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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K |
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管理番号 | 1025057 |
審判番号 | 審判1998-12047 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-07-29 |
確定日 | 2000-09-06 |
事件の表示 | 平成5年実用新案登録願第6645号「バーコード読取装置」拒絶査定に対する審判事件[平成6年8月19日出願公開、実開平6-59941]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
A 本願考案 本件審判請求に係る実用新案登録願は平成5年1月29日になされており,明細書及び図面の記載からみて, その実用新案登録請求の範囲の欄の請求項1の記載に係る考案(以下,「本願考案」という)の目的,効果は,「読取エラーが発生しても」「外部機器によって簡単にそのエラーを修正すること」であり, 本願考案の構成は, 「測定対象物のバーコードを読み取る読取部と,バーコードデータを入力する入力部と,バーコードデータを解析処理する解析処理部と,バーコードデータを格納するメモリとを備え,前記解析処理部は前記読取部で読み取ったバーコードデータを解読する解読手段と,前記解読手段で解読したバーコードデータを前記メモリに格納する格納手段と,前記入力部から入力されたバーコードデータを前記メモリに格納する格納手段と,前記メモリに格納された読取部からのバーコードデータまたは入力部からのバーコードデータのいずれかのバーコードデータを解析処理して出力する解析処理手段とを備えてなることを特徴とするバーコード読取装置」 である。(実用新案登録請求の範囲の欄或いは【課題を解決するための手段】の欄の記載参照) なお,請求項1の記載では,前記「(バーコードデータを)解析処理(して出力する)」の「解析」の内容について「解読」処理以外に何らの制限も付けられていないので,バーコードデータを所望のデータに処理する「情報処理」と解するのが妥当であり, また,前記「入力部」は,明細書及び図面(特に実施例)の記載からみて,「インタフェース34」に相当し,「ハンディバーコードリーダ15」,「キーボード15a」,「バーコードリーダ15b」,「パーソナルコンピュータ15c」等の「外部機器」からのバーコードデータを入力するものであると解するのが妥当である。 B 刊行物記載の考案 原審の平成8年5月17日付け拒絶理由において提示された,特開昭63-204485号公報(昭和63年8月24日特許庁発行,以下「刊行物1」という)には, 測定対象物のバーコードを読み取る「定置式スキャナ1」と,(「ハンディスキャナ3」から)バーコードデータを入力する入力部と,バーコードデータを解析処理する「復調部12」と,バーコードデータを格納するメモリとを備え,前記「復調部12」は前記「定置式スキャナ1」で読み取ったバーコードデータを解読(復調)する解読(復調)手段と,前記解読(復調)手段で解読(復調)したバーコードデータを前記メモリに格納する格納手段と,前記入力部から入力されたバーコードデータを前記メモリに格納する格納手段と,前記メモリに格納された「定置式スキャナ1」からのバーコードデータまたは入力部からのバーコードデータのいずれかのバーコードデータを解析処理して出力する解析処理(情報処理)手段とを備えてなるバーコード読取装置, であって, 読取エラーが発生しても,外部機器によって簡単にそのエラーを修正することができる, という考案が記載されている。 なお,刊行物1には,前記入力部,メモリ,解読(復調)手段,格納手段,解析(情報)処理手段について明記されておらず,また読取エラーに関しても記載されていない。しかし,前記バーコード読取装置がコンピュータで構成されており,前記入力部,メモリ,解読(復調)手段,格納手段,解析処理(情報処理)手段が備えられていることは当業者に自明であり(それ故,それらの事項を明記しなくても当業者であれば容易にそれらの事項が想定でき),また一方の「スキャナ」で読取エラーが発生しても,他方の「スキャナ」によって簡単にそのエラーを修正することが出来ることも当業者に自明であるので,前記のように認定する。 ここで,上記考案を本願考案の用語で表現する。 上記考案の「復調部12」は,読取部で読み取ったバーコードを情報処理装置で使用可能なデータにするための処理手段である点で,本願考案の「解析処理部」と等価であることを考慮すると, 刊行物1には, 測定対象物のバーコードを読み取る「定置式スキャナ1」と,バーコードデータを入力する入力部と,バーコードデータを解析処理する解析処理部と,バーコードデータを格納するメモリとを備え,前記解析処理部は前記「定置式スキャナ1」で読み取ったバーコードデータを解読する解読手段と,前記解読手段で解読したバーコードデータを前記メモリに格納する格納手段と,前記入力部から入力されたバーコードデータを前記メモリに格納する格納手段と,前記メモリに格納された「定置式スキャナ1」からのバーコードデータまたは入力部からのバーコードデータのいずれかのバーコードデータを解析処理して出力する解析処理手段とを備えてなるバーコード読取装置, であって, 読取エラーが発生しても,外部機器によって簡単にそのエラーを修正することができる, という考案(以下,「第1の考案」という)が記載されている。 なお,原査定の理由において提示された,特開平3-122781号公報(平成3年5月24日特許庁発行,以下「刊行物2」という)にも,前記第1の考案と同様の考案が記載されている。(「バーコード読み取り機1」が前記「定置式スキャナ1」に,「鍵盤6」が前記「ハンディスキャナ3」に,「キーボード制御部113」が前記「入力部」に,「CPU101」が前記「復調部12」に,「記憶系装置メモリ102」が前記「メモリ」に,夫々相当する) C 本願考案と刊行物1に記載された第1の考案 本願考案と刊行物1に記載された第1の考案とを比較すると, 上記考案の「定置式スキャナ1」は本願考案の「読取部」に包摂されるので, 本願考案は刊行物1に記載された第1の考案に包摂される。 D 出願人の主張の検討 出願人の平成10年7月29日付け審判請求書の6.請求の理由(3)丸4項(第4頁第29行?第5頁第13行)における主張について検討する。 1 出願人は「引用文献1に記載のものは,情報処理システム,詳しくはシステム制御部にバーコードを入力する入力装置であるのに対して,本願考案は入力されたバーコード情報の処理に関するものであり,両者は全く異なる」と主張する(第5頁第1行?第3行)。 しかし,引用文献1(刊行物2)に記載のものも,バーコードを「システム制御部5」に入力し,この入力したバーコード情報を所望により処理するもので,「入力されたバーコード情報の処理に関するものであり」,両者は同じである。 出願人は「両者は全く異なる」と主張するが,その根拠を述べていない。何処に相違があるのか不明である。 従つて,出願人の前記の主張は根拠が無く失当である。 2 出願人は「引用文献1には,本願考案における読取部で測定対象物のバーコードを読み取り,この読み取ったバーコードを解読して一旦メモリに格納し,該メモリは外部から入力されたバーコードデータを格納するようにし,読取手段で得られたバーコードデータ,外部から入力されたバーコードデータのいずれかを測定対象物のバーコードデータとして解析処理するようにした構成について,何らの記載も示唆もない。」と主張する(第5頁第4行?第10行)。 しかし,引用文献1(刊行物2)に記載のバーコード読み取り情報処理システムに於いて,「バーコード読み取り機1」が測定対象物のバーコードを読み取る読取部を備えること,読み取ったバーコードを情報処理システムで使用する以上使用可能なデータに解読処理していること,処理したデータや外部(「鍵盤6」)から入力されたデータをメモリに格納すること,これらデータを所望のデータに処理すること,は何れも当業者に自明である。 従つて,出願人の前記の主張は根拠が無く失当である。 3 出願人は「定置型バーコードリーダとハンディ型バーコードリーダの両者を有するバーコードリーダシステムが周知であるとしても,その周知をもって本願考案における前記構成を想到することはできない」と主張する(第5頁第11行?第13行)。 しかし,この主張は,A?Cで述べた様に根拠が無い。 E 結び 以上A?D項を総合して判断すると,本願考案は,刊行物1に記載された第1の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので,実用新案法第3条第2項の規定により,本件審判請求人である本願出願人は本願考案について実用新案登録を受けることができない。 よって,結論の通り審決する。 |
審理終結日 | 2000-06-08 |
結審通知日 | 2000-06-23 |
審決日 | 2000-07-07 |
出願番号 | 実願平5-6645 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(G06K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 瀧 廣往、中野 裕二 |
特許庁審判長 |
丸山 光信 |
特許庁審判官 |
金子 幸一 日下 善之 |
考案の名称 | バーコード読取装置 |
代理人 | 飯高 勉 |
代理人 | 川崎 勝弘 |