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審決分類 審判 全部申し立て   D06N
審判 全部申し立て   D06N
管理番号 1025102
異議申立番号 異議1999-73097  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-08-09 
確定日 2000-05-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2590391号「レザー」の請求項1、2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2590391号の請求項1、2に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2590391号の考案は、平成4年9月30日に出願され、平成10年12月4日に設定登録(請求項の数2)されたものであるが、実用新案登録異議の申立てに基いて実用新案登録の取消理由を通知したところ、明細書の訂正請求がなされ、この訂正請求に対して訂正拒絶理由を通知したところ、訂正請求書に添付した訂正明細書について補正書が提出されたものである。
2.訂正の適否について
(1)請求された訂正の内容は、上記補正書により適法に補正された訂正明細書の記載からみて、次の(a)?(k)からなるものである。
(a)実用新案登録請求の範囲請求項1における「R1はH、」の「H、」及び「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」を削除し、「発泡剤を添加し発泡させて」を「発泡剤を添加し、さらに、アクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加し発泡させて」と訂正する。
(b)同請求項1における、「該表面層上に積層せる裏打ち層」を「該表面層の裏面に積層せる裏打ち層」と訂正する。
(c)考案の詳細な説明段落番号[0006]における「R1はH、」の「H、」及び「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」を削除し、「発泡剤を添加し発泡させて」を「発泡剤を添加し、さらに、アクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加し発泡させて」と、「該表面層上に積層せる裏打ち層」を「該表面層の裏面に積層せる裏打ち層」と、それぞれ訂正する。
(d)同[0007]における「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」、「エチレンエチルアクリレート、エチレンメチルアクリレート、」、「エチレンヘキシルアクリレート、」「、エチレンステアリルアクリレート」を削除する。
(e)同[0008]における「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」を削除する。
(f)同[0010]における「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」を削除し、「これに発泡剤を添加したものを、・・・カレンダー成形等によって」を「これに発泡剤を添加し、さらにアクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加したものを、従来周知のカレンダー成形等によって」と訂正する。
(g)同[0013]における「エチレンエチルアクリレート、エチレンメチルアクリレート、」、「エチレンヘキシルアクリレート、」「、エチレンステアリルアクリレート」を削除する。
(h)同[0014]における「加工助剤、」を「加工助剤としてアクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物、」と、「発泡状の表面層1を形成し、」を「未発泡状の表面層1を形成し、」と、それぞれ訂正する。
(i)同[0030]における「エチレンと酢酸ビニルの共重合体、」を削除し、「他のポリオレフィンや・・・添加することも可能である。」を「ポリオレフィン樹脂を添加することも可能である。」と訂正する。
(j)同[0031]における「カレンダー加工においては、・・・添加せしめるものである。」を「他の添加物としてこの種の技術において周知の帯電防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、顔料、ブロッキング防止剤、難燃剤、充填剤等を添加することやエチレンと酢酸ビニルの共重合体を添加することも可能である。」と訂正する。
(k)同[0041]における「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」を削除し、「添加したものを、従来周知の押出し成形、カレンダー成形によって」を「添加し、さらに、アクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加したものを、従来周知のカレンダー成形等によって」と訂正する。
(2)上記(a)の訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、(b)の訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。(c)?(k)の訂正は、(a)、(b)の訂正に整合させたものであるから明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、これらの訂正は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)さらに、訂正後の実用新案登録請求の範囲請求項1、2に係る考案(以下、訂正後の考案という。)は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものであるかにつき検討すると、上記取消理由に引用した特開昭53-49086号公報(以下、引用例という。)には、誘電率と誘電体力率との積が・・・の値を有するエチレン系樹脂よりなる内張層上に、・・・少くとも約50度の表面硬度を有するエチレン系樹脂よりなりかつそこにエンボス加工を施した表皮層を積層してなる表面に模様を有する積層体(特許請求の範囲第1項)、内張層が発泡エチレン系樹脂層よりなる特許請求の範囲第1項記載の積層体(同第3項)が記載され、「内張層を形成するエチレン樹脂としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体やエチレンエチルアクリレート共重合体などが用いられる。」(第2頁右下欄第1?3行)、「これらの内張層および表皮層よりなる積層体は、・・・、それ自体合成皮革材料などとして使用することができるが、一般にはその内張層側に布などの生地を裏張りして用いる。そして、靴の甲皮、ハンドバッグ、財布、・・・など多方面の用途に用いることができる。」(第3頁右下欄第16行?第4頁左上欄第4行)との記載、及び表皮層は表面硬度が大きく、傷付き難く、耐摩耗性が良好であることの記載(第3頁右上欄第9行?左下欄第19行参照)がなされているものと認められる。
訂正後の考案と引用例記載のものとを対比すると、両者は、発泡層を含む積層体からなるレザーである点で共通するものの、引用例には、訂正後の考案の構成要件である「エチレンと各種メタアクリル酸アルキルエステルを共重合してなるエチレン系コポリマー若しくはこれらの混合物」を発泡させてなる層については記載も示唆もなされていないものと認められる。
そして、訂正後の考案は、前記事項を構成要件とすることにより明細書に記載されたとおりの効果を奏し得たものと認められるから、訂正後の考案は、引用例に記載され考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることはできない。
したがって、訂正後の考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案でもない。
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律附則第9条第2項で準用する特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する特許法第126条第2?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.実用新案登録異議の申立てについて
(1)本件登録実用新案は、訂正された明細書の実用新案登録請求の範囲請求項1、2に記載されたとおりのものと認める。
(2)実用新案登録異議申立人は、請求項1、2に係る考案(以下、本件考案という。)は、甲第1号証(上記引用例)、甲第2号証(特開昭64-22541号公報)及び甲第3号証(特開昭63-194939号公報)に記載された考案と同一であり、同甲号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、その実用新案登録は、実用新案法第3条第1、2項の規定により拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものであると主張している。
(3)甲第1号証には、上記2.訂正の適否についての(3)に記載したとおりの事項が記載され、甲第2号証には、中間層が発泡樹脂層、両外層が非発泡樹脂層からなる多層材料であって、外層の一方を非発泡着色樹脂層としたことを特徴とする多層材料(特許請求の範囲第1項)が記載され、「本発明は天然皮革様の高級感のある外観を有し、」(第1頁左欄第17行)、「本発明の多層材料の原料としては用途等を考慮して各種の熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては・・・・、エチレンと酢酸ビニル、アクリルエステルなどのビニルモノマーとの共重合体、・・・などを例示することができる。・・・。」(第2頁右上欄第10行?第3頁左上欄第2行)との記載がなされ、
甲第3号証には、熱可塑性樹脂に発泡剤を混合し、T-ダイ法エクストルーダーにより前記混合物を溶融発泡押出して所望の通気性を有する通気性樹脂シートとし、これを通気性基材とラミネートし複合化することを特徴とする通気性ラミネート法(特許請求の範囲第1項)が記載され、「本発明は、・・・・、防虫剤、防錆材などの気化性薬剤の袋や上記薬剤を使用した複合材料の接着層や補強層として、又、納豆用容器などの如き通気透湿性を必要とする内容物容器のヒートシール層として有用に利用できる通気性ラミネート加工法に関するものである。」(第1頁左欄第20行?右欄第6行)「本発明に用いられる熱可塑性樹脂としてはポリオレフィン系樹脂、・・・押出し加工出来るものをさし、就中、ポリオレフィン系樹脂が好適である。これらポリオレフィン系樹脂としては、・・・、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸メチル共重合体等が最も好適である。(第2頁右上欄第1行?第15行)との記載がなされていることが認められる。
しかしながら、甲第1?3号証には、本件考案の構成要件である「エチレンと各種メタアクリル酸アルキルエステルを共重合してなるエチレン系コポリマーもしくはこれらの混合物」を発泡させてなる層を有するレザーについては記載ないし示唆されていないものと認められる。
そして、本件考案は、前記事項を構成要件とすることにより明細書に記載されたとおりの効果を奏し得たものと認められる。
したがって、本件考案は、甲第1?3号証に記載された考案であるとも、同甲号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるともすることはできない。
4.また、他に本件考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
レザー
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
CH_(2)=CH_(2),CH_(2)=CR_(1)COOR_(2)
< R_(1)はCH_(3) 、R_(2)はアルキル基 >
で表されるエチレンと各種メタクリル酸エステルを共重合してなるエチレン系コポリマー若しくはこれらの混合物に、発泡剤を添加し、さらに、アクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加し発泡させて形成した表面層と、該表面層の裏面に積層せる裏打ち層からなることを特徴とするレザー。
【請求項2】
上記表面層の表面に積層せるソリッド層を備えてなることを特徴とする請求項1記載のレザー。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、例えば鞄,家具,掲示板シート,車両シート等の表面材に用いるレザーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のレザーとして、ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤、安定剤等を配合して形成される未発泡レザーシートや、前記の配合にさらに発泡剤を添加し加熱発泡せしめて形成される発泡レザーシート等の表面層と、該表面層上に積層せる裏打ち層(裏布)とからなるものが知られている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかし乍ら上記従来のレザーは、ポリ塩化ビニル系樹脂を主成分とすることから可塑剤の添加が必須であり、使用が進むにつれてその可塑剤が表面に移行し、表面がべたついて汚れを付着させ易くしてしまうと共に、表面のヒビ割れを招く欠点を有していた。
【0004】
また、この種ビニル系のレザーは、燃焼時に塩素ガス,塩酸ガス等の人体に対して有害なガスを多量に発生させ、火災時等におけるガス中毒の問題もあると共に、永年の使用等により破棄,焼却する際にも、焼却炉等の内部の金属腐食を招き易い不具合があった。
さらに、この種ビニル系レザーは比重が大きい為に重量が重くなり、成形の際の取扱いが面倒である等の欠点を有していた。
【0005】
本考案は上述の従来事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、可塑剤の添加により長期の使用に際して表面がべたつく、焼却時に有毒ガスを発生する、重量が大きい等の従来品の欠点を解消し、耐表面汚れ性,安全性に優れると共に比重が小さく軽量のレザーを提供することである。また本考案レザーの他の目的は、前述の耐表面汚れ性,安全性,軽量化を得ると同時に、表面強度の向上を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本考案のレザーは、
【化2】
CH_(2)=CH_(2),CH_(2)=CR_(1)COOR_(2)
< R_(1)はCH_(3) 、R_(2)はアルキル基 >
で表されるエチレンと各種メタクリル酸エステルを共重合してなるエチレン系コポリマー若しくはこれらの混合物に、発泡剤を添加し、さらに、アクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加し発泡させて形成した表面層と、該表面層の裏面に積層せる裏打ち層からなることを特徴とする(請求項1)。
また、後述の理由から、上記表面層の表面にソリッド層を積層することも良い(請求項2)。
【0007】
尚、上記化2は、請求項1中に記載の化1と同一の化学式である。
上記化1(或いは化2)で表されるエチレンと各種メタクリル酸エステルを共重合してなるエチレン系コポリマー若しくはこれらの混合物とは、例えばエチレンメチルメタクリレート,エチレンブチルメタクリレート,エチレンラウリルメタクリレート等である。
【0008】
【作用】
以上の構成によれば、エチレンと各種メタクリル酸エステルを共重合してなるエチレン系コポリマーを主成分とすることから、可塑剤添加の必要がなくなるので、使用が進むにつれて表面がべたついて汚れを付着させ易くなると共に表面のヒビ割れを招く塩化ビニル系従来品の欠点が解消される。同時に、燃焼時に有害ガスを発生する虞れがないと共に、焼却時における焼却炉等の内部の金属腐食を招く虞れもなくなる。加えて、塩ビ系レザーに比して比重が小さいので、製品(レザー)の軽量化が図れる。
【0009】
【実施例】
以下、本考案レザーの実施例を、図面を参照して説明する。
【0010】
(実施例1)
図1におけるAは、表面層1の裏面に裏打ち層2(裏布)を積層してなる請求項1記載のレザーの一実施例を表す。
表面層1は、上記化1(或いは化2)で表されるエチレンと各種メタクリル酸エステルを共重合してなるエチレン系コポリマー若しくはこれらの混合物を主成分とし、これに発泡剤を添加し、さらに、アクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加したものを、従来周知のカレンダー成形等によって所望厚さのシートあるいはフィルム状に形成してなる。
【0011】
裏打ち層2には、例えば綿,レーヨン,ポリエステル,ナイロン等を単独で、若しくはそれらを混紡,混職した布材を使用する。
【0012】
尚、レザーAの全体形状、表面層1の模様,色彩、及び表面層1,裏打ち層2の夫々の厚み等については何等示さないが任意である。さらに、表面層1は透明、半透明のいずれであってもよく任意である。
【0013】
前述のエチレン系コポリマーは、例えばエチレンメチルメタクリレート,エチレンブチルメタクリレート,エチレンラウリルメタクリレート等である。
【0014】
レザーAのより具体的な成形方法を説明すれば、上記エチレン系コポリマーに加工助剤としてアクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物、発泡剤及び発泡助剤を添加し、そして所望条件の下(ロール温度100℃?160℃)でカレンダー加工して未発泡状の表面層1を形成し、該表面層1を裏打ち層2上に張り合わせ、これを加熱発泡,プライマー表面処理,プリント,エンボス加工すれば、発泡状の表面層1を備えたレザーAが形成される。
【0015】
発泡剤は、例えばADCA,OBSH,TSH(パラトルエンスルホニルヒドラジッド),DPT(ジニトロペンタメチレンテトラミン)又はこれらの発泡剤の混合ブレンド等である。
【0016】
発泡助剤は、亜鉛華(ZnO),三塩基性硫酸鉛等の無機塩,ステアリン酸鉛等の金属石鹸及び尿素化合物等である。
【0017】
さらに具体的実施例としては、
[表面層]
▲1▼エチレンメチルメタクリレート :100重量部
▲2▼LS-5 :0.5重量部
▲3▼ZnO :0.5?1.0重量部
▲4▼ADCA :2?5重量部
▲5▼酸化チタン :5?10重量部
▲6▼水酸化マグネシウム :20?30重量部
からなる配合物を、140±2℃のロール温度でカレンダー加工し、約0.2m/mのシート状に形成した。尚、この場合の適性温度範囲は100?220℃、好ましくは120?200℃である。
【0018】
[裏打ち層]
レーヨン30メリヤスで約0.25mmに形成した裏打ち層2の上面に、上記成形された表面層1を積層する。
【0019】
カレンダー加工によりシート出しされた表面層1は、約220℃に加熱した発泡炉中へ通し、含有する発泡剤を分解させてガスを発生させ、シート内部に発泡セルを形成させて発泡を完了させる。この際の発泡後の発泡倍率は発泡剤配合処方及び添加量により決まるが、通常2?7倍程度である。
【0020】
また、次にプライマー表面処理を行う。プライマー表面処理はグラビア印刷機にて60?120メッシュロールにてグラビア印刷し、乾燥炉で乾燥させる。
【0021】
プライマー表面処理としては、アクリル系,変性アクリル系,塩ビ/アクリル系,ポリオレフィン系樹脂を10?30%含有する溶剤系及びエマルジョン系表面処理剤が適当であり、艶調整の為にシリカ等の艶消し剤の添加も可能である。
【0022】
そしてその後、グラビア印刷機にて彫刻ロールにてPVC樹脂及びPVC樹脂/アクリル樹脂系プリントインキを印刷し、乾燥炉で乾燥させる。尚アクリル樹脂系プリントインキ使用の場合、プライマー表面処理は必ずしも必要としない。
【0023】
そして次に、エンボス機にて発泡させたシート表面を160?220℃に加熱させた後にエンボスロールとゴムロール(バックアップロール)の間に挟んで加圧し、凹凸模様を形成させた。また、レザー製造工程は、カレンダー加工後にプライマー表面処理,プリント印刷,発泡,エンボスの順でも構わず任意である。
【0024】
従って、発泡助剤(キッカー)としてZnOを0.5?1重量部添加することにより、発泡剤の分解開始温度が200℃から150℃位に下がり、発泡性が向上し、高発泡軽量シートが形成できた。尚、上記例ではカレンダー加工によって形成する場合について説明したが、T-ダイ押出し等の他の周知の方法によるも可能である。
【0025】
尚、カレンダー加工の場合にはロール滑性を上げる為、上記樹脂にアクリル系加工助剤,有機酸系金属塩,有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物等を添加する。
【0026】
上記アクリル系加工助剤,有機酸系金属塩,有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物の添加量は、樹脂100重量部に対して0.005?10重量部,好ましくは0.01?3重量部である。
【0027】
アクリル系加工助剤は、アクリル酸,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸nブチル,アクリル酸イソブチル,アクリル酸-2-エチルヘキシル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸エチル,メタクリル酸nブチル,メタクリル酸-2-エチルヘキシル等のメタクリル酸エステルを主成分とした共重合体からなる一群の重合体で、具体的には例えば市販品の三菱レイヨン製のメタブレンP-700,メタブレンP-551,メタブレンP-530A,メタブレンL-1000,鐘淵化学工業製のカネエースPA-20,カネエースPA-100,旭電化工業製のマークLS-3,マーク-5も等である。
【0028】
また、有機酸系金属塩は金属の高級脂肪酸塩、例えばステアリン酸亜鉛,ラウリン酸亜鉛,オレイン酸亜鉛,ステアリン酸バリウム,ステアリン酸カルシウム,ジブチル錫ラウレート,ジブチル錫ステアレート,ジブチル錫ジラウレート,ジブチル錫ジステアレート等である。
【0029】
有機脂肪酸は、例えばステアリン酸,オレイン酸,ラウリン酸,パルミチン酸などである。
【0030】
加工方法の如何を問わず、製品に所望の性能を付与する為、上記化1(或いは化2)を共重合してなるコポリマーまたはこれらの混合物に、添加物としてエチレン,プロピレン,ブテン,ブテンー1,3ーメチルーブテンー1,ヘキセンー1,オクテンー1,4ーメチルーペンテンー1等の重合体及び共重合体を主成分とするもので、例えば高密度ポリエチレン,中低密度ポリエチレン,超低密度ポリエチレン,結晶性ポリプロピレン,ポリブテンなど及びこれらの混合物からなるポリオレフィン樹脂を添加することも可能である。
【0031】
他の添加物としてこの種の技術分野において周知の帯電防止剤,紫外線吸収剤,抗酸化剤,顔料,ブロッキング防止剤,難撚剤,充填剤等を添加することやエチレンと酢酸ビニルの共重合体を添加することも可能である。
【0032】
これらの配合物は、そのコポリマーまたはこれらの混合物,加工助剤の種類および添加量により任意に選択する。
【0033】
以上のようにして成形される本考案のレザー(本考案実施品)と、ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤を配合して形成される従来のレザー(PVCレザー)について、表面汚れ試験、燃焼ガス中の塩酸ガス,塩素ガス濃度の測定、比重の測定を行った。表面汚れ試験の結果を表1中に、ガス濃度,比重の測定を表2中に、夫々示す。
【0034】
表面汚れ試験は、本考案実施品とPVCレザーの夫々を5cm×5cmにカットして試験片とし、該試験片上に、汚染物(油性マジック,ボールペン,水性ペン,コーヒー,醤油,ケチャップ,青インク)を直径2cm程度の円形状に塗布し、常温で24時間放置後、エチルアルコール及び合成洗剤を染み込ませた布で往復5回拭き取った後の汚れ具合を目視により観察したもので、その評価は、○:汚れがほとんどない、△:汚れがやや落ちる、×:汚れが落ちない、とした。
【0035】
燃焼ガス中の塩酸ガス,塩素ガス濃度は、本考案実施品とPVCレザーを建築材料燃焼試験機を用いて、建築物の内装材料難燃性試験方法(JIS-A-1321)に準じ、石綿パーライト板(基材、22cm×22cm)に上記試験片を貼り合わせて10分間燃焼させた後、集煙箱中の煙の塩酸ガス,塩素ガス濃度を、ガステック検知管法により測定した。
【0036】
比重は、本考案実施品とPVCレザーの夫々から布地を取り除くと共に、樹脂層を1mmにプレス圧着させて気泡を取り除き、水中置換法(JIS-K-6760)に準じて測定したものである。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】


【0039】
上記表1,2の結果から、従来のレザーに比べて本考案実施品が、表面汚れ,安全性,軽量化の面で優れた効果を奏することが確認できた。
【0040】
(実施例2)
図2におけるBは、上記実施例1に記載の表面層1と裏打ち層2からなるレザーA(この実施例では基材B’と称する)における表面層1の表面に、ソリッド層3を積層してなる請求項2記載のレザーの一実施例を表す。
【0041】
表面層1は、上記実施例1同様、上記化1(或いは化2)で表されるエチレンと各種メタクリル酸エステルを共重合してなるエチレン系コポリマー若しくはこれらの混合物を主成分とし、これに発泡剤を添加し、さらに、アクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加したものを、従来周知のカレンダー成形等によって所望厚さのシート或いはフィルム状に形成してなる。
【0042】
裏打ち層2には、例えば綿,レーヨン,ポリエステル,ナイロン,ポリプロピレン(P.P)等を単独で、若しくはそれらを混紡,混職した布材を使用する。
【0043】
尚、該表面層1や発泡剤,その他の添加物や、表面層1の成形方法、裏打ち層2の積層等に関する具体的な説明は、上記実施例1中の記載と同一なため、ここでは省略する。
【0044】
この様にして得られた表面層1と裏打ち層2からなる基材B’の表面、即ち、表面層1の表面に、ソリッド層3を、従来周知なカレンダー成形,押出し成形により積層する。
【0045】
さらに具体的な実施例としては、
[ソリッド層]
▲1▼エチレンメチルメタクリレート :100重量部
▲2▼PA-100 :0.5重量部
からなる配合物を、140±2℃のロール温度でカレンダー加工し、約0.1?0.5m/mのシート状に形成した。尚、この場合の適性温度範囲は100?220℃、好ましくは120?200℃である。
【0046】
この様にして得られるソリッド層3を、実施例1に記載せる具体例と同様にして得た表面層1と裏打ち層2を積層してなる基材B’の表面(表面増1の表面)に積層し、ソリッド層3表面をプリント処理して本実施例のレザーBを成形する。
【0047】
尚、表面層1の発泡は、ソリッド層3の積層前と積層後のいづれも可能であり、表面層1の発泡前にソリッド層3を積層する場合はその後ソリッド層3表面をプリント処理し、表面層1の発泡後にソリッド層3を積層する場合は該積層工程時においてソリッド層3表面をプリント処理して本実施例のレザーBを得る。
【0048】
【考案の効果】
本考案のレザーは以上説明したように構成し、従来の塩ビレザーの如き可塑剤を添加しないものとしたので、可塑剤のブリードアウト,移行等による弊害、即ち可塑剤の移行等による汚れの表面付着虞れのない耐汚染性に優れたレザーの提供が図れる。
【0049】
また、本考案のレザーとすれば、従来のレザーのようにハロゲン系有毒ガスを焼却時に発生しないため安全性も向上し、また焼却炉等の金属の腐食も招かず大変有用である。
【0050】
さらに、従来の塩ビレザーに比して大幅な軽量化を図れるので、製品への加工成形時における作業性の簡略化が期待できると共に、出来上がった製品の軽量化を図れる等、多くの効果を奏する。
【0051】
また、表面層の表面にソリッド層を積層した場合は、該ソリッド層によって表面層を保護し、長期に渡って製品表面の傷付きを防いで、前述の効果を奏するレザーをより実効あるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】
請求項1記載のレザーの一実施例を表す縦断正面図。
【図2】
請求項2記載のレザーの一実施例を表す縦断正面図。
【符号の説明】
A,B:レザー 1:表面層 2:裏打ち層
B’:基材 3:ソリッド層
訂正の要旨 (a)実用新案登録請求の範囲請求項における「R1はH、」の「H、」及び「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」を削除し、「発泡剤を添加し発泡させて」を「発泡剤を添加し、さらにアクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加し発泡させて」と訂正する。
(b)同請求項1における、「該表面層上に積層させる裏打ち層」を「該表面層の裏面に積層させる裏打ち層」と訂正する。
(c)考案の詳細な説明段落番号[0006]における「R1はH、」の「H、」及び「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」を削除し、「発泡剤を添加し発泡させて」を「発泡剤を添加し、さらにアクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加し発泡させて」と、「該表面層上に積層させる裏打ち層」を「該表面層の裏面に積層せる裏打ち層」とそれぞれ訂正する。
(d)同[0007]における「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」、「エチレンエチルアクリレート、エチレンメチルアクリレート、」、「エチレンヘキシルアクリレート、」「、エチレンステアリルアクリレート」を削除する。
(e)同[0008]における「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」を削除する。
(f)同[0010]における「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」を削除し、「これに発泡剤を添加したものを、・・・カレンダー成形等によって」を「これに発泡剤を添加し、さらにアクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加したものを従来周知のカレンダー成形等によって」と訂正する。
(g)同[0013]における「エチレンエチルアクリレート、エチレンメチルアクリレート、」、「エチレンヘキシルアクリレート、」「、エチレンステアリルアクリレート」を削除する。
(h)同[0014]における「加工助剤、」を「加工助剤としてアクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物、」と、「発泡状の表面層1を形成し、」を「未発泡状の表面層1を形成し、」とそれぞれ訂正する。
(i)同[0030]における「エチレンと酢酸ビニルの共重合体、」を削除し、「他のポリオレフィンや・・・添加することも可能である。」を「ポリオレフィン樹脂を添加することも可能である」と訂正する。
(J)同[0031]における「カレンダー加工においては・・・添加せしめるものである。」を「他の添加物としてこの種の技術において周知の帯電防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、顔料、ブロッキング防止剤、難燃剤、充填剤等を添加することも可能である。」と訂正する。
(k)同[0041]における「エチレンと各種アクリル酸エステル、または、」を削除し、、「添加したものを、従来周知の押出し成形、」カレンダー成形によって」を「添加し、さらに、アクリル系加工助剤、有機酸系金属塩、有機脂肪酸の単独またはこれらの2種以上の混合物を添加したものを従来周知のカレンダー成形等によって」と訂正する。
異議決定日 2000-04-27 
出願番号 実願平4-68272 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (D06N)
U 1 651・ 113- YA (D06N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐野 健治  
特許庁審判長 小林 正巳
特許庁審判官 喜納 稔
仁木 由美子
登録日 1998-12-04 
登録番号 実用新案登録第2590391号(U2590391) 
権利者 オカモト株式会社
東京都文京区本郷3丁目27番12号
考案の名称 レザー  
代理人 石渡 英房  
代理人 細井 貞行  
代理人 長南 満輝男  
代理人 細井 貞行  
代理人 早川 政名  
代理人 長南 満輝男  
代理人 石渡 英房  
代理人 中嶋 重光  
代理人 早川 政名  
代理人 山口 和  
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