• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02M
管理番号 1024988
審判番号 審判1998-14827  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-09-17 
確定日 2000-05-30 
事件の表示 平成4年実用新案登録願第84177号「車両の燃費改善器具」拒絶査定に対する審判事件[平成6年5月20日出願公開、実開平6-37551]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成4年10月23日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成11年10月22日付けの手続補正書によって補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願考案」という。)
「筒形磁性体の内側に断面が円弧状の永久磁石をお互いに吸引するように配置し、筒形磁性体の内側に占める永久磁石の割合を8割程度とし、筒形磁性体内部空間に均一な磁界を生じさせ、吸気がこの磁界内を磁界に対して垂直に通過する構造とし、また、筒形磁性体の外形を吸気ダクト内面の形状に適合させ少し力を入れると吸気ダクト内に挿入できる程度の外形で筒形磁性体の長さを10cm程度として、取り付けに伴う吸気抵抗の影響を少なくした車両用燃費改善器具。」

2.引用例
これに対して、当審における拒絶の理由に引用された実願昭59-95479号(実開昭61-13143号)のマイクロフィルム(以下、「第1引用例」という。)には、
明細書第2頁第5行?第3頁第3行の『[従来の技術]ガソリン,重油,軽油,灯油や各種ガス等に対して磁気エネルギーを与えて磁界処理することによって、これらの燃焼効率が良くなり、燃料の節約や煤塵の減少による公害防止が図れることが認識されており、また各種内燃機関等に送る空気に対しても磁気エネルギーを与えて磁界処理することによって、燃焼効率が良くなり、燃料の節約や煤塵の減少による公害防止が図れることが認識されている(出願人が有する特許第1172559号)。かかる気体や液体等の磁界処理装置は、通常一対の永久磁石と、この永久磁石を対向させて気体や液体等の流路に取り付ける取付枠とをもって構成される磁界処理装置により行なわれる。この磁界処理装置における取付枠にあっては、対向するN極,S極の永久磁石とともに磁気回路を形成することが好ましいと考えられており、取付枠を強磁性体である鉄で形成し、或いはステンレス,アルミニュウム等で形成している。』なる記載、同第4頁第1?4行の『従来は永久磁石の磁気エネルギーが取付枠から外界へ漏れないようにするために、取付枠を強磁性体である鉄やステンレス等で形成し、磁気回路を閉回路に構成していた。』なる記載、及び第1?3図の記載内容(当該第1?3図において、取付枠3,4を反磁性体でなく、強磁性体によって形成したものが、上記[従来の技術]に対応する。)等からみて、
「強磁性体で形成される筒形取付枠の内側に断面が四角状の永久磁石をお互いに吸引するように配置し、強磁性体で形成される筒形取付枠内部空間に磁界を生じさせ、吸気がこの磁界内を磁界に対して垂直に通過する構造とし、また、強磁性体で形成される筒形取付枠及び強磁性体で形成される筒形取付枠の内側に配置される断面が四角状の永久磁石を、流路を形成するパイプの外部に配置した磁界処理装置。」
が記載され、
明細書第7頁の(実験データー)を見ると、『自動車に適用される従来の磁界処理装置によって燃費改善・登坂速度(速度)向上が図れる。』旨の記載がある。
同じく引用された実願昭59-14128号(実開昭60-127467号)のマイクロフィルム(以下、「第2引用例」という。)には、
明細書第1頁第17行?第2頁第2行の『また各種内燃機関等に送る空気に対しても磁気エネルギーを与えて磁界処理することによって、燃焼効率が良くなり、燃料の節約や煤塵の減少による公害防止が図れることが認識されている(出願人が有する特許第1172559号外)。』なる記載、同第5頁第3?9行の『第3図は、流路2が第1図に示す実施例と同様にパイプ1で構成されている場合の他の実施例を示すもので、パイプ1の途中の内面に永久磁石5,6を気体,液体等の流れ方向に一定間隔をおいてヨーク7により固定し、この永久磁石5,6によりパイプ1の途中の内部に凹凸を形成し、この凹凸をもって凝集部4としている。』なる記載、及び第3,4図の記載内容等からみて、次の事項が記載されている。
磁界処理装置において、
(1)断面が円弧状の永久磁石5,6を配置したヨーク7を、パイプ1の内部に配置すること。
(2)ヨーク7の外形をパイプ1内面の形状に適合させ少し力を入れるとパイプ1内に挿入できる程度の外形とすること。

3.対比
本願考案と第1引用例に記載された考案とを対比すると、後者の「強磁性体で形成される筒形取付枠」,「流路を形成するパイプ」,「磁界処理装置」は、それぞれ、その機能からみて、前者の「筒型磁性体」,「吸気ダクト」,「車両用燃費改善器具」に相当する。
したがって、両者は、
「筒型磁性体の内側に永久磁石をお互いに吸引するように配置し、筒形磁性体内部空間に磁界を生じさせ、吸気がこの磁界内を磁界に対して垂直に通過する構造とした車両用燃費改善器具。」
の点において一致し、以下の点で相違する。
前者が、「筒形磁性体の内側に配置する永久磁石の断面形状を円弧状とし、筒形磁性体の内側に占める永久磁石の割合を8割程度とし、筒形磁性体内部空間に均一な磁界を生じさせ、また、筒形磁性体の外形を吸気ダクト内面の形状に適合させ少し力を入れると吸気ダクト内に挿入できる程度の外形でその長さを10cm程度として、取り付けに伴う吸気抵抗の影響を少なくした」のに対し、
後者が、「筒形磁性体の内側に配置する永久磁石の断面形状を四角状とし、筒形磁性体の内側に占める永久磁石の割合を明示しておらず、筒形磁性体内部空間に磁界を生じさせるが、均一な磁界を生じさせるものではなく、また、筒形磁性体及び永久磁石を吸気ダクトの外部に配置するものであり、筒形磁性体の長さを明示していない」点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
本願考案が、吸気ダクトの内部に永久磁石を配置するものであるのに対し、第1引用例に記載された考案は、吸気ダクトの外部に永久磁石を配置するものである。
しかしながら、吸気ダクトの内部に永久磁石を配置する事項は、第2引用例に記載されている。
そして、第2引用例には、パイプ1の内部に永久磁石5,6を配置するに当たり、「ヨーク7に断面が円弧状の永久磁石5,6を配置し、また、ヨーク7の外形をパイプ1内面の形状に適合させ少し力を入れるとパイプ1内に挿入できる程度の外形とする」事項が記載されているから、引用例1に記載された考案において、吸気ダクトの内部に永久磁石を配置することを目的として、引用例2に記載された上記事項を適用し、本願考案のような構成とする程度のことは、必要に応じて当業者が格別困難なくなし得ることにすぎない。
(なお、「筒型磁性体の内側に占める永久磁石の割合を8割程度とする」事項、及び「筒型磁性体の長さを10cm程度とする」事項は、上記適用に当たり、当業者が適宜選定する単なる設計事項にすぎない。そして、上記事項による「筒型磁性体内部空間に均一な磁界を生じさせる」、及び「取り付けに伴う吸気抵抗の影響を少なくする」という作用・効果も予測し得る範囲内のものである。)

5.むすび
したがって、本願考案は、第1及び第2引用例に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-03-22 
結審通知日 2000-03-31 
審決日 2000-04-11 
出願番号 実願平4-84177 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (F02M)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 高木 進  
特許庁審判長 西野 健二
特許庁審判官 飯塚 直樹
清水 信行
考案の名称 車両の燃費改善器具  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ