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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47L
管理番号 1025032
審判番号 審判1999-13232  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-08-11 
確定日 2000-08-30 
事件の表示 平成5年実用新案登録願第56566号「食器洗浄機」拒絶査定に対する審判事件[平成7年4月11日出願公開、実開平7-20161]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.本願考案
本願は、平成5年9月24日の出願であって、その考案は、平成12年5月23日付け手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「請求項1
底部を洗浄タンクとした洗浄槽と、その洗浄槽内に収容した食器の下方に位置する箇所と前記洗浄槽の天井部とに設けられた洗浄ノズルと、洗浄工程の実行時に運転されて前記洗浄タンク内の洗浄液を吸引する洗浄ポンプと、この洗浄ポンプから立ち上げて前記各洗浄ノズルに連結され前記洗浄工程の実行時に前記洗浄タンク内の洗浄液を前記洗浄ノズルに供給して前記洗浄槽内に噴射させるための循環パイプと、前記洗浄タンクに設けられ前記洗浄槽内に噴射された洗浄液を濾過して洗浄タンクに回収するフィルタと、排水工程の実行時、前記洗浄タンク内の洗浄液を外部に排水する排水ポンプとを具備した食器洗浄機において、
前記洗浄工程から前記排水工程への移行に際し、前記洗浄ポンプの停止に先立って前記排水ポンプによる排水を開始させる制御手段を設け、かつこの制御手段では、前記洗浄ポンプの停止に先立ち排水を先行して開始することで前記洗浄工程と前記排水工程とが重なる時間である排水先行時間の長さの変更が可能とされていることを特徴とする食器洗浄機。」
2.引用例記載の考案
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された実願昭63-91036号(実開平1-262831号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、食器洗浄機に関し、以下のことが記載されている。
a)「第3図に示すように、洗浄槽1内に収納した食器を洗浄あるいはすすぎを行なうための洗浄用ポンプ2と、洗浄あるいはすすぎを行なった後の洗浄槽1内に残った洗浄水、すすぎ水を洗浄槽1外に強制的に排水するための排水用ポンプ3を備えている。」(第1頁左下欄第16行?右下欄第1行)
b)「従来の構成では、第3図に示すように、洗浄用ポンプ2の吸込口部の上位に設けたフィルター4により、食器表面に付着した残菜を収納する食器洗浄機では、洗浄あるいはすすぎ工程で洗浄用ポンプ2の吸込力でフィルター4に収納した残菜が、それぞれの工程終了時、洗浄用ポンプ2停止時に、洗浄水が洗浄用ポンプ2吸込力の反動で、洗浄水あるいはすすぎ水とともにフィルター4より洗浄槽1底面全体に拡散することになり、特に比重の小さい残菜は、洗浄水表面を浮遊し、排水用ポンプ3運転を開始しても、残菜がフィルター4に収納できず、洗浄槽1底面に残ることになり、フィルター4への残菜収納率が低下し、洗浄槽1の汚染度が増加する。」(第1頁右下欄第9行?第2頁左上欄第2行)
c)「第1図は本発明の一実施例の食器洗浄機の洗浄、すすぎ工程を示す図であり、食器洗浄機の構成は従来の構成と同様である。よって、各工程を示す第1図により以下説明する。すなわち、洗浄、すすぎのそれぞれの工程において、食器の洗浄あるいはすすぎを行なうために洗浄用ポンプ2の運転を行ない、また、洗浄水、すすぎ水を製品機外に強制的に排水するための排水ポンプ3の運転を行なうが、洗浄、すすぎ工程が終了する時、洗浄用ポンプ2の運転が停止する(第1図に示すt時間)以前に、排水用ポンプ3の運転を開始を行う。
すなわち、洗浄、すすぎ工程の終了前では、洗浄用ポンプと排水用ポンプを同時にt時間運転する。
上記運転方法により、洗浄、すすぎ工程を運転する時、洗浄用ポンプ2の洗浄吐出力により食器に付着した残菜を落とし、洗浄用ポンプ2の吸込力により、洗浄用ポンプ2吸込口部上位に設けたフィルター4に残菜を収納する。」(第2頁右上欄第12行?左下欄第10行)
d)「以上の実施例から明らかなように本発明によれば、洗浄用ポンプが停止する以前に排水用ポンプの運転を開始するため、洗浄用ポンプの吸込力により、フィルターに収納した残菜を洗浄槽内に拡散することなく、確実に回収することが可能となり、洗浄槽内の汚染度を極力低減することが可能となるのである。」(第2頁左下欄第18行?右下欄第4行)
また、第3図には、底部を洗浄タンクとした洗浄槽1と、その洗浄槽内に収容した食器の下方に位置する箇所に洗浄ノズルを設け、洗浄用ポンプ2から立ち上げて洗浄ノズルに連結された循環パイプを備え、さらに、洗浄タンクに設けられ洗浄槽内に噴射された洗浄液を濾過して洗浄タンクに回収するフィルター4を設けた食器洗浄機が示されている。
同特開平2-99027号公報(以下「引用例2」という。)には、食器洗浄機に関し、以下の事項が記載されている。
a)「(35)はタイマで、ヒータ(21)、循環ポンプ(11)及び排水ポンプ(10)を所定時間駆動させる洗浄工程時間及び温水濯ぎ工程時間と、循環ポンプ(11)及び排水ポンプ(10)を所定時間駆動させる濯ぎ工程時間とをそれぞれ設定することができる。」(第3頁右下欄第15?20行)
同特開平5-176874号公報(以下「引用例3」という。)には、食器洗浄機に関し、以下の事項が記載されている。
a)「従来、この種の制御装置においては、例えば、食器の洗浄にあたり、洗浄ノズルから食器への洗浄湯の噴射力を一定にしつつ同洗浄湯による食器の洗浄時間を可変に設定制御するようにしてあるのが通常である。」(段落【0002】)
b)「かかる構成にあっても、食器の洗浄時間は、別に、設定するようになっているため、この設定を、食器の重量や汚れの度合いに合わせて行おうとしても、操作者の感に頼らざるを得ず、その結果、適正な設定をし難いという不具合があった。」(段落【0004】)
3.対比
そこで、本願請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)と引用例1に記載された考案とを対比する。
引用例1に記載の、「洗浄槽1」、「洗浄ノズル」、「洗浄用ポンプ2」、「循環パイプ」、「フィルター4」、「排水用ポンプ3」、「洗浄、すすぎ工程の終了前では、洗浄用ポンプと排水用ポンプを同時にt時間運転する」は、それぞれ、本願考案における「底部を洗浄タンクとした洗浄槽」、「その洗浄槽内に収容した食器の下方に位置する箇所に設けられた洗浄ノズル」、「洗浄工程の実行時に運転されて前記洗浄タンク内の洗浄液を吸引する洗浄ポンプ」、「洗浄ポンプから立ち上げて洗浄ノズルに連結され洗浄工程の実行時に洗浄タンク内の洗浄液を洗浄ノズルに供給して前記洗浄槽内に噴射させるための循環パイプ」、「洗浄タンクに設けられ前記洗浄槽内に噴射された洗浄液を濾過して洗浄タンクに回収するフィルタ」、「排水工程の実行時、前記洗浄タンク内の洗浄液を外部に排水する排水ポンプ」、「洗浄工程から排水工程への移行に際し、洗浄ポンプの停止に先立って排水ポンプによる排水を開始させる制御手段を設け、かつこの制御手段では、洗浄ポンプの停止に先立ち排水を先行して開始すること」にそれぞれ相当する。
そうすると、両者は、
「底部を洗浄タンクとした洗浄槽と、その洗浄槽内に収容した食器の下方に位置する箇所に設けられた洗浄ノズルと、洗浄工程の実行時に運転されて前記洗浄タンク内の洗浄液を吸引する洗浄ポンプと、この洗浄ポンプから立ち上げて前記洗浄ノズルに連結され前記洗浄工程の実行時に前記洗浄タンク内の洗浄液を前記洗浄ノズルに供給して前記洗浄槽内に噴射させるための循環パイプと、前記洗浄タンクに設けられ前記洗浄槽内に噴射された洗浄液を濾過して洗浄タンクに回収するフィルタと、排水工程の実行時、前記洗浄タンク内の洗浄液を外部に排水する排水ポンプとを具備した食器洗浄機において、
前記洗浄工程から前記排水工程への移行に際し、前記洗浄ポンプの停止に先立って前記排水ポンプによる排水を開始させる制御手段を設け、かつこの制御手段では、前記洗浄ポンプの停止に先立ち排水を先行して開始する食器洗浄機。」である点で一致するものであり、一方、以下の点で相違するものと認める。
(相違点)
1)洗浄槽内に収納した食器の下方に位置する箇所に洗浄ノズルを設けるとともに、洗浄ポンプから立ち上げて該洗浄ノズルに連結された循環パイプを備えている以外に、本願考案が、洗浄槽の天井部に洗浄ノズルを設けるとともに、洗浄ポンプから立ち上げて天井部に設けられた洗浄ノズルに連結された循環パイプを備えるのに対して、引用例1に記載の考案はこの構成を備えていない点、
2)本願考案が、洗浄工程と排水工程とが重なる時間である排水先行時間の長さの変更が可能とされているのに対して、引用例1に記載の考案は、排水先行時間の長さが可変であるか固定であるか明らかでない点、
4.判断
そこで上記相違点について検討する。
相違点1)について
食器洗浄機の分野において、洗浄槽内に収納した食器の下方に位置する箇所と洗浄槽の天井部とに洗浄ノズルを設けるとともに、洗浄ポンプから立ち上げて各洗浄ノズルに連結された循環パイプを備えることは、本願出願前広く行われている技術である(例えば、特開平2-277427号公報、実開平2-125645号のマイクロフィルム)。
そして、引用例1に記載されている、洗浄槽底面に残菜を残さず、残菜のフィルターへの収納率を向上させるために、洗浄、すすぎ工程の終了前に、洗浄用ポンプと排水用ポンプとを同時運転する技術を、上記周知のタイプの食器洗浄機に適用することに技術的困難性は認められない。
相違点2)について
食器洗浄機の分野において、使用者の要求に応じて設定時間を可変にする技術は、引用例2、引用例3に記載されているように、本願出願前広く行われている技術であるから、引用例1に記載のものにおいて、洗浄ポンプと排水ポンプとを同時運転するt時間を可変とすることは、当業者がきわめて容易に想到しうる程度の事項と認める。
そして、本願考案の「循環パイプから洗浄タンク側に逆流が起こっても、これは直ちに排水ポンプに吸引され、洗浄タンクから洗浄槽側への逆流が防止される。」なる効果は、引用例1に記載の発明が奏する効果と同様な効果である。また、本願考案の「排水先行時間を最適のものに設定し直すことができる」なる効果は、引用例1に記載された発明に引用例2、引用例3に記載された発明を適用したものが奏する効果に過ぎない。
したがって、本願考案は、引用例1ないし引用例3に記載された考案、および周知の技術に基づいて当業者がきわめて容易に成し得たものというべきである。
5.まとめ
以上のとおりであるから、本願考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-06-06 
結審通知日 2000-06-16 
審決日 2000-06-27 
出願番号 実願平5-56566 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (A47L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新海 岳  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 藤原 稲治郎
長崎 洋一
考案の名称 食器洗浄機  
代理人 後呂 和男  
代理人 ▲高▼木 芳之  
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