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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09B
管理番号 1025001
審判番号 審判1998-18807  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-11-27 
確定日 2000-07-12 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 18996号「車載用ナビゲーション装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 9月28日出願公開、実開平 5- 71867]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続きの経緯、本願考案
本願は、平成4年2月28日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成11年12月24日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】地図情報を記憶した記憶媒体からデータを読み出す記録媒体読取装置、地図上のカーソル移動およびシステムの操作を行う入力装置、記録媒体読取装置で読み出されたデータおよび入力装置から入力されたカーソルの位置情報に基づき地図および地図上のポイントを指し示すカーソルをビデオメモリ上に描画し表示装置に表示する映像処理装置、および装置全体を制御するシステムコントローラを備えた車載用ナビゲーション装置において、表示装置に表示され前記カーソル移動の操作を行う入力装置により任意の位置に移動され、地図上のポイントを指し示すカーソルの寸法が地図上の距離を表示することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。(以下、「本願考案」という。)
2.引用例
これに対して、当審における拒絶理由に引用した特開昭62ー153889号(以下、「引用例1」という。)には、
「本発明は地図情報をデジタル化して所定の記憶媒体に記憶させ、記憶媒体から読み出され、画像信号に変換された地図情報を表示装置に表示する車両ナビゲーション装置において、表示装置に表示された地図を拡大するとき操作される拡大キーと、表示装置に表示された地図を縮小するときに操作される縮小キーと、表示装置に表示された地図を上下左右に移動させるとき操作されるスクロールキーとを設け、拡大キー又は縮小キーを操作したとき表示装置に表示された拡大又は縮小の範囲を示すカーソルの大きさを変化させるとともに、スクロールキーを操作したときカーソルを表示装置の略中央に位置させたまま地図を所定方向に移動させるようにし、もって簡単な操作により地図を見ながら所定点の検索ができるようにしたものである。」(第1頁右下欄5行?第2頁左上欄1行)
「第1図は本発明の車両ナビゲーション装置のブロック図である。同図において1は記録媒体あるいは記憶媒体としてのCD-ROM(そのドライブ装置を含む)でありディジタル化された地図情報が記録されている。CD-ROM1からのデータはインターフェース2、アドレスバス3、データバス4などを介してメモリ(RAM)5に記憶されるようになっている。6はインフォメーションプロセッサ(CPU)であり、種々の画像データ処理を行うとともに、キーボード12、そのインターフェイス13を介して入力される指令に対応して周辺機器の制御も行うようになっている。7は地磁気等から車両の方位を検知する方位センサ、8は車両の速度を検出する速度センサである。9はGPS(Global Positioning system)装置であり、緯度、経度情報などから車両の現在位置を検出する。10はナビゲーションプロセッサ(CPU)であり、方位センサ7、速度センサ8などのデータの補正や、それらのデータから車両の移動量を演算したり、またGPS装置9が緯度、経度情報を検出できない場合等に、設定入力されたデータから現在位置を演算する。あるいはまた設定入力された現在地をGPS装置9からの情報に対応して補正処理する。プロセッサ10とプロセッサ6とは相互にデータの送受が可能になっている。11はこれらのプロセッサ6、10のプログラムその他必要な情報を記憶するROM、14は各回路、手段、装置等に必要なタイミング信号を供給するコントロールロジックである。15はグラフィックディスプレイコントローラ(GDC)であり、メモリ5から必要なデータを読み出し、メモリ(VRAM)16、17に所定の画像を描画する。18はメモリ16、17のうち一方からのデータを選択し、パラレル信号からシリアル信号に変換するパラレル/シリアル(P/S)変換回路である。19は色変換回路としてのカラーパレットレジスタであり、P/S変換回路18から供給される映像信号中の3ビットの色信号を、予め指定された5ビットの色信号に変換する。色信号が変換された映像信号はメモリ(VRAM)20に、さらにメモリ20からメモリ(VRAM)21に転送され、メモリ21に記憶された映像信号が赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色各々のD/A変換回路26、27、28によりディジタル信号からアナログ信号に変換され、CRT等の表示装置29に表示される。」(第2頁右上欄14行?同右下欄末行)
「第2図はキーボード12の構成を示している。同図に示すごとく、各操作キーは表示装置29の外周に配置されている。51はナビゲーション動作を実行するとき操作されるナビゲーション(NAVI)キー、52は表示装置29に操作の説明画像を出力するとき操作されるヘルプ(!)キーである。53はガイド(GUIDE)キーであり、駐車場、ホテル、ガソリンスタンドなどのシンボルを地図上に表示するとき操作される。54は目的地(DEST)キーであり、目的地を設定するとき操作される。55はセット(SET)キーであり、表示装置29に表示されたカーソルにより指定された項目や、地図上の位置を登録するとき操作される。56はキャンセル(CANCEL)キーであり、限られた所定の画面において操作すると、画面が1つ前の画面に戻るようになっている。57は縮小キー、58は拡大キーであり、各々表示装置29に表示された地図を縮小または拡大するとき操作される。59はスクロールキーであり、上下、左右にカーソルを移動させるとき各々キー59aないし59dが操作される。」(第3頁左上欄13行?同右上欄13行)
「キャンセルキー56が操作されないとき、次に現在地がセット済みであるか否か判断される。現在地がセット済みである場合、その現在地を中心とした予め設定された縮尺(この場合1/20万)の地図が表示装置29に表示される。現在地がセットされていない場合、予め定められた所定地が仮の現在地とされ、その位置を中心とする予め定められた縮尺(この例の場合1/20万)の地図が表示される。表示装置29に地図が表示されると次に入力キーの判断が行われ、入力されたキーに対応して縮尺セット、カーソル移動、セット、地名ガイドセット、キャンセル等の処理が各々行われる。」(第4頁左上欄2?14行)
「スクロールキー59を操作したとき地図ではなくカーソルを移動させるようにすることも可能である。しかしながらそのようにすると例えば所定の目的地を捜しながらカーソルを移動させる場合、目的地が表示されている地図の外にあることが判ったとき、表示されている地図を書き直させるための操作が別途必要になり、操作が途切れ、操作性が悪化する。そこで実施例のようにカーソルを画面の略中央に固定し、地図を移動させるようにし、スクロールキー59を連続的に操作するだけで目的地を捜すことができるようにするのが好ましい。」(第4頁右下欄19行?第5頁左上欄10行)
が記載されている。
したがって、上記引用例1には次のような考案が記載されているものと認められる。
「地図情報を記憶した記録媒体(CD-ROM1)のドライブ装置、表示装置の外周に配置される地図を移動のためのスクロールキーを含む各操作キーを有するキーボード12、記録媒体から読み出された地図情報及びキーボードのスクロールに基づいて地図及び地図上のポイントを指し示すカーソルをメモリ(VRAM)16、17に所定の画像を描画し表示装置29に表示するグラフィックディスプレイコントローラ15、及び装置全体を制御するインフォメーションプロセッサ6を有する車両ナビゲーション装置において、表示装置29に表示され地図移動の操作を行うキーボード12により任意の位置にカーソルが移動される車両ナビゲーション装置」、また、上記車両ナビゲーション装置において、スクロールキー59を操作したとき地図ではなくカーソルを移動させることも可能である点。
同じく当審における拒絶理由に引用した実願昭63-160257号(実開平2-81564号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、ナビゲーション用地図の表示装置において、現在走行位置を中心としてに選択された半径の円が表示され、その半径の大きさは同時に画面の隅の半径表示部に表示し、距離感覚が一目で解るようにした点が記載されている。
3.対比・判断
本願考案と引用例1の考案を対比すると、引用例1の「記録媒体(CD-ROM1)のドライブ装置」、「キーボード12」、「グラフィックディスプレイコントローラ15」、「インフォメーションプロセッサ6」は、本願考案の「記録媒体読取装置」、「入力装置」、「映像処理装置」、「システムコントローラ」に各々相当するものと認められるので、両者は、地図情報を記憶した記憶媒体からデータを読み出す記録媒体読取装置、地図上のカーソル移動およびシステムの操作を行う入力装置、記録媒体読取装置で読み出されたデータおよび入力装置から入力されたカーソルの位置情報に基づき地図および地図上のポイントを指し示すカーソルをビデオメモリ上に描画し表示装置に表示する映像処理装置、および装置全体を制御するシステムコントローラを備えた車載用ナビゲーション装置において、表示装置に表示され前記カーソル移動の操作を行う入力装置により任意の位置に移動され、地図上のポイントを指し示すカーソルを有することを特徴とする車載用ナビゲーション装置である点で一致し、本願考案がカーソルの寸法が地図上の距離を表示するのに対し、引用例1の考案はそのような表示がない点で相違しているものと認められる。
上記相違点について検討すると、上記引用例2に記載の「現在走行位置を中心としてに選択された半径の円」は、本願考案の「カーソル」に相当するので、上記引用例2には車載用ナビゲーション装置において地図上のポイントを示すカーソルの寸法が地図上の距離を表示する点が記載されていると認められる。また、引用例1、2は車載用ナビゲーション装置として共通の技術分野のものである。したがって、この引用例2の技術を引用例1のような車載用ナビゲーション装置に適用することに当業者が格別な困難性を要するものということはできない。そして、上記組み合わせる点に格別な効果を見出すこともできないから、引用例1のような車載用ナビゲーション装置おいて上記引用例2の技術を適用することは、当業者がきわめて容易に推考しうる程度のことというべきである。
4.むすび
以上のとおりであって、本願考案は、上記引用例1、2に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-04-20 
結審通知日 2000-05-09 
審決日 2000-05-22 
出願番号 実願平4-18996 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (G09B)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 平井 聡子深田 高義  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 鈴木 寛治
新井 重雄
考案の名称 車載用ナビゲーション装置  
代理人 柴田 昌雄  

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