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審決分類 審判    H01Q
管理番号 1024955
審判番号 審判1998-8655  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-05-29 
確定日 2000-04-27 
事件の表示 平成 3年実用新案登録願第107205号「携帯型無線通信機」拒絶査定に対する審判事件[ 平成 5年 7月 2日出願公開、実開平 5- 50816 ]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 理 由
1.手続の経緯及び本願各考案の要旨
本願は、平成3年12月2日の出願であって、その考案の要旨は、当審における平成11年6月30日付け拒絶理由に応答して、請求人が平成11年9月10日付けで意見書とともに提出した手続補正書によって最終的に補正した明細書の実用新案登録請求の範囲には、次の記号(a1)?(c1),(a2)?(c2)のとおり記載され、また考案の詳細な説明の欄には考案の目的効果に関して、記号(e)?(h)の記載が認められる(記号は参照のため付加したもの):
「【請求項1】
(a1) 本体を腰ベルトに着脱自在に取付可能であって、略直方体の本体の外部に延びるアンテナを有する携帯型無線通信機において、
(b1) アンテナを本体直方体の最大外面に垂直の軸回りにボスを介して本体に設けた段差面に回動自在に支持し、
アンテナ全体が本体に近接する収納位置から、アンテナを90°回転させて本体を横向きにしたときにアンテナが立つ状態と、さらにアンテナを90°回転させて本体を縦向きにしたときにアンテナが立つ状態との2つの状態でクリックにより軽く固定して使用可能とする
(c1) 携帯型無線通信機
【請求項2】
(a2) 本体を腰ベルトに着脱自在に取付可能であって、略直方体の本体の外部に延びるアンテナを有する携帯型無線通信機において、
(b2) アンテナを本体直方体の最大外面に垂直の軸回りにボスを介して本体に回動自在に支持し、アンテナ全体が本体に近接する収納位置から、アンテナを90°回転させて本体を横向きにしたときにアンテナが立つ状態と、さらにアンテナを90°回転させて本体を縦向きにしたときにアンテナが立つ状態との2つの状態でクリックにより軽く固定して使用可能とし、前記アンテナの回転軸を本体直方体の最小外面に平行な面内で僅かに傾けた
(c2) 携帯型無線通信機」。
(以下、【考案の詳細な説明】欄)
(e) 「アンテナを90°回動すれば・・・本体を横向きにして腰に固定すると、アンテナは垂直向きとなる。この場合、腰を屈曲しても無線機が人体に当ることがなく、相手局と偏波面を合わせることができる。」(【0014】欄)
(f) 「本体を腰に付けて使用するときに、電波の到達距離を短くすることなく、腰の屈曲を自由とすることができる。」(【0018】欄)
(g) 「不使用時にアンテナを収納することができ、本体を手にもって使用するときにアンテナを立てることもできる。」(【0019】欄)
(h) 「本体1を横向きにして腰に固定するとアンテナはデルタxの角度だけ人体から離れるので・・・腰をさらに楽に屈曲できるようになる。」(【0016】欄)。
本願明細書および図面、とくに以上に記号を付した記載を参照して、本願各考案の要旨は、前記【請求項1】欄および【請求項2】欄に記載されたとおりと認める(それぞれ、本願考案1、本願考案2という。)。ただし、本願考案1および本願考案2の各構成とその構成によって達成されるべき目的効果との関係については、次のとおりと認める(i) 本願明細書では、通信機を腰ベルトのどの位置に装着するのか登録請求の範囲に記載はなく、考案の詳細な説明の欄にも説明がない。図面(図1C)の腰の横ないし前付近に装着した例を観察する限り、人体がどのように屈曲してもアンテナが人体のどこにも触れないようには、到底見えない。とはいえ、腰の装着すべき部位を適宜調節する場合、アンテナが人体に触れにくい部位に固定できること自体は、推測し難いことではない。したがって、通信機と腰との具体的な位置関係は特定しないこと、通信機の使用方法を考案の必須構成要件と認めないことを前提として、腰ベルト上でアンテナを回動させる構造によって、人体に触れにくい、又は相手局と偏波面が合う位置にできること、すなわち前記(e),(f)は、本願考案1および本願考案2において期待することができる目的効果と認める。(ii) アンテナの位置(収納位置から90°回動させた位置、さらに90°回動させた位置)と通信機の使用状態(腰ベルトに装着するか、手に持つか)又は使用目的(偏波面の方向の一致、人体に触れないこと)との特定の関係は、本願各考案の要旨と認めない。(iii) 本願考案1(b1)中「アンテナを・・・本体に設けた段差面に回動自在に支持」した構成によれば、「不使用時にアンテナを収納することができ、本体を手にもって使用するときにアンテナを立てることもできる」と認められるから、前記(g)は、本願考案1における目的効果と認める。(iv) 本願考案2(b2)の「アンテナの回転軸を本体直方体の最小外面に平行な面内で僅かに傾けた」構成によれば、アンテナが一層人体に触れず、かつ送受信の妨げにならない状態で通信機を使用し得ると認められるから、前記(h)は、本願考案2における目的効果と認める。なお、Δxの具体的な角度の値は本願各考案の要旨と認めない。
2.引用考案
前記当審の拒絶理由に引用した、本願の出願前頒布された刊行物であることが明らかな実願昭62ー49124号(実開昭63ー155674号)の願書に添付された明細書および図面を撮影したマイクロフィルム(引用例という。)を、その実用新案登録請求の範囲に記載された事項とともに、従来の技術として記載された事項および応用技術として記載された事項の共通する部分も含めて参照すると、次の[a]?[c],[e]の記載が認められる:
[a] 「腰ベルトに装着して使用する」(第1頁産業上の利用分野欄)、「携帯用通信機器筐体2を腰ベルト1に装着するには、クリップ5と支持板4とが腰ベルト1を挟持するように取り付ければよい。」(第4頁18ー20行、第4図)、「第5図はアンテナ露出型通信機器及びその通信機器を腰ベルトに装着するための従来のホルダーを示す」(第7頁5ー7行、第5図)。
[b] 「面部に支持板が回動自在にリベット止めしてあり、前記リベットを中心とする同じ円周上に位置する複数の穴が前記支持板に所定間隔おきに設けてあり、前記支持板を押圧するクリップが前記支持板に軸着してある」(第1頁実用新案登録請求の範囲欄)、「アンテナ13が外に突出しているタイプの通信機器14の場合、第5図に示すように、通信機器14から分離独立したホルダー15を介して腰ベルトに装着する。」(2頁9ー12行)、「鋼球7を嵌合する穴9が第3図に示すように一定間隔おきに連接してあるので、腰ベルト1に対して直交する方向に固定してある携帯型通信機器用筐体2をリベット6を中心として時計回り及び反時計回りにそれぞれ最大90°まで回転させることができる(第2図)。」(第5頁3ー9行)、「腰ベルト1に対する傾斜角度を180°の範囲で自由に変化させることができる。」(第5頁18ー19行)。
[c] 携帯通信機器用筐体(第1頁考案の名称欄)。
[e] 「通信機器を使用しないときや、アンテナ内蔵型の通信機器の感度が悪くなったとき、腰ベルトに対する携帯通信機器筐体の傾斜角度を自在に変化させることができるので、アンテナ等が身体や机等に接触せず、アンテナ等の破損を免れるとともに、アンテナ内蔵型の通信機器の感度を良くすることができる。」(6頁考案の効果欄)。
上記[a]?[c]は、全体として単一の考案(引用考案という。)についての開示であり、同考案の構成に欠くことができない事項ということができる。引用例には「アンテナ露出型通信機器」のほかに「アンテナ内蔵型の通信機器」についても記載されている。両型はいずれも腰ベルトに装着されることを前提として「従来のホルダー」を有し、引用例の実用新案登録請求の範囲の記載ではアンテナ自体の型は特定していないから、前記引用考案の[a]?[c]の構成は、アンテナが「露出型」または「内蔵型」である通信機器のいずれにも組合せられることは明らかである。本審決では、主として「アンテナ露出型通信機器」の例を引用する。そして、前記[e]は引用考案によって達成される目的効果ということができる。とくに「アンテナ等が身体や机等に接触せず、アンテナ等の破損を免れる」目的効果は、アンテナを露出させるか内蔵するかに拘らず、その「傾斜角度を自在に変化させる」構成によって達成されると認められる。
3.本願考案1と引用考案との対比
本願考案1と引用考案とを構成要件ごとに対比する。
本願考案1の(a1)と引用考案の[a]とは、実質的に同一である(参考までに、腰バンドにアンテナを含む通信機を装着する構造自体は、引用考案のほか、実開昭59ー3637号公報および実願昭57ー98117号のマイクロフィルムや実開昭59ー177244号公報および実願昭58ー73285号のマイクロフィルム(例えば第10図)に見られるように周知であって、しかもこの周知の構造自体は、通信機器筐体とアンテナとの関係が、固定内蔵型であるか、露出型であるか、あるいは露出して可動であるかとは、関わりがない。)。
本願考案1の(b1)と引用考案の(b)とを対比すると、両者はともに、その主要な特徴である、アンテナを腰ベルトに装着したまま回動させる構造によって、人体または電波発信源に対する向きを180°の範囲で回動可能とする点で一致するが、前者が《1》アンテナを(腰に固定して装着せる通信機本体に対して)回動自在に支持する構成、および、《2》アンテナを本体直方体の最大外面に設けた段差面に支持(収納)する構成を有するのに対し、後者は上記《1》、《2》の構成を特定しない点で相違する。しかし、《1》については、一般に通信機器を人体のいずれかに取り付けて使用する場合、アンテナのみの位置を通信機器本体に対して調節するか、アンテナと通信機器とを一体として位置を調節するかは、通信機器本体およびアンテナの形状や大きさを考慮して、当業者がきわめて容易に選択することができる、単なる2者択一の問題(参考のために言えば、一般に通信機器を人体に装着する場合、アンテナを人間の動作の妨げとならない、あるいは通信機能に人体が影響しない位置に置く知見は、きわめて当然のものであり、この知見は人体の装着する部位が腰であるかその他であるかによって適用の困難性が左右されるとは認められない。特開平3ー29502号公報、実開平2ー84444号公報および実願昭63ー163019号のマイクロフィルム参照)に過ぎず、また《2》については、アンテナを通信機本体外面に設けた段差面に支持する構成自体が、携帯型通信機としてきわめて普通の構造(たとえば、実公昭63ー42588号公報、実公昭55ー39613号公報、実公昭55ー8970号公報、実開昭60ー32813号公報および実願昭58ー125737号のマイクロフィルム)であって、それら〉《1》、《2》の構成を単に寄せ集めたにすぎない前者の構成について、当業者が予測できない困難さは認められない。
本願考案1の(c1)と引用考案の[c]との相違は、単なる呼称表現上のものにすぎず、実質的に両者を区別することはできない。
以上、本願考案1と引用考案とを構成要件ごとに対比したところは、それぞれ呼称表現上の相違や設計上の些細な変更があるとしても、いずれも当業者がきわめて普通に予測することができたものにすぎない。
つぎに、考案ごとに全ての構成要件を総合し、あわせて考案の目的効果(本願考案1については前記(e),(f)および(g)の目的効果、引用考案については[e]の目的効果および構成[b]に補足して示したきわめて普通の構造によって当然得られる目的効果)について対比しても、当業者がきわめて容易に予測することができた範囲を出る相違はない。
4.本願考案2と引用考案との対比
本願考案2と引用考案とを構成要件ごとに対比する。
本願考案2の(a2)と引用考案の[a]とは、先に本願考案1の(a1)と引用考案の[a]との対比で検討したと同じく、実質的に同一である。
本願考案2の(b2)と引用考案の[b]とを比較すると、両者はともに、その主要な特徴である、アンテナを腰ベルトに装着したまま回動させる構造によって、人体または電波発信源に対する向きを180°の範囲で回動可能とする点で一致するが、前者が《3》アンテナを(腰に固定して装着せる通信機本体に対して)回動自在に支持する構成、および、《4》アンテナの回転軸を本体直方体の最小外面に並行な面内で僅かに傾けた構成を有するのに対し、後者はそれらの構成を特定しない点で相違する。しかし、《3》については、先に本願考案1の(b1)と引用考案の[b]との対比中の《1》について検討したと同じく、また《4》については、アンテナの軸を通信機本体の主たる外面と交差する方向に僅かに傾けることによって周囲物による物理的、電気的影響を受けにくくする自明の技術(実開昭58ー189643号公報および実願昭57ー87176号のマイクロフィルム)を単に携帯型無線通信機と人体との位置関係に転用したものにすぎず、《3》、《4》いずれも当業者が普通に予測できたというほかない。
本願考案2の(C2)と引用考案の[C]との相違は、単なる呼称表現上のものにすぎず、実質的に両者を区別することはできない。
以上、本願考案2と引用考案とを構成要件ごとに対比したところは、それぞれ呼称表現上の相違や設計上の些細な変更があるとしても、いずれも当業者がきわめて普通に予測することができたものにすぎない。
つぎに、本願考案2と引用考案とを、考案ごとに全ての構成要件を総合し、あわせて考案の目的効果(本願考案2については前記の(e),(f)および(h)、引用考案については[e]の目的効果および構成[b]に補足して示した自明の技術から当然に予測できる目的効果)について対比しても、当業者がきわめて容易に予測することができた範囲を出る相違はない。
5.むすび
以上のとおり、本願各考案は、引用考案や当分野における周知技術に基づいて当業者がきわめて容易になしえたものと認められ、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-01-28 
結審通知日 2000-02-15 
審決日 2000-02-29 
出願番号 実願平3-107205 
審決分類 U 1 80・ 121- WZ (H01Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 匡明甲斐 哲雄  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 稲葉 慶和
斎藤 操
考案の名称 携帯型無線通信  
代理人 柴田 昌雄  
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