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審決分類 審判    H01R
管理番号 1025085
異議申立番号 異議1999-74383  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-11-24 
確定日 2000-03-27 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2595056号「コネクタプラグ」の実用新案登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。    
結論 実用新案登録第2595056号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 (1)本件考案
実用新案登録第2595056号(平成5年1月25日出願、平成11年3月12日設定登録)の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

【請求項1】複数の信号コンタクトを複数列を成すように並設したインシュレータと、一対のフード片を組み合わせて成ると共に、該一対のフード片の一端間に前記インシュレータを部分的に収納挟持したフードとを含むコネクタプラグにおいて、前記インシュレータは、前記複数の信号コンタクトの結線部の位置を前記複数列単位にあって互いに対向するもの同士における隣接するものの間で相手側コネクタとの嵌合方向,及びこれに直交する方向に対してずらして配すると共に、該相手側コネクタとの嵌合面の両側を切り欠いて形成した逆差し防止用キー部と、該逆差し防止用キー部に隣接して組み込まれて設けられ、且つ該相手側コネクタを引っ掛けて係止する引掛り部を含む断面略L字型の係止スプリングとを有することを特徴とするコネクタプラグ。

(2)申立の理由の概要
申立人 山田里美は、「実用新案登録請求の範囲の請求項1の考案は、甲第1号証(特開平2-27674号公報)、甲第2号証(実願昭62-2015121号(実開平1-104677号)のマイクロフィルム)及び甲第3号証(実願昭60-154100号(実開昭62-62780号)のマイクロフィルム)に記載された考案に基づいて、当業者が極めて容易に考案できたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けられないものである」旨主張している。

(3)甲各号証記載の考案
甲第1号証はケーブル用コネクタプラグに関するものであり、「シールドケース11は、金属から作った、前面を除く周囲に壁を有する上下部材11a,11bからなる。」(第2頁右下欄第6行目乃至第8行目)点、「ハウジング27は、その前端に金属で作ったシールド部材31が被嵌した状態でシールドケース11内に位置し、該ケースの前記係止爪15aでその移動を阻止される。このハウジング27は横方向に並列する複数の保持溝のそれぞれに金属で作ったコンタクト32を保持する。」(第3頁右上欄第7行目乃至第15行目)点及び、Fig5に結線部の位置が隣接する信号コンタクト間で相手側コネクタとの嵌合方向に対してずらして配する構成が記載されている。

甲第2号証はケーブル用コネクタに関するものであり、「対向する第1,2の壁面にそれぞれ複数個の接続子配設溝14が各面毎に千鳥配列となるように形成され」(第6頁第17行目乃至第19行目)た点、「接続子60は、ほぼ帯状材であって、この先端が長手方向に対して直角に折曲され、前記第1の絶縁体10の1,2の壁面の接続子配設溝14にそれぞれ配設され、」(第7頁第6行目乃至第9行目)た点及び図2(b)及び図3に結線部が複数列単位にあって互いに対向するもの同士における隣接するものの間で相手側コネクタとの嵌合方向に対してずらして配する構成が記載されている。

甲第3号証はケーブル用コネクタに関するものであり、その図1には嵌合面の両側を切り欠いて形成した逆差し防止用キー部が記載されている。また、「絶縁ハウジング210は、プラスラック材料等で形成され、その両側部には、台形突起211と、制限突起212とが形成されている。」とあり、さらに第8頁第17行目乃至第10頁第10行目には、「第1図に示したように絶縁ハウジング210にプルタブバー220及びプルタブ230を組み付けた状態の電気コネクタ200を相手の電気コネクタ10に対して嵌合させるとき、台形突起211の傾斜面211Bがロックバネ部12の上端内側にカム作用を及ぼしてロックバネ部12を側部から外方へ偏移させ、台形突起211の垂直壁211Aがロックバネ部12の引掛け部12Aを丁度越えたところで、ロックバネ部12は、その弾性により元の状態に復帰し、垂直壁211Aと引掛け部12Aとが係合した状態で、電気コネクタ10と電気コネクタ200との嵌合がロックされることになる。」(第8頁第3行目乃至第5行目)点が記載されている。

(4)対比・判断
本件考案と、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証に記載された考案を比較すると、本件考案では「複数の信号コンタクトの結線部の位置を前記複数列単位にあって互いに対向するもの同士における隣接するものの間で相手側コネクタとの嵌合方向,及びこれに直交する方向に対してずらして配する」ものであるのに対し、甲第1号証及び甲第2号証には、「複数の信号コンタクトの結線部の位置を前記複数列単位にあって互いに対向するもの同士における隣接するものの間で相手側コネクタとの嵌合方向に対してずらして配する」旨の記載はあるものの、「これに直交する方向に対してずらして配する」点については記載されておらず、甲第3号証においては「複数の信号コンタクトの結線部の位置」そのものに関する記載がない。
そして、本件考案はこの構成を有することにより、「信号コンタクト同士を近接させ、且つその結線部の間に十分な間隔を空けているので、合理的に小型化を図り得ると共に、信号コンタクトの結線時の作業性が向上される」(本件登録公報第3頁右欄第34行?第37行)という格別の効果を有するものであると認められる。
したがって、本件考案は甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証に記載された考案に基づき当業者が極めて容易に考案をすることができたものとは認められないので、申立人の主張は採用できない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立の理由及び証拠によっては、請求項1に係る考案についての実用新案登録を取り消すことが出来ない。
また、他に請求項1に係る考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-02-24 
出願番号 実願平5-1453 
審決分類 U 1 65・ 121- Y (H01R)
最終処分 維持    
前審関与審査官 右田 勝則  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 藤本 信男
長崎 洋一
登録日 1999-03-12 
登録番号 実用新案登録第2595056号(U2595056) 
権利者 ヒロセ電機株式会社
東京都品川区大崎5丁目5番23号 日本航空電子工業株式会社
東京都渋谷区道玄坂1丁目21番2号
考案の名称 コネクタプラグ  

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