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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B62D
管理番号 1025046
審判番号 審判1998-13295  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-08-27 
確定日 2000-08-23 
事件の表示 平成4年実用新案登録願第45525号「自動車のサイドパネル構造」拒絶査定に対する審判事件[平成6年1月25日出願公開、実開平6-6173、請求項の数1]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 本件の実用新案登録出願は、平成4年6月30日に出願されたものであり、平成10年9月25日付手続補正書により補正された実用新案登録請求の範囲の請求項1には以下のとおり記載されている。

フロントピラー、センタピラー、リアピラー、サイドルーフレール、サイドシルおよびクォータパネルなどが一体に形成されるサイドストラクチャパネルにおいて、
上記サイドシルは、全外板である薄い板厚のサイストアウタパネルと、サイドシルインナとで閉断面が形成され、同閉断面に閉断面を仕切るサイドシルリンホースが設けられ、
上記サイドシルリンホースの一端部が上記サイストアウタパネルと上記サイドシルインナの一端部の間に介設され、かつこの他端部は上記サイドシルインナの他端部に結合されて、上記サイドシルインナと上記サイドシルリンホースとの閉断面が形成され、
同閉断面を形成する上記サイドシルリンホースと上記サイドシルインナの板厚を上記サイストアウタパネルの板厚より厚くして上記サイストアウタパネルの車体強度および剛性の寄与率を下げるように構成されていることを特徴とする自動車のサイドパネル構造。

これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願の出願前に頒布された刊行物である「実願昭58-3846号(実開昭59-109580号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)」には、以下の記載がある。
「・・サイドシルがサイドシルアウタとサイドシルインナとレインフォースメントとの三部材からなり、前記サイドシルアウタ、サイドシルインナおよびレインフォースメントの上部は三者一体に結合される一方、前記サイドシルインナ及びレインフォースメントの下部は、フロア端部の・・フランジに結合され、更に前記レインフォースメントには、・・水平部が形成され且つ該水平部下面には前記サイドシルアウタの下部が接合されていることを特徴とする自動車のサイドシル構造。」(実用新案登録請求の範囲の請求項1)
「・・サイドシルとフロアパネルにより閉断面形状を形成し、・・たサイドシル構造が公知であるが、・・レインフォースメントがないため、強度的に問題があった。」(明細書第2頁第14?20行)
「このサイドシル1は、・・外周面を構成するサイドシルアウタ4とその内周面を構成するサイドシルインナ5とその内部に上下に貫通するレインフォースメント6とによって構成されている。
・・前記サイドシルアウタ4,サイドシルインナ5及びレインフォースメント6の上部は、溶接によって三者一体に接合されて、・・サイドシルインナ5及びレインフォースメント6の下部は、フランジ7に溶接によって接合されて、・・前記レインフォースメント6には、水平部6aが形成され・・該水平部6a下面には、前記サイドシルアウタ4の下部が溶接により接合されて・・」(明細書第3頁第17行?第4頁第15行)
また、図面には、サイドシルインナ5及びレインフォースメント6により閉断面を形成し、サイドシルアウタ4とサイドシルインナ5はレインフォースメント6を一部介して閉断面を構成する旨図示されている。
これら記載を併せみると、「レインフォースメントがないため、強度的に問題があった。」なる記載から、レインフォースメントが強度を補強する部材であることは明らかであり、その採用により強度を増すことは、レインフォースメントがサイドシルアウタの強度の寄与率を低下させることと同義であり、しかも、レインフォースメントと閉断面を構成するサイドシルインナがサイドシルアウタに対して同様の補強部材となること、及び、それらにより車体の剛性を向上させていることは明らかであるから、引用文献には以下の考案が実質的に記載されるものと認める。

自動車のサイドシルにおいて、サイドシルは、サイドシルアウタと、サイドシルインナとでレインフォースメントを介して閉断面が形成され、同閉断面に閉断面を仕切るレインフォースメントが設けられ、
上記レインフォースメントの一端部が上記サイドシルアウタと上記サイドシルインナの一端部の間に介設され、かつこの他端部は上記サイドシルインナの他端部に結合されて、上記サイドシルインナと上記レインフォースメントとの閉断面が形成され、
同閉断面を形成する上記サイドシルリンホースと上記サイドシルインナにより、上記サイドシルアウタの車体強度および剛性の寄与率を下げるように構成されている自動車のサイドシルの構造

また、自動車において、フロントピラー、センタピラー、リアピラー、サイドルーフレール、サイドシルおよびクォータパネルを設けることは引用文献に直接の記載はないが、通常行われる事項である。

ここで、本件の請求項1に記載された考案と引用文献1の考案とを比較すると、引用文献1のものの「サイドシルアウタ」、「サイドシルインナ」及び「レインフォースメント」は、その配置関係からみて、本件請求項1に記載された考案の「サイストアウタパネル」、「サイドシルインナ」および「サイドシルリンホース」にそれぞれ相当するものと認められるので、両考案は、

自動車のサイドシルにおいて、サイドシルは、サイストアウタパネルと、サイドシルインナとを含む閉断面が形成され、同閉断面に閉断面を仕切るサイドシルリンホースが設けられ、
上記レインフォースメントの一端部が上記サイドシルアウタと上記サイドシルインナの一端部の間に介設され、かつこの他端部は上記サイドシルインナの他端部に結合されて、上記サイドシルインナと上記レインフォースメントとの閉断面が形成され、
同閉断面を形成する上記サイドシルリンホースと上記サイドシルインナにより上記サイドシルアウタの車体強度および剛性の寄与率を下げるように構成した
考案である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1
本件請求項1に記載された考案は、フロントピラー、センタピラー、リアピラー、サイドルーフレール、サイドシルおよびクォータパネルなどが一体に形成されるサイドストラクチャパネルの構造であるのに対して、引用文献のものは、サイドシルの構造について記載されるもののそれを含むサイドパネルについての特段の記載はない点。

相違点2
本件請求項1に記載された考案は、サイストアウタパネルと、サイドシルインナとで閉断面が形成される旨記載されるのに対して、引用文献のものでは、サイドシルアウタとサイドシルインナはレインフォースメントを一部介して閉断面を構成している点

相違点3
本件請求項1に記載された考案は、全外板である薄い板厚のサイストアウタパネルを用いるものであるのに対して、引用文献のもののサイドシルアウタにはそのような特段の記載はない点

相違点4
本件請求項1に記載された考案は、サイストアウタパネルの車体強度および剛性の寄与率を下げるために、サイドシルリンホースと上記サイドシルインナの板厚を上記サイストアウタパネルの板厚より厚くしているのに対して、引用文献のものでは、サイドシルインナとレインフォースメントを有するものの板厚に係る特段の記載はない点。

以下、上記相違点について検討する。
まず、相違点1について検討すると、上述するように、引用文献のものは、フロントピラー、センタピラー、リアピラー、サイドルーフレール、サイドシルおよびクォータパネルを設けることの明記はないが、自動車である旨記載されていることから、それらを有するものと解することが自然であり、しかもそれらを一体に形成してサイドストラクチャパネルとすることは、通常に行われる周知の技術である(参考例 実願昭60-32709号(実開昭61-148772号)のマイクロフィルム)から、相違点1は、格別の事項とは認められない。

相違点2について検討すると、引用文献のものにおいても、サイドシルアウタとサイドシルインナとは、閉断面が形成する部材となっているのであるから、相違点2は、格別の差違とは認められない。

次いで、相違点3について検討する。
フロントピラー、センタピラー、リアピラー、サイドルーフレール、サイドシルおよびクォータパネルなどが一体に形成しサイドストラクチャパネルとすることは、上記参考例にあるように周知の技術であり、一体に成形されたもののサイドシルアウタパネルは全外板となり、しかも、自動車の外板は、通常薄い板材を用いるものであるから、相違点3は、引用文献のものに周知の技術を適用して当業者がきわめて容易になし得たものと認める。

更に、相違点4について検討する。
上記のとおり、引用文献のものにおいても、サイドシルインナとレインフォースメントは強度に寄与している。このような強度に寄与する部材の板厚は、その設計に当たり、必要とされる補強の程度に応じて、他の諸条件を勘案して適宜決定すべきものである。
そして、引用文献のサイドシルインナとレインフォースメントは、結果としてサイドシルアウタの強度等に関する寄与率を下げるものであるから、サイストアウタパネルより板厚を厚くする旨の相違点4は、当業者が必要に応じて適宜選定し得た設計上の事項に属するものと認める。

なお、本件請求項1に記載された考案が奏する効果は、引用文献のもの及び周知の技術から予測される以上の格別のものとは認められない。

したがって、本件請求項1に記載された考案は、引用文献のもの及び周知の技術に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるので、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。
よって、結論の通り審決する。
審理終結日 2000-06-05 
結審通知日 2000-06-16 
審決日 2000-06-29 
出願番号 実願平4-45525 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B62D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山内 康明  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 大島 祥吾
清水 英雄
考案の名称 自動車のサイドパネル構造  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 鈴江 武彦  
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