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審決分類 審判    H01F
管理番号 1024944
審判番号 審判1998-5324  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-04-02 
確定日 2000-04-26 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 67591号「変圧器の廃熱利用型融雪装置」拒絶査定に対する審判事件[ 平成 6年 4月 8日出願公開、実開平 6- 26219 ]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 【1】(手続の経緯・本願考案)
本願は、平成4年9月2日の出願であって、その請求項1に係る考案(以下「本願考案」という。)は、平成11年12月21日付けの補正書で補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】変圧器の絶縁油を該変圧器との間で強制循環させることにより冷却する油冷却器と、その油冷却器との間で冷却水を循環させることにより該油冷却器内の絶縁油から熱を奪う冷却ヘッダーと、その冷却ヘッダーの内部に該冷却ヘッダーの長手方向に間隔をあけて蒸発部が挿入され、かつ凝縮部が路面下にその面方向に一定の間隔をあけて埋設された複数本のヒートパイプとを備えていることを特徴とする変圧器の廃熱利用型融雪装置。」
【2】(引用例)
これに対し、当審における、平成11年10月1日付けで通知した拒絶の理由に引用した本願出願前に頒布された実願昭57ー90037号(実開昭59ー1723号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、本願考案と同じく、変圧器の廃熱を利用した融雪装置に関し、特に第6図の例につき、「図において廃熱を発生する電気機器を構成する変圧器20に変圧器20を冷却する冷却器21が付設されており、ヒートパイプ22の一端22aが冷却器21に接続され他端22bが融雪すべき部分、たとえば道路23表層下に埋設される。
上記のように構成されたものにおいては、変圧器20の内にある巻線鉄心等から発生する熱によって温度上昇した熱媒体である変圧器油は冷却器21によって冷却される際、その熱の一部がヒートパイプ22によって道路23へ輸送され雪7の融解に利用されることになる。」(引用例の公報第4頁第8行?第19行)、と記載されている。
該記載内容によれば、引用例には、
変圧器20の絶縁油を該変圧器との間で循環させることにより冷却する冷却器21と、その冷却器21と熱交換を行う、凝縮部が路面下に埋設されたヒートパイプ22とを備えている変圧器の廃熱利用型融雪装置、
が記載されている。
また、引用例の第10図、第11図、及び対応する説明箇所には、変圧器油を油循環ポンプ25で強制循環し、変圧器の廃熱を熱交換器を介してヒートパイプに伝える構成のものが記載されている。

【3】(対比)
本願考案と引用例に記載されたものとを対比すると、引用例における、
「変圧器20」、「冷却器21」、「ヒートパイプ22」は、それぞれ本願考案における、「変圧器」、「油冷却器」、「ヒートパイプ」に相当し、両者は、
変圧器の絶縁油を該変圧器との間で循環させることにより冷却する油冷却器と、該油冷却器との間で熱交換を行う、凝縮部が路面下に埋設されたヒートパイプとを備えている変圧器の廃熱利用型融雪装置、
で一致し、次の点で相違する。
1.本願考案においては、「変圧器の絶縁油を該変圧器との間で強制循環させ」ているに対し、引用例のものは、絶縁油を強制循環させているか否か、不明である点。
2.本願考案では、油冷却器とヒートパイプとの間での熱交換を、冷却ヘッダーを介して行っており、その構成として、「油冷却器との間で冷却水を循環させることにより該油冷却器内の絶縁油から熱を奪う冷却ヘッダーと、その冷却ヘッダーの内部に該冷却ヘッダーの長手方向に間隔をあけて蒸発部が挿入され、かつ凝縮部が路面下にその面方向に一定の間隔をあけて埋設された複数本のヒートパイプとを備えている」と限定しているに対し、引用例のものは、上記冷却ヘッダーを有さず、ヒートパイプは冷却器と直接熱交換を行う点。
【4】(当審の判断)
前記相違点について以下に検討する。
相違点1について、
引用例中には、第10図、第11図、及び対応する説明箇所に、変圧器油を油循環ポンプ25で強制循環したものが示されている以上、引用例第6図のものにおいても変圧器油を強制循環させることは、当業者がきわめて容易になし得るところと認められる。
相違点2について、
変圧器の廃熱を直接ヒートパイプに伝えず、熱交換器を介して伝達することは、引用例中、第10図、第11図に示されているから、引用例第6図のものにおいても、油冷却器の熱を直接ヒートパイプに伝える代わりに熱交換器を介在させることは、当業者が実施の際、適宜採用し得る設計変更に過ぎない。そして、ヒートパイプとの間で熱交換を行う構成として、長手方向に間隔をあけて複数本のヒートパイプを挿入したヘッダーに、熱伝達媒体として水を循環供給するようにした熱交換器の構成は、周知である(例えば、特開平1ー269837号公報参照)以上、油冷却器とヒートパイプとの熱交換を熱交換器を介して行う際に、上記周知の構成を採用して、本願考案と同様の構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得るところと認められる。
なお、審判請求人は平成11年12月21日付提出の意見書において、ヒートパイプの蒸発部が冷却ヘッダー内に直接挿入されているという構成によって、「ヒートパイプにおける挿入端部(蒸発部側端部)のコンテナが破損しても、その破片が絶縁油中に混入するおそれがなく、したがって変圧器の故障を未然に防止することができる」効果を奏する故、引用例のものとは相違する旨、主張しているが、既に述べた如く、引用例中には、変圧器の廃熱を直接ヒートパイプに伝えず、熱交換器を介して伝達する構成も併せて記載されており、引用例のものにおいても、該構成を採用することにより、本願考案と同様、上記効果を奏することは当然に予測し得るところと認められるから、審判請求人の上記主張は採用し得ない。
【5】(むすび)
したがって、本願考案は、引用例に記載されたもの及び周知事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるので、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。
よって結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-01-28 
結審通知日 2000-02-15 
審決日 2000-02-28 
出願番号 実願平4-67591 
審決分類 U 1 80・ 121- WZ (H01F)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 植松 伸二  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 西川 一
岩本 正義
考案の名称 変圧器の廃熱利用型融雪装置  
代理人 渡辺 丈夫  

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