重量の増大に伴って前記大型収納箱aが前記軸3周りで揺動して自動的に起立回収姿勢に変化するように前記圧縮ばね14の弾性力を設定してある収穫機の回収装置の構成が記載されており、この構成を引用刊行物1記載の考案に適用して訂正明細書の考案のように構成することに格別の困難性があるとは認められない。
そして、訂正明細書の考案の効果は、引用刊行物1及び2記載の考案から予測できる程度のことであって格別のものではない。
したがって、訂正明細書の考案は、上記引用刊行物1及び2記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
2-4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号。)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第9条第2項の規定により準用される特許法第120条の4第3項でさらに準用する同法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

3.実用新案登録異議の申立てについて
3-1.本件の考案
本件の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、
「農作物を収穫する収穫部(0)と、この収穫部(0)で収穫された農作物を回収するコンテナ(13)とを走行機体に備え、該コンテナ(13)をその上部に設けた支点(X)周りで揺動可能に構成するとともに、空の前記コンテナ(13)を、その側壁(13a)が農作物の滑落移送面となる状態に前記支点(X)周りで傾斜した初期姿勢に付勢する弾性部材(37)を設け、かつ、このコンテナ(13)への農作物回収の進行に伴う回収農作物重量の増大に伴って前記コンテナ(13)が前記支点(X)周りで揺動して自動的に起立回収姿勢に変化するように前記弾性部材(37)の弾性力を設定してある収穫機の回収装置。」
にある。
3-2.引用例記載の考案
当審において通知した取消理由で引用した引用例1(実公昭58-31465号公報)には、上記「2-2.引用刊行物」における引用刊行物2に記載したとおりの考案が記載されている。
3-3.対比・判断
本件考案と引用例1記載の考案とを比較すると、引用例1記載の考案の「大型収納箱a」「ローラーコンベア7」「ローラー7A」及び「圧縮ばね14」が、本件考案の「コンテナ(13)」「搬送コンベヤ(7)」「ローラ(31)」及び「弾性部材(37)」にそれぞれ相当しているので、両者は、農作物を収穫する収穫部(0)と、この収穫部(0)で収穫された農作物を回収するコンテナ(13)とを走行機体に備え、該コンテナ(13)を上部に設けた支点(X)周りで揺動可能に構成するとともに、空の前記コンテナ(13)を、その側壁(13a)が農作物の滑落移送面となる状態に前記支点(X)周りで傾斜した初期姿勢に付勢する弾性部材(37)を設け、かつ、このコンテナ(13)への農作物回収の進行に伴う回収農作物重量の増大に伴って前記コンテナ(13)が前記支点(X)周りで揺動して自動的に起立回収姿勢に変化するように前記弾性部材(37)の弾性力を設定してある収穫機の回収装置で一致し、
本件考案では、コンテナ(13)をその上部に設けた支点(X)周りで揺動可能に構成してあるのに対し、引用例1記載の考案では、大型収納箱aを載せる荷受け台1を、その上部に設けた支点周りで揺動可能に構成している点で両者は相違する。
しかしながら、引用例1記載の考案において、大型収納箱aを、その上部に設けた支点周りで揺動可能に構成することは当業者ならきわめて容易にできる程度の設計事項にすぎない。
そして、本件考案の効果は、引用例1記載の考案から予測できる程度のことであって格別のものではない。
したがって、本件考案は、引用例1に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案は実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
3-4.むすび
以上のとおりであるから、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
異議決定日 2000-06-08 
出願番号 実願平4-15543 
審決分類 U 1 651・ 113- ZB (A01D)
U 1 651・ 121- ZB (A01D)
最終処分 取消  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 佐藤 昭喜
吉村 尚
登録日 1997-09-12 
登録番号 実用新案登録第2559011号(U2559011) 
権利者 株式会社クボタ
大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
考案の名称 収穫機の回収装置  
代理人 北村 修一郎  
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