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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1024968
審判番号 審判1998-19130  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-12-07 
確定日 2000-06-26 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 76452号「飲料缶」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 7月14日出願公開、実開平 7- 37924]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 I.手続の経緯・本願考案
本願は、平成5年12月24日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成10年6月16日付け手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認められる。
【請求項1】缶の蓋に、開口予定部に沿った切り込み溝を設け、蓋に固定したプルタブを引き起すことによりプルタブの先端が、蓋の前記切り込み溝に囲まれた部分を缶の内側方向に押し込み、前記切り込み溝の部分が分断されて蓋に開口部を生じるが開口部の周囲の一部に、切り込み溝のない部分が有るため、前記切り込み溝に囲まれた部分は、缶の蓋から分離せずに缶の内部に曲げて押し込まれた形となり、その後一旦引き起したプルタブを邪魔にならぬように押し戻すことにより開缶するよう構成された、いわゆる「ステイオンタブタイプ」の飲料缶において、プルタブの引き起し部を「コの字形」の断面形状にするとともに指をかける穴を無くしたことを特徴とする飲料缶。

II.引用刊行物記載の考案
当審で平成11年7月27日付けで通知した拒絶の理由において引用した、実願昭61-153037号(実開昭63-59825号)のマイクロフィルム(以下、「引用刊行物1」という。)及び実願平4-32866号(実開平5-89231号)のCD-ROM(以下、「引用刊行物2」という。)には以下の点が記載されている。
(1)引用刊行物1
a)「第1図および第2図において、1はアルミニウム等から成る金属製の缶蓋であって、その周縁には缶胴(図示せず)の上端部に接合するための巻締め部分1aが折曲げ形成されている。2は開口具としての押込摘子であって、上記缶蓋1の一部を突出させて形成した支着部1bにより、缶蓋1にカシメ状態で支着されている。」(3頁12?18行、第1図、第2図参照。)
b)「1cは切裂開口部分であって、その周囲を脆弱加工(例えば肉厚を薄くする)した弱め線1dにより形成されており、この弱め線1dを切裂いて切裂開口部分1cを缶内に押込むことにより、缶蓋1を開口せしめるようになっている。尚、上記弱め線1dは連続部1d’において途切れており、切裂開口部分1cがこの連続部1d’を介して缶蓋1に繋っている。従って、切裂開口部分1cは完全に分離して缶内に落込んでしまうことはない。」(4頁7?15行)
c)「押込摘子2の引起し部2dの一側2d’(上記前端押込部2cの初期押込作用部2c’とは前記中心線Cに対して反対側に位置する)に対応する缶蓋1部分には凹部1fが形成されていて、上記押込摘子2の引起し部2dとの間に指先や爪等を入れ易いようにしている。」(5頁1?6行)
(2)引用刊行物2
a)「中央パネルと、該中央パネルに破断開口形状に刻設した開口用スコアと、該開口用スコアの破断を開始する破断開始部を先端部に備えて前記中央パネルの上面にリベットにより固着された開口用タブとが設けられて成るイージーオープン缶蓋において、前記開口用タブの後端部に、その両側縁から中央部に向かって中央パネル上面から次第に離反するように滑らかに湾曲する把持部を設けたことを特徴とするイージーオープン缶蓋。」(実用新案登録請求の範囲・請求項1)
b)「イージーオープン缶蓋12は、飲み口等を形成する際に、開口用タブ16の後端部17を手指等によって撥ね上げるが、開口用タブ16がリベット15によって中央パネル13上面に固着されているので、開口用タブ16の後端部17が中央パネル13に密着しているとそこに手指等を引っかけることが困難となる。【0008】そこで、従来、図3に示すように、開口用タブ16の後端部17の中央部に、中央パネル13の上面から離反するように屈曲して形成された把持部18が設けられる。【0009】このように、開口用タブ16の後端部に把持部18を設けることによって、開口用タブ16が中央パネル13に固着された状態であっても、把持部18と中央パネル13との間には常に間隔が形成されて手指等を引っかけ易くなる。【0010】しかし、前記把持部18は屈曲して形成されているためにその頂部に平坦部19が形成される。このため、該缶蓋12を保管や輸送する場合に複数の缶蓋12を積み重ねた際には、下方の缶蓋12の開口用タブ16の把持部18の平坦部19の端縁20、21が、上方の缶蓋12の中央パネル13の下面に当接して摩擦による傷付きが多く発生する不都合があった。」(4頁段落番号【0007】【0008】【0009】【0010】、第1図、第2図第3図参照。)

III.対比・判断
本願請求項1に係る考案と引用刊行物1記載の考案とを対比すると、後者の「缶蓋1」、「弱め線1b」、「押込摘子2」及び「引起し部2d」、は夫々前者の「缶の蓋」、「切り込み溝」、「プルタブ」及び「引き起し部」に相当し、後者の記載bを参酌すると、両者は「缶の蓋に、開口予定部に沿った切り込み溝を設け、蓋に固定したプルタブを引き起すことによりプルタブの先端が、蓋の前記切り込み溝に囲まれた部分を缶の内側方向に押し込み、前記切り込み溝の部分が分断されて蓋に開口部を生じるが開口部の周囲の一部に、切り込み溝のない部分が有るため、前記切り込み溝に囲まれた部分は、缶の蓋から分離せずに缶の内部に曲げて押し込まれた形となり、その後一旦引き起したプルタブを邪魔にならぬように押し戻すことにより開缶するよう構成された、いわゆる「ステイオンタブタイプ」の飲料缶において、プルタブの引き起し部に指をかける穴を無くしたことを特徴とする飲料缶。」である点で一致する。そして、開缶時、プルタブに指をかけ易くするために、前者では、「プルタブの引き起し部を「コの字形」の断面形状」としたのに対し、後者では「押込摘子の引起し部の一側に対応する缶蓋部分に凹部を形成」した点で相違する。
以下、相違点について検討する。
引用刊行物2記載の考案は、本願請求項1に係る考案及び引用刊行物1記載の考案と同じ「ステイオンタブタイプ」の飲料缶に関するものであり、開缶時、プルタブに指をかけ易くするために、開口用タブ(本願請求項1に係る考案の「プルタブ」に相当)の後端部の中央を、中央パネル(本願請求項1に係る考案の「缶の蓋」に相当)上面から離反するように「屈曲」(記載b)や「湾曲」(記載a)して形成する把持部を設けることが記載されている。本願請求項1に係る考案では、これを断面「コの字状」とした点で引用刊行物2記載のものとは相違するが、指かけ用の隙間をどのような断面形状とするかは当業者が適宜行いうる設計事項である。そして、引用刊行物1にはプルタブの引き起し部に指をかけ易くするという技術思想が開示されており、引用刊行物2には本願請求項1に係る考案と構成を同じくする引き起し部が記載されているのであるから、前者に後者を適用して本願請求項1に係る考案をなすことに格別の困難性があるとはいえない。
請求人は意見書において、引き起し部を断面「コの字状」としたことにより、(a)引き起こし端に爪ではなく指の肉がかかる、(b)曲げモーメントに対して十分な剛性と強度を有する、(c)ぶつけてもつぶれない、という引用刊行物1及び2記載の考案にはない効果を奏すると主張する。しかしながら、(a)については、引用刊行物1には「指先や爪等を入れ易い」(記載c)、引用刊行物2には「手指等を引っかけ易くなる」(記載b)との記載があり、(b)については、断面「コの字状」とすることによる予測しうる範囲内の効果であり、(c)については、引用刊行物2における「頂面に平坦部が形成された屈曲」(記載b)により同様の効果を奏するものであるから、これらの主張は理由がない。

IV.むすび
したがって、本願請求項1に係る考案は引用刊行物1及び引用刊行物2記載の考案に基づいて、当業者がきわめて容易に想到することができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-04-14 
結審通知日 2000-04-28 
審決日 2000-05-09 
出願番号 実願平5-76452 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原 慧  
特許庁審判長 佐藤 雪枝
特許庁審判官 鈴木 美知子
森林 克郎
考案の名称 飲料缶  
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