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審決分類 審判    G06F
管理番号 1024956
審判番号 審判1998-18805  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-11-26 
確定日 2000-05-08 
事件の表示 平成 3年実用新案登録願第 37952号「入力用ペンの収納構造」拒絶査定に対する審判事件[ 平成 4年11月 9日出願公開、実開平 4-123426 ]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 (手続の経緯・本願発明)
本願は、平成3年4月23日の出願であって、その請求項1?5に係る考案は、平成9年10月31日付け、平成9年11月4日付け、平成10年12月28日付け手続補正書によって補正された明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「1.入力用ペンを用いて入力可能な表示部と、開閉可能な蓋とを有する電子機器の、上記蓋の一部に上記入力用ペンの本体部分を収納する収納部を形成し、
上記収納部は、上記入力用ペンの本体部分が上記収納部に収納され、且つ上記蓋が閉じられた状態において、上記入力用ペンの係止部分が外部に露呈する形状に形成されていることを特徴とする入力用ペンの収納構造。
2.上記収納部は、上記入力用ペンの断面形状に対応した形状であって、且つ上記電子機器本体の長手方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の入力用ペンの収納構造。
3.上記収納部は、上記入力用ペンの本体部分が上記収納部に収納された状態において、上記本体部分の側面の一部分が、外部に露呈する形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の入力用ペンの収納構造。
4.上記収納部の長さ寸法は、上記入力用ペンの長手方向の寸法と略同一に形成され、上記入力用ペンは、該入力用ペンの端面が上記蓋の端面に一致する状態で、上記収納部に収納されることを特徴とする請求項1に記載の入力用ペンの収納構造。
5.上記収納部は、上記蓋の一方の面に形成され、上記入力用ペンの本体部分を収納する第1収納部と、上記蓋の他方の面に形成され、上記入力用ペンの係止部分を収納する第2収納部とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の入力用ペンの収納構造。」
(なお、請求項2において、「上記収納部は、上記入力用ペンの断面形状に対応した形状であって、且つ上記収納部は、」は「上記収納部は、」の、「請求項2」は「請求項1」のそれぞれ誤記と認められるので、本願の請求項2に係る発明を上記のように認定した。)
(引用例)
これに対して、原査定の拒絶理由で引用した実願平1-11904号(実開平2-104455号)のマイクロフイルム(以下「引用例」という)には、「透明フイルムとガラスによる面抵抗座標分割式の入力位置検出装置と、その下に重ねて配置された液晶表示装置とからなり、手書き文字入力や液晶表示のメニュー入力等が可能な入力装置1、各種機能や10キー入力に使用されるキーシート2、入力装置1への文字入力やメニュー等の選択に使用され、入力装置1のフイルム表面にキズをつけないように軟質樹脂で作られ、本体ケース5の下部から押入して収納される文字入力用ペン3、押下により文字入力用ペン3が飛出すようになっているペン取出しボタン4、表示部と入力部を保護し、ペン取出しボタン4を覆って、携帯中の不意のペン飛出しを防止するカバー6を有する電子手帳。」が記載されている。
(第3頁第10行?第4頁第7行、第1図の各記載参照。)
(対比・判断)
(1)そこで、先ず、本願の請求項1に係る考案と 引用例に記載されたものとを対比する。
引用例に記載された「入力装置1」、「カバー6」、「電子手帳」のそれぞれは、本願の請求項1に係る考案の「表示部」、「蓋」、「電子機器」のそれぞれに相当するので、
両者は、「入力用ペンを用いて入力可能な表示部と、開閉可能な蓋とを有する電子機器の一部に上記入力用ペンの本体部分を収納する収納部を形成し、上記収納部は、上記入力用ペンの本体部分が上記収納部に収納され、且つ上記蓋が閉じられた状態において、上記入力用ペンの一部が外部に露呈する形状に形成されている入力用ペンの収納構造」である点で一致し、
本願の請求項1に係る考案が、収納部を蓋の一部に形成し、入力用ペンの本体部分が上記収納部に収納され、且つ蓋が閉じられた状態において、上記入力用ペンの係止部分が外部に露呈する形状に形成されるものとしているのに対して、引用例に記載されたものは、収納部を電子機器の本体ケースの下部に形成し、入力用ペンの本体部分が上記収納部に収納され、且つ蓋が閉じられた状態において、上記入力用ペンの端面が外部に露呈する形状に形成されるものとしている点で相違する。
そこで、上記相違点について検討する。
入力用ペンを用いて入力可能な表示部と、開閉可能な蓋とを有する電子機器において、上記入力用ペンの本体部分を収納する収納部を上記蓋の一部に形成し、上記入力用ペンの本体部分が上記収納部に収納され、且つ上記蓋が閉じられた状態において、上記入力用ペンの係止部分が外部に露呈する形状に形成されるものはすでに周知のこと(例えば、実願昭61-200715号(実開昭63-107055号)のマイクロフイルムの記載参照)であるから、本願の請求項1に係る考案は、上記引用例記載のものに上記周知事項を適宜適用して当業者が極めて容易に想到し得るものである。
(2)本願の請求項2に係る考案について、
本願の請求項2に係る考案と、引用例に記載されたものとを対比すると、両者は、(a)上記(1)の請求項1に係る考案と引用例に記載のものとの対比で述べた点で相違するともに、(b)請求項2に係る考案が、入力用ペンの収納部を、上記入力用ペンの断面形状に対応した形状であって、且つ電子機器の本体の長手方向に沿って形成するのに対して、引用例のものがそのようにしていない点で相違する。
そこで、上記相違点について検討する。
(a)の相違点については、上記(1)で述べたとおりである。
(b)の相違点について、
入力用ペンを用いて入力可能な表示部と、開閉可能な蓋とを有する電子機器において、上記入力用ペンの本体部分を収納する収納部を、上記入力用ペンの断面形状に対応した形状とすることは周知のことであり(例えば、特開昭64-25658号公報の記載参照)、また、上記収納部を、上記電子機器の本体の長手方向に沿って形成されるものとすることは引用例に記載されている。
してみれば、上記相違点を格別のものとすることはできない。
(3)本願の請求項3に係る考案について、
本願の請求項3に係る考案と、引用例に記載されたものとを対比すると、両者は、(a)上記(1)の請求項1に係る考案と引用例に記載のものとの対比で述べた点で相違するともに、(c)請求項3に係る考案が、収納部を、入力用ペンの本体部が上記収納部に収納された状態において、上記入力用ペンの側面の一部分が外部に露呈する形状に形成するのに対して、引用例のものがそのようにしていない点で相違する。
上記相違点について検討する。
(a)の相違点については、上記(1)で述べたとおりである。
(c)の相違点について、
入力用ペンを用いて入力可能な表示部と、開閉可能な蓋とを有する電子機器において、上記入力用ペンの本体部分を収納する収納部を、上記入力用ペンの本体部分が上記収納部に収納された状態において、上記本体部分の側面の一部分が、外部に露呈する形状のものとすることは周知のこと(例えば、実願昭61-200715号(実開昭63-107055号)のマイクロフイルム、特開昭64-25658号公報の各記載参照)であるから、上記相違点を格別のものとすることはできない。
(4)本願の請求項4に係る考案について、
本願の請求項4に係る考案と、引用例に記載されたものとを対比すると、両者は、(a)上記(1)の請求項1に係る考案と引用例に記載のものとの対比で述べた点で相違するともに、(d)請求項4に係る考案が、収納部の長さ寸法を、入力用ペンの長手方向の寸法と略同一に形成し、上記入力用ペンが、該入力用ペンの端面が蓋の端面に一致する状態で、上記収納部に収納されるのに対して、引用例のものはそのようにされていない点で相違する。
上記相違点について検討する。
(a)の相違点については、上記(1)で述べたとおりである。
(d)の相違点について、
入力用ペンを用いて入力可能な表示部と、開閉可能な蓋とを有する電子機器において、上記入力用ペンの本体部分を収納する収納部の長さ寸法を、上記入力用ペンの長手方向の寸法と略同一に形成し、上記入力用ペンが、該入力用ペンの端面が電子機器の上記収納部を形成した部分の端面に一致する状態で、上記収納部に収納することは周知のこと(例えば、特開昭64-25658号公報の記載参照)であるから、上記相違点を格別のものとすることはできない。
(5)本願の請求項5に係る考案について、
本願の請求項5に係る考案と、引用例に記載されたものとを対比すると、両者は、(a)上記(1)の請求項1に係る考案と引用例に記載のものとの対比で述べた点で相違するともに、(e)請求項5に係る考案が、収納部を、蓋の一方の面に形成し、入力用ペンの本体部分を収納する第1収納部と、上記蓋の他方の面に形成され、上記入力用ペンの係止部分を収納する第2収納部とから構成するのに対して、引用例のものがそのように構成されていない点で相違する。
そこで、上記相違点について検討する。
(a)の相違点については、上記(1)で述べたとおりである。
(e)の相違点について、
入力用ペンを用いて入力可能な表示部と、開閉可能な蓋とを有する電子機器において、上記蓋の一方の面に、上記入力用ペンの本体部分を収納する収納部(第1収納部)を形成し、上記蓋の他方の面に、上記入力用ペンの係止部分を位置させることは周知のこと(例えば、実願昭61-200715号(実開昭63-107055号)のマイクロフイルムの記載参照)であり、また、上記蓋の他方の面の上記係止部分が位置する部分に、上記係止部分を収納する収納部(第2収納部)を形成することは、上記蓋や上記係止部分の寸法等を考慮して適宜採用し得る単なる設計事項に属する程度のものであるから、上記相違点を格別のものとすることはできない。
(むすび)
したがって、本願の請求項1?5に係る考案は、引用例に記載された考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものと認められるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-02-14 
結審通知日 2000-02-25 
審決日 2000-03-07 
出願番号 実願平3-37952 
審決分類 U 1 80・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 山崎 慎一  
特許庁審判長 木南 仁
特許庁審判官 新川 圭二
治田 義孝
考案の名称 入力用ペンの収納構造  
代理人 杉浦 正知  

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