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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1025091
異議申立番号 異議1999-72422  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-04 
確定日 2000-04-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2587383号「走行作業機の作動油タンク」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2587383号の実用新案登録を維持する。
理由 I.手続きの経緯
本件実用新案登録第2587383号は、平成4年10月13日に出願され、平成10年10月16日に設定登録がなされ、その後、能勢昭彦より登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年11月8日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年2月18日に意見書の提出と共に訂正請求がなされたものである。

II.訂正の適否についての判断
(1)訂正の要旨
本件の訂正の要旨は、
(A)実用新案登録請求の範囲の請求項1の
「油槽(13)の上面にストレーナのエレメント(16a)の交換用の開口(21)を設け、油槽(13)内で上記開口(21)の下方位置に設けた吸入管(14)に座部(14a)を設け、その座部(14a)にエレメント(16a)を載置し、このエレメント(16a)上にロッド(17)を載置すると共に、このロッド(17)の上端にコイルバネ(18)を配置し、前記開口(21)を閉じるべく設けた蓋板(22)の下面より、前記コイルバネ(18)を下方に押圧し、更に前記給油口(25a)を一体に設けてなる走行作業機の作動油タンク。」
という記載を、
「油槽(13)の上面にストレーナのエレメント(16a)の交換用の開口(21)を設け、油槽(13)内の上記開口(21)の下方位置に吸入管(14)を設け、該吸入管(14)の座部(14a)に、受け金(17a)とロッド(17)を介して下方に支持されたエレメント(16a)を当接し、前記受け金(17a)内に、前記開口(21)を閉止する蓋板(22)の下面により押圧されて前記ロッド(17)の上端を押圧するコイルバネ(18)を配設すると共に、前記蓋板(22)に給油口(25a)と該給油口(25a)から下方に向けて延長された筒部(25b)を一体に設けてなる走行作業機の作動油タンク。」
と訂正し、
(B)考案の詳細な説明の
1)段落番号【0004】(公報2頁左欄7?20行)の
「【課題を解決するための手段】
この考案は上記した不具合を解消し、・・・特徴がある。」
という記載を、
「【課題を解決するための手段】
この考案は上記した不具合を解消し、作動油タンクの上面構造を可及的にシンプルに構成して、運転席から見える作動油タンクの外観を向上させ、併せて、その構造を単純化してコストの低減を図ろうとするもので、油槽13の上面にストレーナのエレメント16aの交換用の開口21を設け、油槽13内の上記開口21の下方位置に吸入管14を設け、該吸入管14の座部14aに、受け金17aとロッド17を介して下方に支持されたエレメント16aを当接し、前記受け金17a内に、前記開口21を閉止する蓋板22の下面により押圧されて前記ロッド17の上端を押圧するコイルバネ18を配設すると共に、前記蓋板22に給油口25aと該給油口25aから下方に向けて延長された筒部25bを一体に設けた点に特徴がある。」
と訂正し、
2)段落番号【0012】(公報3頁左欄2?12行)の
「【考案の効果】
この考案にかかる走行作業機の作動油タンクは、・・・構成されている。」
という記載を、
「【考案の効果】
この考案にかかる走行作業機の作動油タンクは、油槽13の上面にストレーナのエレメント16aの交換用の開口21を設け、油槽13内の上記開口21の下方位置に吸入管14を設け、該吸入管14の座部14aに、受け金17aとロッド17を介して下方に支持されたエレメント16aを当接し、前記受け金17a内に、前記開口21を閉止する蓋板22の下面により押圧されて前記ロッド17の上端を押圧するコイルバネ18を配設すると共に、前記蓋板22に給油口25aと該給油口25aから下方に向けて延長された筒部25bを一体に設けて構成されている。」
と訂正し、
3)段落番号【0014】(公報3頁右欄8?13行)の
「なお、給油口25aを閉じる・・・効果を生る。」
という記載を、
「さらに、筒部25bを設けることにより、筒部25bは、その下端までしか作動油が入らないようにするものであり、それ以上作動油を供給しても、この筒部25b内に作動油が溜まるだけの機能を持つので、適正量の作動油を供給することができる。
なお、供給口25aを閉じる給油蓋28の雄ネジ部外面に軸方向の圧抜き溝29を設ければ、給油蓋28を僅かに緩めるだけで内部の圧力が抜け、蓋板22や給油蓋28を取り外した瞬間に、内圧による作動油の吹き出しが軽減され、作動油タンク10の上面を一層清潔に保つことができる効果を生じる。」
と訂正しようとするものである。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の追加及び拡張・変更の存否
前記訂正(A)は実用新案登録請求の範囲の請求項1において、「受け金17a」「筒部25b」を必須とするよう限定しようとするもので、本件明細書の段落番号【0007】【0008】【0009】【0010】(公報3欄42行?4欄40行)の記載に基づくものである。
したがって、この訂正は実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
前記訂正(B)は実用新案登録請求の範囲の減縮に整合させるための訂正であって、明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、明りょうでない記載の釈明に該当する。
(3)独立登録要件の判断
1)引用刊行物に記載された考案
本件請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)に対して、当審が通知した取消理由で引用した実願昭54-162560号〈実開昭56-79704号〉のマイクロフィルム(昭和54年11月26日出願、昭和56年6月27日公開)(以下、「引用考案」という)には概略以下の点が記載されている。
油圧式土木機械のオイルタンクに関するものであり、従来例として示された第1図を参酌すると、
オイルタンク本体(a)の上面に開口を設け、該開口には給油口を有する蓋体が設けられていること、該蓋体には受け金とロッドを介して下方に支持されたサクションストレーナー(f)が設けられていること、該サクションストレーナーはオイルタンク内の前記開口の下方位置に設けられた吸入管の上部に当接支持されていること、オイルタンク内には別にリターンフィルター(e)が設けられ該リターンフィルターとオイルタンク上壁間にはコイルバネが配設されていること。(明細書1頁13行?2頁11行)
2)本件請求項1に係る考案と引用刊行物記載の考案との対比・判断
訂正後の本件考案と引用考案とを対比すると
「油槽の上面にストレーナのエレメントの交換用の開口を設け、油槽内の上記開口の下方位置に吸入管を設け、該吸入管の座部に、受け金とロッドを介して下方に支持されたエレメントを当接し、前記蓋板に給油口を設けてなる走行作業機の作動油タンク」で両者は一致し、後者には(イ)「受け金内に開口を閉止する蓋板の下面により押圧されてロッドの上端を押圧するコイルバネ」が配設されていない点、(ロ)「給油口から下方に向けて延長された筒部を一体に設けて」いない点、で相違する。
そこで、相違点について検討すると、本件考案は相違点(イ)の構成を有することにより、コイルバネによって付勢されたロッドによりストレーナのエレメントを吸入管の座部に一定の荷重で密接に押しつけるので、機体の動揺等によってもエレメントと座部に隙間が生ずることがなく、隙間から濾過されない油を吸入管内に吸入するおそれがない、という効果を奏し(段落番号【0013】、公報6欄1?7行)、相違点(ロ)の構成を有することにより、筒部は、その下端までしか作動油が入らないようにするものであり、それ以上作動油を供給しても、この筒部内に作動油が溜まるだけの機能を持つので、適正量の作動油を供給することができる、という優れた効果を奏するものである。(訂正後の段落番号【0014】)
これに対し、引用考案はタンク内の別のリターンフルター(e)上部にコイルバネを有するが、このコイルバネは受け金内に配設されたものではなく、
この構成を蓋板下面に適用したとしてもただちに相違点(イ)の構成は導き出せない。また、相違点(ロ)の構成は全く備えておらず、本件考案の前記効果を奏するものとは認められない。
したがって、本件考案が引用刊行物に記載された考案であるとはいえないから、本件請求項1に係る考案は出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案とすることはできない。
また、他に出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案とする理由もない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、当該訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する第126条第2?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.登録異議の申立てについての判断
(1)本件請求項1に係る考案
本件請求項1に係る考案は、平成12年2月18日付けで提出された全文訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。
(2)申立ての理由の概要
申立人能勢昭彦は証拠として
甲第1号証・実願昭54-162560号(実開昭56-79704号)のマイクロフィルム(当審が通知した取消理由で引用した考案に同じ)、
甲第2号証・実願平3-15146号(実開平4-105604号)のマイクロフィルム、甲第3号証・実願昭60-143776号(実開昭62-52301号)のマイクロフィルムを提出し、本件の請求項1に係る考案に対する実用新案登録は以下の取り消し理由を有していると主張している。
なお、申立人はさらに参考資料1・実願昭62-129314号(実開昭64-35201号)のマイクロフィルム、参考資料2・実願昭58-90626号(実開昭60-1411号)のマイクロフィルムを提出している。
(取消理由1)本件考案は甲第1号証に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反して実用新案登録されたものである。
(取消理由2)本件考案は甲第1号証に記載された考案に参考資料1・2記載の周知技術を付加して当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録されたものである。
(取消理由3)本件考案は甲第2号証に記載された考案に参考資料1・2記載の周知技術を付加して当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録されたものである。
(取消理由4)本件考案は甲第3号証に記載された考案に参考資料1・2記載の周知技術を付加して当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録されたものである。
(3)申立人が提出した甲各号証記載の考案
(甲第1号証)
前記II-(3)-1)の記載参照。
(甲第2号証)
作動油タンクに関するものであり、第1図を参酌すると、タンク11の上板に開口を設け、該開口には蓋体が設けられていること、該蓋体には受け金とロッドを介して下方に支持された送り管路用ストレーナー17が設けられていること、該送り管路用ストレーナーはタンク内の前記開口の下方位置に設けられていること、が記載されている。(明細書3頁1?12行、第1図)
(甲第3号証)
作業機の作動油タンクに関するものであり、第1図を参酌すると、上側壁に給油孔(18)を設けること、給油孔の直下方のタンク内底面にオイルフィルター(17)のフィルターエレメント受台(17)-1が位置し、受台の凹部にフィルターエレメントの下端を嵌入させること、エレメントの上端面には給油孔に設けた開閉自在の蓋体(19)の内側面に垂設した桿体(20)の下端が当設しており、この当設を介してフィルターエレメントを同受台に圧着固定していること、フィルターエレメント受台はフィルターの基台(17)-3上に位置すること、基台中に穿設した略U字形状の油路(17)-4を介して受台と吸入管とを連通連結させていること、フィルターエレメントの交換は給油孔を介して行うことが記載されている。(明細書5頁11行?6頁11行、7頁13?18行、第1図)
(参考資料1・2)
参考資料1には、油タンクにおいてフィルターを支持するロッドと開口部の蓋の間にバネらしきものを設けることが記載されており(第3図)、参考資料2には、フィルターエレメントの押え体と蓋体の間にスプリングを設けることが記載されている。(第1・2図)
(4)当審の判断
1)取消理由1について
本件考案と甲第1号証に記載された考案との対比・判断は前記II-(3)-2)記載のとおりであり、本件考案は実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反して実用新案登録されたものではない。
2)取消理由2について
本件考案と甲第1号証に記載された考案との対比は前記II-(3)-2)記載のとおりであり、本件考案は甲第1号証に記載された考案にはない相違点(イ)及び(ロ)であげた構成を備え、この構成に伴う優れた効果を奏するものであるから、当業者にとってきわめて容易に想到しうる事項とはいえず、本件考案は実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録されたものではない。
申立人は参考資料1及び2を提示し、ロッドの上端にコイルバネを設けることは周知の技術である旨主張するが、本件考案は訂正によりコイルバネは受け金内に配設される、と構成が限定されており、参考資料からはこの構成は読みとれない。
3)取消理由3について
本件考案と甲第2号証に記載された考案とを対比すると、両者の一致点、相違点は甲第1号証との対比におけるものと同じであり、当審の判断は前記2)取消理由2について、に記載のとおりである。
したがって、本件考案は実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録されたものではない。
4)取消理由4について
本件考案と甲第3号証に記載された考案とを対比すると、両者の一致点、相違点は甲第1号証との対比におけるものと同じであり、当審の判断は前記2)取消理由2について、に記載のとおりである。
したがって、本件考案は実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録されたものではない。
(5)むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案に対する実用新案登録を取り消すことはできない。また、他に本件実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案に対する実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
走行作業機の作動油タンク
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 油槽(13)の上面にストレーナのエレメント(16a)の交換用の開口(21)を設け、油槽(13)内の上記開口(21)の下方位置に吸入管(14)を設け、該吸入管(14)の座部(14a)に、受け金(17a)とロッド(17)を介して下方に支持されたエレメント(16a)を当接し、前記受け金(17a)内に、前記開口(21)を閉止する蓋板(22)の下面により押圧されて前記ロッド(17)の上端を押圧するコイルバネ(18)を配設すると共に、前記蓋板(22)に給油口(25a)と該給油口(25a)から下方に向けて延長された筒部(25b)を一体に設けてなる走行作業機の作動油タンク。
【考案の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
この考案はミニシャベル機や植苗機その他、油圧作動式の作業機を備えた走行作業機の作動油タンクに関する。
【従来の技術】
一般に、油圧作動式の作業機を備えた走行作業機では本体側にポンプと作動油タンクとを備え、そこからホースで加圧された作動油を作業機へ供給している。作動油タンクはその上面にストレーナを交換するための比較的大きい開口と、給油のための比較的小さい開口との2個の開口が設けられている。
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、ストレーナを交換するための開口と給油するための開口とを別に設けたのでは、作動油タンクの上面の構造が複雑になるばかりか、その美観が低下し、運転環境の低下につながる。本考案は以上の問題点に鑑みて、作動タンクの上面構造を可及的にシンプルに構成して、運転席から見える作動油タンクの外観を可及的に向上させ、併せて、その構造を単純化してコストの低減を図り得る走行作業機の作業油タンクを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
この考案は上記した不具合を解消し、作動油タンクの上面構造を可及的にシンプルに構成して、運転席から見える作動油タンクの外観を向上させ、併せて、その構造を単純化してコストの低減を図ろうとするもので、油槽13の上面にストレーナのエレメント16aの交換用の開口21を設け、油槽13内の上記開口21の下方位置に吸入管14を設け、該吸入管14の座部14aに、受け金17aとロッド17を介して下方に支持されたエレメント16aを当接し、前記受け金17a内に、前記開口21を閉止する蓋板22の下面により押圧されて前記ロッド17の上端を押圧するコイルバネ18を配設すると共に、前記蓋板22に給油口25aと該給油口25aから下方に向けて延長された筒部25bを一体に設けた点に特徴がある。
【作用】
油槽13の上方に設けたエレメント16aを交換するための開口21は、蓋板22によって閉じられており、その交換は、蓋板22を取り外すことによって行われる。また、作動油が消費され、その液面が所定以下になったときは、蓋板22に螺合された給油蓋28を緩めて給油する。よって、油槽13の上方の面にはエレメント16aを交換するための唯一の開口21のみが開口している。
【実施例】
以下、図示の実施例によってこの考案を説明する。図1において、1はパワーショベルである。このパワーショベル1は履帯2によって支持された車台3上にスイングフィーム4を回転自在に支持している。スイングフレーム4は鋼板を四角形の箱上に溶接して組み立てたもので、その前端部にシャベル手段5を支持し、後方にエンジンフード6によって覆われたエンジン(図示してない)を支持している。それらの中間部には左右方向の一側に遍して運転席7と他側に遍して作動油タンク10とが設けられている。8は運転者の頭上を覆って設けられた日除け覆いである。
作動油タンク10は図2、図3で示すように、大きな筐体の中を隔壁12によって区画してその一側に油槽13が設けられている。この油槽13内にある作動油は図示してないポンプにより、吸入管14を経て作業機へ送られ、且つ、作業機からは還流管15を介して戻される。16は吸入管14の開口部に設けられたストレーナである。このストレーナ16は吸入管14の開口部に形成した座部14aにエレメント16aを載せ、上方からロッド17により下方へ向け弾性的に押し付けて固定してある。すなわち、図4で示すように、ロッド17の上端部には受け金17aが螺合しロックナットで緩み止めしてあって、その中にコイルバネ18が挿入され、後述する蓋板22で押さえている。
油槽13の頂面には、比較的大きな開口21が設けられ、蓋板22によって閉じられている。すなわち、開口21の外面側の周縁には座リング23が水密にろう付けされており、その上面に前記円板状の蓋板22が被せられ、4本のボルト24によって螺着されている。なお、9は油槽13の側面に設けられた液位計測ゲージであり、そこに示された3本の線はそれぞれ給油の上限、中位、および下限を示している。
蓋板22には給油口25aを設けた給油口部材25と、前記ロッド17を押圧するための突起26、および蓋板22を指で持ち上げるためのフック27とが設けられている。給油口部材25は給油口(ねじ孔)25aから筒部25bが下方へ向けて液位計測ゲージ9の中程まで延長されている。この筒部25bは、その下端までしか作動油が入らないようにするものであり、それ以上作動油を供給しても、この筒部25b内に作動油が溜まるだけの機能を持つものである。作動油が適正量以上に供給されると戻り作動油の多い時は内圧が高くなり、作動油タンク10が破裂する恐れがある。逆に作動油が少ないと作動油不足となるものであり、液位計測ゲージ9を見ながら適正量の作動油を供給することができる。また、28は給油口25aへ着脱自在に螺合された給油蓋である。
突起26は前記受け金17aの孔に緩く嵌合してコイルバネ18の上部を支承するもので、コイルバネ18はこの突起26と前記受け金17aとの間に圧縮状態で介装され、適度な荷重でエレメント16aを座部14a上へ押し付けている。なお、給油蓋28には、図5,図6で示すように、そのねじ部外周に軸方向の圧抜き溝29が設けてあり、給油に際して、あるいはストレーナのエレメント16aを交換するに際して、給油蓋28を少し緩めれば、油槽13の内部の圧力が抜け、開口21や給油口25aの周辺に付着した作動油が吹き出して、その周囲を汚すことのないようにする。なお、19は作動油タンク10の底部に設けたドレーンボルトである。
この考案に係る実施例は以上のように構成されているので、ストレーナのエレメント16aを交換するときは、まず、給油蓋28を少し緩めて内部の圧力を抜く。次にボルト24を外し、蓋板22を木ハンマーで軽く叩いて座リング23から▲剥▼離させた後、指をフック27に掛けて取り外す。そして、コイルバネ18と共にロッド17を持ち上げて取り外し、最後に吸入管14の座部14aに載置されたエレメント16aを取り外す。そして、以上と全く逆の過程を経て新しいエレメント16aを取り付けるものである。
【考案の効果】
この考案にかかる走行作業機の作動油タンクは、油槽13の上面にストレーナのエレメント16aの交換用の開口21を設け、油槽13内の上記開口21の下方位置に吸入管14を設け、該吸入管14の座部14aに、受け金17aとロッド17を介して下方に支持されたエレメント16aを当接し、前記受け金17a内に、前記開口21を閉止する蓋板22の下面により押圧されて前記ロッド17の上端を押圧するコイルバネ18を配設すると共に、前記蓋板22に給油口25aと該給油口25aから下方に向けて延長された筒部25bを一体に設けて構成されている。
従って、油槽13の上面にストレーナのエレメント16aを交換するための開口21と此の開口を閉る蓋板22を設けると共に、この蓋板に給油口25aを一体的に設けるように構成したので、油槽13の上面にはエレメント16aの挿通に必要な最小限の大きさの小さな開口21を1か所空けるだけで済むから、油槽13の上面における小さな開口21の場所取りには設計上の自由度があり、小さな開口21の蓋板22によるシールが容易かつ完全にできて油漏れが発生しにくい上に、油槽13の上面の構造と外観がフラットかつシンプルでまとまりが良くなり、油槽13の上面の加工コストを低減でき、また油槽13の上面の強度が向上するという顕著な効果が得られる。また、ロッド17の上端のコイルバネ18を、開口を閉じる蓋板22により、下方に押圧するように構成し、コイルバネ18によって付勢されたロッド17によりストレーナのエレメント16aを吸入管14の座部14aに一定の荷重で密接に押しつけるので、機体の動揺等によってもエレメント16aと座部14aに隙間を生ずることがなく、隙間から濾過されない油を吸入管14内に吸入するおそれがない。
さらに、筒部25bを設けることにより、筒部25bは、その下端までしか作動油が入らないようにするものであり、それ以上作動油を供給しても、この筒部25b内に作動油が溜まるだけの機能を持つので、適正量の作動油を供給することができる。
なお、給油口25aを閉じる給油蓋28の雄ネジ部外面に軸方向の圧抜き溝29を設ければ、給油蓋28を僅かに緩めるだけで内部の圧力が抜け、蓋板22や給油蓋28を取り外した瞬間に、内圧による作動油の吹き出しが軽減され、作動油タンク10の上面を一層清潔に保つことができる効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この考案を実施したパワーショベルの左側面図である。
【図2】
その作動油タンクを示す左側面図である。
【図3】
その平面図である。
【図4】
そのIV-IV断面図である。
【図5】
給油蓋28の正面図である。
【図6】
そのVI-VI断面図である。
【符号の説明】
10 作動油タンク 13 油槽 16a エレメント
25 給油口部材 28 給油蓋
訂正の要旨 訂正の要旨
実用新案登録第2587383号の明細書を、
(A)実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、請求項1の「油槽(13)の上面にストレーナのエレメント(16a)の交換用の開口(21)を設け、油槽(13)内で上記開口(21)の下方位置に設けた吸入管(14)に座部(14a)を設け、その座部(14a)にエレメント(16a)を載置し、このエレメント(16a)上にロッド(17)を載置すると共に、このロッド(17)の上端にコイルバネ(18)を配置し、前記開口(21)を閉じるべく設けた蓋板(22)の下面より、前記コイルバネ(18)を下方に押圧し、更に前記給油口(25a)を一体に設けてなる走行作業機の作動油タンク。」
という記載を、
「油槽(13)の上面にストレーナのエレメント(16a)の交換用の開口(21)を設け、油槽(13)内の上記開口(21)の下方位置に吸入管(14)を設け、該吸入管(14)の座部(14a)に、受け金(17a)とロッド(17)を介して下方に支持されたエレメント(16a)を当接し、前記受け金(17a)内に、前記開口(21)を閉止する蓋板(22)の下面により押圧されて前記ロッド(17)の上端を押圧するコイルバネ(18)を配設すると共に、前記蓋板(22)に給油口(25a)と該給油口(25a)から下方に向けて延長された筒部(25b)を一体に設けてなる走行作業機の作動油タンク。」
と訂正する。
(B)明りょうでない記載の釈明を目的として、
1)明細書の段落番号【0004】の
「【課題を解決するための手段】
この考案は上記した不具合を解消し、・・・特徴がある。」
という記載を、
「【課題を解決するための手段】
この考案は上記した不具合を解消し、作動油タンクの上面構造を可及的にシンプルに構成して、運転席から見える作動油タンクの外観を向上させ、併せて、その構造を単純化してコストの低減を図ろうとするもので、油槽13の上面にストレーナのエレメント16aの交換用の開口21を設け、油槽13内の上記開口21の下方位置に吸入管14を設け、該吸入管14の座部14aに、受け金17aとロッド17を介して下方に支持されたエレメント16aを当接し、前記受け金17a内に、前記開口21を閉止する蓋板22の下面により押圧されて前記ロッド17の上端を押圧するコイルバネ18を配設すると共に、前記蓋板22に給油口25aと該給油口25aから下方に向けて延長された筒部25bを一体に設けた点に特徴がある。」
と訂正し、
2)明細書の段落番号【0012】の
「【考案の効果】
この考案にかかる走行作業機の作動油タンクは、・・・構成されている。」
という記載を、
「【考案の効果】
この考案にかかる走行作業機の作動油タンクは、油槽13の上面にストレーナのエレメント16aの交換用の開口21を設け、油槽13内の上記開口21の下方位置に吸入管14を設け、該吸入管14の座部14aに、受け金17aとロッド17を介して下方に支持されたエレメント16aを当接し、前記受け金17a内に、前記開口21を閉止する蓋板22の下面により押圧されて前記ロッド17の上端を押圧するコイルバネ18を配設すると共に、前記蓋板22に給油口25aと該給油口25aから下方に向けて延長された筒部25bを一体に設けて構成されている。」
と訂正し、
3)明細書の段落番号【0014】の
「なお、給油口25aを閉じる・・・効果を生じる。」
という記載を、
「さらに、筒部25bを設けることにより、筒部25bは、その下端までしか作動油が入らないようにするものであり、それ以上作動油を供給しても、この筒部25b内に作動油が溜まるだけの機能を持つので、適正量の作動油を供給することができる。
なお、供給口25aを閉じる給油蓋28の雄ネジ部外面に軸方向の圧抜き溝29を設ければ、給油蓋28を僅かに緩めるだけで内部の圧力が抜け、蓋板22や給油蓋28を取り外した瞬間に、内圧による作動油の吹き出しが軽減され、作動油タンク10の上面を一層清潔に保つことができる効果を生じる。」
と訂正する。
異議決定日 2000-03-16 
出願番号 実願平4-71245 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (B65D)
U 1 651・ 113- YA (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山崎 勝司  
特許庁審判長 佐藤 雪枝
特許庁審判官 鈴木 美知子
森林 克郎
登録日 1998-10-16 
登録番号 実用新案登録第2587383号(U2587383) 
権利者 新キャタピラー三菱株式会社
東京都世田谷区用賀四丁目10番1号
考案の名称 走行作業機の作動油タンク  
代理人 小川 信一  
代理人 野口 賢照  
代理人 斎下 和彦  
代理人 野口 賢照  
代理人 斎下 和彦  
代理人 小川 信一  
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