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審決分類 審判    A47G
管理番号 1024947
審判番号 審判1998-603  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-01-08 
確定日 2000-04-21 
事件の表示 平成 3年実用新案登録願第 31965号「箸置きの要らない箸」拒絶査定に対する審判事件[ 平成 7年 7月11日出願公開、実開平 7- 36847 ]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 本件出願は、平成3年2月12日の実用新案登録出願であって、本件出願の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、補正された明細書及び図面(平成10年1月8日付け手続補正により補正されている。)の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものにあると認められる。
「長さの中央部の断面を円形とし、食物に触れる細い方の下側を、その円形を底とする先の細くなる円錐形とし、中央部の反対側の形状を、中央断面の円形に接し上側に向けてやや細くなる四角錐の一部の形に削り取った形状とし、テーブル卓上においた場合、四角側の上部がテーブル面に接して箸先を浮かし、食物に接する箸先を浮かす特性を持たせ、箸置きを必要としない箸。」
これに対して、当審で通知した拒絶の理由に引用した実願昭58-8919号(実開昭59-114072号公報)のマイクロフィルム(以下、引用例という。)には、「箸の中間の太さを頭の方と同じか、それ以上に太くして箸を置いた時、先端がテーブルの面に触れない事を特徴とする衛生的な箸。」が記載されており、この「衛生的な箸」に関し、上記引用例には、「第1図の中間部B部はA部と同じかそれ以上の太さにして、中間のB部からC部にかけてはふくらみをもたせず直線とすると、C部は完全に浮き上がる。こうすると、そのままテーブルの上においても先端にすき間がより広くでき、従来の箸に比較して、より衛生的になる。」(第1頁第17行?第2頁第2行)ことが記載されている。
そして、上記引用例の第1図の記載からみて、この衛生的な箸は、中間部から頭部にかけて錐形の一部の形(錐台形)であり、また、中間部から頭部と反対側の先端部にかけて錐形である形状をしていること、この衛生的な箸の中間部は箸の長さのほぼ中央部にあること、並びに、中間部から頭部にかけての錐形の一部の形(錐台形)をなす部分の体積が、中間部から頭部と反対側の先端部にかけての錐形をなす部分の体積よりも大きくなっていることが窺える。
そこで、本件出願の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたもの(前者)と、上記引用例に記載されたもの(後者)とを比較検討すると、上記の引用例に記載からみて、箸の中間の太さを頭部の方の太さ以上に太くした後者の衛生的な箸は、長さの中央部から頭部にかけて錐形の一部の形(錐台形)をなし、また、その中央部から頭部と反対側の先端部にかけて錐形をなし、そのままテーブルの上に置いた時、中間部から頭部にかけての部分はテーブル面に接し、中間部から先端にかけての部分はその先端を浮かしてテーブルの面に触れないようになっているものであると解することができ、中央部から頭部にかけての錐形の一部の形(錐台形)をなす部分の体積は、中央部から頭部と反対側の先端部にかけての錐形をなす部分の体積よりも大きいから、中央部から頭部と反対側の先端部にかけての錐形の一部の形(錐台形)側は、中央部から頭部にかけての錐形側よりも重いと解することができ、その先端部側は食物に触れる側であると解することができるから、前者と後者は、テーブル卓上においた場合、錘台形側の上部がテーブル面に接して箸先を浮かし、食物に接する箸先を浮かす特性を持たせ、箸置きを必要としない箸である点において一致し、前者が、中央部の断面を円形とし、食物に触れる側を中央部断面の円形を底とする円錐形とし、食物に触れる側と反対側を中央部断面の円形に接する四角錐の一部の形に削り取った形状としているのに対して、後者は、中央部の断面形状が特定されておらず、中央部の断面形状に接する食物に触れる側の錐形の形状と、中央部の断面形状に接する食物に触れる側と反対側の錐形の一部の形が特定されていない点で相違しているということができる。
しかしながら、中間部の断面を円形とし、食物に触れる先端側を中間部断面の円形を底とする円錐形とし、食物に触れる側と反対側の把持部(柄)を中間部断面の円形に接する四角柱とする箸の形状や、このような形状の箸が、高級な感じを与えるものとして、割烹店等において広く愛用されていることは、本件出願前より周知のことである(この点、必要ならば、例えば、特開昭63-62702号公報、実願昭61-138275号(実開昭63-43703号公報、)のマイクロフィルム、特開昭60-48712号公報等、参照。)から、後者の箸の形状として、中央部の断面を円形とし、食物に触れる側を中央部断面の円形を底とする円錐形とし、食物に触れる側と反対側を中央部断面の円形に接する四角錐の一部の形に削り取った、前者の如き形状とするようなことは、叙上のこの出願前の周知の箸の形状にならって、当業者が、極めて容易に為し得る程度のことであるといえる。
審判請求人は、当審で通知した拒絶の理由に対する意見書において、「引例の衛生箸の記述にある箸は、昔から『公知公用』であった一般の箸の形状であったと思われます。唯『箸の中間の太さ』を頭部以上の太さにする場合も規定の範囲に含まれていますが、本願の構造は全く別種のものであります。即ち、本考案で提唱する箸の如く、箸の重心の位置の著しい頭部側への偏りや使用した箸の先端部をテーブル面から離れた遠い位置にする等の手段に貢献するヒント等は全く示されていません。」(第2頁第12?15行)と主張しているけれども、叙上のとおりであるから、この意見書における審判請求人の主張は、採用することができない。
従って、前者は、後者に基づいて、当業者が極めて容易に考案できたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-01-31 
結審通知日 2000-02-15 
審決日 2000-03-01 
出願番号 実願平3-31965 
審決分類 U 1 80・ 121- WZ (A47G)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 豊原 邦雄鳥居 稔安井 寿儀  
特許庁審判長 寺尾 俊
特許庁審判官 冨岡 和人
岡田 和加子
考案の名称 箸置きの要らない箸  

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