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審決分類 |
審判 G01M |
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管理番号 | 1024974 |
審判番号 | 審判1998-20405 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-12-24 |
確定日 | 2000-05-08 |
事件の表示 | 平成 4年実用新案登録願第 86136号「ドライバーズエイド」拒絶査定に対する審判事件[ 平成 6年 6月24日出願公開、実開平 6- 46351 ]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願考案 本願は、平成4年11月21日にされた実用新案登録出願であって、その請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)は、平成11年1月22日付け手続き補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「表示画面に、自動車の速度変化に合わせた加速、減速の状態を含んでいるモード運転の走行速度パターンを表示し、また同時に前記表示画面に前記走行速度パターン中の速度変化に合わせて変化する背景を表示するように構成してあるドライバーズエイド。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された実願平1-78898号(実開平3-17538号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、 「シャシ・ダイナモメータ上で行われる車両のモード走行試験のための運転パターンを、ビデオによって表示する車両用パターン走行表示装置」(実用新案登録請求の範囲)に関し、 「第1図において、1は試験車両で、シャシ・ダイナモメータ2の上に置かれ、ここで走行試験が行なわれる。3は表示制御装置、4は表示要素である。これは表示制御装置3と分離して設置されてあり、試験車両1内の運転者から容易に見える位置に設置されてある。 そして、表示制御装置3から送られてくるビデオ信号により、運転パターンがこの表示装置4に表示される。ここに表示される運転パターンPは時間とともに変化していく。 表示要素4にはたとえば横軸に車速軸とする座標に運転パターンPの映像が表示される。またこの運転パターンPの他に指標Mの映像が表示される。シャシ・ダイナモメータ2からその実車速に応じた信号が表示制御装置3に送られ、これに基づいて前記指標Mが、表示要素4の車速軸方向に移動する。 したがってアクセル、変速器などを適当に操作して、左右に移動する指標Mで運転パターンPを追跡するようにすれば、試験車両1を定められたパターンにしたがって容易に運転することができるようになる。」(明細書第4頁第9行?第5頁第11行)と、記載されている。 また、第1図を参照すると、表示要素4中において、横軸に車速軸とする座標があり、運転パターンPは、縦軸に平行な部分と斜線部分から成っていることから、縦軸に平行な部分は運転パターンPの一定速度の部分を、斜線部分は運転パターンPの加速あるいは減速部分を表現するものと認められる。 同じく引用された特公昭55-22108号公報(以下、「引用例2」という。)には、 「運動具を操作する人の前方に設けられたスクリーンに該運動具の基準操作速度に対応する速度で変化する画面並びにその画面中に上記基準操作速度を表示するグラフを投映し、かつ上記グラフの近傍に運動具の実際の操作速度を表示する手段を設けたことを特徴とする室内運動装置。」(特許請求の範囲)が記載され、従来の室内運動装置においては、「単純な動作の繰返しであるために長時間に亘る運動は精神的苦痛が大きかった。従って本発明は上述のような精神的苦痛を緩和する」(第1欄第34行?第37行)ものであることが記載されている。 また、その実施例として、「この運動具を操作する人の前方にテレビジョン受像機のスクリーン9を設置し、ビデオテープレコーダ10の出力信号と上記発電機8の出力とを合成器11で合成して、上記受像機に加えてある。ビデオテープレコーダ10は例えば道路を自転車で走行して前方の風景を撮像したもので、その再生画面12の適当な位置に走行速度に比例した高さのグラフ13が現れるように、このグラフのビデオ信号が重畳されている。かつ上記自動車は運動具1の基準操作速度に比例した速度で走行して撮像を行ったものであるから、運動具1を上記グラフ13の高さに対応する速度で操作すると、画面の変化が例えば自転車で道を走行した場合の風景の変化に対応する。」(第2欄第10行?第23行)こと、 「グラフ14の高さがグラフ13と一致するように操作速度を調整することによって常に基準操作速度を保持することができる。すなわち運動の開始から終了に到るまでの基準グラフ13の高さの変化を予め適当に設定し操作速度の変化を規定して適切な運動を行い得るものである。」(第2欄第28行?第34行)こと、 「本発明の運動装置は、運動具の基準操作速度に対応した速度で変化する画面を見ながら運動することができる。従って極めて快適に長時間の運動を持続し得るものである。しかもその画面に基準操作速度を示すグラフが現れると共に実際の操作速度がその近傍に表示されることから、これを前記グラフに合わせることによって、運動の開始から終了までをその経過時間あるいは地形等に応じて常に適切な基準の速度で操作することができる。このため極めて高い運動効果が得られる。」(第4欄第8行?第18行)ことが、記載されている。 3.対比 そこで、本願考案と引用例1記載の考案とを対比する。 引用例1記載の考案における、「表示要素4」、「車両用パターン走行表示装置」は、それぞれ本願考案の「表示画面」、「ドライバーズエイド」に相当し、また、引用例1記載の考案の「運転パターンP」は、加速あるいは減速の状態を含むものであるから、本願考案の「自動車の速度変化に合わせた加速、減速の状態を含んでいるモード運転の走行速度パターン」に相当する。 したがって、本願考案と引用例1記載の考案は、「表示画面に、自動車の速度変化に合わせた加速、減速の状態を含んでいるモード運転の走行速度パターンを表示するように構成してあるドライバーズエイド。」である点で両者は一致するが、本願考案が、「同時に表示画面に前記走行速度パターン中の速度変化に合わせて変化する背景を表示するように構成してある」のに対し、引用例1記載の考案は、この構成を備えていない点で相違している。 4.当審の判断 次に上記相違点について検討する。 引用例2をみると、設定した基準操作速度を表示するグラフと、基準操作速度に対応する速度で変化する画面を同時に表示する表示装置が開示されている。そしてこれは、単純な動作の繰り返しであることによる精神的苦痛を緩和し、極めて快適に運動を持続し得るために行っているもので、設定値に対応して画面を変化させるという技術思想を開示するものである。 引用例1記載の車両用パターン走行表示装置と引用例2記載の表示装置は、ともに車両を操作するための基準となる速度を表示する点で共通し、精神的苦痛ないし疲労を軽減させようとすることは、単調な操作を繰り返す作業に共通する一般的課題であるから、当業者であれば、引用例2記載の表示装置における設定値に対応して画面を変化させるという技術思想を、引用例1に記載の車両用パターン走行表示装置に適用することに困難性はない。 また、引用例1記載の車両用パターン走行表示装置において表示している運転パターンは、加速、減速の状態を含んでいるものであることから、引用例2記載の上記技術思想を引用例1記載の車両用パターン走行表示装置に適用するに際して、加速、減速の状態にも合わせて画面が変化するようにすることは、当業者にとって当然採用し得ることにすぎない。 また、本願考案の作用効果についても、引用例1及び2に記載の事項からみて、格別なものとは認められない。 5.むすび 以上のことから、本願考案は、引用例1及び2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-02-02 |
結審通知日 | 2000-02-18 |
審決日 | 2000-03-01 |
出願番号 | 実願平4-86136 |
審決分類 |
U
1
80・
121-
Z
(G01M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 江成 克己、新井 重雄 |
特許庁審判長 |
伊坪 公一 |
特許庁審判官 |
阿部 綽勝 住田 秀弘 |
考案の名称 | ドライバーズエイド |
代理人 | 藤本 英夫 |