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審決分類 審判 一部申し立て   B41J
管理番号 1020901
異議申立番号 異議1999-72417  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-11 
確定日 2000-07-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第2586991号「テープ印字装置」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2586991号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.本件考案
本件実用新案登録第2586991号(平成4年4月30日出願、平成10年10月9日設定登録。)の請求項1乃至5に係る実用新案登録(以下、「本件考案1乃至5」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 テープ送り機構と、テープ送り機構により送られたテープ上に文字等の印字を行う印字機構と、テープ送り機構によるテープ送り方向に沿って印字機構から所定距離だけ離間されるとともに印字機構よりも下流側に配設されたテープカッタ機構とを有するテープ印字装置において、
前記テープにおける文字等が印字される部分の前後に設定する余白を、予め決められた余白の大きさを表す複数の余白データとして表示する表示手段と、前記表示された複数の余白データの1つを選択設定するキーと、前記テープにおける文字等が印字される部分の前に少なくとも設定された余白を残すように前記テープ送り機構を制御し、前記テープにおける文字等が印字される部分の後ろに前記設定された余白を形成するように前記テープ送り機構を制御する制御手段とを備え、
前記複数の余白データの1つは前記印字機構とテープカッタ機構との間の所定距離と同一であり、前記キーにより、前記所定距離とほぼ同一に余白データが選択設定されたとき、前記制御手段は、前記テープの端から前記所定距離とほぼ同一の距離を残した位置から前記印字機構の動作と同期して前記テープ送り機構の動作を開始し、また、文字等の印字終了後、前記テープ送り機構により前記テープを、前記所定の距離のほぼ2倍送るように制御することを特徴とするテープ印字装置。
【請求項2】 前記複数の余白データの1つは前記印字機構とテープカッタ機構との間の所定距離よりも小さく、前記所定距離よりも小さい余白データを選択したとき、前記制御手段は、前記テープの端から前記所定距離よりも大きい距離を残した位置から前記印字機構の動作を開始し、印字動作後、前記テープ送り機構により前記テープを、前記余白データと前記所定距離の和だけ送るように制御することを特徴とする請求項1記載のテープ印字装置。
【請求項3】 前記所定距離よりも小さい余白データを選択したとき、前記制御手段は、印字開始端よりも前記余白データだけ前の位置が前記テープカッタ機構に達するように前記テープを送るように制御することを特徴とする請求項2記載のテープ印字装置。
【請求項4】 前記印字機構と前記テープカッタ機構との間に、印字機構により印字がなされたテープに、一面に剥離紙が貼着された両面粘着テープの他面の粘着面を圧着する圧着機構が配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のテープ印字装置。
【請求項5】 前記テープ及び両面粘着テープを内部に収納するとともに、テープ及び両面粘着テープの端部を外部へ露出させるテープカセットであって、装置に装着することにより、カセット外部へ露出しているテープを印字機構の印字位置に配置するとともに、テープ及び両面粘着テープを圧着機構の圧着位置に配置するテープカセットを備え、 前記圧着手段は、テープカセットに設けられた第1ローラと、装置側に設けられたローラであって、第1ローラと協働してテープに両面粘着テープの粘着面を圧着する第2ローラとから構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のテープ印字装置。」

2.申立ての理由の概要
異議申立人石塚輝は、本件考案1乃至3は、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、旧実用新案法第3条第2項の規定に違反し、実用新案登録を受けることができないものであり、平成6年法律第116号附則第9条第2項によって準用する特許法第113条第1項第2号に該当すると主張している。

3.甲第1号証に記載の考案
甲第1号証(特開平4-122660号公報)には、テープ印字装置に関して、下記の事項が図面とともに記載されている。
「 1. テープ状被印字媒体をテープ送りするテープ送り機構と、上記テープ状被印字媒体に印字を行う印字手段とを備え、所定のテープ切断実行位置でテープ状被印字媒体を切断するテープ印字装置であって、上記テープ状被印字媒体に上記印字が行われる位置に対する切断位置を入力する切断位置入力手段と、該入力した切断位置に基づいて、該入力した切断位置が上記テープ切断実行位置に達するように上記テープ送り機構にテープ状被印字媒体のテープ送りを行わせる切断実行位置テープ送り手段とを備えるテープ印字装置。」(特許請求の範囲)、「テープ印字装置1は、第2図に示すように、ハウジング7と、選字ダイヤル9と、液晶ディスプレイ(以後LCDと記す)11と、ファンクションキー群13とを備えている。ハウジング7の内部には、第3図に示すような印字機構部3と、テープカセット5と、第4図に示すような電子制御部15とが配設されている。……中略……。電子制御部15は、第4図に示すように、CPU41と、CG ROM43と、カラムドライバ45と、……を備えている。……中略……。選字ダイヤル9は、電子制御部15に所望のキャラクタデータを入力するためのものである。……中略……。ファンクションキー群13は、文字入力、印字、テープカット位置等の操作を行なうために用いられる。………印字キー13Aと、確認/実行キー13Bとが配設されている。」(第2頁下左欄9行?第3頁上右欄14行)、及び、「印字入力の終了後、次にテープカットか否かの判断を行う(S120)。テープカットか否かの判断は、前カット長さlが定数nより大きいか否かにより行なわれる。定数nは、第3図に示すように、サーマルヘッド27による印字開始位置PSとテープ切断実行位置との間隔の値である。 テープカットと判断した場合、つまり前カット長さlが定数nより大きい場合には、次にテープカットを行なう(S130)。ここでのテープカットは LCD11にテープをカットすることを求める表示を行なう処理である。これにより、操作者は、レバー37を操作して、テープカッタ35により、ラベルテープ25を、第7図に示すように、テープ切断実行位置で切断する。 テープカット後、次にl分だけテープ送りローラ駆動を行なう(S140)。 l分だけテープ送りローラ駆動は、確認/実行キー13Bが押されたら、定数nから前カット長さlを引いた値に対応するだけパルスモータ63を駆動して、ラベルテープ25をテープ送りすることである。 テープ送り後は、印字を行なう(S150)。印字は、ラベルテープ25のテープ送りに同期して、S110にて入力したキャラクタデータをサーマルヘッド27に出力することにより行なわれる。これにより、例えば、第7図に示すように、前切断端から「l」だけ離れた位置から印字が開始され、第6図に示すようなキャラクタが形成される。 一方、 S120にて、テープカットでないと判断された場合には、まず印字を行なう(S160)。ここでの印字は、S110にて入力したキャラクタデータを1キャラクタ単位で印字することを行なう。1キャラクタ印字後、次に前カット長さl分移動したか否かの判断を行なう(S170)。この判断は、定数nからS160の印字によって移動した距離Pを引いた値が前カット長さlになったか否かによって行なわれる。つまり、テープ切断実行位置が第7図に示すように印字前端から「l」の位置になったか否かの判断を行なう。 l 分移動するまで、S160による印字を行なう。l分移動した場合には、テープカットを行なう(S180)。このテープカットは、既述したS130のテープカットと同一処理である。 テープ力ット後、印字を行なう(S150)。ここでは、確認/実行キー13Bが押されたとき、S160によって印字されたキャラクタの残りを印字する。これにより、第6図に示すようなキャラクタの印字を完了させる。 キャラクタの印字の終了後、次にm分だけテープ送りローラ駆動を行なう(S190)。m分だけテープ送りローラ駆動は、第8図に示すように印字後端とテープ切断実行位置との実際の距離が「m」になるまでテープ送りする処理を行なうことである。 m分だけテープ送りの実行後、次にテープカットを行なって(S200)、本ルーチンを一旦終了する。」(第3頁下右欄3行?第4頁上右欄末行)が記載されている。

4.対比・判断
そこで、本件考案1と甲第1号証に記載された考案とを対比すると、甲第1号証考案に記載された「テープ送りローラ31」、「印字機構部3」、「テープカッタ35」、「液晶ディスプレイ11」、「余白データを設定する選字ダイヤル9」、「選字ダイヤルで前カット長さを入力してテープ送りをし、印字入力の終了後、テープの文字等が印字される部分の後ろに前記設定された余白を形成するように前記テープ送り機構を制御する手段CPU41」は、それぞれ、本件考案記載の「テープ送り機構」、「印字機構」、「テープカッタ機構」、「表示手段」、「表示された余白データを選択設定するキー」、「前記テープにおける文字等が印字される部分の前に少なくとも設定された余白を残すように前記テープ送り機構を制御し、前記テープにおける文字等が印字される部分の後ろに前記設定された余白を形成するように前記テープ送り機構を制御する制御手段」に相当するから、
本件考案1と甲第1号証に記載された考案とを本件考案の用語を使用して表現すると、両者は「 テープ送り機構と、テープ送り機構により送られたテープ上に文字等の印字を行う印字機構と、テープ送り機構によるテープ送り方向に沿って印字機構から所定距離だけ離間されるとともに印字機構よりも下流側に配設されたテープカッタ機構とを有するテープ印字装置において、前記テープにおける文字等が印字される部分の前後に設定する余白を、予め決められた余白の大きさを表す複数の余白データとして表示する表示手段と、前記表示された余白データを選択設定するキーと、前記テープにおける文字等が印字される部分の前に少なくとも設定された余白を残すように前記テープ送り機構を制御し、前記テープにおける文字等が印字される部分の後ろに前記設定された余白を形成するように前記テープ送り機構を制御する制御手段とを備え、余白データが選択設定されたとき、前記制御手段は、前記テープの端から余白データの距離を残した位置から前記印字機構の動作と同期して前記テープ送り機構の動作を開始することを特徴とするテープ印字装置。」で一致し、次の点で相違している。
相違点;本件考案1が次のa.及びb.の構成を有するのに対して甲第1号証に記載された考案はそのような構成を有しない点。
a.「前記所定距離とほぼ同一の距離を残した位置から前記印字機構の動作と同期して前記テープ送り機構の動作を開始する」点
b.「また、文字等の印字終了後、前記テープ送り機構により前記テープを、前記所定の距離のほぼ2倍送るように制御する」点
上記相違点a.及びb.については、参考資料(特開昭60-115481号公報)の記載を参酌しても、当業者が容易に想到することができる事項とは認めることができない。
そして、本件考案1は、上記の相違点に係る技術事項を備えることによって、本件登録明細書に記載されたとおりの「表示手段上に表示された複数の余白データの内、キーを介して選択設定された余白データが印字機構とテープカッタ機構との間の所定距離とほぼ同一の余白データである場合、制御手段を介して、テープの端から所定距離とほぼ同一の距離を残した位置から印字機構の動作と同期してテープ送り機構の動作が開始され、また、文字等の印字終了後にテープが所定距離のほぼ2倍送られるように制御される。かかる場合において、印字機構とテープカッタ機構との間に存在しているテープ部分は、印字部分の前に形成される余白としてそのまま利用され、テープ屑の発生を回避してテープの効率的使用を行うことが可能となり、また、設定された余白と所定距離とが一致することに基づき文字等の印字終了後には一律に所定距離の2倍だけテープを送ればよいことから、テープ送り制御も極めて簡単に行うことが可能となる。」という格別な作用効果を奏するものと認める。
(請求項2?3に係る考案について)
請求項2?3に係る考案は、請求項1に係る考案を更に限定したものであるから、上記請求項1に係る考案についての判断と同様の理由により、上記甲第1号証に記載の考案から当業者がきわめて容易に推考しうるものではない。
以上のとおり、請求項1乃至3に係る考案は、異議申立人が提出した甲第1号証に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。

5.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1乃至3に係る考案の実用新案登録を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1乃至3に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-07-05 
出願番号 実願平4-36725 
審決分類 U 1 652・ 121- Y (B41J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 上田 正樹  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 森林 克郎
市野 要助
登録日 1998-10-09 
登録番号 実用新案登録第2586991号(U2586991) 
権利者 ブラザー工業株式会社
愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番1号
考案の名称 テープ印字装置  
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