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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47L |
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管理番号 | 1025031 |
審判番号 | 審判1999-13981 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-08-26 |
確定日 | 2000-08-30 |
事件の表示 | 平成5年実用新案登録願第74605号「洗浄機」拒絶査定に対する審判事件[平成7年7月11日出願公開、実開平7-37033]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願考案 本願は、平成5年12月27日の出願であって、その考案は、平成12年5月19日付け手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。 「請求項1 本体箱内に設けた洗浄室内に噴射ノズルを設け、この噴射ノズルから加熱した洗浄液を噴射して前記洗浄室内に収容した被洗浄物の洗浄を行うようにしたものにおいて、前記本体箱の天井板にカートリッジ収容室が形成され、このカートリッジ収容室の底面に形成された開口が、前記洗浄室内に収容された被洗浄物の直上からは外れた位置においてこの洗浄室の上方に臨んでおり、前記カートリッジ収容室内に、前記洗浄室内の蒸気を機外に通過させる蒸気抜きカートリッジが着脱自在に収容されていることを特徴とする洗浄機。」 2.引用例記載の考案 これに対して、当審における、平成12年3月16日付けで通知した拒絶理由に引用した実公昭47-39301号公報(以下、「引用例1」という。)には、食器洗浄機に関し、以下のことが記載されている。 a)「1は内部に洗浄槽2を設けた箱状をなした食器洗浄機本体であり、この本体1の上面一側部には周知のスプレーアーム等(図示せず)による洗浄工程を制御する各種の機構機器等(図示せず)を内設した、作箱部3を設ける。そして前記洗浄槽2の上壁にはこれを貫通する排気孔5を穿設し、これに、排気通路4を形成し、その下端を連通した排気口体6を設ける。すなわち排気口体6は、前記操作箱部3の上面に設けられた第1の管体としての例えば漏斗状の上部管体8aと、この下端に接続されゴム管等による傾斜して取付けられた第2の管体としての下部管体8bとから構成されている。すなわち詳述するとこの排気口体6は、その両端開口部の一部だけが対向するような状態にやや傾斜する排気通路4を形成すべく、その両端部を夫々鉛直方向に沿って開口しかつ折曲しており、更に、下部開口端外周すなわち下部管体8bには前記排気孔5に嵌合する例えば凹溝7を形成している。」(第1頁第2欄第21行?第2頁第3欄第1行) b)「その洗浄工程にスプレーアーム(図示せず)から上方へ噴射される洗浄水、若しくは食器等に当って飛散した洗浄水が、排気孔5から排気通路4を経て飛び出そうとしても、それらの洗浄水(第2図矢印で示す)は排気孔5の上方で離間して塞ぐところの排気口体6の傾斜する内壁部及び傾斜する排気通路4部に対して斜め位置で対向している突状体9に衝突して、排気口体6内を経て本体1外部へ飛び出すことはない。そして前記工程に続く乾燥工程では、この乾燥時に生ずる水蒸気は前記通気部10を経て本体1外部へ排気されるものである。」(第2頁第3欄第22行?第4欄第2行) また、第1図には、カートリッジ収納室の底面に開口された開口が、食器洗浄機本体1の隅角部に設けられていることが示されている。 同特開平5-115411号公報(以下、「引用例2」という。)には、食器洗浄機用吸排グリル装置に関し、以下のことが記載されている。 a)「41は本体1の吸気口31と連通する吸気部41a及び本体1の排気口39と連通する排気部41bを有するグリル取付台であり、このグリル取付台41の吸気部41aと排気部41bとの間は外観の美感を考慮した意匠面部41cとなっている。42はグリル取付台41の吸気部41aに装着される吸気口31用のグリル部材、43は同じくグリル取付台41の排気部41bに装着される排気口39用のグリル部材であり、共に同一の形状を呈している。」(第3頁第4欄第44行?第4頁第5欄第2行) 3.対比 そこで、本願請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)と引用例1に記載された考案とを対比する。 引用例1に記載の、「食器洗浄機本体1」、「洗浄槽2」、「スプレーアーム」、「食器等」、「下部管体8b」、「排気孔5」は、それぞれ、本願考案における「本体箱」、「洗浄室」、「噴射ノズル」、「被洗浄物」、「カートリッジ収納室」、「カートリッジ収容室の底面に形成された開口」にそれぞれ相当する。 ここで、本願考案の「被洗浄物の直上」なる用語の意味について検討する。本願考案において、どのくらいの量の被洗浄物をどこに置くかは、操作者が、被洗浄物の量に応じて決めるものであるから、「被洗浄物の直上」がどこであるかは、被洗浄物が洗浄室のどこに置かれているかにより決まるものである。 したがって、被洗浄物の量が少なく、操作者が洗浄室の中央部のみに被洗浄物を置いた場合には、「被洗浄物の直上」は、「洗浄室の中央部の上方」のみに限定されるものである。 一方、引用例1に記載のものは、カートリッジ収納室の底面に開口された開口は、食器洗浄機本体1の隅角部に設けられているものであるから、「洗浄室の中央部の上方」ではないことは明らかである。 したがって、引用例1に記載の「カートリッジ収納室の底面に形成された開口」も、被洗浄物の置き方によっては、「洗浄室内に収容された被洗浄物の直上からは外れた位置においてこの洗浄室の上方に臨」むことになるので、両者は一致する。 そうすると、両者は、 「本体箱内に設けた洗浄室内に噴射ノズルを設け、この噴射ノズルから洗浄液を噴射して前記洗浄室内に収容した被洗浄物の洗浄を行うようにしたものにおいて、カートリッジ収容室の底面に形成された開口が、前記洗浄室内に収容された被洗浄物の直上からは外れた位置においてこの洗浄室の上方に臨んでいることを特徴とする洗浄機。」である点で一致し、以下の点で相違するものと認める。 (相違点) イ)「洗浄水」が、本願考案のものは加熱されているのに対して、引用例1に記載のものは、加熱されているか否かが明らかでない点、 ロ)「カートリッジ収納室」が、本願考案のものは「本体箱の天井板」に設けられているのに対して、引用例1に記載のものは、洗浄槽2の天井板に設けられている点、 ハ)本願考案が「カートリッジ収容室内に、洗浄室内の蒸気を機外に通過させる蒸気抜きカートリッジが着脱自在に収容されている」のに対して、引用例1に記載のものは、水蒸気を本体外部へ排気する通気部10を下部管体8b、上部管体8a内に設け、蓋11と上部管体8aとが下部管体8bの上部に設けられている点、 4.判断 そこで上記相違点について検討する。 相違点イ)について 食器洗浄機の分野において、洗浄効果を高めるために洗浄水を加熱することは普通に行われていることであり、引用例1のものにおいて、洗浄水を加熱することは、当業者の設計的事項と認める。 相違点ロ)について 本願考案のものは、洗浄室が本体箱内に設けられているタイプのものであるのに対し、引用例1に記載のものは、食器洗浄機本体1内に別個の洗浄槽2が設けられているタイプのものである。そして、引用例1に記載のものにおいて、洗浄槽と食器洗浄機本体とを一体的に形成することは、当業者が適宜なし得るものであり、その場合には、カートリッジ収納室は、食器洗浄機本体1の天井板に設けられることとなるのは明らかである。 相違点ハ)について 引用例2には、排気部を構成するグリル部材42、43を着脱自在なカートリッジで構成した発明が記載されている。 そして、引用例1に記載のものも、引用例2に記載のものも、共に食器洗浄機に関する発明であるから、引用例1に記載されている上部管体8aと蓋11とを、刊行物2に記載されている考案に倣ってカートリッジ状のものに置き換えることに技術的困難性は認められない。 したがって、本願考案は、引用例1および引用例2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に成し得たものというべきである。 5.まとめ 以上のとおりであるから、実用新案法第3条第2項の規定により本願考案につき実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-06-16 |
結審通知日 | 2000-06-27 |
審決日 | 2000-07-10 |
出願番号 | 実願平5-74605 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
WZ
(A47L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 新海 岳 |
特許庁審判長 |
田中 秀夫 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 藤原 稲治郎 |
考案の名称 | 洗浄機 |
代理人 | 後呂 和男 |
代理人 | ▲高▼木 芳之 |