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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16B
管理番号 1025050
審判番号 審判1998-18816  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-11-26 
確定日 2000-09-06 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 80935号「プッシュリベット」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 5月31日出願公開、実開平 6- 40428]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案の要旨
本願は、平成4年10月29日の出願であって、その請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)は、平成10年5月27日付け、及び平成10年12月24日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
【請求項1】
フランジ部の上面にピン嵌入凹部を形成し、かつ該凹部にフランジ部を貫通するピン挿通孔を形成すると共に、このフランジ部下面に脚部を突設し、この脚部に上記ピン挿通孔と連通してピン進入孔を形成したリベット本体と、頭部の下面に軸部を突設してなるピンとからなり、上記リベット本体の脚部を被取付け物の取付け孔に挿入して、このリベット本体のピン挿通孔を通して脚部のピン進入孔内に上記ピンの軸部を圧入すると共に、ピンの頭部をフランジ部のピン嵌入凹部内に嵌入することにより、ピンの軸部によりリベット本体の脚部が拡径し、該脚部により取付け孔を押圧して被取付け物に固定するプッシュリベットにおいて、
上記ピンの頭部が上記リベット本体のピン嵌入凹部内に嵌入した際、このピンの頭部とリベット本体のフランジ部との間に工具挿入用の隙間が形成されると共に、ピンの軸部基端側が上記嵌入凹部内に配置されることにより該頭部下方に凹所が形成され、工具が上記工具挿入用間隙より挿入した際、上記ピン嵌入凹部の上端内周縁部と上記頭部の下端外周縁部にそれぞれ当接すると共に、工具先端が上記凹所に侵入されるようにピン及びリベット本体を構成したこと特徴とするプッシュリベット。

2.引用例
これに対し、原査定における拒絶の理由に引用された実願平1-5779号(実開昭2-96010号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、以下の技術的事項が記載されているものと認められる。
a.「連結具は第1図に示されるように、板の穿設孔に装着する受部10と、前記受部10の中心部貫通孔18に上部開放口15より挿入して、前記受部10を拡径して前記板に固定するためのピン20との2部品よりなる連結具であって、前記受部10は前記板上面に当接するフランジ11と、前記フランジ11の下面より垂下して延びた脚体12とよりなり、フランジ11上面からの段差16をもった開放口15より脚体12に向って貫通孔18を配し、前記脚体12はスリット14を介して複数の脚部13に分枝されて」(第5頁下から1行?第6頁11行)いること。
b.「貫通孔18が穿設されている。この穿設孔は・・・段差16として大きく切り込まれており、その径はピン20のフランジ21の外径より少し大きくなっている」(第7頁第6?10行)こと。
c.「本連結具を再使用のため解離するには、第6図より治具Jをフランジ11,21の間にある開放口15の隙間に挿入し、・・・フランジ21を押し上げるとピン20全体が貫通孔18から引き上げられ、このピン20は何ら欠損を受けることなく取り出すことができる」(第9頁第9?19行)こと。
d.第1図の受部10の縦断面図の記載から、中心部貫通孔18がフランジ11から脚部13へ連続して形成されていること(なお、以下、便宜上、中心部貫通孔18の内、フランジ11に形成されたものを貫通孔Aと、脚部13に形成されたものを貫通孔Bとする。)。
以上の記載事項及び図面の記載からみて、引用例1には、次の考案(以下、「引用考案」という。)が記載されているものと認められる。
【引用考案】
フランジ11の上面に段差16を形成し、かつ段差16にフランジ11を貫通する貫通孔Aを形成すると共に、このフランジ11下面に脚部13を突設し、この脚部13に上記貫通孔Aと連通して貫通孔Bを形成した受部10と、フランジ21の下面に軸部22を突設してなるピン20とからなり、上記受部10の脚部13を板の穿設孔に挿入して、この受部10の貫通孔Aを通して脚部13の貫通孔B内に上記ピン20の軸部22を圧入すると共に、ピン20のフランジ21をフランジ11の段差16内に嵌入することにより、ピン20の軸部22により受部10の脚部13が拡径し、該脚部13により穿設孔を押圧して板に固定する連結具において、
上記ピン20のフランジ21が上記受部10の段差16内に嵌入した際、このピン20のフランジ21と受部10のフランジ11との間に治具J挿入用の隙間が形成されるようにピン20及び受部10を構成した連結具。

3.対比
本願考案と引用考案とを比較すると、引用考案の「フランジ11」は、本願考案の「フランジ部」に、以下同様に、「段差16」は「ピン嵌入凹部」に、「貫通孔A」は「ピン挿通孔」に、「貫通孔B」は「ピン進入孔」に、「受部10」は「リベット本体」に、「フランジ21」は「頭部」に、「板」は「被取付け物」に、「穿設孔」は「取付け孔」に、「連結具」は「プッシュリベット」に、「治具J」は「工具」に、それぞれ相当するものと認められる。
したがって、本願考案と引用考案とは、以下の一致点及び相違点があるものと認めることができる。
[一致点]
フランジ部の上面にピン嵌入凹部を形成し、かつ該凹部にフランジ部を貫通するピン挿通孔を形成すると共に、このフランジ部下面に脚部を突設し、この脚部に上記ピン挿通孔と連通してピン進入孔を形成したリベット本体と、頭部の下面に軸部を突設してなるピンとからなり、上記リベット本体の脚部を被取付け物の取付け孔に挿入して、このリベット本体のピン挿通孔を通して脚部のピン進入孔内に上記ピンの軸部を圧入すると共に、ピンの頭部をフランジ部のピン嵌入凹部内に嵌入することにより、ピンの軸部によりリベット本体の脚部が拡径し、該脚部により取付け孔を押圧して被取付け物に固定するプッシュリベットにおいて、
上記ピンの頭部が上記リベット本体のピン嵌入凹部内に嵌入した際、このピンの頭部とリベット本体のフランジ部との間に工具挿入用の隙間が形成されるようにピン及びリベット本体を構成したプッシュリベット。
[相違点]
ピン及びリベット本体が、本願考案では、「ピンの軸部基端側が嵌入凹部内に配置されることにより該頭部下方に凹所が形成され、工具が工具挿入用間隙より挿入した際、上記ピン嵌入凹部の上端内周縁部と上記頭部の下端外周縁部にそれぞれ当接すると共に、工具先端が上記凹所に侵入されるように」構成されているのに対し、引用考案では、そのような構成となっているのか不明な点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。
プッシュリベットの技術分野において、「ピン頭部下方に凹所を形成し、当該凹所に工具先端が侵入されるようにピン及びリベット本体を構成し、プッシュリベットの取り外しを容易にすること」は周知の技術思想(必要であれば、実願昭56-181989号(実開昭58-89608号)のマイクロフィルム、実願昭52-32676号(実開昭53-127074号)のマイクロフィルム、実願昭62-107895号(実開昭64-15813号)のマイクロフィルム又は実願昭60-163361号(実開昭62-71410号)のマイクロフィルム参照)と認められる。
そして、引用考案に上記周知の技術思想を適用すれば、工具先端がスムーズに該凹所に導入されることになるので、工具先端でピン頭部をこじることにより工具先端が侵入するための隙間を作るような作業が不要となり、取り外しの作業性が向上することは、当業者がきわめて容易に予測できることであって、しかも、このような上記周知の技術思想を適用できない特段の事情も見当たらない。
また、引用考案の実施例である第7図を参酌すれば、ピン取り外しの最終段階において、治具J(工具)がフランジ11の段差16(ピン嵌入凹部)の上端内周縁部とフランジ21(ピン頭部)の下端外周縁部にそれぞれ当接すると共に、治具J先端(工具先端)がフランジ21(ピン頭部)下方に形成されることとなった隙間に侵入している状態のものが示されており、この状態からピンは治具によって上方に押し上げられて取り外されるものであるから、フランジ21(ピン頭部)と受部10のフランジ11(リベット本体のフランジ部)との間の工具挿入用の隙間は、治具(工具)がフランジ11の段差16(ピン嵌入凹部)の上端内周縁部とフランジ21(ピン頭部)の下端外周縁部にそれぞれ当接することが可能な大きさであると解することができる。
してみると、上記相違点に係る本願考案の構成は、引用考案に上記周知の技術思想を適用することによって、当業者がきわめて容易に想到し得たものというべきである。

5.むすび
したがって、本願考案は、引用考案及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-06-21 
結審通知日 2000-07-04 
審決日 2000-07-17 
出願番号 実願平4-80935 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (F16B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 喜代治栗林 敏彦  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 和田 雄二
佐藤 洋
考案の名称 プッシュリベット  
代理人 小島 隆司  
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